1978年4月2日から1979年8月26日まで 全73話が放映されたテレビアニメ「SF西遊記スタージンガー」のファンクラブです。        



スタジン小説 その9

「別れ」                               作・さつき



イラスト・南十字あたる

                            <6/9> 鋭く、べラミスがクーゴを一瞥したが、 そこにわずかな戸惑いがあったのを、彼は気付いたのだろうか? オーロラ姫をまんまと手中に収めたガイマは、 ギューマ星へ帰る途中の第134駐屯基地へ身を寄せた。 ここで執拗に追ってくるギリア部隊をたたくつもりだった。 このプリンス・ガイマに歯向かうとは、 キング・ギューマに逆らうも同然。相手が誰であろうと叩き潰す! それが、ガイマのやり方だった。 それに。ベラミスは討て、とも言われている! 「ギリア隊長!敵機はギューマ軍第134駐屯基地へ 着陸した模様!仕掛けますか!?」 先頭からの伝令。 「134・・・辺境星域随一の規模・・・。 ギューマ軍団を敵にまわすか・・。速攻勝負だ。 隼のギリアの腕前、思い知らせてやる。 全機に告ぐ!必ずオーロラを取り戻せ!・・ フェイ、私たちに加勢しろといったベラミス様を 裏切らないよう頑張ってくれ!」 「はい!」 それが嘘とも知らず、フェイは見えない眼ではじめて戦場で ベラミスの指示なしで戦う覚悟を決めていた。勘だけをたよりに。 少人数とはいえ、ギリア隊の猛攻が始まった! クーゴ達とベラミスは、とにかく134駐屯基地のオーロラ姫と フェイを救出することで一致した。 スタークローで今にも飛び出しそうなクーゴを いさめてベラミスが言った。 「4機で行った所で相手はこの辺りで1番大きな ギューマ軍基地の奴ら全てだ、らちが開かない。こちらも数で行こう。」 「数で・・たって、どうする気だ?」 ベラミスはやおら、司令室のマイクを掴むと ギリア基地内全兵士にむかって呼びかけた。 「緊急事態発生!先ほど樹海へ出向いたギリア隊が ギューマ軍団に襲われている!いいか!? ギリアが私を捕らえたのは、お互いの情報の行き違いゆえだ。 私はギリアを助ける!!一緒に来るものは後に続け!!」 5分たたないうちに残っていた殆ど全ての兵士たちが集合した。 その数約500。 「さ・・すが・・。」 「・・すごいな・・。」 クーゴのみならず、ジョーゴもその鮮やかさに感嘆ししきりに頷く。 ハッカだけはまだ遠くでぶつぶつ言っているのだが。 「これはギリアの実力だ。」 ベラミスが軽くウィンクして見せた。 今度は、クーゴが戸惑う番だった。 オーロラは基地の奥地の塔に監禁され不安ながらも気丈に助けを待つ。 鉄格子の隙間から外を見ると、灰色の空を朱に染めて ギューマ軍団とラセツ軍の飛行部隊との戦闘が始まっている。 「何故!?」 いたたまれない想いが胸を突き抜ける。 「何故、モンスター化した生物ではなく、人間同士が争うのでしょう!? あの人たちの心をどうしたら変えられるのでしょう・・。」 悲痛な面持ちで彼女は胸で両手を組んだまま、・・祈り始めた。 いくら隼のギリアとはいえ圧倒的な数の違いはどうしようもない。 1機、また1機と打ち落とされていく。 「まずい!このままでは!」ギリアが自分のした決断を、 後悔しかけたその時だった。 「ギリア!」 <次のページ 7/9> スタジントップページへ戻る       ●2002・9・24更新