1978年4月2日から1979年8月26日まで 全73話が放映されたテレビアニメ「SF西遊記スタージンガー」のファンクラブです。        




スタジン小説 その11

「Planet Blue」                               作・みなこ

                                      <4/4> 二人の間にしばらく沈黙が流れた。 クーゴは、静かに席を立ち上がった。 「星が綺麗だ。外に出よう」 クーゴに促がされ、マリアも後に従う。 夜風が優しく二人のもとを吹き抜けて行く。 「マリア」 満天の星空を見上げながら、クーゴはしっかりとした口調で言った。 「俺はずっと、姫のそばにいるよ」 クーゴの髪が風に揺れる。 「時がどんなに経ってもこの気持ちは変わらないし、 遠く離れるほど近くに姫を感じるんだ」 そう語るクーゴの背中がたまらなく切なそうで、 マリアの目から、また涙が流れた。 「一緒に居られないからこそ、永遠に想い続けられるのかもしれない。 ・・・そして、姫もきっと、同じことを考えてる・・・そんな気がするんだ」 クーゴは振り返らなかった。もしかしたら、クーゴも泣いていたのかもしれない。 マリアは、もうそれ以上何も聞くことはしなかった。 「本当にもう行かれるんですか、クーゴさん」 “Planet Blue”の前に呼んだスター・クローに、 クーゴは乗り込もうとしていた。 「せめて今夜くらい、この星で休んで行かれればいいのに」 マリアは、最初に戻って優しく笑いかける。 「ありがとうマリア。長逗留が向かないタチなんでね。 本当に世話になったよ。料理、サイコーだった」 「またいつか、いらして下さる?」 そう言うマリアの瞳は、どこか淋しげだった。 「ああ・・・、また、いつか」 指でサヨナラの合図をして、ヘルメットの向こうからクーゴが笑った。 「スター・クロー発進」 宙に上がり、一陣の風のようにスター・クローは飛び立った。 星空のひとつになって消えるまで、 マリアはずっとその姿を見守り続けていた。 そして、思った。 ― オーロラ姫は、本当は誰よりも幸せかもしれない ―  と。 クーゴは考えていた。 10年前の俺なら。 心の中でどんなに想っていても、人に口に出してそれを伝えたりはしなかった。 マリアが聞き上手だったのか、それとも俺が少し年をとって 気弱にでもなったせいなのか。 でも、どちらでも構わない。 あの星に降りた時から、気持ちをごまかすのは無駄な労力だと直感した。 少し楽になりたい。はじめて、そう感じた。 ― Planet Blue  ― あの青い星の中の、小さな店。 なつかしい昔を知っている娘が居て、俺のことを気にかけてくれた。 願っても決して叶わないことがある。 そんなことはわかっている。でも。 これでいい。気持ちは変わらない。 気付かせてくれてありがとう、マリア。 感謝するよ。 光の矢になって飛び続けるスター・クロー。 先は、まだはるか遠い。 ●2002・9・30更新
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