2009年1月〜4月

SF・アクション映画が大好きなマクノスケ&マクタロウの映画鑑賞備忘録です。
ふたりで「のほほ〜ん」と感想を語っています。


■2009年 1月〜4月  基本的にネタばれしておりますので御注意を!
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  【2009】/1月〜4月/5月〜8月9月〜12月

  【1月】  K-20(TWENTY) 怪人二十面相・伝 / ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー / チェ 28歳の革命 /
           ザ・ムーン /007/慰めの報酬 / その土曜日、7時58分 / 20世紀少年 ―第2章― 最後の希望 /
  【2月】 ベンジャミン・バトン 数奇な人生 / チェ 39歳 別れの手紙 / アラトリステ /
           フェイク シティ ある男のルール /チェンジリング / アンダーカヴァー /
  【3月】 オーストラリア / ジェネラル・ルージュの凱旋 / ヤッターマン / ワルキューレ / ウォッチメン /
  【4月】  相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿 / ディファイアンス / ザ・バンク/堕ちた巨像 / マックス・ペイン /
           バーン・アフター・リーディング / ラースと、その彼女 /

■2009. 4月
  相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿 / ディファイアンス / ザ・バンク/堕ちた巨像 / マックス・ペイン /
  バーン・アフター・リーディング / ラースと、その彼女 /

ラースと、その彼女2009.04.29(Wed.)
■彼が恋に落ちたのは…等身大のリアルドール!

原題:Lars and the Real Girl
監督:クレイグ・ギレスピー
製作:ジョン・キャメロン、サラ・オーブリー、シドニー・キメル
脚本:ナンシー・オリバー
撮影:アダム・キンメル
美術:アーブ・グレイウォル、キルストン・マン
音楽:デビッド・トーン
出演:ライアン・ゴズリング、エミリー・モーティマー、ポール・シュナイダー、ケリ・ガーナー、パトリシア・クラークソン
製作国:2007年アメリカ映画
上映時間:1時間46分
配給:ショウゲート
「ラースと、その彼女」公式サイト




【マクタロウ】
人付き合いが下手(特に若い女性とは!!)な青年、ラース。
ある日、彼が兄夫婦に女性を紹介すると言い出した。しかもその女性ビアンカはリアル・ガール!!
(まあ、日本で言えばダッチワイフですね)

この、ビアンカがやってきたことから始まる田舎町の騒動を、笑いと心温まるエピソードで綴った良作。
弟がいかれちまったと戸惑う兄、戸惑いながらもラースを暖かく見守り続ける義姉や仕事の同僚、
ラースとビアンカを診察する女医、そして町の人達。
ラースとビアンカの存在が彼らの心を開き、兄がラースに感じていた負い目や、
ラースのトラウマなどが徐々に分かってくる展開が良いですね。
ビアンカはラースにとって、他人とかかわるための触媒の役割を果たしていたのだと思う。
彼がビアンカを「購入」した目的は、リアルな女性とは上手くつきあえない事が理由だったと思うが、
心のどこかで「彼女」を通して他の人達と関わりたいと言う気持ちがあったのではないかと感じた。
もうビアンカを間に挟まなくとも、町の人々、気になる女性カリンと上手く付き合えるようになったとき、
ビアンカとの別れ、「殺す」ときがやってくる。

教会での葬儀、埋葬まで、皆に愛されたビアンカ。物言わぬ人形のはずなのに
(いや、それ故だろうな)、そのキャラクターには観ているこちらも
感情移入しまくりで、ラストは泣けてしまいました。


【マクノスケ】
インターネットで注文した等身大のリアルドールとの恋愛関係に没頭する27歳の若者ラースと
彼の実の兄と奥さん、そして彼が住む町の人々の人間模様がさりげなく描かれるのです が…

なにしろそのフィギュア・・・要するに「おとなのおもちゃ」なわけなのですが、
これがラースも誠実なお付き合いなら、ビアンカと名付けられたそのセクシードールを
実在する女性として扱っていく街の人たちの大らかで暖かい対応にその都度怒濤の涙!!

物語が進むに連れ、なぜラースがフィギュアを彼女にしたのか・・・
段々と解明されて行くのですが、彼の心情を思うとまた切ないし、
表面上は平凡に時が過ぎていたかのように見えていた彼と兄の関係もやるせない!
それでも物語は、彼の心の成長と人間関係の密度を描き、涙のラストへ!

原題の「LARS AND THE REAL GIRL」が示す通り、これはラースと現実世界の女の子のお話。
てっきり、「その彼女」は「フィギュアのビアンカ」の事だと
思い込んでいた私は大バカ野郎でした。(^^;)
しかし、ラースの職場の2人。
フィギュア繋がりだったのには大ウケでしたね〜。
私もニニさんがあんな嫌がらせされたら泣いちゃうかも!(笑)



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バーン・アフター・リーディング2009.04.25(Sat.)
■衝撃の結末!!

原題:Burn After Reading
製作・脚本・監督・編集:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
製作:ティム・ビーバン、エリック・フェルナー
製作総指揮:ロバート・グラフ
撮影:エマニュエル・ルベツキ
美術:ジェス・ゴンコール
音楽:カーター・バーウェル
出演:ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、ジョン・マルコビッチ、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントン、リチャード・ジェンキンス、エリザベス・マーベル、J・K・シモンズ
製作国:2008年アメリカ映画
上映時間:1時間36分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ、日活
「バーン・アフター・リーディング」公式サイト




【マクタロウ】
コーエン兄弟、相変わらずの構成上手。

ここで一々説明するには面倒くさいほどの人間関係を構築していながらも、
複雑さは感じられずキャラクターの面白さでストーリーをグイグイ引っ張っていく。

誰が主役?というくらいブラッド・ピット、ジョージ・クルーニー。
ジョン・マルコビッチ、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントンといった
登場人物達が際だっている。
特に「ベンジャミン・バトン」とは180°対極にあるブラッド・ピットのお馬鹿加減が素晴らしい。
こういうのを観ると、彼は上手いんだなあと感じる。

登場人物達は必死なのに、端からというか、CIA的には「結局何があったの?」とう結末。
実にコーエン兄弟らしい1本でした。


【マクノスケ】
コーエン兄弟のブラックな笑いは、今回は自分にあっていたと思います。
(「レディ・キラーズ」はダメだった!)
予告以上の面白さが本編にはありました。
キャスティングも豪華でそれぞれに出番があって(ティルダ・スウィントンがちょっと少なめだけど)、
特にブラピの演技が自然(笑)にアホな感じが出ていてとっても良かった!

お話の方は、CIAの機密情報を含んだCD-ROMを巡って翻弄される人々を
面白おかしく描いて行くのですが、実は主役はくせ者、フランシス・マクドーマンドさん。
おばさんパワー全開です。

おばさんの人生やり直し計画のために、関わらなくても良かった人達が関わりを持ち、
普通の映画なら、愛のために変わって行ったり、意外な人と結ばれたりするんでしょうが、
そこはコーエン兄弟。話はどんどんもつれていき、最後はおばさんの勝利に終わるという・・・
衝撃と言うより、とんでもないデタラメな展開に笑いがこみ上げてくるというラスト。
映画の最初と最後の演出がお洒落でしたね〜。



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マックス・ペイン2009.04.19(Sun.)
■愛を奪われた男の冷たい怒りが燃え上がる

原題:Max Payne
監督:ジョン・ムーア
製作:ジュリー・ヨーン、スコット・フェイ、ジョン・ムーア
製作総指揮:リック・ヨーン、カレン・ローダー、トム・カーノウスキー
脚本:ボー・ソーン
撮影:ジョナサン・セラ
編集:ダン・ジマーマン
音楽:マルコ・ベルトラミ、バック・サンダース
出演:マーク・ウォールバーグ、オルガ・キュリレンコ、ミラ・クニス、ボー・ブリッジス、クリス・“リュダクリス”・ブリッジス、クリス・オドネル、アマウリー・ノラスコ
製作国:2008年アメリカ映画
上映時間:1時間40分
配給:20世紀フォックス映画
「マックス・ペイン」公式サイト


【マクタロウ】
スローモーションを多用した派手な演出と悪魔のようなクリーチャーという、ちょっと面白そうな感じの
予告を頼りに鑑賞(最近お気に入りのマーク・ウォールバーグ主演だし)。
妻子を殺されたマックス・ペイン(マーク・ウォールバーグ)の復讐劇を主軸に、製薬会社の裏の仕事を
暴き出す(というより、出てきちゃった感じ)というお話で、件のクリーチャーはヤク中の幻覚。
派手な演出も、予告にあった程度で本編の中でうまく機能していたとは言い難い。
更に、キャラクターの描写が上っ面だけなので、マックスの悲しみや憎しみが伝わってこないのは致命的。
エンドクレジットの、(明らかに本編とは雰囲気が違う)CGで描かれた銃器の発砲、排莢などを観ると
「これは、もっと単純なドンパチ映画にした方が良かったのでは?」と思えてくる。ゲーム
(たぶん、シューティングゲーム)が元ネタだし。

「007/慰めの報酬」のオルガ・キュリレンコがどんな活躍をするかと思ったら、あっという間に退場で、がっかり。


【マクノスケ】
3Dアクション・シューティングゲームで、妻と子供を殺した敵に復讐する主人公
「マックス・ペイン」の壮絶な闘いを描いたハードボイルド作品。

私、ゲームはやりませんので、どんなストーリーか全く知らす、
予告に登場する翼をつけた悪魔みたいなキャラと主演のマーク・ウォールバーグに
惹かれて見に行ったんですが・・・なんだか見ている途中で「暗闇のスキャナー」
(フィリップ・K・ディック原作)とか「4400」(海外ドラマ)を思い出しちゃって・・・。

こういうネタって今、流行なんですかねえ。 なんかありがちって言えばありがちなんですが、アクションも、
こってり見せすぎって言うのか・・・スタイリッシュなのはいいんですが、
その割にどうも格好良く撮れてないような感じなんですよね。
役者さんもオルガ・キュリレンコ(「007慰めの報酬」のヒロイン)にもっと活躍して欲しかったけどなあ。
お姉さん役の人と変わった方が良かったんじゃあ。

悪魔描写も結局そういうことだったのねえ・・・って感じだし
ゲームを映画化するとこんな感じになっちゃうのかな〜といささかガッカリ。
少し前にマーク・ウォールバーグの「ザ・シューター」を見ているだけに
ちょっと残念な結果となりました。
でも音楽のマルコ・ベルトラミ(「ヘルボーイ1」の人)はなかなか好みかも!!
それからエンドクレジットにクリス・オドネルの名前があって
「どこに出てたの?」って思いましたが、あとで調べたら
製薬会社の若者(というかおっさん)のジェイソン・コルヴィン役の人でした!!!
言われなくちゃ全然わからない人になっていた!!あのロビンが!!!ビックリ!!





