1978年4月2日から1979年8月26日まで 全73話が放映されたテレビアニメ「SF西遊記スタージンガー」のファンクラブです。        



スタジン小説 その16





「秘密」   作・みなこ

風の音がしていた。 ラセツ星の夜。ベラミスが暮らす宮殿の離れの間には、星々を見上げられる 天窓がある。 ベラミスはただひとり、仰向けにベッドに横たわり、組んだ両手を頭の後ろへ やって、天窓からの夜空を見上げていた。 疲れた。今日は、本当に。 眠ったら少しは楽になれるだろう。なのに、頭は冴えている。 今日という今日は、必ずオーロラを捕えられると確信していた。 それなのに、あんな予想外の顛末を迎えるとは。 ジョーゴの銃がオーロラに命中し、オーロラが息絶えたと思った時、私の中に 今まで感じたことのない怒りが込み上げた。 男とは、そんな身勝手な生き物だったのか、と。 指をくわえてそれを黙認していたと思った・・・クーゴ、お前はあの時、本当に オーロラが死んでしまったら、どうしていた? あれが芝居であったことが、オーロラが無事であったことが、口惜しいが嬉しい。 クーゴ、もしあの時、本当にオーロラが死んでしまっていたなら・・・。 ベラミスは苦笑した。 何だ、今の感情は? 私はあいつを必ず倒す。どんなことがあろうとも。 だが、あの時、得体の知れない何かが、私の心を掠めた。 お前は、オーロラを守るために命を懸けることはあっても、私との勝負に 捨て身で臨むことはないだろう。 ベラミスの顔がかすかに歪み、悲しそうな笑みが浮かんだ。 今夜考えたことは、私の中の奥深い場所へ隠しておこう。 クィーン・ラセツにも、オーロラにも、そしてクーゴにも、 決して知られてはならない秘密として。


●2002・10・15更新

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