のほほん映画観賞備忘録・2004年1月〜4月

SF・アクション映画が大好きなマクノスケ&マクタロウの映画鑑賞備忘録です。
ふたりで「のほほ〜ん」と感想を語っています。


■2004年 1月〜4月  基本的にネタばれしておりますので御注意を!
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  【2004】/1月〜4月/5月〜8月9月〜12月

  【1月】ミシェル・ヴァイヨンミスティック・リバー リクルートラストサムライ
          WATARIDORI
  【2月】タイムラインロード・オブ・ザ・リング・王の帰還ゼブラ−マン
  【3月】マスター・アンド・コマンダーブラザー・ベアイノセンスレジェンド・オブ・メキシコ
  【4月】ルーニー・テューンズ バック・イン・アクションアップルシード
          オーシャン・オブ・ファイヤー
オーシャン・オブ・ファイヤー2004.4.29.(THU.) 

■生き残れるか!?それは、それは史上最も過酷なサバイバル・レース。

監督・ジョー・ジョンストン「遠い空の向こうに」
脚本・ジョン・フスコ
音楽・ジェームズ・ニュートン・ハワード「シックスセンス」
出演・ビゴ・モーテンセン オマー・シャリフ ズレイカ・ロビンソン ルイス・ロンバート
2004米ブエナビスタ/137分
■「オーシャン・オブ・ファイヤー」公式サイト

【マクノスケ】
主演のヴィゴ・モーテンセンの魅力もさることながら、 レース映画というよりはしっかりとしたアクション映画になっていて思った以上に楽しんで帰って来ました。
多少テンポの悪さは気になりましたが、キャラや前振りをきちんと消化していて丁寧な作りだったと思います。 映画のテーマである「異文化の壁を乗り越えて互いを理解していく」部分と主役であるフランクが「自分の中に流れる「血」を認め、 ひとりの男として再生して行く姿」に心打たれました。
ヴィゴファンは「王の帰還」に続き彼の自慢の歌声を聞く事が出来て嬉しいですね!
撮影に使われた「まだら馬」の一頭をまたまた購入してしまったヴィゴさま… もしかしたら21世紀の「唄って暴れるアクションスター」を目指しているのかも?(←ウソ)
あとでパンフレットを見て知ったのですが、 なつかしの「アウトサイダー」トーマス・C・ハウエルくんとマルコム・マクダェルも特別出演! でも一番の演技上手は本当の主役…馬の「ヒダルゴ」(←原題)かな。ラスト…泣けまっせ!!


【マクタロウ】
「ロード・オブ・ザ・リング」で注目を集めている俳優の1人、ヴィゴ・モーテンセ ン主演作。
過酷な状況から本当の自分と向き合うことになる主人公フランク・ホプキンスは 「ロード・オブ・ザ・リング」のアラゴルンとだぶりますね。
ヴィゴ・モーテンセン自身がハーフということで、役柄とかぶる彼は感情移入しやす かったのではないでしょうか。
作品内容も異文化との交流を描いていて、日頃のヴィゴ・モーテンセンの言動からも 説得力のある配役と言えるでしょう。
脇ではオマー・シャリフが、主人公と友情を結ぶ族長役を好演しています。
そして忘れてはいけないのがフランクの「弟」、愛馬ヒダルゴ(原題のタイトル)。
この手の作品は「クサくならない」ぎりぎりのさじ加減が難しいですね。私としては 「二人」の絆をもう少し強調して描いてくれた方が、よりのめり込めたかも。
監督のジョー・ジョンストンは「大外しはしないものの大当たりもしない監督」とい う認識が私にはあるんだけど、 この作品も一言で言ってしまえばその通りの印象。
ただ、いつもの彼の作品に比べると、ややテンポが良くないように感じました。けし て無駄な描写がダラダラとあるわけではないのだけど、せめて2時間に収めておけば 良かったのでは。



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アップルシード2004.4.18.(SUN.) 