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ザ・バンク/堕ちた巨像 2009.04.05(Sun.)
■真実さえ、取引されるのか。

原題:The International
監督:トム・ティクバ
製作:チャールズ・ローブン、リチャード・サックル、ロイド・フィリップス
製作総指揮:アラン・G・グレイザー
脚本:エリック・ウォーレン・シンガー
撮影:フランク・グリーベ
美術:ウリ・ハニッシュ
音楽:トム・ティクバ、ジョニー・クリメック、ラインホルト・ハイル
編集:マティルド・ボヌフォア
出演:クライブ・オーウェン、ナオミ・ワッツ、アーミン・ミューラー=スタール、ウルリッヒ・トムセン、ブライアン・F・オバーン
製作国:2009年アメリカ映画
上映時間:1時間57分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
「ザ・バンク/堕ちた巨像」公式サイト


【マクタロウ】
国際レベルの陰謀を描く作品が好きな私としては、大満足。
冒頭、銀行の情報を聞き出そうとしている人物が、いかにも
「殺されそうだ」と感じたときから、緊張感が走る。

クライヴ・オーウェン、ナオミ・ワッツ、アーミン・ミューラー=スタールという
派手とは言えない配役が作品の内容に合っていて、全編を通しての緊張感も持続できていたのだと思う。
ドイツの巨大銀行が裏で行っているビジネスを何とか暴こうとする
インターポールのサリンジャー(オーエン)と、アメリカ検事局のエレノア(ワッツ)という、
どちらも「上」からの圧力を受け、さらに逮捕もできない(インターポールには逮捕権はない)
事件故のいらだちも良く出ていた。
どちらかと言えば「静」の部分が多いはずなのだが、あまりその印象がないのは
舞台がドイツ、イタリア、アメリカなど、数カ国にわたっている点と、
最高の「動」、最大の見せ場ニューヨークの美術館での銃撃戦があるからかもしれない。
パンフレットによればあのシーンのために美術館内部をセットで作ったというのだが、
それだけに見事なアクションシーンに仕上がっている。
サリンジャーが追いつめた暗殺者と、その暗殺者を殺すために送り込まれた襲撃者達という図式、
美術館の螺旋状の通路を生かした見せ方、どれをとっても良くできていた
(途中で鳴り出す若者の携帯音も良いアクセント)。

固そうな内容と地味目な出演者からしてヒットはしないだろうが、こういう作品を年に1〜2本観る
ことが出来ると幸せなのだが。


【マクノスケ】
クライヴ・オーウェン演じるインターポールの捜査官とナオミ・ワッツ扮するニューヨークの検事が、
ルクセンブルクに拠点を置く国際銀行、IBBCの不審な取引情報を掴み、
捜査に乗り出すのですが、次々と関係者が消されてしまい追いつめられていきます。

戦争も紛争も裏で銀行が手を引いている・・・という展開に世も末だと思う一方、
それでも捜査官の意地で捜査を辞めないサリンジャー(クライヴ・オーウェン)の姿勢が共感を呼びます。
クライヴ・オーウェンの暑苦しいあの顔立ちが生きる名キャスティングです!
アクションシーンも冒頭からハラハラさせる展開で魅せますが、やはり見どころは、後半の美術館の銃撃戦!!
これは久々力の入った映像見せて貰いました。
美術館の内装を上手く生かしたガンアクションに酔いしれました。
案外、あの殺し屋がこの映画で一番目立っていたかも。(笑)

監督さんは『パフューム ある人殺しの物語』のトム・ティクヴァ監督。
このこってり感。主人公の生き様・・・相変わらず見事でした。
最後もなるほどそう来たかと言う納得の集結。
エラ(ナオミ・ワッツ)の今後の活躍に期待したいですね。



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ディファイアンス 2009.04.04(Sat.)
■人間として、生きるための抵抗(ディファイアンス)だった。

原題:Defiance
監督:エドワード・ズウィック
製作:エドワード・ズウィック、ピーター・ジャン・ブルージ
製作総指揮:マーシャル・ハースコビッツ
原作:ネハマ・テク
脚本:クレイトン・フローマン、エドワード・ズウィック
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
撮影:エドゥアルド・セラ
美術:ダン・ベイル
編集:スティーブン・ローゼンブラム
出演:ダニエル・クレイグ、ジェイミー・ベル、リーブ・シュライバー、アレクサ・ダバロス、アラン・コーデュナー、マーク・フォイアスタイン、
製作国:2008年アメリカ映画
上映時間:2時間16分
配給:東宝東和
「ディファイアンス」公式サイト

【マクタロウ】
「ブラッド・ダイヤモンド」で私の中での評価が上がったエドワード・ズウィック監督最新作。

第二次大戦中、ベラルーシでドイツ軍のユダヤ人狩りを逃れ、多くの同胞を救ったビエルスキ兄弟の
実話なのだが、「シンドラーのリスト」もそうだったけど、このような事実があったということを知る事が
出来るのも、映画の楽しみ方のひとつ。
長男トゥヴィア(ダニエル・クレイグ)が、なりゆきとして難民の面倒を見なくてはならなくなり、
リーダーとして悩み苦しむ様に映画的リアリティを感じる。
次男のズシュ(リーヴ・シュレイバー)との確執などトゥヴィアの人間的な部分に焦点を置き、激しい
戦闘シーンも織り交ぜ、ズウィック監督ならではの娯楽作品となっている。

ところで、宣伝や作品の最後(三兄弟のその後)などで、なぜか四人目の弟アーロンが無視されている
ことが謎。彼のキャラクターは良かったし、見せ場もあったのになあ。
ミリタリーファンとしてはCGで描かれたスツーカ(シュトゥーカか)が良いですねえ。
迫力ありました。
上空を飛ぶシュトルヒも、演出上良い役どころ。戦車の出来は「ワルキューレ」に軍配です。


【マクノスケ】
第二次世界大戦中、シンドラー同様、約1200人のユダヤ人の生命を救ったユダヤ人のビエルスキ兄弟に
スポットを当てた戦争映画なんですが・・・何と言ってもみどころは、ダニエル・クレイグ、
リーヴ・シュレイバー、ジェイミー・ベルが3兄弟を演じるという点。
案の定、ダニエル・クレイグは、時に苦悩する人間味溢れる渋い演技で魅せ、
リーヴ・シュレイバーは、いつもの「くせ者感」をいかんなく発揮!
でも一番おいしいところはジェイミー・ベルが持っていく…みたいな感じで良かったっス。(笑)

それより、3兄弟ってふれこみになっているビエルスキ兄弟なんですけどね。
映画でも実際にもトゥヴィア、ジュス、アザエル、アーロンって4人の兄弟なんですけど…
なんで末弟のアーロンが数に入ってないのかなあ?
映画でも最初に避難民をみつけたのはアーロンだったし、
途中でもドイツ兵の襲撃を教えたりとなかなかの活躍ぶりだったと思うんですけどねえ。
なにか数に入れられない理由があったのかなあ?

ジェイミー・ベルの相手役を演じたハイア役ミア・ワシコウスカも可憐で映画に華を添えていて良かったです。
この後ティム・バートンの「アリス」に主演するということで楽しみにしてます。
しかし監督のエドワード・ズウィック!!!
前作の「ブラッド・ダイヤモンド」辺りから油が乗ってきていて嬉しいですねー。
枠にはまらない人を描かせたら、今、右に出る人はいないかも。



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相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿 2009.04.04(Sat.)
■私が今、亡き妻にしてやれることは、
<真相>を暴くことだけです──。


監督:長谷部安春
脚本:飯田武
原作:ハセベバクシンオー
音楽:池頼広
主題歌:エレファントカシマシ
出演:六角精児、萩原聖人、市川染五郎、紺野まひる、片桐はいり、伊武雅刀、鈴木砂羽、益戸育江、川原和久、大谷亮介、山中崇史、山西惇、神保悟志、小野了、片桐竜次、水谷豊、寺脇康文
製作国:2009年日本映画
上映時間:1時間45分
配給:東映

「相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿」公式サイト



【マクタロウ】
昨年、マクノスケが劇場版「相棒」を観てからはまり、DVDを買いまくり、
登場人物のキャラクターも把握してのぞんだスピンオフ作品。

さすがにキャラクターが分かっていると面白さも違う。
伊丹刑事とのやりとりだけで「クスリ」とできるのだからね。
しかし、肝心要となる米沢さんの相棒、相原がいまひとつ好きになれなかった。
それは、演じている萩原聖人のことを好きになれなかったという事なのだ。
顔つきから態度まで、どうも気に障る。
たぶん、萩原さん自身が嫌いというわけではなく、この役にはどうなのだろう?ということだと思うが。
事件そのものや、解決に至るまでは面白く観ることが出来たので良し
(勘違いだらけの推理でも意外な犯人が、という展開、面白かったです)。

次の映画化があるのなら、ぜひ「トリオ・ザ・捜一」を主役に!!


【マクノスケ】
昨年の映画を見てすっかり「相棒」フリークとなった私。
なにげに読んだ小説が映画化されるとはホント思ってもみなかったわけで。
だって主演が脇役の米沢さん・・・って普通考えられないでしょう?
まだ伊丹さん始めトリオ・ザ・・捜査一だったらわかるんだけどなあ。
そんなに「相棒ファン」に米沢さんが人気があったとは!で、
ストーリーを知っていた私のもっぱらの楽しみはちょこっと写る薫ちゃん(寺脇さん)。
ラスト、ちょっとだけ長いセリフもあって嬉しかった〜。

でもねえ。キャストが発表された時から思っていたんですが、
こうやって見ても、やっぱり相原役は萩原聖人とは違うイメージなんですけど・・・。
なんかこう、ずっとひねてる感じって言うか・・・。
段々と米沢さんと団結して立ち直って行く過程を演じられる人にやって欲しかったかなあ。
萩原聖人がペ・ヨンジュンの声の出演をしているから
その人気を当て込んでのキャスティングだったって事は・・・ないよねえ。

エンドロールにちゃんとテレビのテーマ曲が流れて嬉しかったのと
案外伊丹さんの出番が多いのも嬉しかった。
エンドロールの米沢さんと奥さんの映像は、映画の中で描かれる米沢さんの妄想なの?
それとも過去に起こった出来事なのかな?ピザのバイクで疾走する米沢さんも格好良かった。
この調子で「トリオ・ザ・捜一」も映画化して欲しいですね!!




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■2009. 3月
  オーストラリア / ジェネラル・ルージュの凱旋 / ヤッターマン / ワルキューレ / ウォッチメン /

ウォッチメン 2009.03.28(Sat.)
■知ってはならない、真実がある──。

原題:Watchmen
監督:ザック・スナイダー
製作:ローレンス・ゴードン、ロイド・レビン、デボラ・スナイダー
製作総指揮:ハーバート・W・ゲインズ、トーマス・タル
原作:デイブ・ギボンズ
脚本:デビッド・ヘイター、アレックス・ツェー
撮影:ラリー・フォン
美術:アレックス・マクドゥエル
編集:ウィリアム・ホイ
音楽:タイラー・ベイツ
出演:ジャッキー・アール・ヘイリー、パトリック・ウィルソン、ビリー・クラダップ、マリン・アッカーマン、マシュー・グード、ジェフリー・ディーン・モーガン、カーラ・グギーノ、
製作国:2009年アメリカ映画
上映時間:2時間43分 配給:パラマウント
「ウォッチメン」公式サイト

【マクタロウ】
「300」でスタイリッシュかつパワフルな映像をみせたザック・スナイダー監督最新作。
本作でもそのスタイルは変わることなく、リアルで残酷なヒーロー物を映像化している。

ソ連のアフガニスタン侵攻、それに伴うアメリカの対応はソ連との全面戦争。
いわばパラレルワールドとも言える80年代のアメリカを舞台に、国を守ってきた
ヒーロー達の真実の姿をあばき出すストーリーが秀逸だ。

核戦争の脅威を回避するためにオジマンディアスが仕組んだのは、人間以上の能力を持つ
DR.マンハッタンの力を利用した核戦争以上の脅威。
世界中の主要都市を同時攻撃、膨大な犠牲者を出し国家規模の敵対関係を
地球規模の敵対関係に拡大、世界に平和をもたらす。いわば、「神の鉄槌」を下したのだ。

一見、世界は核戦争の危機から脱し平和が訪れたように見えるが、
はたしてこのような平和はいつまで続くのか?

