のほほん映画観賞備忘録・2004年9月〜12月
SF・アクション映画が大好きなマクノスケ&マクタロウの映画鑑賞備忘録です。 ふたりで「のほほ〜ん」と感想を語っています。
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■2004. 12月 |
Mr.インクレディブル/ターミナル/
■彼は空港(そこ)で待ち続けた。約束を果たすために…
[監][製]スティーブン・スピルバーグ
[案][総]アンドリュー・ニコル
[案][脚]サーシャ・ガバシ
[出]トム・ハンクス キャサリン・ゼタ=ジョーンズ スタンリー・トゥッチ
[制作データ] 2004米/UIP
[上映時間] 129分
■「ターミナル」公式サイト
【マクノスケ】
午後からの回だったんですが、なんと満席!!スピルバーグ人気とも思いましたが、これはやはり今年流行った映画の傾向から、感動に飢えている人が多いのを反映してるのではないかと分析。(笑)
で、内容はと言うとこれがそう言う意味では期待を裏切らない涙と笑いをミックスした佳作という感じで、それなりに泣いちゃったりしたんですが、ど〜も、この私。
スピルバーグに関しては「シンドラーのリスト」辺りから素直に見られなくなっちゃってまして、なんつーんですか。映画のエピソードの積み重ねとその演出のあざとさに目が行っちゃうんです。でもだからと言って、それが嫌なんじゃなくて、そのあざとさを味わうのが好きなんですよね。今回も映画の後半に行けば行く程に、それまでのエピソードが複線となり、感動へと導いて行かれて、あのエピソードはこの感動のためにあったのかとスピルバーグのプロのテクニックに脱帽という感じでした。
またキャサリン・ゼダ・ジョーンズとのラブロマンスのシーンは、ひょっとして「めぐり逢えたら」なんかよりイケていたかもしれません。彼女がとっても可愛くみえました。
面向きには、空港から出ることが出来ない男が、空港で働く移民もしくは不法侵入の人々と心を通わせていく様子を丁寧に描いていくんですが、隠しテーマは「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」に続きまたまた「父と子」!思春期に両親が離婚し、母親に引き取られた監督には、父親に対する大きなあこがれがあり、それが形を変えて登場するのではないか(というかそういう話に共感し本を選んでしまうのでは?)と思ってみたり…。
そうそう。些細なネタでもお金を惜しまないスタトレファンの方は、この映画、必見です!!
ねた振りは2回。しかも2回目はかなりマニアック!!満席の中、爆笑したのは私とマクタロウのふたりだけ。いや〜スピちゃんの演出。ここでも冴えまくりです!!
【マクタロウ】
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」に続いて、力を抜いたスピルバーグ作品。
自国のクーデター騒ぎにより、アメリカに入国できず空港内での生活を強いられる主人公ナボルスキー(トム・ハンクス)が、持ち前の誠実さにより空港内で働く人々のヒーローとなっていく。まあ予告を観て思っていた通りの展開です。
その、空港内で働いている人達というのがマイノリティーという所はアメリカの縮図を表しているのだろう。
ナボルスキーは外国人だったからこそ彼らのヒーローになれたのである。
彼(彼ら)と対立するのが空港警備主任ディクソンだが、昇進を控えていて、よけいなゴタゴタを避けたいという「理屈」はわかるが、あそこまでナボルスキーに冷たく当たる理由というには弱かったように思う。
それ故なのか単に演出が悪いのか、終盤、ディクソンの部下の反逆もあまり盛り上がらなかった。本当なら「やったぜ、ザマーミロ」というシーンなのだが・・・(この後、初めて空港から外に出たナボルスキーがニューヨークを目にするのだが、ビルから出てきた彼の姿を引いていくと、ガラス張りの空港ビルに摩天楼が映り込んでいる。正面からビル群をバーン見せないこの演出は、スピルバーグ的な旨さを感じた)。
