のほほん映画観賞備忘録・2007年1月〜4月
SF・アクション映画が大好きなマクノスケ&マクタロウの映画鑑賞備忘録です。 ふたりで「のほほ〜ん」と感想を語っています。
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■2007. 4月 |
長州ファイブ / かちこみ! ドラゴン・タイガー・ゲート / ブラッド・ダイヤモンド
■ダイヤの価値を決める“4つのC”──
color(色) cut(カット) clarity(透明度) carat(カラット)
しかし、実は5つめのC<conflict>が存在することを、あなたは知る──
[自由][家族][真実]──彼らはダイヤにそれぞれ違う輝きを見た。
[監督]エドワード・ズウィック
[原案]チャールズ・リーヴィット、C・ギャビー・ミッチェル
[脚本]チャールズ・リーヴィット
[音楽]ジェームズ・ニュートン・ハワード
[出演] レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・コネリー、ジャイモン・フンスー、マイケル・シーン、アーノルド・ヴォスルー
[制作データ] 2007 ワーナー
[上映時間] 143分
「ブラッド・ダイヤモンド」公式サイト
【マクタロウ】
私のエドワード・ズウィック監督評は「テーマ性のある面白い題材を選び、それをエンターテイメントとして映画化するも、盛り上がらない」という所だったのだが、本作はこれまで観た彼の作品中で1番、主演のディカプリオ作品としても1,2を争う出来であった。
ここ数年「アフリカを舞台に先進国が利権を争う」という図式をテーマにした作品が多い。
本作もその一つになるが、非合法ダイヤモンドなどということは、この映画を観なければ知らなかった世界でもあり、興味深かった。
こういった大きなテーマを掲げて徐々に個人的なテーマとすりあわせていくのが「ズウィック流」だと私は思っているが、これまで観た作品ではそれがうまく機能できず「テーマの割に盛り上がらず」という評価だったが、本作は主人公ダニー(レオナルド・ディカプリオ)とソロモン(ジャイモン・フンスー)の対比、ソロモンやマディー(ジェニファー・コネリー)との出会いにより、変わっていくダニーの心情も良く描けているし、ソロモンと息子のエピソードも大きなテーマをあぶり出す効果を発揮していたように思う。
勉強をするために映画を観ているわけではないが、このような作品と出会うことによって自分が知らなかった世界を見せてもらえるというのは、映画の楽しみの一つだ。
【マクノスケ】
本日2本目の鑑賞で御座います。舞台はアフリカ。反政府軍に村を襲われ、採掘場で強制労働されられていたソロモンが大粒ピンクダイヤをみつけ、ある場所へ隠したまま逃走。そのダイヤを追う、売人で元傭兵のデカプリオ扮するダニーやダイヤ密輸の実態を追う記者マディーと出会い、彼の運命が大きく変わっていきます。
「グローリー」「レジェンド・オブ・ホール」「マーシャル・ロー」「ラストサムライ」と社会派のズイック監督!いつもラストがいまひとつ盛り上がらないとマクタロウと話していたのですが、今回は手応えありでした!テーマであるアフリカの武装組織の資金源“ブラッド・ダイヤモンド”の問題定義もきちんとされていたし、いつになくキャラクターが生き生きとしていて、感情移入もすんなり出来ました。
特にジャイモン・フンスー扮するソロモンの「息子に対する愛情」を描いている部分には心が震えました。デカプーも「ディパーテッド」より役柄があっていました。ここのところ眉間に皺を寄せる役ばかりでしたが、この役は、もう少し肩の力が抜けた感じで、それでいて闇を抱えた部分がよく出ていたように思います。
マディー役のジェニファー・コネリーも36歳とは思えない美しさ!デカプーとのツーショットシーンでは、それはそれはいいムードでこの重い映画に華を添えていました。脇役では傭兵を仕切る大佐役で「ハムナプトラ」のイムホテップを演じるアーノルド・ヴォスルーが出演しているのですが、彼の出身が南アフリカなのが興味深かったです。
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■拳が唸る<ヤンクアクション>日本上陸
この勝負、
待ったなし!