人類はDR.マンハッタンが「神」ではない事を知っている。怒りの矛先を変えただけでは真の平和は訪れまい。

一人の凶悪犯を怒りにより殺害したことをきっかけに本当の名前を葬ったロールシャッハ。
彼のような泥臭いヒーローと、天才であり富豪でもあるオジマンディアスでは世界を見る視点が違いすぎる。
上からの目線と下からの目線は、交わることがあっても相容れることは無いだろう。

本作の語り部であるロールシャッハは観客を導く視点であり、だから、ロールシャッハが
最後に見せた態度は、きわめて人間的であり納得のいくものだった。
彼だけが最初から最後まで本心で行動し、本音を語っていたように思う。
右も左もないロールシャッハという名前はそれ故か。

ラスト、小さな新聞社に届けられたロールシャッハの手帳。
事件の真相が全て公になるのか?その時に人々はどのような行動に出るのか・・・。

本作を象徴するイメージ「血塗られたスマイルバッチ」は、オジマンディアスの陰謀による
「平和」そのものだったのだと鑑賞後にわかった。
原作でも使われているのだと思うが、作品世界を的確に表す見事なアイテムだ。


【マクノスケ】
舞台はニクソン政権(実際は1969〜1974)が続いている1985年のもうひとつのアメリカ。
政府により引退させられ今は普通の生活を送っている元ヒーローたち。
その中の一人コメディアン(ポスター奥の葉巻の人)が殺され、
ヒーローの一人であるロールシャッハ(ポスター左手前)が
犯人を捜していくのですが、その過程で、かつて「ウォッチメン」と呼ばれた彼らが関わった
政治上の事件や彼らの過去が明らかになって行きます。
見どころはやはり「300」のザック・スナイダー監督のエロ&グロ!!
フルチン、濃厚ベッドシーン、幼女殺害・・・容赦ありません。(笑)
当然R-15指定です。
でも、基本はアクションと犯罪ドラマ!!
中盤以降のアクションシーンの爽快なことと言ったら、
近年のアメコミ映画の中では群を抜いて素晴らしい出来でした。
特にナイトオウル(ポスター右2番目)とシルクスペクター(ポスター右一番前)の
アクションシーンは格好良すぎてしびれました。
劇中流れる曲も「サウンドオブサイレンス」はなんとなくわかったのですが、
他の曲は曲は知っていても歌詞までは知らず・・・出来れば字幕があったらなあと。

で、最後まで見ていくと・・・この作品のもう一面も明らかになって来るのですが、
こういう形で平和が戻るというのはなんとも複雑な思い。
正義や平和がひと言ではかたづけられない、それこそ哲学的なところまで行っちゃってます。
全てはDR.マンハッタン(ポスター一番奥の青い人!)が握っているのですが、
その重要な役回りよりも全裸の彼の前でブラブラしているものが気になる!!!
すいません。スケベで・・・。(^^;)

いや〜面白かったです!!!
ロールシャッハの生き様に惚れ惚れ。
マクタロウはアマゾンUSでNECAから出ている「ロールシャッハバッグ」を購入してるしー!





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ワルキューレ 2009.03.20(Fri.)
■ワルキューレ,それは女神の名前を冠した作戦

原題:Valkyrie
監督:ブライアン・シンガー
脚本:クリストファー・マッカリー、ネイサン・アレクサンダー
製作:ブライアン・シンガー、クリストファー・マッカリー、ギルバート・アドラー
製作総指揮:クリス・リー、ケン・カミンス、ダニエル・M・シャイダー、ドワイト・C・シェアー、マーク・シャピロ
撮影:ニュートン・トーマス・シーゲル
音楽・編集:ジョン・オットマン
美術:リリー・キルバート
出演:トム・クルーズ、ケネス・ブラナー、ビル・ナイ、トム・ウィルキンソン、カリス・ファン・ハウテン、トーマス・クレッチマン、テレンス・スタンプ、エディ・イザード、ケビン・マクナリー、
製作国:2008年アメリカ映画
上映時間:2時間 配給:東宝東和
「ワルキューレ」公式サイト

【マクタロウ】
ヒトラー暗殺計画の映画化。
いきなり冒頭にヒトラーについて日本版独自の解説が入るが、これには驚いた。
「レッドクリフ」の冒頭に三国志の解説が入るが、それとこれとは大違い。
今や第二次大戦ものも時代背景を説明しないと日本の観客には理解不能となってしまったのか?

まあ、それはさておき作品。

シュタウフェンベルク大佐(トム・クルーズ)が負傷するアフリカ戦線のシーンは、
映画館ならではの迫力と、ちょっとしたAFVファンならば嬉しいこだわりが感じられ燃える。
ところが、その後の展開は少しかったるく、所々眠気に襲われた(ちょっと寝不足気味ではあったが)。
暗殺未遂以後の展開は知らなかっただけに興味深く観ることが出来たが、キャラクターには魅力が無く、
ただストーリーを追うだけとなってしまったのは残念。
どうもブライアン・シンガー監督とは馬が合わないようだ。

本当ならば「ヒトラー最期の12日間」のようなドイツ映画で観たかった題材だが、仕方がないか。
せめてトム・クルーズなんてスターを使わずに出来たら良かったのに
(と言っても仕方がないことだと分かっています)。


【マクノスケ】
開巻、いきなりトム君扮するシュタウフェンベルク大佐の
ヒトラー政権への反感のモノローグからスタート。
出来れば、ドイツ人である彼がどんなきっかけで
反ヒトラーになったのかもう少し説明が欲しいところ。

最近見た「チェ」なんかも、同じようにすでに革命家として
運動しているところから入りましたが、それでも映画からは、
チェの信念のようなものを絶えず感じておりました。
それがシュタウフェンベルク大佐に至っては、焦っている姿ばかりで、
ずしっとした・・・何か動かしがたいものが感じられない点が残念でした。
相変わらずスマートなブライアン・シンガー監督とはウマが合わない私です。
唯一「ワルキューレ」のレコードのシーンは、かなりあざといな〜と思ったんですが、
ドイツの軍帽を被った大佐の娘に目が行ってしまって・・・。(笑)
それでも脇を固めるビル・ナイ、トム・ウィルキンソン、トーマス・クレッチマン、
テレンス・スタンプの演技は素晴らしく、それぞれにくせ者らしい良い雰囲気を堪能しました。

あと、私的に嬉しかったのは、冒頭トム君と話す将軍の役を
「ロード・オブ・ザ・リング」のセオデン役のバーナード・ヒルが演じていたこと!
予告で何回も見ているのに全然気がつかなかった!!
出演時間は2分くらい(?)ですが、アップもあり、それに気づけた自分も嬉しかったです。(笑)




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ヤッターマン 2009.03.14(Sat.)
■あの日本のヒーローが、実写になってただいま参上!!

監督:三池崇史
原作:竜の子プロダクション
製作総指揮:佐藤直樹、島田洋一
製作:堀越徹、馬場清
エグゼクティブプロデューサー:奥田誠冶、由里敬三
プロデューサー:千葉善紀、山本章、佐藤貴博
脚本:十川誠志
撮影:山本英夫
美術:林田裕至
音楽:藤原いくろう、神保正明、山本正之
キャタクターデザインリファイン:寺田克也
出演:櫻井翔、福田沙紀、深田恭子、生瀬勝久、ケンドーコバヤシ、岡本杏理、阿部サダヲ、滝口順平、山寺宏一、たかはし智秋
製作国:2009年日本映画
上映時間:1時間51分
配給:松竹、日活 「ヤッターマン」公式サイト

【マクタロウ】
あの「ヤッターマン」を三池監督がどう料理するのか楽しみだった。

不安材料はキャスティング。特にドロンジョ役の深田恭子は発表された時からガッカリの配役。
実際鑑賞してみると、期待していなかったからか思っていたほど悪くは感じなかったが、
それでも「ハジケ具合」と大人の色気が足りない。表情が乏しいのだよねえ(下手ってことか)。
生瀬勝久のボヤッキー、ケンドーコバヤシのトンズラーは予想を多いに上回る良さ。
この二人が頑張っているだけにドロンジョがもっと良ければと思ってしまうのは仕方のないところでしょうか。

そして、肝心の「三池流ヤッターマン」の内容は驚きの「エロ・グロ・ナンセンス!!」
(グロってほどではないか)。これはもう今の子供達に向けた作品ではなく、
旧作を観て育ったお父さん、お母さんのために作ってあると言えるかな。
アクションや決めポーズのキレが足りなかったり、演出がもたついた感じもあったりするけれど、
まずまず楽しめましたよ。

【マクノスケ】
開巻、いきなり渋谷でのアクションシーンに面を食らいながらも
ところどころに挟まる妙な色気のエッチ描写はお父さん世代向けかぁ?・・・
と苦笑しつつ、思った以上に楽しんで来ました。
特撮はその割に良い具合だったかも。

ガンちゃんや愛ちゃんの決めポーズやアクションが
イマイチかっこわるい(決まり切らない?)のはわざとか〜?
・・・とも思いつつ、
山本さんの新録の「ヤッターマンの歌」は聴けるし・・・
音楽もアニメからの流用(アレンジはしてあったのかも)が心憎いばかりで、
話の運び(ドロンジョ一味がお店を開きメカ作り→ガンちゃんたちに気づかれバトル)も健在!
役者も大好きな生瀬さんのボヤッキーが嫌らしさがにじみ出ていて誠にナイス!
でも一番の激演は今回のゲストである阿部サダヲさん!
ラストの大健闘シーンは大笑い(真面目なシーンなのに)でした。
他には声のみでしたがドロンボーの滝口順平さんがかなり頑張っていたかなあ。

途中、アニメファンには嬉しい2大声優の登場のシーンも!!!
笹川ひろしさんも出演していましたが、出来ればもう一人の声優さんにも出て欲しかった。
「スタージンガー」のアフレコ見学で何回かお会いした事があるんですが、良い人でした!!