同じくキャラクターとストーリーという面では、不倫真っ最中のアメリア(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)とのロマンスは楽しく見せてくれるが、最後に彼女が自分を犠牲(吹っ切った不倫相手とよりを戻すこと)にして、ナボルスキーに1日だけの滞在をゆるす書類を調達するあたりは、ご都合主義的だし、同じご都合主義ならもう少し観客に夢を見せてあげてもいいのでは・・・と感じた。
全体的にスピルバーグならではの「暖かいお話」とトム・ハンクスならではの演技を期待していた人達には、バッチリはまった作品なのではないでしょうか。(ちょっと長いが・・・)
追記
スタートレックネタで笑わせてもらったが、劇場に響く私とかみさん(だけ!!)の笑い声が寂しかった。
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■どんな家族にも秘密があります。
[監][声]ブラッド・バード「アイアン・ジャイアント」
[総]ジョン・ラセター
[声]クレイグ・T・ネルソン ホリー・ハンター サラ・バウエル スペンサー・フォックス サミュエル・L・ジャクソン
[制作データ] 2004米/ブエナ・ビスタ
[上映時間] 115分
■「Mr.インクレディブル」公式サイト
【マクノスケ】
初日の字幕版だったからなのか、お客さんは20人足らず…宣伝に力を入れているディズニーの苦労もここでは実らなかったようです。(もしかして吹き替えは混んでいたかも…)
まあ、確かに「ニモ」にくらばればお父さんの悲哀を描いたこの映画…大人向けなんですよねえ。でも、そこがちょこっとかったるかったかなあ。もちろん、そういう部分があるから後半のお父さんの頑張りのシーンが生きてくるのは重々承知なんですが、ちょっと長かったような気もするんです。
後半の家族が団結していくシーンはなかなかグーだった(お母さん!すごいよ!!)とは思いますが、今ひとつこの映画ならではの「新しさ」がなかったようにも思うし、全体的にはまあまあ愉しんで帰って来たってところですね。
他には全編「007」タッチなのには思わずニヤリとしました。音楽まで思いっきりジョン・バリー(初期の「007」の音楽を担当)だったのがオマージュ捧げすぎなんじゃあ?(いや、いいんですが…)
しかし悪役が未開の地にすっごい基地を作って、ミサイルどっか〜〜〜んって…たしか先週も「スカイキャプテン」で見たような…(笑)。しかも両作品とも元ネタ(007)よりもおもしろく出来ちゃってるのがヤバかったりして。
(いやどっちかって言うと「がんばれよ!007!」って応援したくなる感じです。)
それよりもこれだけ自然描写がリアルだとホントに実写とアニメの区別がつかないなあと痛感しました!
あっぱれ!ピクサー!技術はすごい!ピカイチです!!
【マクタロウ】
かつてのヒーロー達が活躍の場を奪われ、今ではひっそりと「普通の人」として生活をしている。
サラリーマンとして上司にガミガミ言われている主人公。悲哀があり、なんとも良い感じ。
そんな主人公が自分らしさを取り戻していくってのが大筋。
キャラクターデザインなどは親しみの持てる画だし(ヒーローファッション・デザイナーが最高)、ギャグもそれなりに笑える。派手なアクション、孤島の秘密基地、音楽は007風。面白かったです。面白かったんだけど、何か物足りなさを感じて帰ってきました。
何が足りなかったのか、自分でも未だに分からないんですが「とびきり面白い1本」にはなっていないんですよね。
う〜ん、お父さんがもっと活躍した方が良かったとは思うんですが・・・。
映像に関してはピクサーの技術力を見せつけられました。まるで太陽光で撮られた人形アニメのように見えるシーンもあった。
またもや「実写」と「アニメ」の境界線を考えさせられた1本でありました。
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■2004. 11月 |
コラテラル/ハウルの動く城/隠し剣鬼の爪
/スカイキャプテン・ワールド・オブ・トゥモロー
■1939年、ニューヨーク、巨大ロボット襲撃。 応答せよ!スカイキャプテン!応答せよ!