[監][脚]ウィルソン・イップ
[アクション監督]ドニー・イェン
[音]川井憲次
[出] ドニー・イェン、ニコラス・ツェー 、ショーン・ユー 、ドン・ジェ、リー・シャオラン
[制作データ] 2007 ギャガ・コミュニケーションズ
[上映時間] 94分
「かちこみ! ドラゴン・タイガー・ゲート」公式サイト
【マクタロウ】
人気コミックスの映画化らしいのですが、話の展開、キャラクター配置など、どれをとっても「コッテリ香港カンフー映画」でしたねえ。
ドラゴン(ドニー・イェン)以外の主役二人は、カンフー素人だそうですが、とてもそうとは思えない身のこなし、アクションの見事さでありました。
香港映画お得意の「痛そうに見せる」演出は、本作でもたっぷり観られます。やはり生身の人間が演じるアクションは良いですなあ。
手を変え、品を変えて見せ場を繰り出す香港映画人のアイディアには心底頭が下がります。
本作で一番面白かったのが、日本料理屋での場面でしょうか。
続々と襲いくる敵の集団(仮面ライダーで言えばショッカーの戦闘員みたいな連中)をバッタバッタと倒していくところを、天井裏視点で見せるところなど、感動しました(デ・パルマかよってツッコミも含めて)。
配給会社が吹き替え版ばかりをメインにして上映している姿勢、ふざけた邦題、お笑い芸人に吹き替えをさせる感覚には憤りを覚えるものの、映画館で観ることが出来たことは良かったと言っておこう。
【マクノスケ】
映画会社の戦略で、なにやらギャグテイストの「喧嘩映画」みたいな売りになっちゃってますが、思いっきりのカンフー映画になっていて嬉しかったです!みなしごを引き取りカンフーを教えている道場「龍虎門」のタイガーと幼い頃、訳あって家を出て今は悪の組織の用心棒になっている兄ドラゴンが再会。紆余曲折を経て和解し、最後は力を合わせて街の大ボス「羅刹門」のシブミを倒すために闘うというストーリー。なんでも70年代から続くコミックスの映画化なんだそうです。
ドニーさんは兄、ドラゴンをニヒルに好演!アクションスターでない主演のふたりがバッチリアクションを決めているのは、アクション監督も兼任しているドニーさんの指導の賜でしょう!!ファンとしてはドニーさんのアクションにもうっとりでしたが、ドニーさんが型を付けたであろう他の共演者の動きにもいちいち反応してしまって1時間半ずっと興奮しっぱなしでした。
でもなあ。「日本語吹き替え」じゃなかったらもっと燃えたのになあ。ドニーさんの声、小杉十朗太さんだったんですが、あんなすました喋り方じゃない方が良かったけどなあ。まあ、役がキザな役だから仕方ないのかしらねえ。…って、ドニーさん、こういうすました役が好きなんでしょうねえ。私としては、主人公のタイガーみたいな明るい役もやって貰いたいんですけどね。画像(下)は、パンフレットといっしょに買ってしまった「アジアンポップスマガジン」。ドニーさんのページ2ページしかないんですけどねえ。ファンの性ですよねえ。(^_^;)
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■幕末の世、日本の未来のために刀を捨てた、サムライがいた
[監][脚]五十嵐匠
[プ]水野清
[音]安川午朗
[出]松田龍平 、山下徹大 、北村有起哉 、三浦アキフミ 、前田倫良 、原田大二郎
[制作データ] 2006リベロ
[上映時間] 119分
「長州ファイブ」公式サイト
【マクタロウ】
近代日本の礎を築いた長州藩の5人、志道聞多、山尾庸三、野村弥吉、伊藤俊輔、遠藤謹助。彼らがイギリスに密航し、何を見、何を学んだのか。
文明国と言ってもそこには貧富の差があり、すべての人々が幸せに暮らしているわけではないという部分も描かれ、富める国となったときに、何が大切になるのかという問いも投げかけてくる。
物語は冒頭の「生麦事件」の描写が素晴らしく、一気に作品にのめり込む。
イギリスへの渡航(密航)を前に浮かれる仲間に「武士を捨てるべきだ」と言い、自ら髷を切る山尾(松田龍平)。
このシーンはとても重要で良い場面だ。私としては「御法度」以来となる松田の(演技の)成長も感じられ、より感動的だった。
また、このシーンは、山尾がイギリスで知り合った耳の不自由な女性を暴漢から見事な剣(棒)さばきで助ける場面「髷を切って武士という身分は捨てても、心は捨てていないぞ」という彼の心意気に繋がっているように感じる。
いよいよ外海に乗り出すシーンは音楽のノリが良く爽快感があり、サントラが欲しいなあなどと思ったが、発売はされていないようである。残念。
【マクノスケ】
幕末にイギリスへ半ば密入国という形で渡り、明治の日本へ「生きたる機械」として帰国した長州の5人衆、山尾庸三(松田龍平)、井上勝(山下徹大)、伊藤博文(三浦アキフミ)、井上馨(北村有起哉)、遠藤謹助(前田倫良)の若き日の姿を描く良作!