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ジェネラル・ルージュの凱旋 2009.03.08(Sun.)
■シロか、クロか。

監督:中村義洋
脚本:斉藤ひろし、中村義洋
原作:海堂尊
エグゼクティブプロデューサー:間瀬泰宏
撮影:佐々木原保志
美術:金勝浩一
音楽:佐藤直紀
出演:竹内結子、阿部寛、堺雅人、羽田美智子、山本太郎、高嶋政伸、貫地谷しほり、尾美としのり、中林大樹、林泰文、佐野史郎、玉山鉄二、平泉成、野際陽子、國村隼
製作国:2009年日本映画
上映時間:2時間3分
配給:東宝
「ジェネラル・ルージュの凱旋」公式サイト



【マクタロウ】
前作を公開直前のテレビ放送にて鑑賞。キャラクターをつかんでおいて映画館へ。
前作同様、現在の病院が抱えている問題をテーマに(本作は救急医療)、
コミカルなシーンをからめつつ展開するストーリーは面白い。

速水センター長を演じる堺雅人、私はあまり好きな顔ではないのだけど役柄には合っていると思う。
いかにもいやらしい感じがピッタリなのだよね。

ボケの田口(竹内結子)とツッコミの白鳥(阿部寛)コンビも良い感じだが、ちょっと影が薄いのは残念だ。
今回は堺に持っていかれた感がある。
演出にやり過ぎの部分もあるけど、エンターテインメント作品としてはテーマ性も含めて上出来なのではないか。

【マクノスケ】
阿部ちゃん目当てで行ったんですが、意外と竹内が良い感じ!!
不定愁訴外来医師っていう設定を生かした展開で良かったし、
今回はソフトボールのシーンもちゃんと筋に絡んでいました。

前回は物語の前半はキャラの紹介で終わっていましたが、
今回はキャラの紹介をしつつ話が進行するので、ぐいぐい引っ張られて行く感じ。
その上、堺さんの熱演も手伝って、話が地味な割には「バチスタ」よりも華やかな一面も。
阿部ちゃんは、今回、怪我をして車いすで病院内を偵察してるんですが、
その車いすを使ったギャグにも大いに笑わせて戴きました。
高島弟の怪しい演技と山本太郎のいつもながらの山本太郎的な演技も堪能。

「ゴンゾウ」でロリコンおやじを演じていた正名僕蔵(まさなぼくぞう)さんが、
これまたその風貌を生かした役で出ていたところも美味しかったです。
ラストのシーンは「来るといいかな〜」と思っていた人が来てくれて嬉しかったかナ。




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オーストラリア 2009.03.07(Sat.)
■前に進むための涙もある。

原題:Australia
監督・製作・脚本:バズ・ラーマン
製作:G・マック・ブラウン、キャサリン・ナップマン
脚本:スチュアート・ビーティー、ロナルド・ハーウッド、
リチャード・フラナガン
撮影:マンディ・ウォーカー
美術:キャサリン・マーティン
音楽:デビッド・ハーシュフェルダー
編集:ドディ・ドーン、マイケル・マカスカー
出演:二コール・キッドマン、ヒュー・ジャックマン、デビッド・ウェンハム、ブライアン・ブラウン、ジャック・トンプソン、デビッド・ガルピリル、ブランドン・ウォルターズ
製作国:2008年アメリカ・オーストラリア合作映画
上映時間:2時間45分
配給:20世紀フォックス映画
「オーストラリア」公式サイト

【マクタロウ】
全てがちぐはぐで、一貫性のない作品に感じた。
冒頭の映像はバズ・ラーマン監督らしい(「ムーランルージュ」しか観ていないが)
凝った演出と画面で美しいが、サラ(ニコール・キッドマン)とドローヴァー(ヒュー・ジャックマン)の
登場シーンへと進むと突然コメディタッチとなり、作品をどういうカラーで描こうとしているのか掴めずとまどった。
もっとも、その後は極端なコメディ色もなく、ごく普通の演出(それ故、前述のコメディ部分が浮いている)。
特別酷くはないが良いとも言えず。

たぶん「“アフリカの女王”の様な作品をやりたかったのだろうなあ」ということは分かるが、
キャラクターの魅力が乏しい。ドローヴァーなんて、冒頭こそ荒くれ者として登場するけど後半は泣きすぎ。
往年のタフガイは涙をこらえて、男のやせ我慢を美学としていた物だけど時代は変わったのだなあ。
てっきり「イギリスの気取った奥様」がオーストラリアで「ワイルドな男」と出会い、
価値観が変わっていくのかと思いきや「奥様はワイルドな男を手なずけました」という展開。

いいのか、これで?
物語もサラとドローヴァーの恋愛模様よりも、アボリジニと白人の混血児ナラ(ブランドン・ウォルターズ)の
方が前面に出ていて、結局バズ・ラーマン監督はテーマも主人公も絞りきれなかったのではないかと感じる。
実は、この作品で一番観たかった「トラ!トラ!トラ!」からの流用シーンが予想以上に少なくてがっかり。
「日本軍がオーストラリアに上陸していました」なんて部分は突っ込むだけ馬鹿馬鹿しいか。

【マクノスケ】
今回はヒュー・ジャックマンとデヴィッド・ウェンハム(「指輪」のファラミアですな。)
目当てに行ったんですが、もしかして私。髭フェチだったのかも。
ヒュー・ジャックマンが好きでもウルヴァリンが好きだったわけでもなくて・・・
髭のヒュー・ジャックマンが好きだったのかも!!!
これは途中の白スーツ姿のシーンでとてつもなく気持ちが
萎えている自分に気がついて判明しました。

ウェンハムさんも、今回は「悪(ワル)」+「髭」=「ワイルド」で(笑)、
あまりにもステレオタイプの悪役でしたが、(それを言うとこの作品全体がそうだけど)
最後の最後まで信念を突き通してくれていて悪くはなかったです。

お話は、演出がディズニーアニメのような感じ。
なにか「ライオンキング」と「ムーラン」と「トレジャー・プラネット」を足して3で割って、
アボリジニを掛けたような・・・。もうちょっと普通の演出かと思っていましたが、
その点はバズ・ラーマン作品だと思って割り切って見ました。
ヒュー・ジャックマン演じるドローヴァーが写る時に流れる音楽が「アルプス一万尺」の
アレンジだったように思うのですが単に似ていただけでしょうか?
エンドロールで「ドローヴァーのテーマ」をエルトン・ジョンが唄っていたのにも驚きました。




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■2009. 2月
  ベンジャミン・バトン 数奇な人生 / チェ 39歳 別れの手紙 / アラトリステ / フェイク シティ ある男のルール /
  チェンジリング / アンダーカヴァー /

アンダーカヴァー 2009.02.22(Sun.)
■NY市警史上、最も危険な<潜入捜査>(アンダーカヴァー)

原題:We Own the Night
監督・脚本:ジェームズ・グレイ
製作: マーク・ウォールバーグ、ホアキン・フェニックス、ニック・ウェスラー
撮影:ホアキン・バカ=アセイ
美術:フォード・ホイーラー
音楽: ヴォイチェフ・キラール
音楽監修: デイナ・サノ
出演:ホアキン・フェニックス、マーク・ウォールバーグ、ロバート・デュバル、エバ・メンデス
製作国:2007年アメリカ映画
上映時間:1時間57分
配給:ムービーアイ
「アンダーカヴァー」公式サイト



【マクタロウ】
ロシアン・マフィアと対決するニューヨーク市警の親子刑事ドラマ。
弟ホアキン・フェニックス、兄マーク・ウォールバーグ、父ロバート・デュバルという配役に惹かれた。

父や兄に反発して警官になることを拒み、ちょっとヤサぐれている弟ボビーを
ホアキン・フェニックスが好演している。「屈折した弟」というのは彼のはまり役だ。

ドキュメンタリータッチというほど突き放した画ではないのだが「寒く、鋭い」感じの画面が、
ニューヨークの湿った風景と作品の内容にマッチしていて、全編にわたって緊張感を醸し出す。

派手な銃撃戦があるわけでもなく、最近の刑事ドラマでは地味な作品だろう。
しかし、本編中最も派手なシーン、父がマフィアに暗殺されるカーアクションは「素晴らしい」の一言。

豪雨の中、疾走する車からの銃撃をボビーの視点で描き、すさまじい臨場感を出している。
しかもパンフレットを読んで知ったのだが、そのシーンの「雨」は全てデジタル処理(CG)!!
正に、アクション、演出、編集、画像処理と全てにおいて最高と言えるシーンだった。

【マクノスケ】
「アンダーカヴァー」(原題「We Own the Night」)は、ホアキン主演の犯罪アクションドラマで、
ホアキンの兄をマーク・ウォールバーグ、父親をロバート・デュヴァルが演じているところが
おいしいなあ〜と思い見に行ったんですが、その割には、近頃珍しいくらいの地味な映画。

華がない言えば華がないけど、犯罪物としては、語り口も丁寧だし、
ホアキンが家族と和解して、自分の生き方をみつけ、きっちりと方を付けると言う
ドラマの部分がじっくり描かれていて、アクション一辺倒ではない、
どちらかと言えばドラマ重視の作品で、今時こんなスタイルの作品があったのかと安心させられました。
一方で途中のカースタントと薬(ヤク)の潜入捜査のシーンは、
アクションシーンとして、なかなか燃える物があって良かったです。

しかしホアキンは、「サイン」とか「ウォーク・ザ・ライン」とか、
ちょっと屈折した役が好きなんですかねえ。
顔立ちがそういう感じだから、みんなこんな役になっちゃうのかしら?
・・・って実はマクタロウが似てるって話もあるんですよねえ。まあ、髪型と眉毛と唇は同じかも。(笑)




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チェンジリング 2009.02.21(Sat.)
■どれだけ祈れば、あの子は帰ってくるの──?

原題:Changeling
監督・製作・音楽:クリント・イーストウッド
脚本:J・マイケル・ストラジンスキー
製作総指揮:ティム・ムーア、ジム・ウィテカー
製作:ブライアン・グレイザー、ロン・ハワード、ロバート・ローレンツ
撮影:トム・スターン
美術:ジェームズ・J・ムラカミ
出演:アンジェリーナ・ジョリー、ガトリン・グリフィス、ジョン・マルコビッチ、コルム・フィオール、デボン・コンティ、ジェフリー・ドノバン、マイケル・ケリー、ジェイソン・バトラー・ハーナー、エイミー・ライアン、ジェフリー・ピアソン、エディ・オルダーソン
製作国:2008年アメリカ映画
上映時間:2時間22分
配給:東宝東和
「チェンジリング」公式サイト


【マクタロウ】
1920年代の町並みを映す白黒の画面が、パンダウンするに従いカラーになる。
走ってくるバンのホイルの「赤」が鮮烈だ。この冒頭から「やられた」気分になった。

行方不明になった息子が、発見されたと聞き泣き崩れるコリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)。
その子供は偽物だということは、何度も観た予告から分かっているのに目頭が熱くなる。
ジョリーの演技、キャラクターの見せ方が良いので、こちらはすっかり感情移入しているのだ。

その後、彼女に対するロス市警の仕打ちは観ていて辛くなるが、
コリンズは多くの人達に支えられ、戦う力を得る。

それはブリーグレブ牧師(ジョン・マルコヴィッチ)の尽力や、精神病院で助言をくれる元娼婦、
一度はジョーンズ警部(ジェフリー・ドノヴァン)の命令を聞きながらも事件の真相を暴き出す
ヤバラ刑事(マイケル・ケリー)、いつも見守っている上司、無償で彼女を弁護する弁護士、
それぞれが的確な描写で描かれ、彼女が決して1人ではないと観客に伝えてくれているからだ。
コリンズだけではなく私も頑張ろうという気持ちになる。

重い描写(絞首刑シーンの迫力は凄い)、テーマ、ハッピーエンドとは言い切れない終わり方なのだが、
彼女と息子が取った勇気ある行動が「誰か」を助ける事に繋がったという部分に救われるために、
鑑賞後の気分は晴れやかだった。

【マクノスケ】
クリント・イーストウッド監督、アンジェリーナ・ジョリー主演の「チェンジリング」。
行方不明になって帰還した息子が別人だった事を警察に訴えるも却下され、
以来ロス警察を敵に回し、権力と闘う事になった女性の生き様が見事に描かれていました。

ジョリーのイメージからは少し離れたどちらかと言えばか弱い母親役ですが、
時折見せる感情的な部分はやはりジョリーらしい激しさが垣間見え、
思っていた以上に適役と思った次第です。
監督のここまで見せるかと言う気迫の展開に事件の問題性や腐敗した権力への嫌悪なども感じ、
それでも息子に会いたい一心で、常に前に進んでいった
主人公にかなり勇気づけられて帰って来ました。