[監][脚]ケリー・コンラン
[総]オーレリオ・デ・ラウレンティス
[製][出]ジュード・ロウ
[出]グウィネス・パルトロウ アンジェリーナ・ジョリー
[制作データ] 2004米/ギャガ=ヒューマックス
[上映時間] 107分
■「スカイキャプテン・ワールド・オブ・トゥモロー」公式サイト
【マクノスケ】
1939年。ニューヨークに突如飛来した巨大ロボット群。迎え撃つのは空軍のエースパイロット・スカイキャプテン。ドイツの科学者トーテンコフの陰謀「明日の世界計画」の謎を追って彼と新聞記者のポリーは世界を駆けめぐることになる!!
以前こちらにも書きましたが、予告を見て以来、冒頭に登場するロボット群(1941年にマックス&デイブ・フラッシャー兄弟が製作した「スーパーマン」の第2話に登場するメカニカル・モンスターが元ネタ!)にわくわくしていたのですが、その割にさわりだけで終わっちゃってるのが残念でしたねえ。私としてはもっとスカイキャプテの単葉機がロボットをガンガン倒して行くところも見たかったのですが…。
舞台や設定も30〜40年代の空想科学映画におもいっきりオマージュされているんですが、空軍のパイロットとは言っても秘密組織みたいだし、謎を追って世界を駆けめぐる辺りや美女とのベッドシーン(違うか?)、かつての恋のお相手登場(そういうことだったのか!)など、私としてはこれってジュード・ロウ版「007」と読んでもいいんじゃないかと思うんですよね。それを言うと天才技師のデックスはQだし、ラストの海上のシーンもそれでしたね〜。
で、この映画「メカニカル・モンスター」ばかりじゃなくって、いろんな映画へのオマージュ満載!丸太の橋やジャングルを象に乗って進むシーンなぞ「インディ2か?」と思ってしまったんですが、これまた元ネタは「キングコング」のようでして…昔の映画を知らない私をお許し下さい。(*^_^*)
他にもバルガス博士の研究室のドアに「1138」と書かれていたり、チベットの寺院の描写が「ロード・オブ・リング」の裂け谷を思わせたり、最後のロケットの中のシーンが谷底のように深いところに細い橋が1本かかっていたり(「帝国の逆襲」風?)「むむ〜」と思っていたらケンラン監督の生涯の映画ベスト10が、駅馬車(1939)、アラビアのロレンス(1962)、地平線(1937)、「ロード・オブ・リング:王の帰還」(2003)、ジョーズ(1975)、明日に向って撃て(1969)、オズの魔法使い(1939)、スターウォーズ(1977)、レイダース/失われたアーク(1981)…なんだそうで、なるほど納得しましたって感じです(笑)。
ちなみにこれとは別格で「キングコング」が生涯の映画ベスト1とか。まさにおたく道極めけりとはこのことですね〜。
【マクタロウ】
この作品は往年の冒険映画へのオマージュの固まりのようであった。
ニューヨークに現れるロボットの軍団はフライシャーのスーパーマン(ラピュタにあらず)、敵の羽ばたき航空機がスカイキャプテンの基地を攻撃するシーンでは「トラ!トラ!トラ!」を思い出し、摩天楼での空中戦は「スター・ウォーズ」のトレンチを彷彿とさせる。
数々の秘密兵器搭載で、海中も進める戦闘機P−40は「007」のボンド・カー。
物語の後半は「キング・コング」「失われた世界」などの秘境物である。
では、この作品は「頂き物」ばかりで面白くないかと言うと、そうではない。
監督のケリー・コンランは過去の作品を自分の中に取り込んだ上で、自分のビジュアルとしてそれらを表現している。
先にオマージュと書いたように、そこには過去の作品に対する愛が感じられるのである。
人物以外はほとんどCGIで作り出したその画面は、もうやりたい放題。