■戦いが終わったら、母になりたい。

監督・荒牧伸志「メガゾーン23」
原作・士郎正宗「攻殻機動隊」
脚本・半田はるか 上代務
音楽・Boom Boom Satellites他
声の出演・小林愛(デユナン) 小杉十郎太(ブリアレオス) 松岡由貴(ヒトミ)
2004東宝/ワーナー/103分
■「アップルシード」公式サイト

【マクノスケ】
もともとCG美少女を生理的に受けつけない体質のわたしが 「戦いが終わったら、母になりたい。」「もうひとつの美女と野獣」「…恋人の変わり果てた姿に、言葉を失うデュナン。」 などチラシのコピーに心動かされ話は案外おもしろいかも…と、あまり乗り気でないマクタロウと見に行ってしまったのが間違いの元でした…。
う〜ん。やっぱりこの絵でリアルに動くっていうのがなんだかかえって不自然。 主人公のデュナンはキャラクター化されているのでなんとか我慢できても クローン人間のヒトミ(おもいっきり美少女アニメキャラ〜〜という感じ!)がどうにも気持ち悪くてかなり疲れ果てて帰って来ました。
お話の方も美女と野獣コンビ(デュナンとブリアレオス)の葛藤などを期待していたのですが、 ブリアレオスはあくまでもデュナンの引き立て役のようで残念。 野獣ファンとしては元祖(ディズニーの)野獣やバドーさん(イノセンス)のようにブリアレオスに大暴れして欲しかったんですけど…。
人間を生殖不可にしてしまうプログラムが回避されたということが=キャッチコピーにあった「母になりたい」ということに繋がるのだとしたら、 はたして(映画の)デュナンにそんな想いがあったのかって聞きたくなっちゃうような展開なんですよね。
それから、あとで調べてわかったんですが、クローン人間(バイオロイド)のヒトミの声は「おじゃ魔女」の大阪弁のあいちゃんこと松岡由貴さんがやっておりました。全然気がつかなかった!


【マクタロウ】
この作品、あちらこちらに違和感を覚える作品でした。

まずはこの作品一番の「売り」である映像。アニメ顔のキャラクターがリアルな動き をすることの違和感。
これは一頃CMで見かけた「3DCG娘」に嫌悪感しか抱けなかったので、ある程度 覚悟していましたが、結局最後までのりきれませんでした。 普通の2Dアニメだったら気にならないところが、(キャラクターの動きや背景が) なまじリアルだから変に見えてしまう部分もありました。
例えば冒頭、主人公が捕まるシーン。麻酔をかけられた主人公デュナンは、微動もし ません。実写ですと、そこに「空気」があり、風などで服が揺れたりするでしょう。 この画面では「プログラムが終了しちゃいました」って感じに見えてしまいました。 同様にデュナンと悪役さんが対峙し、銃を向けるその他の兵士。こいつらがまた身動 き一つしない、ただの背景になってしまっている。

また人物の性格描写での違和感。
数時間前まで戦場にいたデュナンが別世界である大都市で目覚め、翌日都市を案内さ れますが、その時気まずさや恥じらいもなく、かわいい服にチョーカーのようなアク セサリーまでして部屋から出てきます。
数シーン前で、ふかふかのベッドで寝るより、床で寝る方を選んだ同じ人物の行動と は思えないものを感じました。
細かいことかもしれませんが、こういった部分から作り手の作品に対する姿勢が見え るような気もします。
クライマックスのアクションシーンやストーリーのオチの部分などは、面白く出来て いたと思うのですが、やはりそこだけ良くても、作品そのものに乗れてないとどうし ようもないですね。

観終わってから「これだけの技術があるんだから、実際の人物との合成でやった方が 良かったんじゃないの(「キャシャーン」はそれをやっているようだし)」と言った ら、かみさん曰く「違うのよ、『アノ顔』でやりたいのよ」
はい。まさにおっしゃる通りでした。



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ルーニー・テューンズ バック・イン・アクション2004.4.04.(SUN.) 

■魔法の宝石“ブルーダイヤ”を探せ!
世界一ワルでワイルドでキュートなヤツらが世界中をかけめぐる!