キャスティングで驚いたのは、ジョリーが闘う相手となったロス警察のジョーンズ警部を
演じていたジェフリー・ドノヴァン!このヴァル・キルマー似の顔、
どこかで見たことあるな〜とマクタロウとも言っていたんですが、パンフで役者名を見て思い出しました!
昨年ハマった海外ドラマ「タッチング・イーブル 〜闇を追う捜査官〜」の主人公クリーガンを
やっていた人じゃありませんか!!アメリカでもDVDが出ていないようなドラマに出ていた彼が、
こんな大作に出るような役者さんに成長していたとは、本当に感慨深い物がありました。




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フェイク シティ ある男のルール 2009.02.14(Sat.)
■最期に頼れるのは、魂か、弾丸か。

原題:Street Kings
監督:デビッド・エアー
脚本:ジェームズ・エルロイ、カート・ウィマー、ジェイミー・モス
製作:ルーカス・フォスター、アレクサンドラ・ミルチャン、アーウィン・ストフ
製作総指揮:アーノン・ミルチャン、ミシェル・ワイズラー、ボブ・ヤーリ
撮影:ガブリエル・ベリスタイン
美術:アレック・ハモンド
編集:ジェフリー・フォード
音楽:グレーム・ラベル
出演:キアヌ・リーブス、フォレスト・ウィテカー、ヒュー・ローリー、クリス・エバンス、セドリック・ジ・エンターテイナー、テリー・クルーズ、ナオミ・ハリス、コモン、ザ・ゲーム、マーサ・ヒガレダ、ジョン・コーベット、アマウリー・ノラスコ 製作国:2008年アメリカ映画
上映時間:1時間49分 配給:20世紀フォックス映画
「フェイク シティ ある男のルール」公式サイト

【マクタロウ】
「L.A.コンフィデンシャル」のジェームズ・エルロイが、
初の映画用脚本を書いたということで期待していたのだが、
残念ながら傑作と呼べるような作品にはなれなかった。

敗因はキャスティングだろう。

違法で暴力的な捜査をし、犯人を射殺する刑事。
そんな主人公、キアヌ・リーヴスの風貌はどう見ても人が良さそうで、
酒におぼれているという設定のわりに「くたびれた」様子が足りないように感じた。
主人公はもっと疲れた感じを出せるシブい役者がやったほうが良かったのではないか。
中盤でコンビを組むディスカント(クリス・エヴァンス)とのやりとりなどは良いのだが。

内容は「L.A.コンフィデンシャル」同様、警察内部の腐敗がテーマ。
前述の刑事コンビの活躍や、徐々に真実が明らかになってくる展開は
(最初から黒幕は分かってしまうが)面白く観ることが出来た。

余談になるが、刑事の「GUN」という台詞に「ハジキ」などという字幕を付けるセンスは勘弁してもらいたい。

【マクノスケ】
宣伝では自分の流儀のためなら、ためらわずに人を殺して行く一匹狼の暴力デカとして
紹介されていたキアヌ演じるトム・ラドロー。
最後に頼れるのは魂か弾丸か・・・というキャッチコピーも
「ワル」なデカが最後に辿り着いたものは・・・的なイメージを与えておりますが・・・

違う!!この映画ってそうじゃない!!
・・・と観た人なら誰もが思ったはず。

実はトム(キアヌ)は、フォレスト・ウィッテカー演じるワンダー警部の言いなり、
つまりは飼い犬の如く、現場に出向き、通常では手出しできないヤマを、無茶な捜査で解決、
それを上司であるワンダー警部がもみ消し、手柄をあげた警部が昇進するという図式だったのでした。

正義のために捜査をしていると思っているトムは、不正を知っているかつての相棒が
ワンダー警部の命令で覆面をした自分の同僚に殺される現場に居合わせ、
相棒殺しの真相に迫って行く事になるですが、それは逆に自分の首を絞めるようなもの。
事件に疲れ、酒に溺れているトム刑事。
頭が回らないのか、はたまたその不器用な性格が災いしたのか・・・
なかなか自分がハメられていることに気がつかないところが、これまた歯がゆい!
セリフで「とろい」とか言われちゃってるしー!(ちなみに字幕は戸田さん!)
まあ、刑事として自分の育ての親のような警部が本当の黒幕だったなんて夢にも思って
なかったんだと思いますが、それにしてももっと早く気がつくチャンスはいくらでもあったような。

途中から登場の「ファンタスティック4」のヒューマン・トーチことクリス・エヴァンスが演じる
ポール・ディスカント刑事も、一時はトムの相棒となって良い味を出すのですが、
トムの判断で連れて行った潜入先で、これでもかと言うほど撃たれまくって死亡。(涙)
気づいた頃には、同僚ふたりに捕まって羽交い締めになり、撃ち殺されそうになるのですが、
側にあったスコップで一人の頭をかち割り、落ちた銃でもう一人を射殺。
最後はワンダー警部宅へ出向き、自分の魂が命じるままに警部も射殺。
でも、実はこれ、警察の内部捜査を担当しているビックス刑事の作戦で、
ワンダー警部に弱みを握られていた警察上層部が、トムたちが同士討ちになるように
仕組んでいたのでした。今度はビッグスの飼い犬になってしまうのかトム?

・・・と、いかにも犯罪小説の巨匠ジェームズ・エルロイの脚本らしい展開。
ロス市警の体質って、「LAコンフィデンシャル」の頃(50年代)から全然変わってないのねーと
おもわず洒落で思ってしまう映画バカな私。(笑)
この展開なら「16ブロック」の方が私は好きかも。
大好きな映画「スチュアート・リトル」のお父さんを演じているヒュー・ローリーが、
内部捜査担当のビックス刑事役で出ていたのですが、全然別人なのに驚きました!
しかし、最後に頼りになったのは、銃でも魂でもなく「スコップ」だったのでは?
・・・と思ったのは私だけ・・・ですよね。(笑)




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アラトリステ 2009.02.11(Wed.)
■<誇り>は戦場に求め <義>は友に捧げ <愛>は心に秘める

原題:Alatriste
監督・脚本:アグスティン・ディアス・ヤネス
原作:アルトゥーロ・ペレス=レベルテ
製作: アントニオ・カルデナル、アルバロ・アウグスティン
製作総指揮:イニゴ・マルコ、ベレン・アティエンサ
脚本:アグスティン・ディアス・ヤネス
撮影:パコ・フェメニア
美術:ベンジャミン・フェルナンデス
編集:ペペ・サルセド
音楽:ロケ・バニョス
出演:ビゴ・モーテンセン、エドゥアルド・ノリエガ、ウナクス・ウガルデ、ハビエル・カマラ、エレナ・アヤナ、アリアドナ・ヒル
製作国:2006年スペイン映画
上映時間:2時間25分
配給:アートポー
「アラトリステ」公式サイト

【マクタロウ】
17世紀の剣士アラトリステ(ヴィゴ・モーテンセン)の活躍を、史実を織り交ぜながら描いた作品。

ヴィゴ・モーテンセンが義侠心に富む剣士を好演している。
そのスタイル(当時の服装、生き方)が、彼の容姿にピッタリで、文句なく格好良いのだ。

剣士として数々の陰謀を切り抜け、戦場で生きのびながらも、
愛する女性との結婚はかなわなかった彼の無念さが切ない。
昔の作品にはこのような「男」がよく描かれていたと思うが、最近はほとんど見られないので、
それだけでも観ておいて良かったと思えるほど。

原作はかなり長大な作品のようで、それを2時間にまとめてあるために
物語が駆け足で語られるところは残念だが、
各登場人物を印象的なエピソードで描いているために感情移入もしやすかった。

戦闘シーンはゲリラ戦から船上での戦いや塹壕戦まで、バラエティに豊か。
もちろんチャンバラも楽しめ、見せ方も良く迫力もあった。
エンディングの音楽とアクションスコアが格好良かったため、思わずサントラ購入。燃えます。

【マクノスケ】
「アラトリステ」は17世紀スペインの史実をモチーフに、架空の主人公アラトリステの
愛と冒険を描いたアルトゥーロ・ペレス=レベルテの同名大河ロマン小説を、
「ヒストリー・オブ・バイオレンス」「イースタン・プロミス」のヴィゴ・モーテンセン主演で
映画化した歴史スペクタクル・ドラマ。
監督は「ウェルカム!ヘヴン」のアグスティン・ディアス・ヤネス。
(allcinema.comより)

騎士物語が好きというのとやっぱり主演のヴィゴ・モーテンセンの魅力が
満載でヴィゴファンなら見なければ損!・・・と言っても良いくらいの良作!

剣と剣とのアクションシーンは言うぬ及ばず、主人公ディエゴ・アラトリステと
逢瀬を重ねる人妻の女優マリアとの恋路、亡き戦友の遺言で預かる事になったイニゴとの親子関係や
彼の成長と恋愛模様、スペイン国王や教会とのしがらみ、戦場で戦う男たちのジレンマなど人間関係も巧みで、
騎士道に生きた主人公の誇りも見事に描き切った素晴らしい1本でした。

尚、ギレルモ・デル・トロ監督ファンには嬉しい俳優さんがふたり出演!
一人は「デビルズ・バックボーン」でハチントを演じたエドゥアルド・ノリエガがグアダルメディーナ伯爵役で、
もう一人は「パンズ・ラビリンス」で主人公オフェリアの母親を演じたアリアドナ・ヒルが
アラトリステの恋人マリア役で妖艶な魅力を発揮しております。




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チェ 39歳 別れの手紙 2009.02.08(Sun.)
■信念は死なない。

原題:Che: Part Two
監督・撮影:スティーブン・ソダーバーグ
製作:ローラ・ビックフォード、ベニチオ・デル・トロ
製作総指揮:アルバロ・アウグスティン、アルバロ・ロンゴリア、ベレン・アティエンサ、フレデリック・W・ブロスト、グレゴリー・ジェイコブズ
脚本:ピーター・バックマン
美術:アンチェン・ゴメス
音楽:アルベルト・イグレシアス
出演:ベニチオ・デル・トロ、カルロス・バルデム、デミアン・ビチル、ヨアキム・デ・アルメイダ、エルビラ・ミンゲス、フランカ・ポテンテ、カタリーナ・サンディノ・モレノ、ロドリゴ・サントロ、ルー・ダイアモンド・フィリップス、マット・デイモン
製作国:2008年スペイン・フランス・アメリカ合作映画
上映時間:2時間13分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ、日活
「チェ 39歳 別れの手紙」公式サイト

【マクタロウ】
カストロの元を去りボリビアで革命の戦いを続けるチェ。

前作のキューバ革命の成功と本作のゲリラ戦の敗退とが好対照だ。
革命は、カリスマ的な指導者と人民の支持がなければ成功しないということを実感する
(政府側にアメリカの軍事顧問が付いたことも大きいが)。

物語も映像も淡々と進むし、あまりにも説明を廃しているので
分かりにくいというところは前作同様。

全編にわたり突き放したようなドキュメンタリー・タッチの映像が、
チェの最期の時だけ一人称カメラとなり、彼の死を観客と分かち合おうとする演出が印象的だった。

【マクノスケ】
前作から僅か1ヶ月で後篇を見られるとは贅沢ーと思っていましたが、
本来なら1本だったのを長すぎるので2つに分けただけだったのですね。
つまり、私も含め世間のみなさんのお尻&トイレ=根性が、4時間半持てば1本で見たい構成!
なので、いきなり始まったかと思うと、淡々とジャングルのゲリラ戦が描かれ、
間、これと言ったドラマもないままに、ゲバラが捕らえられ処刑されるシーンまで続きます。