例によってマクタロウのお薦めで「鷹の爪」を蹴って(吉田くん、ごめん!)小田原へ見に行ってきました。展開は、結構淡々としてはいるものの、彼ら5人の情熱を語る部分で涙!前半は井上聞多(馨)の頑張り、後半は山尾のロマンスがみどころ。山尾演じる松田龍平くんが、ますます父、松田優作に似てきていてビックリ!かなりの剣豪という設定で、殺陣のシーンもこれまた見せる!みせる!彼以外の4人の俳優さんも、初めて見る人ばかりでそれが返って新鮮で良かった。
音楽は、この映画の監督、五十嵐匠作品を手掛けている安川午朗。最近は「どろろ」や「親指さがし」などをやっているようですが、テーマ曲が結構後を引く仕上がりで、ちょっとサントラを聴きたくなりました。(←出てない?)
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■2007. 3月 |
ゴーストライダー / パフューム ある人殺しの物語 / 蟲師 /
■蟲(むし)を感じたら
お知らせください。
[監][脚]大友克洋
[原]漆原友紀
[プ]小椋悟
[脚]村井さだゆきほか
[音]配島邦明
[出]オダギリジョー 江角マキコ 大森南朋 蒼井優 りりィ 李麗仙 クノ真季子 守山玲愛
[制作データ] 2006東芝エンタテインメント
[上映時間] 131分
「蟲師」公式サイト
【マクタロウ】
マクノスケが評判を聞いて購入したコミックスの1巻のみ読んでおりますが、この映画は雰囲気だけは原作に近かったように感じる。
大友克洋監督の実写映画というのは初めて観たのだが、演出家としては可もなく不可もなし。無難にこなしていたのではないか。
しかし、脚本となると話は別。作品の背骨となるような物がないのだ。
前半こそ、日本の山里の風景、そこに住む人々に取り憑いた「蟲」など、うまく描写されていた。
ところが後半、ギンコが過去(前半の所々に挿入される)と対峙し、ぬいと再会する下りになると、話がまるで分からなくなる。説明不足で(少なくとも私はそう感じた)彼らに何が起きたのか分からないうちに終演となるのだ。
もしかしたら、私の理解力不足、台詞の聞き落としがあったのかもしれぬ。
もし、大友監督がギンコとぬいの物語として作品を作りたかったのであれば、前半部分はもっと切りつめるべきだったし、ギンコの「蟲師」としての活躍を描きたかったのであれば、ぬいは沼で消滅していた方が良かったのではないか。
監督が何を描きたかったのか?私には分からなかった。
【マクノスケ】
思えばおととしの11月。ネットでこの作品が大友克洋によって映画化されるという記事を読んで、コミックスの1巻だけ購入し、それなりの情緒を感じていたんですが、うむ〜〜〜〜この映画化は、ちょっとどうだったのか微妙ですねえ。
絵的には風景と言い、衣装、特撮、良かったと思うんですよ。ロケも頑張っていたし、役者さんも良いんじゃないでしょうか。
だけど、いかんせん、主軸である主人公ギンコと江角マキコ演じるヌイの話しがグズグズ。
これをきちっと描いてなんぼの映画じゃないでしょうか?…というかこれが、ちゃんと描けていたら映画化した意味もあったのではないかと思うんですよ。ギンコが過去の自分と対峙するというテーマとか親子愛とかね。でもあれでは、最後、ヌイがどうなったのか?ギンコでさえ、どうなってしまったか?観客の視点にまかされたわけで、ギンコはともかく、ヌイの方はもうちょっと説明が欲しかったですね。ヌイといっしょにいた男性は誰だったのか?なぜギンコと出逢った時に奇声をあげたのか全然わからないのが悲しい。
大友さんが監督というので楽しみに見に行ったわけなんですけど、そもそもなぜ監督がこの作品を映画化したかったのか伝わって来なくて残念でした。もし脚本を違う方が書いていたら、もっと面白いものになっていたかも?