監督・ジョー・ダンテ「グレムリン」「スモール・ソルジャーズ」
製作総指揮・脚本・ラリー・ドイル「シンプソンズ」
音楽・ジェリー・ゴールドスミス(ダンテ作品のほとんどを手掛ける)
吹替え版翻訳・ジョーゲンセン由美子
出演・ブレンダン・フレイザー ジェナ・エルフマン スティーブ・マーティン ティモシー・ダルトン ヘザー・ロックリア ジョーン・キューザック
2003米/ワーナー/92分
■「ルーニー・テューンズ バック・イン・アクション」公式サイト

【マクノスケ】
バックスバニーのアニメキャラと実写の合成映画(マイケル・ジョーダン主演の「スペース・ジャム」の姉妹作的な作品)が あの私が崇拝する(笑)「グレムリン」のジョー・ダンテ監督によって映画化される… それも主演は「ハムナプトラ」(←これはいまひとつだけど)のブレンダンと「ダーマ&グレッグ」のダーマ役、 ジェナ・エルフマン(映画音楽家、ダニー“バットマン&スパイダーマン”エルフマンの姪ッコ)だと言うので公開を楽しみにしていたんですが、 なんと!ワーナー系の映画館でしか公開されない(しかも日本語版のみ!)…というトホホな状態に半ば諦めかけていたんですが、 ファンがそんなことでどうする〜っとばかりにマクタロウと東名を使って海老名のマイカルまで見に行って参りましたぁ!! (力入ってるぞ〜!!)
ひと言で言うとこれ…マニア以外の人…かなり置き去り状態なんですが、そこがまたマニアには嬉しい!! ダンテの趣味のなつかしのSF映画やサスペンス映画のパロディ満載のところへ ダフィーダックやバックスバニーのドタバタギャグがてんこ盛りでバカバカしいことこの上ない展開に大爆笑! (バックスバニーのシャワーのシーンは映画史に残るのでは?)
ダンテ映画の常連組のディック・ミラー(いつも警備員や配送人などのちょい役で登場!)や ロバート・ピカード(「インナー・スペース」ではカウボーイ!「スタトレ・ヴォイジャー」のドクター役で有名)などに加え ロン・パールマン(次回作「ヘルボーイ」も楽しみ!)も出ていて嬉しかったし、 ブレンダンの父親役で秘密諜報部勤務のティモシー“4代目ボンド!”ダルトンと 極秘秘密基地エリア52でエイリアンの研究をしているジョーン“ジョンのお姉ちゃん”キューザックも捨てがたかったかなあ〜。 他にもヘザー“ジョン&パンチ”ロックリアとかピーター“スパイ大作戦”グレイブスがチョイ役で出ていてなつかしかったです!


【マクタロウ】
ジョー・ダンテ監督、趣味炸裂の一本。
アニメキャラが俳優として存在している設定は「ロジャー・ラビット」同様。しか し、馬鹿馬鹿しさはそれ以上(褒め言葉ですよ)。特に途中で出てくる「エリア5 2」(!!)。ロビーやらトリフィドやら(旧)スターログ世代には見覚えのあるヤ ツらがぞろぞろ。腹を抱えること請け合いです。
主演(?)のブレンダン・フレイザーは、この手の作品のお得意さん。元007のテ モシー・ダルトンがセルフパロディーで出演していて、驚いた。
ただ、ダンテ作品としては規模が大きすぎて(笑)、いつもの持ち味(ドラえもん的 ご近所大騒ぎ)が無かったのはちょっと残念。

バックス・バニーやトゥイーティー(ひよこじゃないよ、カナリヤだよ)はCMなど で知名度はありそうだが、映画となると稼げそうもないと思ったのか、ワーナーのブ ラザースさんは、自社直営館のみの公開(昨年末頃から清水の劇場に立て看があった のに、いつのまにか消えていたよ・・・)。しかも字幕版は無し。この扱いはちと酷 いのでは?



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レジェンド・オブ・メキシコ デスペラード2004.3.21.(SUN.) 