彼としては信念を貫いたとは思いますが、やはりボリビアの人に
彼の思いまでは届かなかった・・・と言うところが、切なく写りました。
この辺の時代やボリビアの情勢などわかっていない自分も悲しかったですが・・・。

それにしても、チェたちのジャングルでの貧窮した姿は悲しいものがありました。
特に馬を殺すシーンは印象的で、冷静なゲバラの追いつめられた気持ちを反映しているかのようでした。
そんな焦りと疲れと捨てきれぬ信念を持ったゲバラと言う男をデル・トロは見事に演じきったと思います。

最後に前編の冒頭のシーンが映され、そこに女性ボーカルの歌がかかるのですが、
出来れば、歌詞も字幕で出て欲しかったですね。どんな事を唄った歌だったのか気になっています。
ゲバラの死を弔っているかのような、ほとんど無音(音楽無し)のエンドロールも印象的でした。





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ベンジャミン・バトン 数奇な人生 2009.02.08(Sun.)
■人生は素晴らしい。
それは80歳で生まれ、0歳で生涯を終えた男の物語。


原題:The Curious Case of Benjamin Button
監督:デビッド・フィンチャー
製作:フランク・マーシャル、キャスリーン・ケネディ、シーン・チャフィン
脚本:エリック・ロス
原作:F・スコット・フィッツジェラルド
撮影:クラウディオ・ミランダ
美術:ドナルド・グレイアム・バート
衣装:ジャクリーン・ウエスト
音楽:アレクサンドル・デスプラ
編集:カーク・バクスター、アンガス・ウォール
出演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、タラジ・P・ヘンソン、
ジュリア・オーモンド、ジェイソン・フレミング、イライアス・コーティーズ、 ティルダ・スウィントン、マハーシャラルハズバズ・アリ
製作国:2008年アメリカ映画
上映時間:2時間47分 配給:ワーナー・ブラザース映画
「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」公式サイト

【マクタロウ】
老人として生まれ、年を取るごとに若返っていく
ベンジャミン・バトン(ブラッド・ピット)の人生を描く寓話に満ちた物語。
年老いたデイジー(ケイト・ブランシェット)が娘に読ませる日記から、
ベンジャミンと自分の人生を振り返り、そのことが娘への告白にもなっていく構成が見事だ。
エピソードは、時にユーモアたっぷりに、あるいはドラマチックに語られ、
167分という長さは感じられない。
主役はもとより脇に至るまで、キャラクターが魅力的だと言うことも
面白く観られる重要なポイントだろう。そしてベンジャミンを取り巻く人々が、
彼の姿ではなく「彼そのもの」を受け容れているところに好感を持つ。

特に、ベンジャミンが働くタグボートの船長、ロシアで知り合う
人妻エリザベス(ティルダ・スウィントン)が良い。
この二人はベンジャミンに、「やればできる」ということを示す登場人物であり、
この作品が持つ人間賛歌という面を担っていると言えるだろう。
また、船長が語るハチドリの入れ墨にまつわるエピソードは、
彼が戦死するシーンと合わせて重要な部分だ。

ハチドリは翼を「8の字」に動かして飛ぶ。「8の字」は「∞」、
それは永遠。ベンジャミンが見たハチドリは永遠の彼方へと旅立つ船長の姿。
そしてデイジーが眠るように息を引き取る病室の窓。嵐の中を飛ぶハチドリ。
この二つのシーン、こういう演出は好きだし、素直に感動した。

人は生まれた瞬間から死に向かって進み始める。見かけだけが若くなろうとも、やがて死は訪れる。
これは人間の平等な部分。時間を逆回転させることは不可能なのだ。
問題は生きている間にどれだけのことが出来るかということ。鑑賞後、怠惰な自分を反省。

【マクノスケ】
今年の大本命!入院前にこれだけは見たいと思っていた1本!
80歳で生まれ次第に若返っていく男ベンジャミン・バトンの一生を綴った物語。
病の床に臥せる老女デイジーが、自分の過去を娘に明かすという形で
ベンジャミンが残した日記を読み進んでいくと過去が見えてくると言う構成は実に見事!!
ベンジャミンの数奇な人生だけでなく、彼を取り巻く多くの人々の人生も同時に語り、
それは、まるで、ベンジャミンの人生だけが特別ではなく、
人みなそれぞれに人生の物語があるのだと言う事を語っているようでした。
冒頭、駅に飾られた時計が、最後まで時を刻んでいくのが、
時の流れの中にある無数の人生を象徴しているようで良かったですね。

ベンジャミンが若くなる事はわかっていても、物語が進むに連れ・・・

ベンジャミンは最後にどうなってしまうのか?
予告にもあったケイト演じるデイジーとなぜ別れてしまうのか?
ジュリア・オーモンド演じる娘キャロラインは誰の娘なのか?

・・・など、どんどんと気になる部分が提示され観客の心を掴んで行く脚本にも唸りました。
調べてみたら原案・脚本のエリック・ロスは「グッド・シェパード」「ミュンヘン」
「インサイダー」「アポロ13」「フォレスト・ガンプ」の脚本も書いてる人なんですね。
やっぱり上手い人が書くと違いますねえ。
ベンジャミンを外の世界へ導く船長が語るハチドリの話や
ドーバー海峡横断のエリザベスにまつわるエピソードを展開させつつ
最後まで引っ張る手腕も上手すぎる!

また特殊メイクで80歳から20代まで乗り切ったブラピと
背中の贅肉のメイクがリアルだったケイト・ブランシェットにはお疲れ様と言いたいですね。
特にケイト・ブランシェットの演技は、ラストの「おやすみベンジャミン」まで
手を抜くことなく、一人の女性の一生を見事に演じきっていて感銘を受けました。
配役としては、昨年ハマった「4400」に出ていた黒人俳優マハーシャラルハズバズ・アリが
ベンジャミンの育ての親、クイニーの夫役で出ていたのが嬉しかったです。
「父子もの」に弱い私が、ベンジャミンが実の父と向かえる最後の夕日のシーンで
大泣きしてしまったのは言うまでもありません。(笑)






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■2009. 1月
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20世紀少年 ―第2章― 最後の希望 2009.01.31(Sat.)
■さあ、みんな“つづき”を始めよう──。

監督:堤幸彦
原作:浦沢直樹
脚本:長崎尚志、渡辺雄介
脚本監修:浦沢直樹
撮影:唐沢悟
音楽:白井良明
美術:相馬直樹
出演:豊川悦司、常盤貴子、平愛梨、香川照之、
ユースケ・サンタマリア、藤木直人、石塚英彦、宇梶剛士、
小日向文世、佐々木蔵之介、森山未來、古田新太、小池栄子、
木南晴夏、ARATA、前田健、荒木宏文、六平直政、佐藤二朗、 片瀬那奈、光石研、西村雅彦、西村和彦、手塚とおる、田鍋謙一郎、 甲本雅裕、黒木瞳、唐沢寿明
製作国:2009年日本映画 上映時間:2時間20分 配給:東宝

「20世紀少年 ―第2章―」公式サイト

【マクタロウ】
第1章を観た後にマクノスケが原作を購入。私も読んでしまった。
感想としては、やはり浦沢作品とは合わないのかな、というところ。
この内容だったら大友克洋がコメディ混じりに描くと素晴らしいだろうなあ、 などと思ってしまった
(少年時代の「ごっこ遊び」の延長で世界が大変なことになるってのは
「スチームボーイ」の親子喧嘩の様じゃありませんか)。
私としては、本来(映画化されることが分かっているという時点で)
「映画を観る前に原作を読む」ことは避けるところなのですが・・・。

なぜかというと、原作を読んでしまうとどうしても原作と映画を比べてしまい、
映画そのものを楽しめなくなるし、そもそも「原作はこうだった」と言って映画を批判したり、
映画では描ききれていない部分を原作から補ってきて語られたりすることが嫌いなのですよ。
しかし、そうなると本作を観ての感想は非常に難しい。
それだけ映画は原作のダイジェストになってしまっていて、作品そのものの魅力がなかったと言える。
結果、「あのシーンがこうなるのか」とか「あそこはこう変更されたのか」という
「漫画の映像化」を確認するだけの鑑賞となってしまった。
登場人物のそっくり度はやはり見事。特に小泉響子の表情などは漫画の画そのもので、
そこだけは楽しめた(これも原作と比べての感想だ)。

なんだかんだ言っても、ここまで来たからには第3章も観に行きますよ。
原作とどれだけ違うラストになるのか見届けるためにね。

【マクノスケ】
「第1章」を見てから、どうしても「ともだち」が誰だか知りたくて、
高騰しているオークションに手を出し、原作本を一気に読んでしまった私。
万博のシーンが最後の方だとすると、原作では「ともだち」の
重大な秘密が暴露されるエピソードが挟まるわけで、
そうなると映画のラストは、かなり盛り上がらないと「第3章」に引き継げないんじゃないか・・・
と思っていたんですが・・・その「重大な秘密」は暴露されていませんでした。
これが原作とは異なる展開ってヤツ?

他にもブリトニーがともだちランドからの脱走者だった(!)とか
サダキヨがあっさりと罪を認めて死んでいったりとか、カンナが一緒にともだちランドにバスツアー行くとか、
教会のシーンがともだち暗殺計画に繋がっていたとか・・・結構変更点多数。
その上、サブストーリーとなる仁谷神父の過去やサダキヨと担任の先生とのエピソードは
時間の関係でカットされいたのが残念。
この2つのエピソード、結構好きだったんだけどなあ〜なんて、改めて考えてみたら、
私って、もしかしたらメインの物語よりサブストーリーの方が好きだったりしてたのかもなあ。

原作もそうだから仕方ないんだけど、カンナがメインになってしまうので、
地球を救おうとしている「あの旗の元に集まった仲間」たちの存在が薄くなってしまうのも、
なんだか食い足りない感じ、この先、カンナの超能力のシーンが
映像的にもっと華やかに描かれる事を希望したいと思います。
出来れば、「ともだち」を信仰しているケンヂ一派以外は、
全員洗脳されているかのような怪しさが出ていたらもっと不気味で面白かったとも思うのですが、
割と普通の絵になってしまっていて、その割にドキドキワクワク感が
欠ける映画になっていたのが少し残念でした。
キャストのみなさんはかなりメイクなどをして漫画のキャラに迫るものがありましたが、
カンナの子は見た目はいいんだけど演技がなあ〜。
もうちょっと芸達者な子だったらもう少し感動も出来たかなあ。

まあ、「第3章」はケンヂがいよいよ立ち上がり、ラスト「ともだち」」と
対峙する事になると思いますが、原作では「第2章」でわかってしまう犯人を敢えて
今回伏せたのだから、その変更がどうなって行くのか気になるところです。
私としては犯人は、映画オリジナル設定として、ひとりにして貰った方が話が
尻すぼみにならないような気がするんですが、
原作を読んだ方はあのラストの方がいいって人多いのかなあ。






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その土曜日、7時58分 2009.01.24(Sat.)
■その瞬間、一つめの誤算。

原題:Before the Devil Knows You're Dead
監督:シドニー・ルメット
脚本:ケリー・マスターソン
製作総指揮:ベル・アベリー
撮影:ロン・フォーチュナト
音楽:カーター・バーウェル
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、イーサン・ホーク、
マリサ・トメイ、 アルバート・フィニー、ローズマリー・ハリス、
アレクサ・パラディノ、マイケル・シャノン、エイミー・ライアン、ブライアン・F・オバーン 製作国:2007年アメリカ・イギリス合作映画
上映時間:1時間57分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
「その土曜日、7時58分」公式サイト