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■それは、昨日まで人だったもの。
[監][脚][音]トム・ティクバ
[製][脚]ベルント・アイヒンガー
[出]ベン・ウィショー レイチェル・ハード=ウッド アラン・リックマン ダスティン・ホフマン
[制作データ] 2006独/ギャガ
[上映時間] 147分・PG-12
「パフューム ある人殺しの物語」公式サイト
【マクタロウ】
驚異的な嗅覚を持った主人公ジャン=バティスト・グルヌイユがたどる数奇な運命。
悪臭漂うパリの魚市場で産み落とされ、自らの「臭いに対する執着」から生きのび、その執着するが故に身を滅ぼす。
家族も友人もなく、仕事があるだけだった人生で初めて知った若い女性の匂い。その臭いを保存したいという彼の欲求の前では殺人など取るに足らない問題。
殺した女性から抽出した匂いのエキスを調合した香水は、人々に幻覚さえ見せることが出来る媚薬。目的を達成し、処刑さえ切り抜けた彼だが、そこには決定的な物が欠けていた。
それは「愛」である。
彼が抽出し保存したいと願っていた物、それは「臭い」ではなく「人を愛する心、愛されたいという気持ち」だったのだ。
それを悟った彼は、自分の肉体を飢えに苦しむ人々に与え「無」に帰る。かつて、自分には「臭い」がないことを知り「無」を恐れた男が選んだ最期は、哀れとともに悲しみを感じる。
連続殺人、750人の乱交などショッキングな部分ばかりが話題になっているものの、この作品は「大人のおとぎ話」として面白く鑑賞できた。
実はもっとコッテリとした作品を想像していたので、ちょっと物足りなく感じたのだが、少なくとも下品な作品にならなかったのは製作者のバランス感覚の良さだと思う。
できればフランス語でやってくれれば、より雰囲気を味わえたのではないかと思うのだが。
【マクノスケ】
清水に「パフュームある人殺しの物語」を見に行って来ました。幼い頃から人間的な扱いを受けていなかった主人公が「臭い」に才能と快感を見いだし、その恍惚感を保管したいが故に、次々と人を殺めて香水作りに精を出す…という禁断の物語。
予告でかなり凄いこってりとした映画だと知っていましたが、それでも始まって30分くらいの吐きそうになる映像に思わず「おぇ」っとなりかけました。(笑)主人公ジャン=バティストの変態振りを描写する上で、彼が陶酔していく過程は怪しくも美しくて、音楽も魅惑的。140分以上の上映時間も全く気になりませんでした。ダスティン・ホフマンのユーモラスな演技やアラン・リックマンの鬼気迫る演技も見応えがありました。
しかし、香水のコンプリート目指して、脇目もふらず淡々と人を殺していくコレクト体質の主人公に「それって、わかるよー」と一部共感している私ってヤバイかも。でも、なにげに自分の趣味が人を殺さなくてもいい趣味で良かったなあ…などと思ってしまったのも事実。(笑)それにしても彼がもっと人を愛する事を知っていれば別の生き方もあったんじゃないかと、例え世界を手に入れる事が出来ても、そこに「愛」がなければ人は決して満たされない…そんな事を考えさせられた映画でした。
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■拳(フィスト)にチェーン、魂(ソウル)に正義。 運命の鎖に繋がれたアナザー・ヒーロー。
[監][案][脚]マーク・スティーブン・ジョンソン
[出]ニコラス・ケイジ エバ・メンデス ウェス・ベントリー サム・エリオット ドナル・ローグ ピーター・フォンダ
[制作データ] 2007米/ソニー
[上映時間] 110分
「ゴーストライダー」公式サイト
【マクタロウ】
ノリノリである。