愛だけがたったひとつの正義だった。
監督・脚本・製作・撮影・視覚効果・音楽・編集・美術・ロバート・ロドリゲス
出演・アントニオ・バンデラス ジョニー・デップ サルマ・ハエック ミッキー・ローク ウィレム・デフォー エバ・メンデス
2002米/ソニー/101分 ■「レジェンド・オブ・メキシコ」公式サイト

【マクノスケ】
「デスペラード」の続編…今回もバンちゃん扮するエル・マリアッチ大活躍か…と思いきや、なんだか出番が少な〜い!! その代わりに何やら怪しい行動のジョニー・デップがあちらこちらに出没しておいしいところを丸々かっさらっちゃったって感じですねえ。
話の方も大統領暗殺、革命、復讐にマリアッチとCIAや元FBIなどがからみ合い、ごった煮状態。 できれば復讐劇だけに絞って、もっとバンちゃんの活躍が見たかった!
ジョニー・デップの役は、ここだと言うところに使っていただければもっと印象に残っただろうになあと思うとちと残念。
でも随所にギャグ炸裂で(後輩マリアッチが銃を抜かずに手で拳銃を真似て飛び出して、 あっと気がついてから銃を抜くシーンやガンベルトを颯爽と装着して行くジョニー・デップが手袋の左右を間違えて「おっと!」となるシーンなど)大ウケ! 製作、編集、脚本、音楽(一部既製曲あり)、監督をこなすロドリゲスってホントに映画を愛してるんだなあと感じる熱〜い1作でございました。
あ…そうそうマリアッチの1人を演じたエンリケ“「ナタリ〜♪」フリオの息子”イグレシアスになんだか水木“アニキ”一郎を感じてしまったのは私だけ?


【マクタロウ】
「デスペラード」に続く「エル・マリアッチ」シリーズ第3弾です。おバカ(だけど カッコイイ)ノリノリアクション満載!!
だけど今回、ちょっと話をややこしく作りすぎ&登場人物多すぎです。はっきり言っ て消化しきれていません。
また、ロドリゲス監督は「パイレーツ・オブ・カリビアン」のヒットを見てジョニー ・デップの出演シーンを増やしたそうですけど、これは完全に失敗ですね。主人公バ ンデラスの影が薄いよ。
話をもっと単純な復讐劇に絞って、アクションで押し切る潔さが欲しかったなあ。



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イノセンス2004.3.20.(SAT.) 

イノセンス それは、いのち。
監督・脚本・押井守
プロデューサー・石川光久 鈴木敏夫
音楽・川井憲次/歌・伊藤君子
作画監督・黄瀬和哉 西尾鉄也
声の出演・大塚明夫 田中敦子 山寺宏一 大木民夫 仲野裕 竹中直人
2004/東宝/99分 ■「イノセンス」公式サイト

【マクノスケ】
同じアニメながら「ドラえもん」や「ワンピース」のように1日たっぷりとやってくれない押井作品(笑)! 早起きして朝の回(10時40分)を見て来ました。(上映は1日2回で次は19:00)
「攻殻機動隊」を見ていない人は完全に置いてきぼり状態なので「入り」の事を考えると、仕方ないと言えば仕方ないのかもしれませんが…。
そういう私も「攻殻機動隊」はすっかり忘れてしまってどこまでついていけるか少々不安だったんですが、 ストーリーの点ではなんとかクリア。でも格言や詩を引用したセリフが多くて高尚すぎてよくわからないのには参りました…。 まあ引用後にちゃんと説明してくれるのでなんとか助かりましたが、 押井さん曰く「映画を見るにはそれなりの修練が必要」なんだそうで私もまだまだ甘いのかなあ…と。(笑)
しかし、私は「アヴァロン」の時には押井さんの言ってることがよくわからなくて 「それって現実逃避なんじゃないのか」と思っていたんですが、 今回これを見て「姿、形、次元に捕われない存在価値」みたいなものを感じることが出来てよかったです。 主人公バトーがこの世界で拠り所にしているものもわかって嬉しかった。
声優陣では大塚“息子”明夫さんと山ちゃん(山寺宏一さん)の豪華共演を堪能しました! いや〜今回は山ちゃんの勝ちですかねえ。あの自然なトグサの演技!上手すぎです!!


