1978年4月2日から1979年8月26日まで 全73話が放映されたテレビアニメ「SF西遊記スタージンガー」のファンクラブです。        



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スタジン小説 その20



イラスト・南十字あたる



「星(ここ)より永遠(とわ)に」   原作・あたる  作・さつき

朝。 といっても宇宙の朝だから、陽は昇らない。 (久しぶりにぐっすり眠れたから、とれも気分がいいわ・・・ なんだか生まれ変わっ たみたい・・・。) 私は爽快な心持で、目覚めた。 ここのところ続いていたモンスターやギューマ・ラセツ軍団の攻撃が、 昨日、このちょっと変わった紫の惑星に不時着してからピタっとやんだのだ。 (ここは、もしかしたらギャラクシーエネルギーが届いている星なのかも・・・、 なんらかの作用で。だって、私、今朝は今までの私じゃないような、 そんな気がするもの。) ハミングしながら、ベッドから起き上がる。 髪を梳かしに鏡の前に立ったら、そこに、私ではなく、 ジョーゴさんが・・・ 居 た。 大慌てでコックピットに向かったら、既にもっと大慌てをしている、 「私」の 声が聞こえた。 「ジョーゴさん!!」 「姫!!」 どっちがどっちに言ったのか、自分でも混乱して、いる。 「あ、あ、あれぇ!?俺がいる・・・???でででも俺は俺だぞ??? ででででで も、こここれは、間違いなく姫のからだ〜〜〜??」 「や、やめて下さい!!何をしているんですか!?」 私が自分自身を抱きしめているなんて・・・ああ!! 「お、俺が・・やめてくださいって・・・ん〜〜〜〜ん〜〜〜、まさか・・・。」 「も、悶えるのは、やめてください!」 「あ、あ、。つい。・・・・その俺は、まさか・・・オーロラ姫?」 「そうです!!私はオーロラです!」 「やっぱり!」 「ジョーゴさん?あなたはジョーゴさんなのですね!?」 「どういうこった!?これは・・・!! よし・・あ、あれ?ない。姫、俺の電卓を・ ・・。」 「え?あ、はい!どこでしょう・・・?」 ジョーゴさんたら、そういえばいつもどこから出していたかしら?あの電卓。 私(の姿のジョーゴさん)が近づいてきてサッと取り出す。 あら?わからなかったわ・・。 「ええ・・・っと、こりゃ、どういうことが起きてんだ?? うん、うん、・・姫と俺が入れ替わっている?そんなこた、わかってんだ・・。 その原因は・・・・と。この星のせいか!!」 「え?この紫の星が何か・・・?」 「いや。はっきりとは言えませんがね、 うす〜いエネルギーを発しているんですよ、 星の核から。 それがなにか原因をつくっているようです。」 「私たち、元に戻れるんですか!?」 「判りません。待てよ・・・。俺と姫が入れ替わったってことは・・・」 「!!まあ、もしかして・・!?」 シュイーン。丁度、コックピットのドアが開く。 「うっっるさいな!!朝っぱらから!何をギャンギャンさわいでんです? ったく、寝てらんないよ。」 「クーゴ!」「クーゴさん!」 「あ〜〜〜ん?どーしたんだよ、2人とも!眼ぇ真ん丸くして。」 クーゴさんはクーゴさんのままだわ! 「おい、クーゴ。おまえ、なんともないのか!?」 「え!ひ、ひめぇ、何なんです、その口のききようは・・・!?」 「そ、そそそうですよ。はしたないわ!おまえなんて」 「!?はしたないわってジョーゴ!おまえもふざけてんのか!?」 「あら、そんな・・。」 「おっい、いいかげんにしろよ、ジョーゴ!気持ち悪いんだよ。 あー、悪いけどねぇ、2人して俺をからかおうってんならやめてくださいよ!」 「ちょ、ちょっとクーゴさん、操縦していてください。 ジョーゴさんお話があります。こっちへ。」 「かー。やな感じ!」 ふてくされてしまったわ、クーゴさんたら・・・。 結局、原因と対策が判るまで、このままで居るしかないのだ、けれど・・・。 落ち着かないわ・・・。 ジョーゴさんは、いえ、私?はあの2人に言っても信じるわけないし、 ややっこしくなるから黙っていましょう・・なんて言うけど。 どうやって振舞ったらいいんでしょう・・・? でも・・・そうだわ、この機会に。 私1度、コスモス号から離れて自由に飛んでみたかったんですもの・・・ やってみようから・・・? いつもいつも、3人のうち誰かの心配ばかりしているんですもの、たまには! スターカッパー、操縦できるかしら・・? 「あ!おい?ハッチ開くぞ?なんだ?ハッカか?」 「いんや・・。オレ、ここに居るよ〜〜。」 「ひっ・・じゃない、ジョーゴさん!!!ど、何処へ行くのですか!?」 「は、はい。ちょっと偵察へ行ってきます・・ぜ。」 