ニコラス・ケイジがやりたくてしょうがなかった企画だけに彼はもちろんのこと、製作者も楽しんでいるのが伝わってくる作りだ。
まず、オープニングの「マーベル・マーク」からシャキーンとスパイクが出るところから「来ました!!」掴みはOKだ。
燃えるガイコツというビジュアルも、観るまでは「どうなの?」と思っていたが、これがなかなかカッコイイ。とにかくノリがすべて「アメリカン」であり「ウエスタン」なので、そちら方面が好きな方には受け入れられるだろう。
所々にある笑いの要素も良いアクセントになっている。イーブルク・ニーブルなみのスタントライダーが、カーペンターズを聴いて心を癒すって所は笑える(なんと、これはケイジ本人のやりかただとか!!)。
悪役がショボイくて魅力に乏しいのが難だが、それを上回る面白さがあり、続き(あるよな)が楽しみだ。
【マクノスケ】
いや〜〜〜〜超絶アメリカンなノリを心から堪能!!ケイジくん、これは、この役はアンタの為の役だよー!この作品に「やりすぎと言う言葉はない!」…と確信しながら見ました!!音楽もクリストファー・ヤングがこれでもかと鳴らしてるし、悪役の4人との闘いやら墓守のおっさんとの絡みやら彼女ロクサーヌとの関係とか、もう、いちいちツボでホント楽しかったー。
でもね。ジョニーの好きな音楽…入院していた時にリハビリの部屋で繰り返し掛かっていて、いささか飽きていただけに「もう、いいよー」と苦笑してしまいました。パンフによればケイジくんの好みを役に反映させたんだそうで…。アメコミ好きで自分の子供にもスーパーマンの本名カルエルとつけたケイジくん!ぜひ「2」へ向けて突っ走って貰いたいもんです。
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■2007. 2月 |
世界最速のインディアン / ボビー /
■世界の運命が、変わるとき──。彼らは何を見たのか。
[監][脚][出]エミリオ・エステベス
[総][出]アンソニー・ホプキンス
[出]シャロン・ストーン デミ・ムーア イライジャ・ウッド リンゼイ・ローハン
[制作データ] 2006米/ムービーアイ
[上映時間] 120分
「ボビー」公式サイト
【マクタロウ】
エミリオ・エステヴェスの、ロバート・ケネディ崇拝映画。悪い意味で言っているのではなく、彼のボビーに対する敬意がひしひしと感じられる作品であり、その真摯な作りは好感が持てる。
ボビー暗殺の日にホテルに居合わせ、銃弾を受けた人々。彼らの1日を描き、彼らが抱えていた悩み、愛情、憎しみをあぶり出し、ラストに流れるボビーの演説に重ねる演出が見事だった。
他者を受け入れること、隣人を愛すること、40年近く前に彼が語った言葉が現在でも通用してしまうところが悲しい。ベトナム戦争を現在のイラク駐留と重ね合わせることは容易に出来る。人種問題は民族、宗教問題にまで及んでいる。
プロパガンダ作品だとか、ケネディを英雄視していると言う人もいるかもしれない。
だけど私は、エステヴェス監督がロバート・ケネディを通して語っているメッセージを素直に受け止めることが大事なことなのだと思う。
【マクノスケ】
1968年。ロバート・F・ケネディ大統領候補暗殺事件が発生した、ホテルの出来事をグランドホテル形式(限られた時間と場所でそれぞれ異なる人生ドラマが並行して描かれる群像劇)で描くエミリオ・エステヴェス渾身の一作!!
思っていた以上にそつなく、そして力強く、エステヴェスなりのメッセージがきちんと伝えられているところが素晴らしかった!40年以上も前に環境問題を語り、他者を受け入れる事の重要性を訴えていた人がいるなんて、正直ビックリしました。それがジョン・F・ケネディの実弟のロバート・ケネディだったとは。あぁ、あまりにも無知な自分が悲しいぞー!