【マクタロウ】
体に「電脳」を仕込み、いつでもどこからでもネットにアクセス可能となった未来。 サイボーグ技術も進み「生」の自分の肉体など、ほんの数パーセントしか残っていな い者もいる。
誰かの電脳に侵入して「虚構」を見せることさえ可能な世界。そんな時代に「人間と は?」とこの作品は問う。
ここでキーとなるのが「ゴースト」という概念。私はこれを「心」又は文字通り 「魂」ととらえている。
つまり「ゴースト」こそが「人間の証」であり、外観(外殻)はどのような形態を 持っていようとかまわないのである。
全身サイボーグとも言える主人公バトーと、事件の発端となる「ゴースト」を入れら れていたアンドロイドとの違いは無いし、「ゴースト」だけの存在となりネット上に ある少佐(本作の前編「甲殻機動隊」の主人公)さえ、その意味に置いて「人間」と 言えるのだ。
押井監督の演出は「実写映画」の様。あくまで「リアル」である(ヤクザ事務所襲撃 シーンの銃撃戦は圧巻)。ヴァーチャルを描くためのリアリティ。この方法論も作品 のテーマ故なのだろう。
画的にも、人物はセルアニメ風なのに対し、メカ(車、航空機など)は3DCGで製 作されており、実写(現実)っぽい。これも狙ってのことでしょう。
さて現実世界ではまだ、人間そっくりな(外観の)アンドロイドは実現していない が、アンドロイド=人造人間だとするならば、クローン人間はその実現最短距離に位 置する存在であろう。



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ブラザー・ベア2004.3.14.(SAT.) 

ぼくたちは、いつか家族になれるかもしれない−。
監督・アーロン・ブレイズ「ライオン・キング」の子供のナラのスーパーバイジング・アニメーター/ ボブ・ウォーカー「ムーラン」レイアウト監督
脚本・タブ・マーフィ/ローン・キャメロン/デヴィット・ホーゼルトン
音楽・マーク・マンシーナ「ライオン・キング」編曲「ターザン」
挿入歌・フィル・コリンズ/主題歌テイナ・ターナー
声の出演・ホアキン・フェニックス(キナイ) ジェレミー・スアレス(コーダ) マイケル・クラーク・ダンカン(タグ) D.B.スウィーニー(シトゥカ) リック・モラリス(ラット)
2003米/ブエナビスタ/85分
■「ブラザー・ベア」公式サイト

【マクノスケ】
ラストを知りたくない方は御注意を!
今回はディズニーの長編アニメ映画としては「ライオンキング」以来10年振りの動物もの。 「ライオンキング」は(全世界での)興行成績の歴代13位にランクされてるディズニー史上もっともヒットしている作品なんですが、 (ちなみに1位は「タイタニック」2位は「王の帰還」9位は「ファインディング・ニモ」) 物語の重厚さやテーマ性、作画の緻密さ、背景のこだわり…などから言っても、 やや地味ながらも「ライオンキング」を超えるものを感じて帰って来ました。
個人的にはフィル・コリンズの歌が「ターザン」に引き続き、ちょっとワンパターンに感じたのがマイナスなくらい。
(フィル・コリンズの曲は「ターザン」だけじゃなくてどの曲も似てるけど。)
物語のほとんどが「熊」の話と思いきや、主人公キナイの人間の時の話もだいぶあって 「熊の兄弟」と「人間の兄弟」のエピソードが次第にひとつとなって行き、 最後にキナイが「熊」として生きていく道を選ぶというラストに、はっきり言って驚いてしまいました! (日本のキャッチコピー…ってそういうことだったのかあ!)
いかにもディズニー的とも言えますが、あとからよく考えてみると、 サブキャラとして登場するヘラジカ(兄さんヘラジカのセリフ「ちゅき!」に大ウケ!稲田嵯裕里さんナイス翻訳!)や山羊やリスなどの動物たちもみんな兄弟で 「お互いに相手を必要としている」んですよね。そこに思いやりや信頼があって、 旅をしたキナイは更に責任というものを学んで行く…子供にはちょっとむずかしいけれど、 大人も充分に楽しめるという点では、最近のディスニーはかなり検討していると思います。
ちなみに字幕版では主人公キナイの声をホアキン・フェニックスが演じています。吹き替えでは少年隊の東がやってるようですが、 見終わったあと、マクタロウと「プラネテス」でハチマキをやっている田中一成さんがピッタリなんじゃないかという結論に達しました!(笑) キャラとしてはキナイの2番目のお兄さんデナヒがタイプなんですけどね!