巨大ロボット、羽ばたき航空機、空中母艦、空海両用機など、オモチャ箱をひっくり返したような映像は久し振りに観る「空想科学冒険物語」。初めて「スター・ウォーズ」を観た時のワクワク感に近い物を感じた。
しかし脚本は、絶妙な笑い(ラストのカメラ落ちには笑った)を散りばめ、気の利いたセリフも多いが、テンポはあまり良くなく中弛みもあり、残念に思う。
また、ラストに向かって見せ場が縮小していくのにもガッカリした。
主人公が「スカイキャプテン」なのだし、最後はスカイキャプテン&イギリス軍対ロボット軍団&羽ばたき機の大空中戦を見せて欲しかった(「ジェダイの帰還」のハン・ソロへのオマージュってことでもないと思うが)。
今年は計らずしも日米で同じようなアプローチの作品が公開された(日本の「CASSHERN」も、なかなかどうしてりっぱな作品だったと思う)。
このような作品を観ていると、デジタル技術の進歩はアニメーションと実写の境界線を曖昧なものとし、その自由度故に、より作者のセンスが問われているように思う。
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■人のさだめは変えられますか。
[監][脚]山田洋次
[原]藤沢周平
[総]迫本淳一
[脚]朝間義隆
[出]永瀬正敏 松たか子 吉岡秀隆 小澤征悦 田畑智子 高島礼子 田中邦衛 倍賞千恵子 田中泯 緒形拳
[制作データ] 2004松竹
[上映時間] 131分
■「隠し剣鬼の爪」公式サイト
【マクノスケ】
見る前は永瀬政敏と松たか子の身分を超えた愛が中心に描かれるのかと思っていましたが、主人公宗蔵の日常にふたりの恋愛模様、武士としての心構え、上司との上下関係、家族の絆、さけられない戦いなどが多彩に盛り込まれていて、随所に用意されたそれぞれの人間模様に泣かされました。
山田洋次監督の丁寧でさりげないタッチにいたく感激しました。
役者さんは主人公の2人はもちろん、高島礼子と小澤征悦が光っていました!特に高島の姉御は、これまでのイメージとは違う自然な演技で大いに感動させて貰いました。
音楽は冨田勲!山田洋二監督とは「学校」からコンビを組んでいたんですね。(パンフで読みました)
「ジャングル大帝」や「リボンの騎士」などで知っているいつもの壮大なシンフォニーからなるエンディングも堪能させて頂きました!
星★★★★は上げたいですね!
【マクタロウ】
冒頭、江戸に発つ狭間(小澤征悦)を見送る片桐(永瀬正敏)達。
やや引きでとらえた狭間の妻(高島礼子)の背筋がピンと伸びた姿に、漠然と「この映画はいいぞ」と感じた。
片桐は、幕末の侍という「組織」の中で生きていくのにはあまりに正直すぎる、頑固で一途、曲がったことが嫌いという性格。まあ、これぞ本当の「ラスト・サムライ」と言ったところだろう。
その片桐と女中きえ(松たか子)の想い、「恋愛」というと何か違う感じがする、もっと素朴な「この人と一緒に居たい」という気持ちが、とても心地よい(松たか子がかわいいんだよな)。
素直に登場人物を応援したくなる、そんな作品である。
きえを含めた片桐家の団らんシーンは、質素ながらも暖かな家庭であることをわからせてくれる。それ故、きえが嫁ぎ母も亡くした後の片桐家の描写は寂しさが際だつ。
田中邦衛が登場する法事の場面、片桐の勤めである砲術訓練のシーンなど、適度な笑いを交えつつ(このあたりは、さすが「寅さんシリーズ」の山田洋次監督)、物語は狭間の謀反発覚、片桐と狭間の決闘へと流れていく。
片桐と狭間の決闘シーンはピリピリとした緊張感がありドキドキしたが、決闘に臨む片桐が剣の師匠、戸田(田中泯)のもとを訪れ、「勝つための剣」を教わるシーンでも凛とした緊迫感があった。
このような緩急をみごとに使い分けた演出、各登場人物の描き方、音楽(富田勲)も素晴らしい。
久しぶりに日本人で良かったと思える作品だった。