しかし、キャストは豪華でした。アンソニー・ポプキンスやメイシーさんは元より、エステベス父のマーティン・シーン、
ハリー・ベラフォンテ、クリスチャン・スレーター、イライジャ・ウッド など。特に女優陣が良くてですね。ちょっとはみ出しネタですが、デミ・ムーアの首が太く見えないのが画期的でしたねえ。やっぱり若い頃、監督と共演しただけあって違うなあと思っていたら、このおふたり「セント・エルモス・ファイアー」の頃、婚約していらしたみたいです。
ついでに(?)と言っちゃあ何ですが、現在の夫、アシュトン・カッチャーくんも出演しておりましたが、これまた味のある顔立ちで、ぶっ飛んだ演技もなかなかでした。それからもうひとりの注目は、メイシーさんの妻役で美容師役のシャロン・ストーン!メイクが濃い(当時ですからつけまつげが凄い!)だけじゃない…もう言われなきゃ見分けがつかないくらいの変貌振りは、一体どうした事でしょう?メイクで老けていたのか?それとも本人がここまで老けていたのか謎で御座いますが、これまた人生の悲哀を存分に感じさせる役で、女心ににぐぐっと来るものがありました。
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■惚れた。信じた。追いかけた。
21歳──<インディアン>という名のバイクと出会う。 63歳──生涯の夢<世界最速>に初挑戦。
夢に向かって走り続けた男の<実話>を描く、ヒューマンドラマ。
[監][製][脚]ロジャー・ドナルドソン
[製]ゲーリー・ハナム
[出]アンソニー・ホプキンス ダイアン・ラッド ポール・ロドリゲス アニー・ホイットル
[制作データ] 2005ニュージーランド.米/ソニー
[上映時間] 127分
「世界最速のインディアン」公式サイト
【マクタロウ】
今年最初の期待作。みごとに大当たりであった。
60代にして1920年代のバイク、「インディアン」を自らの手でカスタム。スピード記録に挑戦するというプロット(実話だ)だけでもワクワクする。
ニュージーランドに住む主人公バート・マンローは一人暮らしのバイク馬鹿。早朝からエンジンのテストで近所中をたたき起こす。
だが彼は嫌われ者の変人ではなく、隣に住む少年、地元のバイククラブの仲間、行員の女性とのロマンスもあり、なかなかの人気者だ。そこがまず良い。
彼の性格、持ち前のユーモア、経験からくる人生哲学といったものが、周囲の人間から警戒心、不信感といったものを無くさせる。
アメリカに渡ってから出会う人々も例外ではない。モーテルの受付嬢(!?)、中古車屋のオーナー、キャリアーの修理をさせてくれる未亡人、スピード記録に挑戦する男たち女たち・・・皆彼の虜になってしまう。
中でもモーテルの受付嬢とのエピソードは微笑ましい。彼女にとってはバートが示した「差別のない」態度というものは初めてだったのではないか。
そして、バイク。
序盤で見せる砂浜でのレース。出遅れたバートが一気に先行する暴走族(時代的にはカミナリ族か。彼らも後に美味しいシーンがあり良い!!)を軽々と抜き去る快感!!
クライマックスでの記録達成の緊張感と幸福感。正直、バイクの疾走シーンだけで目頭が熱くなった。
人と人とのふれあい、お互いを認め合うこと(この気持ちを持っていればイジメ問題など!!)、そして夢を持ち実現するのに年齢は関係ないということ。久しぶりに心と体が熱くなる作品だった。
【マクノスケ】
手の腱の手術のため入院していたのですが、外泊許可を貰い見に行ったおそらく今年のベスト10には
必ず入るであろう傑作!!!こんな素晴らしい映画がそれ程話題にもならず公開されるのが本当に惜しまれます。
とは言え、私もいつもの如くマクタロウが「良い!」と言わなければ全然興味のない映画でした。
本当にマクタロウの直感の良さにはいつもながら驚かされます!
何が凄いって…63歳で50年代にニュージーランドから見知らぬ土地アメリカまで行って、スピード記録を作ったっていう
実際のバート・マンローが1番凄いんですけれど、また演じるアンソニー・ポプキンスが上手いんだなあ。ちょっと変人でいて、それでも出逢う人を引きつけないではいられない好人物を見事に演じています。バイクに乗っているシーンのあの鋭い目つきもレクター博士に負けない迫力!
彼が旅先で出逢う数々の人物。そのエピソード、どれも魅力的でじっくり味わいました。
彼が感じたアメリカでのギャップ、文化の違いは日本人である私たちにも充分伝わってきました。
いろいろ泣けるシーンもありましたが、ニュージーランドでライバルの暴走族に祝福を受け旅立っていくシーンは
上手いなあと思いましたよ!!!アンソニー・ポプキンスのニュージーランド訛りが全然わからない英語音痴の自分が情けなかったです。(笑)
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