【マクタロウ】
早く一人前の男として認めてもらいたいキナイ。しかし、その行動はまだ子供のまま。
自分が原因による熊との格闘で長兄を亡くした時も、非を認めず次兄の制止も聞かず、怒りの対象を熊に向ける。
熊を倒したキナイは、精霊となった兄の力で熊の姿に変えられてしまうのだが・・・。
気絶していたキナイが熊として目覚めた場面から一転、画面はビスタサイズからワイドスクリーンへ。
色彩も鮮やかに変化する。よく使われる手法ではあるが、このような演出のこだわりは観ていて嬉しいものである。
キナイはコーダという母熊とはぐれた小熊と旅を共にするのだが、 キナイは兄の死因を「モンスターに殺された」と説明する。 さすがに「熊に」とは言えず苦し紛れに出た言葉のように描かれるが、その後二人(二匹?)が壁画を見るシーンで、 このセリフが生きてくる。
壁に描かれた恐ろしげな熊と、槍を持ったヒトの姿。
コーダは言う「恐ろしいモンスターだね」そして「持っている棒も怖い」と。
この言葉に愕然とするキナイ。
人間から見れば恐ろしい熊、しかし熊も人間が怖い。相手の立場に立ってみる。 視点を変える。
他人の痛みがわかる人になる。この作品のテーマだ。
最後に、キナイは人間の姿に戻ることを捨ててコーダの面倒をみること、熊のままでいることを選択する。
もちろん贖罪の意味もあろう。しかし勇気ある選択である。
そして、ここでタイトル「ブラザー・ベアー」はダブルミーニングであることに気付く。ディズニー、やるなあ。



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マスター・アンド・コマンダー2004.3.13.(SAT.) 

1805年−ヨーロッパ征服を狙うナポレオンの前に多くの兵士の命が犠牲となった。 窮地に立つ英国軍が、一人の艦長のもとへ送り込んだのはまだ幼い少年たちだった…。(←ウソなんだけど…。)
監督・製作・脚本・ピーター・ウィアー「刑事ジョン・ブック」
原作・パトリック・オブライアン「ジャック・オーブリー・シリーズ」より
共同脚本・ジョン・コーリー
音楽・クリストファー・ゴードン
出演/ラッセル・クロウ ポール・ベタニー ビリー・ボイド 
ジェームズ・ダーシー
2003年ブエナビスタ(配給)
20世紀FOX・ユニバーサル・ミラマックス(製作)/139分
■「マスター・アンド・コマンダー」公式サイト

