イラスト・南十字あたる
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ものすごい勢いでひとつの樹木からツルが伸びて、
あっと言う間にコスモス号のハッチに顔を出したオーロラを
空高く抱き上げ、その頂点で何かがキラッと閃光を放った。
瞬時の影、としか感じられなかったが確かに飛び去る1機の戦闘艇。
次の瞬間、クーゴ達の目の前に降ってきたのは、バッサリと切断された、
今まさにオーロラをさらったはずのそのツル。
無残にも赤い血を滴らせてたたきつけられた。
と、同時に樹海から黒い生き物のようにいっせいに
戦闘機の群れが、飛び立つ。
見事な編隊を組んでこれもまたたく間に影を追って消えた。
「な、何だ!?」
あまりに一瞬の出来事に成すすべも無く立ち尽くす3人に、
周りの木々が怒り狂った魔の手をかける。我に返って叫ぶクーゴ。
「戻れ!!」
スタークローに一歩遅れてスターカッパー、スターブードが
コスモス号に帰還。
しかし、樹木の勢いは衰えない。
すぐさまコスモス号は大気圏内ギリギリまで跳ね上がる。
「なんで、姫は外に出たんだ!!」
「落ち行けよ、クーゴ。」
「これが落ち着いていられるかってんだ!!このタコ!!」
「おい!ケンカしてる場合じゃないぞ。この星の南側に、前線基地がある。」
「なんだって!?ホントか、ジョーゴ!」
レーダーの前に思わずクーゴもハッカも走り寄る。
「ああ。見てみろ。」
「・・やられた!」
「とにかくこの基地へ乗り込もう!」
「おう!!」叫んだのは2人同時だった。
1時間後。
「・・・・。」
「大丈夫か?」
「私は何でもない!でも、フェイ・・が・・・。」
「バカヤロウ、何でもなくないぞ。」
「・・痛っ。」
ギリアの基地内で大立ち回りを演じた後、
捕らえられていたベラミスを逃がし事情を聞くクーゴ達に、
樹海に潜んでいたギリア以外の更に何者かが、
オーロラをさらったことが解ってきた。後を追った戦闘機隊が
ギリア率いる部隊だった。
4人がのっとった司令室の天井には
大きくギリア部隊の姿が映し出されていた。
「いいな?ベラミス、姫とフェイを取り戻すまで、
ここは手を組もう。目的は同じだろ?」
「・・・わかった。」
明らかに不服そうなハッカを尻目に、
ジョーゴは黙って判断をクーゴに任せている。
「それに。」
クーゴがほんの少しいたずらっぽく付け加えた。
「電磁剣も持たない丸腰のおまえと戦っても仕方ないしな。」
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スタジントップページへ戻る ●2002・9・24更新