実は「たそがれ清兵衛」は見逃していまして、非常に悔やんでいるところ。近いうちに借りてこよう。
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■ふたりが暮らした。
[監][脚]宮崎駿
[原]ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
[プ]鈴木敏夫
[作監]山下明彦ほか
[音]久石譲
[歌][声]倍賞千恵子
[声]木村拓哉 美輪明宏 我修院達也 神木隆之介 加藤治子 原田大二郎
[制作データ] 2004東宝
[上映時間] 119分
■「ハウルの動く城」公式サイト
【マクノスケ】
公開前から過剰な期待はしていなかったからか(あの鈴木プロデューサーが作ったという予告がしみったれていて損しているような気がするなあ!)まずまず楽しました。
主人公の生活感溢れる日常描写は「さすが宮崎さん」という感じですね。掃除、洗濯、料理をテキパキとこなしていく姿は「名探偵ホームズ」のハドソン夫人と重なります。
主人公ソフィーが心を通わせていくほのぼのとしたキャラたちも見ていて本当に微笑ましくて心が和みました。またキャラの演技のさせ方(たとえばソフィーが椅子に腰掛けているシーンなどは、アニメにありがちなお人形のように両足を揃えて可愛らしく座っているのではなく、両足を開いて座わらせていたり、ある意味リアルにこだわっているとも思いました。)や、風すさぶ荒野や涼やかな緑の大地など情景描写も相変わらず素晴らしく、大いに宮崎ブランドを感じさせて貰いました。
ただ見終わった後マクタロウが「いつもの宮崎さんらしくない」と言うので、いろいろ話しているうちに、ストーリーにおけるいつもの宮崎節がないことに気付きました。思えば「カリ城」から始まる宮崎作品(映画)には、いつだって主人公が必死なって身体を張ってヒロインを守り奮闘する姿がありました。(「トトロ」ではさつきがいなくなったメイを探すシーンがこれに当たると思います。)今回はそれが弱いような気がするのです。
それに原作にはない「戦争」という背景が、ひまひとつ本筋にからんでいなかったようにも思います。
わざわざ戦争という時代背景を振り、あえて本筋がそれにからまないように描いているかに見える宮崎さんの真意はどこにあるんでしょうか?
最初の方で、ハウルが鳥人間になって戦火の中を飛行するシーンがありますが、あれは何のために出掛けていたのでしょうか?戦争は嫌っていたが、興味はあったと取るべきなのか?それだったらハウルの城がわざわざ戦地につながっていたのもわかります。 また、途中なぜ一旦城を壊す必要があったのか…これもそれぞれが空想をふくらませて考えなければなりません。私は「ハウルの城」こそがソフィーの後ろ向きな心を象徴しているのと思ったので、それを解放し(破壊し)解き放つという意味があったのでは…と理解したのですが、どうやら深読みのしすぎだったようです。(^^;)
ハウルの過去のシーンもイメージだけで映画を見ただけでは理解しづらかったと思います。
自分が可愛くないというコンプレックスを持っているソフィーと美しくなければ生きている価値がないと思っているハウルの振りもその後語られることなく終わっているのが残念です。 勝手な思いですが、いつもの宮崎さんだたら、そんなふたりが偶然(映画は偶然の出会いじゃなかった!)出会い、愛を育て、戦争に反対しながらも、事件に巻き込まれ、大切に思っている人の為に戦う…そんな話になっていたんじゃないかと思ってみたりするんですが…。 まあ、これは私の願望です。
最後に、友人のY嬢の名前をエンドロール(動画)で確認。動画チェックにクレジットされているTさんと共にアニメの専門学校時代に卒業制作でいっしょにアニメを作った間柄です。いろいろと大変だったようですがお疲れ様でした!!