【マクノスケ】
今年見た映画の中では、「指輪」がなかったら「ミスティックリバー」と、どちらを1番に選ぶか迷うところ…。
登場人物も多く、帆船用語もちんぷんかんぷんだったんですが、 大海原を行く帆船の美しさとラッセル・クロウのかっこよさに惚れ惚れ。
サプライズ号(英国)とケアロン号(フランス)の帆船同士のかけひきにワクワク。(スタトレファンにはたまらないのよ!)
艦長と乗組員たちの人間ドラマに魅せられて帰って来ました。
特に少年を子供扱いせず、ひとりの男として描いているところとドクター (=ポール・ベタニーは「ビューティフル・マインド」でラッセル・クロウが生み出した妄想の人物を演じた人) と艦長の友情と信頼関係に好感が持てました。
ところでパンフレットの高橋泰邦さん(原作の翻訳者兼本編字幕監修)によれば、タイトルの「マスター・アンド・コマンダー」は 「航海長兼海尉艦長」で、正式でない下級艦長の呼称だそう。 誰もに信頼され不敗を誇る“ラッキー・ジャック”と呼ばれる伝説の艦長が主役のタイトルに 何故このようなものがついたのか製作者の意図を計りかねるそうです。
しかしこの映画、上記キャッチコピーもそうなんですが、 予告やテレビCMで流れていた艦長と少年兵の物語…って売りはどんなもんなんでしょうかねえ。 たしかにそういう部分はありますが、全体的に見ると純然たる海洋アクション物なんですよね。 大筋はサプライズ号(英国)とケアロン号(フランス)の帆船同士の追い掛けごっこですもの。 船員だって上級士官に士官候補生、水兵に船医とちゃんと揃ってるし… なにも少年兵だけが取り残されて敵と戦わなければならなくなったわけじゃないんですよねえ。 どうも最近の「なんちゃって予告」は頂けません!


【マクタロウ】
冒頭、ランプを手に艦内を見回る男。その明かりに映し出される砲の架台に書かれた ニックネーム。
もうこの映像を観ただけで作品の密度がわかった気がする。これはイケるぞと。
やがて始まる戦闘シーンでそれは確信に変わった。
艦尾にある艦長室でさえ、戦闘中は壁板と取り払い戦闘室となることや、怪我人の手 当中、床に流れる血で滑らないように砂をまくことなど、なるほどと思わせる描写の 数々。ピーター・ウィアー監督の徹底したディテールへのこだわりは素晴らしい。
ラッセル・クロウ扮するジャック・オーブリー艦長とドクターの友情、苦悩する若き 士官候補生、水兵達などの人物描写もそつがない。
特に、冒頭の戦闘で片腕を失う最も幼く見える士官候補生の少年。彼の描き方には、 監督の思い入れが強いように感じた。
腕を切断された後、彼を見舞う艦長との会話にみる憧れ、ドクターとのエピソードに 描かれるやさしさなど。
そして戦闘前の水兵とのやりとり。味方識別のための腕章を右腕に巻くように言いな がら配る彼に、
水兵が「右腕が無いやつはどうします?」
彼は「失礼だぞ」と一言。
これだけの会話で、彼と水兵達との信頼関係がみてとれ、嬉しくなる。
艦長もドクターも水兵達も彼を子供として扱っていないのである。
階級がものをいう軍隊の中で兵を率いていくには「兵の信頼を得られるか」が重要で ある。年齢などあまり意味はない。この作品ではそのあたりのことがキッチリと描か れていた。

さて、モデラーとしては「いつかは帆船モデルを作ってみたい」と思ってしまった次 第。もちろんDVDは「買い」です。



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ゼブラ−マン2004.2.21.(SAT.) 

白黒つけるぜ!!
監督・三池崇史「着信あり」「オーディション」
脚本・宮藤官九郎「木更津キャッツアイ」「ピンポン」「13階段」
音楽・遠藤浩二「着信あり」「中国の鳥人」
出演/哀川翔 鈴木京香 渡部篤郎 内村光良 市川由衣 大杉漣
 柄本明 岩松了 麻生久美子 袴田吉彦 古田新太
2004東映/115分
■「ゼブラ−マン」公式サイト