【マクタロウ】
クスリに手を出し、会社の金を横領しているところに監査が入ると聞き、
強盗を思いついたアンディ(フィリップ・シーモア・ホフマン)。
彼は、離婚した妻と娘への養育費もままならないほどの借金生活を送る弟ハンク(イーサン・ホーク)に
犯行を持ちかける(なんと、ハンクはアンディの妻とできちゃっているという泥沼状態)。
しかも、狙うのは自分の親が経営する宝石店。
そもそも、この犯行を思いついた時点で間違っていたのだが、
ハンクが引き入れた知人(こいつも堅気じゃあない)が母と相打ち。
状況はどんどん悪化していく事となる。

もう、どうにもならないはずなのにあがき苦しむ兄弟と、真犯人を探し出したいと
執念をみせる父チャールズ(アルバート・フィニー)の人間模様が、じっくりと描かれている。
とにかく、どっぷりと転落人生を味わいたい人にピッタリの作品。

一つの事柄を三人の目線から、時には時間をさかのぼって描くという演出は面白い。
アンディを主人公にして時系列にまとめると彼の転落しか見えてこないが、
ハンク、チャールズの視点を入れたことにより、本来ならば脇役になってしまう彼らの人生を垣間見ることになる。
そのことが作品をより重厚なものにしていると言えるのだ。
久しぶりにこのような人間ドラマを見たが、衝撃のラスト
(ああ、父は奥さんを愛していたんだね)
まで飽きることなく楽しめた。

それにしても、シドニー・ルメット監督の新作を観るのは何年ぶりだろう。
てっきり引退しているものだと思っていました、すみません。

【マクノスケ】
以前に予告を見てマクタロウとなんとなく気になっていたんです。
フィリップ・シーモア・ホフマンとイーサン・ホークが兄弟で、
お父さんがアルバート・フィニーってキャスティングも面白そうだったもので。(笑)
しかもこの兄弟がお金目当てに実の親の宝石店を強盗しようとして失敗!
店番をしていた母親とイーサン・ホークの共犯の男が撃ち合いになり死んでしまい、
話はどんどん悪い方向へ!!!!

ってこんなに最悪な展開の映画って見たことない!!

見る前は、犯人が自分の子供達だと知って、親子に次第に波紋が広がる様子を
描く話かとも思ったんですが、とんでもなかった!!
この兄弟のダメダメ振りもさることながら、
最後の最後、予想だにしない展開に、
いやーーーーー、もう参りました。
いいの?これって?と思っているうちにスパッと終わり。
シドニー・ルメット監督作品は50年前の「十二人の怒れる男」をテレビでしか見てないんですが、
とても同じ監督の作品とは思えない程、灰汁の強い仕上がりに呆然として帰って参りました。
しかし、本当にあの最後って・・・!!!!えーーーん!!






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007/慰めの報酬 2009.01.24(Sat.)
■傷ついた心が、共鳴する。

原題:Quantum of Solace
監督:マーク・フォースター
脚本:ポール・ハギス、ニール・パービス、ロバート・ウェイド
製作総指揮:カラム・マクドゥーガル、アンソニー・ウェイン
製作:バーバラ・ブロッコリ、マイケル・G・ウィルソン
撮影:ロベルト・シェーファー
美術:デニス・ガスナー
音楽:デビッド・アーノルド
出演:ダニエル・クレイグ、オルガ・キュリレンコ、
マチュー・アマルリック、ジャンカルロ・ジャンニーニ、
ジェマ・アータートン、ジェフリー・ライト、
ジュディ・デンチ、イェスパー・クリステンセン
製作国:2008年アメリカ・イギリス合作映画
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
「007/慰めの報酬」公式サイト


【マクタロウ】
007史上初の続きもの。前作「カジノ・ロワイヤル」を観ていないと理解できないという、
思い切ったことをしてきました。

ただし、前後編というようなものではなく、本作をもって「ボンド&ヴェスパー編」に片を付けたと言うところだ。
ダニエル・クレイグのボンドは相変わらず表面上はクールだが、
ヴェスパーの死に対する復讐を内に秘めている情熱が表現されていて良い。
リアルなスパイ映画として復活した007、彼無くしてこの成功はなかっただろう。
そのボンドにオルガ・キュリレンコ扮するカミーユがからみ、「復讐」とそれに伴う虚しさがテーマとなっている。
それ故に本編を観終わると、「慰めの報酬」とは近年の邦題中、出色のタイトルであったと感じた。

冒頭からアクションの連続となるのだが、カットが短く見づらいのは私の歳のせいか?
最近のアクション映画は、寄りの画で短いカット割り、これで迫力満点だと勘違いしている作品が多すぎる。

【マクノスケ】
いやーーー、アクションが激しく1カットが短くて着いていくのに必死!もう年ですかねえ。
まあ、それでも最後には、なんとか慣れて終わるのが惜しかったりしましたが、
とにかくダニエル・クレイグ素敵でした。
新生ボンド、完全に軌道に乗ったという感じですね。
「カジノロワイヤル」の人間関係を微妙に忘れていたのがちょっとまずかったりしましたが、
それでもなんとか話について行けて楽しむ事が出来ました。

「慰めの報酬」の意味もわかり成る程、そういう事かと!
カミーユ(写真の女性)、フィールズ、Mと女性陣が思った以上に素敵なキャラに描かれていて好印象。
特にMは化粧を落としながら指令を出すシーンは妙な色気があって
Mの女性的な部分も描かれていて面白かったと思います。
今回の悪役ドミニク・グリーンを演じたマチュー・アマルリックも
憎たらしい度120%で後半を盛り上げておりました。





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ザ・ムーン 2009.01.19(Mon.)
■それは奇跡の“宇宙”体験

原題:In the Shadow of the Moon
監督:デビッド・シントン
製作:ダンカン・コップ、クリストファー・ライリー
提供:ロン・ハワード
撮影:クライブ・ノース
音楽:フィリップ・シェパード
出演:バズ・オルドリン、マイク・コリンズ、アラン・ビーン、
ジム・ラベル、エドガー・ミッチェル、デイブ・スコット、ジョン・ヤング、
チャーリー・デューク、ハリソン・シュミット、ジーン・サーナン
製作国:2007年イギリス映画
上映時間:1時間40分
配給:アスミック・エース
「ザ・ムーン」公式サイト





【マクタロウ】
10年前にBsで放送された「人類、月に立つ」が大好きでDVDも購入、何度も観ている私としては、
今回、NASAの蔵出し映像を映画館で観られると言うことだけでも感激だった。
やはり「本物」の映像が持つ迫力は素晴らしく、冒頭にある打ち上げのシーンだけで、ちょっとウルウル。
作品の構成はアポロ計画の発端から、月着陸までを当時の映像と飛行士達のインタビューで振り返るもの。
宇宙から地球を見た人達、地球外の天体に降り立ったわずかな飛行士達の言葉に重みを感じた。

「月から見た地球は、親指に隠れてしまうほどだった」「月から帰ってきてからは、
日常の不満を訴える人達に疑問を感じる。私達はエデンに住んでいるのに・・・」(字幕通りではないが)
これらの言葉を私達は想像してみる事しかできないが、そうするだけの価値はある。
アポロ計画を通して「地球賛歌」「人類賛歌」として集結する作品なのだが、
ラストは「月着陸捏造説」に対するインタビューというところは、さすがアメリカ。笑わせていただきました。

追記
日本独自のエンディングで、平井堅の「ムーン・リバー」が流れるのだが、せっかくの雰囲気が台無しとなる。
配給会社は何を考えているのだ!!

【マクノスケ】
1969年から1972年のアポロロケットで月まで行った12人の宇宙飛行士の月面体験を
コメントと当時の映像で綴ったドキュメンタリー映画。
トム・ハンクスが出演した海外ドラマ「フロム・ジ・アース/人類、月に立つ」のファンだっただけに
見に行けるところで公開されて本当にラッキーでした。

ここのところの手術の話なんかで少しナーバスになっていたのかもしれないのですが、
月とロケットが写っただけで感激して最初からウルウル。
話がアポロ1号で起きた訓練中の火災の話になった途端にドラマを思い出して号泣。
映画全体では、特に「月に立たなかった孤独な男」のイメージを払拭する
コメント続出だったアポロ11号のコリンズ司令船操縦士に感銘しました。
アメリカではなく人類が月に到達したんだと言うコメントは本当に良かった。
あとはミーハーで言わせて貰えば13号のジム・ラベル!顔立ちがめっちゃタイプなんです〜。
映画「アポロ13」ではトム・ハンクスが演じてましたが、ご本人はどっちかって言うとケビン・コスナー似なんでは?

そして、ラストどんなに感動的に終わるのかと思いきや「アポロ計画陰謀説」に対して
「そんなわけないだろう」と各自笑い飛ばすコメントで綴られているのに大受けしました。

エンディングの唄は、本編の足りない分、黒コマを足して伸ばしてあるんだと思いましたが、
それだったらオリジナルのままで良かったんじゃあ・・・。
あれじゃあ平井堅にも悪いような気もしました。





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チェ 28歳の革命 2009.01.13(Tue.)
■かつて、本気で世界を変えようとした男がいた。

原題:Che: Part One
監督・撮影:スティーブン・ソダーバーグ
製作:ローラ・ビックフォード、ベニチオ・デル・トロ
製作総指揮:アルバロ・アウグスティン、アルバロ・ロンゴリア、ベレン・アティエンサ、フレデリック・W・ブロスト、グレゴリー・ジェイコブズ
脚本:ピーター・バックマン
美術:アンチェン・ゴメス
音楽:アルベルト・イグレシアス
出演:ベニチオ・デル・トロ、デミアン・ビチル、サンティアゴ・カブレラ、
エルビラ・ミンゲス、カタリーナ・サンディノ・モレノ、
ロドリゴ・サントロ、ジュリア・オーモンド
製作国:2008年スペイン・フランス・アメリカ合作映画
上映時間:2時間12分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ、日活
「チェ 28歳の革命」公式サイト


【マクタロウ】
ベニチオ・デル・トロ主演でチェ・ゲバラの半生を描く二部作の第一弾。
チェはなぜ他国の革命に参加し、カストロの右腕にまでなれたのだろうか。
本編開始前にある解説から想像するに、若くして南米各地を見て回った彼は、
虐げられた人々の様子、貧困などを多く見てきたのだろう。
「義憤」と「人間が好きである」という気持ちが「革命」へと繋がっていったのではないだろうか。
そんな彼の指導者としての能力は、道徳者、または宗教家のような資質から生まれているように思う
(もともと医者であったということも大きい)。
人民のために行動することを第一義とする彼の心情は、カストロにとっても
「革命」の旗頭として頼もしかったのではないだろうか。

キューバ革命後のニューヨーク、国連でのスピーチを白黒、革命紛争中の映像をカラーで
映し出す演出は面白いが、繋ぎが上手いとは感じられず、かえって分かりにくくなっていたように思う
(私がキューバ革命、ゲバラについて無知であるが故かもしれぬが)。
スティーヴン・ソダーバーグ監督の淡々とした演出はいつも通り。
個人的な好みで言えばもう少し「あざとさ」が欲しいところ。
戦闘シーンでは、かなり派手なことをやっているのに(列車の脱線などはスゴイ)、
その迫力が100%伝わってこないのはもったいないと思うのだが。

【マクノスケ】
キューバの革命家「チェ・ゲバラ」の伝記ドラマ2部作の前編で、1作目はゲバラがカストロと出会い、
革命家として躍進するまでが描かれています。
今の自分には、本当に縁遠い世界だなあと思ってしまうのは、今の自分が幸せだからなんですよね。
月並みですが、日本のこの時代に生きている事に感謝しなければいけないなとつくづく思いました。

主演のベニチオ・デル・トロは「ハンテッド」くらいしか見てないんですけど、
やっぱりあの強烈な顔が気になって他の映画の予告などを見ては
相変わらずすごい目つきだーなどと思っていましたが、
この役は、返って自然な雰囲気で、熱い革命という使命を胸に秘め、
冷静に物事を判断していくチェという人物を見事に演じていたと思います。続編が楽しみです。

しかし、ジュリア・オーモンド!(「レジェンド・オブ・ホール」「サブリナ」などで大物俳優と共演!)
どこに出ていたのか気がつきませんでしたが、あの聞き手の女性だったんですね。
今調べたら「ベンジャミン・バトン数奇な人生」にも出てる!いよいよ復活かなあ〜。





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ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー 2009.01.10(Sat.)
■地獄生まれの正義のヒーロー 魔界最強の敵に挑む!!

