1978年4月2日から1979年8月26日まで 全73話が放映されたテレビアニメ「SF西遊記スタージンガー」のファンクラブです。        



スタジン小説 その10



イラスト・南十字あたる



「未来の花嫁」   作・みなこ

「うわああっっ」 コスモス号の寝室で、交代制で仮眠を取っていたクーゴが、 自分の声に驚いて飛び起きた。 非常時に備えてインターホンのスイッチをONにしてあったため、 その得も言われぬ叫び声は、コックピットに居たジョーゴと ハッカの耳にも大音量で入って来た。 「なっ、何だ何だ、クーゴ!?」 ハッカはシートからずり落ちそうになり、 ジョーゴは立ち上がって手際良く応答する。 「どうしたんだ、クーゴ!?」 クーゴは、まさに寝呆けていた。一瞬放心したと思ったら、 すぐさま頭を横に振り、何とも情けない声で返事をした。 「わりい・・・。変な夢見ちまって・・・」 照れくさそうに頭を掻く。 「夢〜!?オイ クーゴ、脅かすなよ。 しょうがない奴だなあ・・・」 インターホンの向こうでジョーゴが、呆れたような安心したような、 何とも阿呆らしいといわんばかりの声を出す。 「何でしょ〜ね〜、クーゴちゃんは。おいジョーゴ、今の奇声で、 姫、起きちゃったんじゃないのか〜?」 ハッカは、これで結構姫を気にかけている。 ジョーゴは、決めのウィンクと共に振り返って言う。 「姫の寝室へは声が入らないようにしてあるさ」 「さっすがジョーゴ。そりゃそーだよなー」 ハッカが、満足そうに胸をなでおろした。 ウィーン。 コックピットのハッチが開き、クーゴが姿を現した。 「いや〜、すまねえ、すまねえ。俺としたことがとんだ失態」 ハッカがすかさず突っ込む。ニヤニヤとして。 「それでェ〜?一体全体ど〜んな夢を見たっての?クーゴちゃんは」 たまらないといった哀れな表情でクーゴが返す。 「やめてくれよ。話す程のもんじゃねえって」 「ふふん」 ジョーゴが面白そうにニコニコとして。 「さっきのクーゴの声、姫に聞かせたかったよなあ、ハッカ?」 実はジョーゴ、意地悪だったりして? 「この人非人・・・」 クーゴは観念して、髪をくしゃくしゃと再び掻いた。 「結婚式を挙げようとしてんだよ、夢の中で、俺」 自分でも阿呆らしいと思いつつ、説明する羽目になったクーゴ。 ハッカもジョーゴも、それを聞いて途端に吹き出す。 「誰とだよ?まさか、姫と、なーんて言ってみろ、承知しねーぞ」 ハッカが笑いながらも責めてくる。 「それが・・・」 何ともキレの悪いクーゴの喋り。 「相手はドレスを着てヴェールを被ってるんだが、 顔がわからねえ。それで、ヴェールを持ち上げて いよいよ対面したら・・・」 ジョーゴもハッカも楽しそうに待ち構えている。 「・・・ベラミスだったんだよ」 コックピットの中に、一瞬の沈黙が流れ、 その直後に破裂する勢いで笑い声が上がった。 「・・・駄目だ、あんまり大きい声出すと姫が起き・・・」 ジョーゴは制しながらも腹を抱えているし、 ハッカはシートから完全に落ちてヒイヒイと苦しんでいる。 クーゴはひとり、面白くなさそうに拗ねている。 「お前、まさか、その気があるわけじゃないよな?」 ジョーゴは涙目になって言う。 「やめてくれよ」 ますます拗ねるクーゴである。 「それであんな声上げたわけ〜?クーゴしゃん」 ハッカも追い討ちをかける。 まだ、ベラミスが本当は女である事を、皆は気付いていない。 だが、クーゴはふと思い出していた。 「夢の中のあいつ・・・男のくせに、 やけに綺麗だったんだよな・・・?」 ラセツ星では、オーロラ姫拉致に向けて、 次の作戦会議が進行していた。 部下との会話の途中でベラミスが、いきなりくしゃみをする。 「どうなされた、キャプテン・ベラミス」 「いや・・・何でもない。ちょっと寒気がしただけだ」 まさか自分をサカナに、クーゴ達に笑われているとは、 知る由もないベラミスであった・・・。


●2002・10・04更新

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