【マクタロウ】
宮崎駿監督は私の大好きな映画監督で、いつも新作を楽しみに観に行くのだが、今回は予告のせいか、今ひとつ乗り気になれないまま鑑賞してきた。
さて観賞後の第一声であるが、「どうしちゃったの?宮崎監督」である。
ハウルの弟子マルクル、かかしのカブなど愛すべきキャラクターもいるし、しぐさや背景の丁寧さはさすが宮崎作品。
しかし、ソフィーが愛することになる肝心のハウルの魅力が伝わってこない。ハウルが何を考えているのか、彼の行動は何が目的なのか等々分からないことが多すぎる(ソフィーは彼のどこに惹かれたのか?)。
また、荒れ地の魔女の魔法で、ばあさんにされてしまったソフィーが、めげることなく持ち前の優しさで、敵も味方も魅了していく様はいつもの宮崎印ではあるが、今回はちょっと観客に甘えているよう(「いつものパターンですよ、わかるでしょ」といった感じ、つまりソフィーの魅力もそこまでは感じられなかったといったところか)に思った。
更に、タイトルにもなっている「動く城」の魅力もまるで感じなかった(あれほど魅力的な外観なのに)。
今までの宮崎作品では、主人公が暮らす場所(「ラピュタ」のタイガーモス号、「千と千尋」の風呂屋など)は細かくレイアウトがなされ、そこに行ってみたくなるほどの魅力を発揮していた。
しかし本作の城はキャッチコピーで「ふたりが暮らした」とまで言っておきながら、その城の内部はわずかに3部屋ほどしか描かれない。しかもハウルはほとんど城にいなくて(いても寝ているか風呂に入っている)これではとても「ふたりが暮らした」ようには見えないのである。
ストーリー展開も何かちぐはぐさを感じる。
本作の悪役だと思っていた荒れ地の魔女は、中盤でハウルの先生であるサリマンによって腑抜けにされてしまう。
以降、図式は「ハウル対荒れ地の魔女」から「ハウル対サリマン」に変わり、冒頭から度々語られてきた「戦争」を絡めての展開をする。
この「戦争」のくだりが、取って付けたようで「戦争はいけません」という事を言いたいが為のモノにしかなっていないように感じる。うまく消化し切れていないのだ。
全体的に、なぜ宮崎監督がこの題材を映画化したのかがわからないのだが、ラストの「おとぎ話」の定番、キスで本当の姿に戻るカブに至っては、宮崎監督のやる気が失せたのかと勘ぐってしまう。
これまでの宮崎作品では、主人公が誰かのために一生懸命に「戦う」様が描かれてきたように思う。
しかし本作では、確かにハウルはソフィー(達)のために戦うが、その様子は描かれない。もしかしたら宮崎監督は、愛する者を守るための「戦い」すら描く気が無くなってしまったのか?
確かに現実世界では「誰かのための戦い」によって悲劇が繰り返されている。だけど(最初からそのことをテーマにしていれば別だが)娯楽映画の世界くらいは、そんなことを忘れさせてほしいと私は思う。
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■その夜は、いつものように始まった・・・
監督・製作/マイケル・マン「ヒート」「インサイダー」
制作総指揮/フランク・ダラボン「グリーンマイル」
脚本/スチュアート・ビーティー
音楽/ジェームズ・ニュートン・ハワード「ヴィレッジ」
出演/トム・クルーズ ジェイミー・フォックス ジャダ・ピンケット・スミス マーク・ラファロ
2004米/UIP 120分
■「コラテラル」公式サイト
【マクノスケ】
まずまずのトムくんファンの私。
予告を見た感じでは、いまひとつで、あまり期待していなかったところ、これが嬉しい勘違い!!
上等なサスペンスをお望みなら、これ絶対お薦めです!!
まず第一に脚本がすばらしいことはもちろん、カメラアングルがかなり凝っている上、切れのの良い場面展開も小気味いいマイケル・マン監督の手腕に脱帽!!
キャスティングもまた絶妙なんです。
トムくんもかなり健闘していますが、もう一人の主役のジェイミー・フォックスが上手すぎです!
映画の中の人物とはいえあんな良い人見たことない!
