星が輝いている。
夜空を食い入るように見つめているのは、10才くらいの女の子。
自宅の庭先で、星座の位置を確かめながら。
女の子の瞳も輝いていた。
「いつかあの星の海へ…」
そう希望を胸に。
どのくらい見つめていたのか。
玄関のドアが開いた。
「ベラミス、いつまで外にいるの?風邪を引くわよ。暖かいお茶を入れたから、
もう家に入りなさい」
「はーい、お母さん」
女の子は、もうちょっと見ていたいのにと思ったが、家に入って行った。
「あのね、ベラミスね、いつか…」
母に、自分の夢を話しながら。
数年後、ベラミスは宇宙飛行士になるための学校へ入った。
厳しい訓練をこなし、成績は優秀。
ベラミスは夢へ順調に向かっていた。
だが。
突然、ガリウス星が襲われた。
ギャラクシーエネルギーが弱まって現われたスペースモンスター達に。
寮暮らしだったベラミスは、親しい人々が心配で、実家に戻った。
そこで、親友・メドナを失った。
他にも多くの友人達を。
ベラミスは、サイボーグとなって戦う事を決意した。
生き抜くために。
「星の光は、どこにいても、変わらないな…」
大王星の女王に助けられ、九死に一生を得たベラミスは、ある惑星にいた。
宇宙艇から見たその惑星は土色で、美しい星ではなかったが、空気はあるようだった。
久しぶりに大地に降りたいと思ったベラミスは、その惑星で休憩する事にした。
降りて3日。
最初は少なかった植物が、次第に増えているような気がした。
ギャラクシーエネルギーが復活して、この惑星も再生の道を歩んでいるのだろう。
今のところ、知的生命体とは出会っていない。
ベラミスはのんびりした気分で過ごし、夜になった今は、大地に座って空を
見上げていた。
ガリウス星から見た夜空、ラセツ星から見た夜空。
そして大王星や、この惑星から見た夜空。
宇宙艇で旅している時に見ても。
星の位置は違っても、輝きは同じ。
輝きは、希望を与えてくれる。
「あの光のどこかに、私の場所があるはずだ…」
もしかしたら、この惑星かもしれないが、ここだという確信めいた何かを感じない。
もう数日滞在してみようと思う。
それで感じなければ、また旅立つ。
幼い頃から夢見たように、星の海を旅しているが、彷徨する身だ。
順調だと思っていた夢を突然絶たれ、サイボーグとなって戦い、故郷を失ったが、
新たな世界を作るという次の夢を持った。
その夢はまたしても絶たれたが、夢や未来は形を変え、少しずつ変わって行く
と考えれば良い。
彷徨するのも楽しいと発想の転換をしよう、などと考えていると、周りの木々
がざわざわと揺れた。
少しひんやりとした風が吹いている。
「眠る時間か…」
そろそろ中に入りなさい、と言う母に代わり、風が教えてくれる。
ベラミスは、夜空を名残惜しそうに見て、宇宙艇の中に戻った。
星の光は、どこにいても、ベラミスを優しく包んでいる。
●2003・1・15更新
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