1978年4月2日から1979年8月26日まで 全73話が放映されたテレビアニメ「SF西遊記スタージンガー」のファンクラブです。        



スタジン小説 その27





「スターライト Miracle続編」   作・にいな

星が輝いている。 夜空を食い入るように見つめているのは、10才くらいの女の子。 自宅の庭先で、星座の位置を確かめながら。 女の子の瞳も輝いていた。 「いつかあの星の海へ…」 そう希望を胸に。 どのくらい見つめていたのか。 玄関のドアが開いた。 「ベラミス、いつまで外にいるの?風邪を引くわよ。暖かいお茶を入れたから、 もう家に入りなさい」 「はーい、お母さん」 女の子は、もうちょっと見ていたいのにと思ったが、家に入って行った。 「あのね、ベラミスね、いつか…」 母に、自分の夢を話しながら。 数年後、ベラミスは宇宙飛行士になるための学校へ入った。 厳しい訓練をこなし、成績は優秀。 ベラミスは夢へ順調に向かっていた。 だが。 突然、ガリウス星が襲われた。 ギャラクシーエネルギーが弱まって現われたスペースモンスター達に。 寮暮らしだったベラミスは、親しい人々が心配で、実家に戻った。 そこで、親友・メドナを失った。 他にも多くの友人達を。 ベラミスは、サイボーグとなって戦う事を決意した。 生き抜くために。 「星の光は、どこにいても、変わらないな…」 大王星の女王に助けられ、九死に一生を得たベラミスは、ある惑星にいた。 宇宙艇から見たその惑星は土色で、美しい星ではなかったが、空気はあるようだった。 久しぶりに大地に降りたいと思ったベラミスは、その惑星で休憩する事にした。 降りて3日。 最初は少なかった植物が、次第に増えているような気がした。 ギャラクシーエネルギーが復活して、この惑星も再生の道を歩んでいるのだろう。 今のところ、知的生命体とは出会っていない。 ベラミスはのんびりした気分で過ごし、夜になった今は、大地に座って空を 見上げていた。 ガリウス星から見た夜空、ラセツ星から見た夜空。 そして大王星や、この惑星から見た夜空。 宇宙艇で旅している時に見ても。 星の位置は違っても、輝きは同じ。 輝きは、希望を与えてくれる。 「あの光のどこかに、私の場所があるはずだ…」 もしかしたら、この惑星かもしれないが、ここだという確信めいた何かを感じない。 もう数日滞在してみようと思う。 それで感じなければ、また旅立つ。 幼い頃から夢見たように、星の海を旅しているが、彷徨する身だ。 順調だと思っていた夢を突然絶たれ、サイボーグとなって戦い、故郷を失ったが、 新たな世界を作るという次の夢を持った。 その夢はまたしても絶たれたが、夢や未来は形を変え、少しずつ変わって行く と考えれば良い。 彷徨するのも楽しいと発想の転換をしよう、などと考えていると、周りの木々 がざわざわと揺れた。 少しひんやりとした風が吹いている。 「眠る時間か…」 そろそろ中に入りなさい、と言う母に代わり、風が教えてくれる。 ベラミスは、夜空を名残惜しそうに見て、宇宙艇の中に戻った。 星の光は、どこにいても、ベラミスを優しく包んでいる。


●2003・1・15更新

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