1978年4月2日から1979年8月26日まで 全73話が放映されたテレビアニメ「SF西遊記スタージンガー」のファンクラブです。        



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スタジン小説 その20



イラスト・南十字あたる



「星(ここ)より永遠(とわ)に」   原作・あたる  作・さつき

朝。 目覚めて。いつものように起き上がったら、何かヘンだ。 身体がものすごく軽い。こんな感じはもう随分ない・・・ でも、いつだったか、私は遠い昔にこの軽さを知っている・・・。 それに、どこだろう?ここは。 私は不思議な気分であたりを見回した。 まったく知らない部屋なのに、何故か隅々まで見覚えがある。 殆ど無意識に身体が動いてその部屋を出ると、 ある方向から人の話し声が聞こえてきた。 待てよ、この廊下は・・・・。この自動ドアは・・・。 こ、こいつらはっ!? 反射的に身構える。電磁剣・・・な、な、なんだ!?この格好は!! 私は、初めて自分の姿を見た。上から下まで。 ピンク色のやけにフリルのついたロングドレス! ガリウス星でだって着た事ないぞ! 「あ!姫ぇ、おはようございます〜。今朝はゆくっりでしたねー。 先に食べてますよぉ。」 「おまえはいつもだろうが!おはよう、姫!」 「どうぞ、姫。モーニングコーヒーです。」 手渡されるままカップを受け取る、が?なんだって?私が、姫? 「あーあ!!オーロラ姫、どうしたんですか?コーヒー、こぼれて・・・ おいハッカ!食べてばっかりいないで拭けよ!ああっ、もういいよ、 おまえなんかアテにした俺がバカだった。」 「なんと言われてもね、・・・このミートパイが美味いのよ。 やめてたまるかって・・・。」 「オーロラ姫?どうしました?ボーっとして・・・」 待て。落ち着け、ベラミス。 私だってガリウス星で以前は普通の女の子だったんだ、ダイジョウブ、 落ち着きさえすれば・・・普通に対処できる。 どうやら、姿はオーロラ・・らしい!あわてるな、怪しまれてはいけない! 「姫、本当にどうしたんです?なんか、今度は驚愕と苦悶のカオって 感じですよ?」以外そうに青いヤツが覗き込んで訊く。訊くなっ。 「え、ええ。えっと、えっと・・そ、そう。あなたはジョーゴ・・さん、ですね?」 「は!?姫!?ど、どうしたんですか?おい、クーゴ!ちょっと来てくれ!」 よ、呼ぶなっ。・・・もうっ!こいつ、外見に似合わずデリカシーのない男だな! 「どうした?ジョーゴ」 「・・いや・・姫が・・。」 「オーロラ姫が どうかしたのかっ!?」 え!? 「うん。いや、それがさぁ、俺にむかって、あなたはジョーゴさんですか〜、 なんて言うもんで・・。」 「?」クーゴの視線が私を捕らえる。 ・・・こんな時、どんな顔をすればいいんだ?? 「姫、いやだなぁ、からかっちゃって。やめてくださいよ、悪い冗談は。」 「そうですよー、オーロラ姫ぇ。ちょうどモンスターの攻撃もないし。 静かでいいですからねー、今のうちに食べとかないとねーーっっと。」 食べっぱなしだぞ? 「ま、もうすぐ、このへんてこな星からもおさらばだよ。 ・・安心していなって。ん?」 だめだ。クーゴの手が肩に触れたとたん。 「姫!震えてるじゃないか!な、・・熱でもあるのか?」 額にクーゴの手が伸びる。 「いや!!」 「!?・・オーロラ姫・・っ・・!」 しまった!みぞおちに・・・きめてしまった・・・。 「お、おい!!クーゴ!!だ、大丈夫かっ!?」 「ぐっ・・ご、ゴホッ!・・・・だいじょうぶ・・・だ、ジョーゴ」 どうしよう、痛がったほうがいいのか?わたしも。いや、言い訳が先か? 「ご、ごめんなさい、クーゴ!・・さん。 あのっ、いえっ、お、襲われた時はこうす れば良かったんでしたわね?」 「は、そーだけど、今・・やらなくても。姫ぇ。 ・・凄かった・・ゴホ・・。手、大 丈夫かよ?」 しまった、やっぱり・・・。 だめだ、こういう立場は慣れていない。 「は、はぁ。私、えっと・・・少し・・気分が・・・。あの、部屋に戻ります。」 「ええ。そのほうがいい。お送りしましょう。」 「あ!いえ!1人で大丈夫・・」 「いや、でも、今朝は何だか変ですから。」 「あ、で、では!私、あの方に送っていただきます、ハッカ・・さん」 あいつなら、ドンくさそうだし、ボロも出ないだろう。 「あ・の・か・たぁ〜〜!?ちょっと、ちょっとオーロラ姫! ほんとにどうしちゃったんだよ!?あのねぇ、このクーゴのことでさえ、 あの方〜なんて呼ばないのに、なーんでヤツに、あんなドロブタ野郎に・・」 「クーゴ!!ドロブタ野郎だとぉ!? 聞こえちゃったもんね〜〜〜〜。今日〜〜はもう許さん!」 「何を〜!?ドロブタをドロブタって言って何が悪いんだよ?」 「おい、おい!やめろ、2人とも!姫の前で!!」 ・・・・クーゴ。そのケンカの原因は・・・嫉妬・・・? 突然!!緊急警報が響き渡った。 「大変だ!やめろよ、2人とも!ラセツ軍団だ!!」 なにぃ!?だ、誰が指揮をとっているというのだ!?? ・・・!! わ、私だ〜〜〜!! 「この星に着いてからは少しばっかり大人しいと思ったが。 ベラミスのやつ、かぎつけたな!」 