イラスト・南十字あたる
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振り向くと、それが光りのように浮かんでいた、
・・・味方の大型戦闘艦が。
「!!・・ベラミス様!」
これ以後、ギリアは自ら、完全にベラミスの配下に入る。
「フェイはどうした!?」
艦に収容したギリア達の中に、フェイは居なかった。
ベラミスは動揺を隠せない。
「一緒じゃなかったのか!?」
「彼女は戦力になります。・・戦闘機を1機、任せました。」
「何だと!?殆ど見えていないんだぞ!わからなかったのか!?」
ギリアに殴りかかりそうなベラミスを、咄嗟にクーゴが押さえる。
「ベラミス!待てって!」
「知りませんでした・・・。」うなだれて言うギリア。
嘘を付いたことが心に痛い。
(見えてなかったなんて・・。
そんな様子はみじんも出さなかった・・。)
その姿にベラミスもはっとした。
「・・悪かった・・・。」
クーゴが腕をほどく。
「それで、姫は?」
1番聞きたかったことを口にしたのはジョーゴ。
しかしクーゴがその横で身を堅くして聞き入ったのが、すぐ判る。
「基地内のどこかに。でも、まだ発見できません。」
「総攻撃をかける。いいな?クーゴ。」
フェイが死んだとは思いたくない、
だが、もしそうなら・・ギューマ軍だろうが誰だろうが、許しはしない。
「わかった。だが、ベラミス。
俺たちの目的は姫を助けることだ、無駄な殺し合いは・・。」
「悠長だな。」
ベラミスはそれ以上は何も言わず、窓の外へ視線を逸らした。
それが、ギューマやラセツと、オーロラたちの違いなのだ。
「うわぁ!!見ろ!!すごい数だ!!」
レーダー近くに居たハッカが叫び声を上げた。
「先手を打たれたか!?全機、出撃!ギューマ軍団を迎え撃て!
ギリア、戦闘指揮はおまえに任せる!」
「はっ!」
「クーゴ達と私は134基地へ突入し、オーロラを探し出し奪回する!」
「それから、フェイもだ。」
「!?」
ポンと肩を叩いて、クーゴが続けて言った。「・・生きてるさ、絶対。」
「何ですって!?何故、ラセツ軍がギューマ軍に逆らうのです!?」
ギューマ王からの怒りの報せにラセツは送られた映像に眼を凝らす。
「これは、前線基地のギリア隊です。
ギューマ様、だから申したではありませんか。
あやつらの行動が不審だと!それでベラミスを行かせたのです!
これだけハッキリした以上、あれはもうラセツ軍ではございません!!」
「ううむ。では、容赦しなくていいのだな。よく、わかった。」
おもむろに切られた通信機の前でクイーン・ラセツはイライラと、
しかし、どこか心配げに呟いた。
「一体何をしているというの!?ベラミスは!」
(人と人とが何故、憎みあい、戦わねばならないのですか・・・。
やめて下さい!どうか・・!)
祈り続けるオーロラの慈悲の叫びはオーラとなってほとばしり出る。
彼女自身も気付かずにギャラクシーエネルギーが動き出すかのように・・。
「?な・・んだろう。この力は?」
傷つきながらも、撃ち落とされた機体から脱出していたフェイは、
134基地の奥からそれを感じた。惹かれるようにその場所を目指す。
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スタジントップページへ戻る ●2002・9・24更新