またウィル・スミスの奥さんがヒロイン役で登場しているんですが、これまた好印象。
(「マトリックス」のナイロビも彼女だったんですね〜。帰ってきてネットで見て知りました。)
音楽も以前から好みのジェームズ・ニュートン・ハワード(近作は「ヴィレッジ」)が元ロックアレンジャーの強みを生かしたスコアを披露してくれてノリノリでした。
最初の方で監督の好み(?)か、「サティ」が流れてロスのおしゃれな感じを出しています。
ポスターはトムくんバージョンもあったのですが、あまりにジェイミー・ホックスが素晴らしかったので、彼バージョンの方をアップしちゃいました。
【マクタロウ】
良い映画(好きな映画と言い換えた方が良いかな)は、最初の5分を観ればだいたいわかる。乗れるか、乗れないか、と言っても良いだろう。
「コラテラル」は、まさに最初の5分で「いける!!」と感じた。
物語はロサンゼルス空港に到着した謎の男(殺し屋ビンセント:トム・クルーズ)から始まる。
このトム・クルーズが、髪を銀髪に染め、無精ひげ、サングラスという出で立ち。私は初めてトム・クルーズをカッコイイと感じた。
次に映し出されるタクシー運転手(マックス:ジェイミー・フォックス)の仕事準備風景。車内を綺麗に拭き、日よけに挟む南の島の写真。
数組の客を運ぶシーンの中で、その写真は彼の心のオアシスだとわからせるあたりは、うまいの一言。後に重要な人物となる客、女性検事とのエピソードでは彼の人の良さが出ていて良い。これで観客が彼に感情移入できるわけである。
それと同時に、彼が夜のロスの街を知り尽くしたプロフェッショナルなタクシードライバーだということも、ここで提示される(目的地までの所要時間をキッチリ言える彼は、この夜ビンセントにとって最も必要なドライバーだった訳だ)。
そしてついに運命の乗客ビンセントの登場。ここでもビンセントが一度、別のタクシーに乗ろうとする辺りが憎い演出(ああ、あの時こいつを乗せなければ・・・)。
ビンセントもただの冷酷な殺し屋ではなく、自分なりの哲学(そう、殺し屋はインテリで、人生や世の中の仕組みなど、蘊蓄を語らなければ!!)を持ち、プロフェッショナルに仕事をしていく、そんな雰囲気がうまく出ている。
そう、この作品、他のマイケル・マン監督作品同様(「アリ」は未見だが)、プロフェッショナルな男達の物語なのである。
また、人物描写がうまいので、ちょっとした脇役にまで気持ちが乗れる。
マックスを犯人と思いこむ杓子定規なFBIと、彼の無実を信じるロス市警の刑事という図式は、ありがちなものだけど、素直に「刑事さん、がんばれよ」と言いたくなってしまう展開に持って行けていると思う。
しかもその刑事さんも、これからって時に・・・。
ストーリー上では、件の女性検事が「最後のターゲットだった」てところがご都合主義に感じたが、これは「物語」としてギリギリの線なので、あまり目くじら立てて言うほどのことではなかろう。
音楽も既製曲の使い方が良い。ただ不満だったのは(これは訳者の問題点になるが)1ヶ所、セリフも効果音もなく歌が流れるシーンがあるのだが、訳が出ない。これは作者が意図している演出なので、そこの歌詞は訳して欲しかった。
マイケル・マン監督。おそらく最近の監督さんの中で、最も「男(しかもプロフェッショナルな男達)」を描ける私好みの監督。次回作が楽しみである。
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■2004. 10月 |
ヘルボーイ
■もはや世界は人間の手には負えない!魔界が生んだカリスマ救世主登場!!
原作・共同製作総指揮・ビジュアルコンサルタント/マイク・ミニョーラ
ストーリー・脚本・監督/ギレルモ・デル・トロ「ミミック」「ブレイド2」
音楽/マルコ・ベルトラミ「アイ,ロボット」
特殊メイク・コンサルタント/リック・ベイカー「狼男アメリカン」「ホーンテッドマンション」
出演/ロン・パールマン ジョン・ハート セルマ・ブレア ジェフリー・タンバー ルパート・エバンス
2004米/UIP 122分
■「ヘルボーイ」公式サイト
【マクノスケ】
世間的には全然話題になっていませんが、
私としてはロン・パールマン主演と聞いて以来ずっと楽しみにしていた「ヘルボーイ」!
いや、もう、これは今年見たこの手の映画の最高峰と言っていいでしょう!