「きますぜ・・・?」 「ぷっ。」 「何、吹き出してんですか?姫ったら。」 「あら、失礼。1人じゃ危ない・・わ!コスモス号も追ってください。」 「へーきですよー。ジョーゴ1人で。」 「そおですよぉ。オレ、なんか食べてこよ〜〜っと。」 「クーゴさん!ハッカさん!追ってください!!・・・・ね、お願い・・・。」 「はーい!!コスモス号、はっし〜〜〜ん!!ほら、ほら!クーゴ!」 「なんか、ヘンなんだよなぁ、今日の姫は・・・・。」 「あ、あら〜〜。そうかしら?やだわ、クーゴさんったら!」 わぁっ。綺麗な星!スターカッパーだと小回りが聞いて、うふ。 こんな岩場の間も飛べるわ!思い切って出てみてよかった! 私、コスモス号の操縦で、腕が上がったのかしら・・・・? それに、ちょっと、このカッパーミザイル、撃ってみても・・・? いえいえ、ダメね、私としたことが・・・。 でも、強くなるって気持ちいいわ・・・。 こんな風に強くて、守られるばかりではなく誰かを守れるって・・。 いいな・・・。なんて・・。 まあ!あっちに紫の海があるわ!!行って見ましょう! 「どうしたってんだ?ジョーゴのヤツ・・・。はしゃぎすぎだぜ。 ん?海?そうか・・。水の惑星のことでも思い出したのかな。」 「ああ、早く!ジョーゴさんたら1人で降りようとしているわ・・・・!! 以外に、冒険家ですねぇ。」 「何を言ってんですか、姫。アイツがキザな冒険野郎だって事は はじめっからわかってたでしょう!」 「キザな・・は余計です。」 「へ?」 「わ、私たちも降りましょう。」 「待ってくださいよ、姫。オレとハッカが先です。何があるか調べなくっちゃ。」 「はい・・・。」 「よーし!!ハッカ、そっちは大丈夫かぁ!?」 「おーう。クーゴ、この海、とってもキレイだぜぇ!」 「じゃ、姫を迎えに行くとするか。やけに急いでたからなぁ。・・ひーめー。」 「クーゴさん。ジョーゴさんは!?」 「居ますよー。その辺に。まったく・・・なんだってんだい、今日の姫は・・・!」 「あら、身体が軽いわ。何だか頼りない・・のね。」 「おーい、ハッカ。ジョーゴを呼んできてくれよ。 あの遠くで水しぶきで遊んでるの、ジョーゴだろう。 まーったくアイツどうかしちまったんじゃないのか?」 「きゃあ。」 「姫!」 「ご、ごめんなさい。砂に足をとられて・・・。」 「はい。お手をどうぞ、オーロラ姫。」 「あらあ〜〜。だ、大丈夫ですから。そんなに近寄らないで・・・。 クーゴさん・・・。」 「姫・・・。」 「クーゴさん・・。」 「いやあ、もうその時のクーゴったらねぇ、マッジメ〜な顔で、 ひめ・・なーんちゃって、も〜〜。オレもついう〜かり、 その気になっちゃっいましたよ、ひゃ〜〜危なかった!」 結局。 あの海で遊ぶだけ遊んで、一晩寝たら、私と、ジョーゴさんはお互い、 元に戻った。のだと、言う・・・。 私はその事を、覚えていないのだ。 ほんとに不思議なのだけれど。 ジョーゴさんが一生懸命、語る姿と、丸一日の記憶が無いことから、 そうだったのかもしれない、とは思うのだけれど、 私が覚えているのは、紫の蝶になってくるくる飛んで、 次は人魚のように水の中で遊 んだ楽しい夢。 でも。うふふ・・。 なんだか、子供のような気持ちがする。 クーゴさんもハッカさんも。そして何よりジョーゴさんが活き活きしている。 海岸でよろけた時・・もう少しでクーゴさんに迫られるところだった、 なんて・・・・。ホントかしら? そうだ・・・・。私ったら外へ出て夢中で遊んでしまったみたいだけど・・・ せっかくジョーゴさんになっていたのだから、聞けば良かったかな。 ・・・何を・・・? バカね、オーロラ・・・。それを聞いて一体、どうしようって言うの? 皆大事な方達・・・聞かなくても、判っている。 でも。でも。もし、私がギャラクシーエネルギーなど持っていない 普通の女の子だったら・・・・?3人とも、どうしていましたか? クーゴさん・・・あなたは・・・。 ・・・・キティ博士・・・もうひとつ、人が人生を選べるなら・・・私・・・。 誰かが誰かを思っている、記憶が、混入してくる。 不思議と安らいだ、それが何故か 星(ここ)から伝わってくる。 今だけは忘れていよう、 悲しかった過去も私に課せられた重たすぎる使命も・・・。 子供の頃のように、ただの小さい女の子に戻っていよう。 少しの間だけだから。 このまま・・・。
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           2002・10・09更新

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