待て、クーゴ、私じゃない! でも。あの戦闘艦のコックピットに居るのは・・・・。私だ!! 「あ!姫!!大丈夫ですか?」 「ご、ごめんなさい。ちょっと目眩が・・・。」 「さ、姫はもう自室に戻って。ここは俺たちで充分だ。 ・・ベラミスのやつ、こうなったら、ここでカタをつけてやる!」 「や、やめてください!」 「姫、大丈夫だよ。さ、戻って。」 「私はここに居ます。」 「え?そうかい。でも、無理はしちゃぁダメだぜ。」 優しい、のだな、クーゴ・・。 「あ!!」 「どうしました!?姫っ。」 「ひめぇ、さ、ハッカがお助けしますぅ。」 「いえ、なんでも・・。あ!!」 なんで、あのコックピットの私は、あんな、なんでもない飛行でよろけるのだ? しか も何度も・・。 危なっかしくて見ていられないじゃないか! ほら、見ろ。部下が変に思って・・・・はぁ?なんでガイマが乗ってんだ!? いらない!私はおまえの助けなど無くても立っていられるのだ! なんだ、その手は!? それに。どーして、あの私は、内股で立つのだっ! ・・誰かに似てるな、あの仕草・・・。 「なんか凄いな・・今日の姫。鬼気迫るお顔で見つめちゃってるぜ、 ラセツ艇を・・・。」 「ハッカ。おまえ、なんか悪いもんでも食べさせなかったか?姫に・・・。」 「いや。クーゴしゃん。誓って言うけど、なーんも。」 「・・・。」 いかん。不穏な空気! わ、笑っておこう、この場は。・・にこっ。 !・・・・。クーゴのこんな笑顔は・・・ 見たことなかったな、ベラミスの私では。 このまま、オーロラでいたら、一体どうなるんだろう? ・・・それでも、いいか・・・・・なんて・・・。 可笑しいぞ、今の私は。 そうだ、可笑しいんだ!何故こんなことになっているのだ? 昨日。この紫の星に近づいて・・そう、コスモス号を発見した。 そして旋回していた んだ、降りる場所を探して・・・。 あれから。 記憶がない。 気が付いたのは今朝、あのオーロラの部屋でだ。 もしや!?・・・・向こうがオーロラか!? 「姫!ここに居てください。俺、ちょっとアイツと一勝負してきますから! なーに、アイツは卑怯な手口を使ったりはしない、そういうヤツなんだ、 心配はいりませんよ。 待ってろ!ベラミス!」 「あ〜あ、もう。す〜ぐムキになっちゃってさ。アイツのこととなると。」 「ハッカ・・・、何度も言うけどな。クーゴは、友情を感じているんだよ、 あのベラミスにさ・・。だから。行かせてやれ。」 「ええ!?姫っ、どうしたんですか!?なんで泣いちゃってンの?? お、おおい、ジョーゴ・・・・」 わからない、自分でも。この涙のわけが。ただ・・・・・。 この姿なら素直でも、いいのだな、そう思える。 「うーん、今日の姫は情緒不安定と見たな。・・大丈夫ですよ、姫。 あ!ベラミスが出てきた!勝負する気だぜ!」 オーロラ。おまえは戦えるのか?クーゴと・・・。 愛している男と・・・・。 「来たな。ベラミス!今日こそ決着をつけてやる!」 「クーゴさん・・・。」 「え!?」 「あ、あの・・・。」 「なんだ、なんだぁぁぁ〜〜?拍子抜けしちゃうなぁ、もうっ。 なんだってんだ!?ベラミス!」 「い、いえ・・・。それが・・・。」 「おい?どうしたんだ??いつものおまえらしくないじゃないか!?」 「あの・・。」 「どっか、具合でも悪いのかい?」 「・・・・。」 「おおっと!ラセツ軍団一の戦士に対して失敬だったかな。 怒るなよ。なんか・・・姫と話している気分になっちまった。・・・って、 ええ!!??ベ、ベラミス!!・・・な、泣いてんのか・・・?」 その時。オーロラである、私の頬にも涙がつたっていた。 はっとしたようにジョーゴが振り返って私を見た。 意識の中で何かが音を立てた。確かに。幽かだったけれど。 そして、そう、一瞬引きずり込まれるように意識が遠のき・・・ それはどの位の間だったのか検討もつかない、が。 われに帰ったとき、私は、私に戻っていた。 コスモス号のコックピットを見ると、オーロラが倒れていた。 そう。オーロラ姫、その身体は優しすぎる。 ・・・あなたの身体(もの)だ・・・・。 それに。 私には、解ったのだ。 ギャラクシーエネルギーは、私の精神(こころ)では・・・・反応しない。 悲しくて・・・・・悔しいけれど。それが、事実だ。 「泣いてなど・・・いない!!クーゴ、勝負だ!」 近距離からの発進。爆音。 「お!よしっ。それでこそ、俺の好きなベラミスだぜ」 「!?何か言ったか!!?」 「いーや!ベラミスっ。 勝負だ!!」 「来い!ジャン・クーゴ!!」 私は ガリウス星に生まれ育っただけの 人間で、何の力も持ってはいない。 母を、仲間を、守りたい一心で サイボーグになった。 それを、誇りに思っている。 選んだ道を・・・誇りに思っている。 きっと、それは、未来につながるはずだから。 紫の星・・・・ここより愛をこめて!!私は私の「今」を生きる!! このまま・・・。
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           2002・10・31更新

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