「ヴァンヘル」や「アイ,ロボット」の何倍も楽しんで帰って来ました。
第2次世界大戦の末期、ナチの将校と妖僧ラスプーチンによって
「冥界」から赤ん坊の姿でこの世に召還されたヘルボーイが、
超常現象学者の教授に拾われ、やがて成長して
FBIの秘密組織(超常現象調査防衛局)のエージェントとして仲間と魔物退治をして行くのですが、
ひと言で言うと「メン・イン・ブラック」と「X-MEN」の設定を更に煮詰めたおもしろさがあって非常に楽しめました。
世間的には極秘になっている「ヘルボーイ」の存在をテレビのインタビュー番組でFBIのお偉いさんが否定したり、
原作コミックを本人がちゃんとチェックしていたりと「実はヘルボーイは本当にいた!」的な設定におもわずニンマリ。
(このへんが「メン・イン・ブラック」ですね。)
ヘルボーイのエージェント仲間として登場する半魚人のエイブも「で、お前、どっから来たの!」とつっこみを入れたくなる程、
出生が謎の人(?)なんですが(笑)、これがまたデザインが秀逸で、目をパチパチさせる仕草が超カワイイーッ!(←あえて使ってみました。)
もうひとりの仲間、念動発火のパワーをコントロール出来ずに苦しむリズ(紅一点!)は「X-MEN」で言うと
アナ・パキンちゃん演じるローグのような影のある役どころなんですが、彼女が発する美しく悲しみを帯びた炎の演出に思わずため息が出てしまいました。
またこの映画のために作れられた新キャラのマイヤーズ捜査官がまたいいんですねえ。新米さんならではのお茶目な孤軍奮闘ぶりがよく描けていました。
ブルーム教授のジョン・ハートもそうなんですが、主役級の方からFBI捜査官のみなさんを初めとする脇役の方まで、この映画キャスティングも絶妙です!
生身の人間が演じていないミイラのイワンじいちゃんの演技もすばらしかった!!(リック・ベイカー・スタジオのみなさん、ありがとう〜!!)
ユーモアたっぷりの中に極力CGを押さえた切れのあるアクションで充分楽しませてもらった最後に待っていた感動のラスト!!
ヘルボーイとリズが抱き合うシーンでは思わず涙がこぼれてしまいました。リズを愛することが出来るのは不死身のヘルボーイしかいないんですねえ。
それにしても「人生は何を選択するかで決まるのさ。」は名言ですねえ〜。
【マクタロウ】
今年観たこの手の作品の中で、一番の収穫です。
まず感じるのは、登場人物に対する「愛」ですね。
原作には登場しないマイヤーズ捜査官とヘルボーイとのやりとり、ヘルボーイとリズの恋愛など、細かなエピソードやセリフでキャラクターの魅力を引き出していました。
この、監督の「愛」は主役級だけではなく脇役(植毛の捜査官、局長、墓場のミイラ)に至るまで注がれ、笑いも織り交ぜながらの脚本は好感を持ちました。
特にヘルボーイがマイヤーズとリズのデート(?)を嫉妬メラメラでのぞき見するシーン、少年との会話など実にほほえましく、ヘルボーイが可愛く思える良いエピソードです。
悪役ではクロエネンが、デザイン、アクション共かっこよかったなあ(素顔は怖いけど)。
役者さんでは、マイヤーズ役のルパート・エバンス(この作品が映画デビュー)がいい味を出してました。
リズ役のセルマ・ブレアは「キューティー・ブロンド」の時に気になっていた人。たれ目だけどちょっと怖い顔、だけどカワイイんだよね。今回の悩める超能力者は、はまってましたね。私、この人の顔好きです。
お話も、悪の親玉ラスプーチンや「ナチ(ヒトラー)のオカルト計画」「ツングースカ隕石」などおいしいネタをちりばめてあり、「好き者」には嬉しい展開。
テーマも「生まれは悪かもしれないが、自分が信じた正義の道を行く」という「アイアン・ジャイアント」を思わせるもので、素直に受け入れられた。
映像の方では、CGを極力抑えている点が良いですね。アニマトロニクスや着ぐるみは「そこにいる」存在感が違います。ラストに出てくる「神」(?)のデザインは、この作品で唯一気に入らない部分。どうしてアチラの人はイカ、タコ系が好きなんだろう?
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