原題:Hellboy II: The Golden Army
監督・脚本:ギレルモ・デル・トロ
原作:マイク・ミニョーラ
製作:ローレンス・ゴードン
撮影:ギレルモ・ナバロ
音楽:ダニー・エルフマン
出演:ロン・パールマン、セルマ・ブレア、ダグ・ジョーンズ、
ルーク・ゴス、ジェフリー・タンバー、ジョン・ハート、
ジョン・アレクサンダー、アンナ・ウォルトン
製作国:2008年アメリカ映画
上映時間:1時間59分 配給:東宝東和
「ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー」公式サイト







【マクタロウ】
やっと公開!!この日をどれほど待っていたことか。しかし、待った甲斐はあったぜ。
全編デル・トロ・カラー全開、クリーチャー目白押しの大サービス。
アクション演出の切れ、キャラクターの描写、どれをとっても「観たかった画」がそこにある。

ヘルボーイとリズの関係(痴話げんかから、驚きの妊娠まで)、エイブの恋
(酔っぱらってヘルボーイと二人で歌うバリー・マニロー!!)、相変わらず不機嫌なマニング局長、
そして新キャラクター、ヨハン・クラウスと、それぞれが気の利いた台詞と、エピソードで語られ、
監督が全てのキャラクターを愛していると感じられる(観る前は、「初登場となるキャラクター、
ヨハンが変に目立ってしまったら困るなあ」と気になっていたが、そんなことは杞憂でしかなかった)。
「パンズ・ラビリンス」の時に宮崎駿作品との共通点を指摘していた方もいたが
(私はまるで気がつかなかった)、本作では、はっきりと宮崎駿に対するオマージュが見られる。
植物の巨人エレメンタルは「シュナの旅」に出てくる緑色の巨人を思わせ、倒れた後に緑が茂る描写は
「もののけ姫」だし、ゴールデン・アーミーは「ラピュタ」のロボット兵、王子と戦う舞台は
「カリオストロの城」の歯車だ。異界への扉となる石の巨人は「ホルスの大冒険」からか?
(「ホルス」では主人公が巨人に刺さっていた剣を引き抜くのだが、本作では逆に巨人の入り口から入り、
剣先を抜いてもらう展開)※
ただし、これらのシーンがただの物真似にはなっておらず、それぞれ作品のテーマを振る場面であったり、
大きな見せ場となっていたりするところは流石だ。

ユーモア、アクション、映像、緩急を心得た展開で、あっという間の2時間。大満足でした。
「3」という話もあるようだが、私としてはこれで終了としたほうが良いのではないかと思う。
息子(娘?)が出てくると、話がつまらなくなりそうな気がするのでね(これも杞憂か?)。

※この文章を書いた後でデル・トロ監督のインタビューを読んだところ、
岩男は「アルゴ探検隊」のタロスが原型とのこと。
「もののけ姫」と「カリオストロの城」は確実だと思うけど、こちらの思いこみってこともあります

【マクノスケ】
いよいよ待ちに待った「2」の公開!!本当に待ち遠しかったです!!
でも待った甲斐がありました。デルトロ監督のおたくぶりをたっぷり堪能出来て感激でした。

今回の「遠い昔、強欲な人間がエルフ族に戦争を仕掛け闘っていた」と言う設定や、
悪(あえて悪と書きますが)が復活するには、キーアイテム(王冠)が必要だったと言うのは、
「ロード・オブ・ザ・リング」を思い起こさせるような設定。
また巨人エレメンタルが「もののけ姫」を連想させたり、魔界へと繋がる入り口に
「ホルスの冒険」のような岩の巨人が横たわっていたり、ラストの歯車での王子との闘いが
「ルパン三世・カリオストロの城」を思わせたりと宮崎駿色の濃い作り。
全体的に見て、デル・トロ監督のおたく趣味炸裂の「2」となっていたと思うのですが、
監督ファンの私としては、それも楽しく、メインキャラの行く末やアクション、キャラの造形など
存分に楽しんで参りました!!

エイブファンとしては、観る前から気になっていた噂のエイブとヌアラ王女の恋の行方!
異世界の王女(それも敵の妹)との恋なんて大抵は悲恋に終わってしまうわけで・・・
一体どう描かれるのか気になっていたんですが、ふたりの出会いからその過程まで実にロマンティック!
手を寄せ合って、互いの心を読み合う事が出来ると言うエイブの能力を上手く生かした設定も嬉しかったし、
エイブの悲しくても涙を流す事が出来ないという設定と相まって、
ラストのヌアラ王女の「死」のシーンは、それまで読めなかった彼女の心を読み、
泣けないはずのエイブが涙を流す姿に泣けました。
エイブが最後に見たヌアラ王女の「美しい」心を人間や王子も
持っていたら闘いなど起こらなかったんだろうなあ。(涙)
しかし、このシーンが、こんなに悲しく見えてしまうのも、途中、詩集や髪型発言やバニー・マニロウの
カラオケ(!)のような「恋するエイブ」の楽しいエピソードがたくさんちりばめられていたから。
予期していたとは言え、余計に辛いんですよね。
こんなことになって、この先恋とか出来ないんじゃないのかと心配になって来ました。(笑)

一方、ヘルボーイとリズの関係ですが、予期せぬ「リズの妊娠」という展開にビックリ仰天!!!
リズとのぎくしゃくした関係を解消するには、ヘルボーイが少し大人にならなくちゃいけないわけで、
それはすなわち、父親になる自覚を持つ事だと言う事だったんでしょうね。
果たしてふたりの間の子供は「3」ではどう描かれるのかが気になるところです。
聞くところによると、かなりシリアスな内容になるそうなんですが、「1」「2」の流れも考えて貰って
ラストはハッピーエンドにして貰いたいのが私の希望です。

他には、ゴールデン・アーミーのシーンはアクションたっぷりで嬉しかったし、
ヨハンもそれなりに活躍していて良かったー。(・・・ってやっぱり青は正義の色なのか!)
元に戻る時の手がブルブルっとなる描写がなんとなくツボでした。(笑)
「トロール街」で散髪屋をやっていたクリーチャーのおっさんの末路も悲惨だけど笑っちゃったし、
いっしょにいたおっさんのおできの坊や(!)のセリフも生意気で可愛かった!
でも、一番インパクトがあったのは「おかもち」のようなケースを持っていたミスター・ウインク!!
彼の死を聞かされたヌアダ王子が「なに?」と驚くシーンは、
一瞬でしたが、そこまで王子に大事にされていたのかと思うとちょっと目頭が熱くなりました。

このあとデル・トロ監督は「ホビット」の撮影に入るわけですから「ヘルボーイ3」の撮影は
最低でも3〜4年先でしょうか?それまでロン・パールマンにはダイエットを続けて貰って
体力をつけて「3」で完全燃焼して戴きたいと心から願っております。





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K-20(TWENTY) 怪人二十面相・伝 2009.01.01(Thu.)
■怪人二十面相は誰だ!?
違う!オレは二十面相じゃない!


監督・脚本:佐藤嗣麻子
製作総指揮:阿部秀司、奥田誠治
原作:北村想
撮影:柴崎幸三
音楽:佐藤直紀
美術:上條安里
脚本協力・VFX協力:山崎貴
出演:金城武、松たか子、仲村トオル、國村隼、
高島礼子、本郷奏多、今井悠貴、益岡徹、鹿賀丈史
製作国:2008年日本映画
上映時間:2時間17分
配給:東宝
「K-20(TWENTY) 怪人二十面相・伝」公式サイト





【マクタロウ】
痛快冒険活劇!!こんな作品を観たかった!!
冒頭の飛行船、オートジャイロ、俯瞰でとらえた帝都の様子で、すでに気分が高揚(白組の特撮は本作でも見事)。
江戸川乱歩の「怪人二十面相」を、二十面相側から描いた小説が原作のようだけど、こちらは未読。
映画は時代設定を「架空の昭和」として、荒唐無稽さをアップしているが、製作者の細部へのこだわりが見事に世界観を作り上げていて、作品世界での嘘くささがない。
「制作費○○億円」などという宣伝はされていないが、セットの作り込み、小道具などから豪華さを感じるのだ。

二十面相の濡れ衣を着せられる遠藤平吉(金城武)、ヒロイン羽柴葉子(松たか子)、平吉の相棒、源治(國村隼)、そして明智小五郎(仲村トオル)といったメインキャストから脇に至るまで、キャラクターが実に良い。
ちょっとした台詞やエピソードでキャラクターの「らしさ」を表している脚本は、観ていて気持ちがよいものだ(山崎監督が脚本協力でクレジットされていたが、このあたりのさじ加減は山崎カラーを感じる)。

予告などを観た時の印象は「特撮映画」だったのだが、なかなかどうして、アクション映画としても一級品で、フランス映画「ヤマカシ」で話題になり「007/カジノ・ロワイヤル」でも取り入れられたアクション(ワイヤー無しでビルをよじ登ったり、障害物を飛び越えたりするアレ)が効果的に平吉と二十面相の戦いを演出している。
とにかく、前述の冒頭から「ルパン三世/カリオストロの城」的別れ(松たか子、可愛すぎる)、平吉板二十面相のアメコミ・ヒーロー風立ちポーズのラストまでたっぷり楽しめる作品でした。

【マクノスケ】
怪人二十面相に罠に掛けられ二十面相にされてしまったサーカス団員の平吉(金城武)。探偵・明智小五郎(仲村トオル)と、その婚約者の令嬢・葉子(松たか子)を巻き込み、濡れ衣を晴らす為に奮闘する姿をユーモアとアクション満載で描く娯楽作にすっかり魅了されて帰ってきました。

「ALWAYS  三丁目の夕日」のスタッフ(脚本のひとりは「三丁目」の山崎監督)作品とあって、とにかくどのキャラクターも描写が優しくてユーモアに溢れていて好印象!
事前にテレビのワイドショーでメインのキャストのインタビューを見て、もしかして・二十面相の正体ってあの人ってこと?・・・と思いながら見ていったら、やっぱり!!!いや、最初から怪しい演技してる?(笑)ラストの対決はベイダーとルークのようだったし、平吉と葉子のラストシーンは思い切り「カリ城」でおたくな私は嬉しかった〜〜〜。
贔屓の國村さんが主人公の相棒役で出番も多いところもナイスだったし、「ちりとて」のお父さんこと松重さんもワンシーンだけなんですが、すごく印象に残る役で出ていて嬉しかったです。
いや、しかし、仲村トオル、格好良かった!!それから久々に「リターナー」見たくなってしまいました。



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