【マクノスケ】
横浜の小学校に潜み、密かに侵略を始めた宇宙人と成りゆきで戦うことになったかつての特撮ヒーロー「ゼブラーマン」にあこがれるコスプレ先生の奮闘記!
なつかしのアニメ特撮好きのわたしとしては劇中歌「ゼブラーマンの歌」を水木(一郎)さんが唄っているというだけで見に行ってしまいました。
噂に聞いていた鈴木京香演じる「ゼブラーナース」も予想以上にセクシーでクラクラ…。 あのような両肩むき出し、胸の谷間くっきりのボンテージファッションを笑顔で演じる鈴木京香さん、見直しましたよ〜。
「Vシネマ」とはとんと縁がないので、哀川翔の作品もあまり見たことがなかったんですが、なかなか味のある演技を見せる人ではありませんかっ!
小心者と暴れまくるシーンのギャップがおもしろい! (ちなみにマクタロウと同い年なんですよ〜ぉ!)
そこへ行くと渡部篤朗が またまたいつもと同じような一見クールで冷めているけど、実はいい人…の自衛官の役で出ていて、おもしろ味に欠けるのが少々残念だったかなあ。
お話の方も最初はコメディでスタートするんですが、自分の子供や教え子を守る為、本当のヒーローになって行く主人公の孤軍奮闘ぶりにホロリとくるところがあって、なかなかの手応えを感じました。 しかしバイクのシーンはカッコ良かったです〜。
やっぱり特撮ヒーローはバイクに乗ってなくっちゃね! こういうところはみごとにツボを押さえていてくれた嬉しかったです。


【マクタロウ】
家庭崩壊しちゃっている上に、学校でも「暗い」と言われている教師。
唯一の楽しみ は少年時代に観たヒーロー番組「ゼブラーマン」のコスプレをすること。
そんな彼が「真のヒーロー」になっていくまでを、笑いあり涙ありで描いています。
部屋の中でコスチュームを着けて「必殺技」を繰り出しているだけでは我慢できなく なり、家の前の自動販売機を二階からながめて「ジュース買いに行っちゃおうか な〜」なんてセリフや、転校生の浅野クンが自分よりゼブラーマンに詳しいと知るや 「浅野さん・・・って呼んで良いですか?」てなセリフには爆笑しました。
いやー、わかる、わかるぞその気持ち!!(私はコスプレしませんけどね、ほらオタク心って ヤツですな)
最後の戦いに向けて特訓でボロボロになり、負けを覚悟で決戦に臨む姿は定番なれ ど、素直に感動できます。
ヒーローはこうでなくては!!
配役は抜群です。哀川翔は根暗先生もはまっていたし、なにより「真」のゼブラーマ ンになった時のキメポーズは様になっていました。しかし、最も凄いのは鈴木京香の 「ゼブラナース」でしょう!!
まさか鈴木京香が、あんなコスチュームを着るなん て。
演出は、やや変化球でくる部分もありましたが、上記のようにツボは押さえてあった のでOK。
欲を言えば、「東映!!もっと予算出してやれよ!!」ってことでしょうか。
私の考えすぎかもしれませんが、東映は「ちょっと劇場に掛けてハクを付け、ビデオで儲けよう」
としている様に見えるんですよね。
そう言う私もDVD買うかもしれません。



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ロード・オブ・ザ・リング・王の帰還2004.2.7.(SAT.) 

指輪を捨てるその時、初めて明かされる感動のクライマックス。遂に完結!
原作・J.R.R.トールキン
監督・製作・脚本・ピーター・ジャクソン「さまよう魂たち」
脚本・フラン・ウォルシュ フィリッパ・ボウエン
音楽・ハワード・ショア「羊たちの沈黙」「セブン」「スキャナーズ」
出演/イライジャ・ウッド ビゴ・モーテンセン イアン・マッケラン オーランド・ブルーム リブ・タイラー
2003米/ヘラルド=松竹/203分
■「ロード・オブ・ザ・リング」公式サイト

【マクノスケ】
とうとう完結…。
でも、どういうわけか今まで以上に心静かに淡々と見ている自分がいて、それなのに涙が止めどなく流れて来ました。
原作を読んだ時に見たいと思っていたシーン(フロドが死んだと思ったサムが指輪を持って滅びの山に向かうが 「おらの居場所はフロドの旦那のそばだ!」と言って戻るシーン、アラゴルンがペレンノール野の戦いで傷ついたファラミアや ゴンドールの人々を手かざしで治す「王の手は癒しの手」のシーン、ファラミアとエオウィンが恋に落ちるシーン) が全部無くても(!)これほど良いとはまさに驚異的です。
メインのキャラクターの活躍はもちろん、特に好きなキャラクターであるセオデンの凛々しさ潔さに酔いしれてしまいました。 ペレンノール野の勝ちどきをあげるシーンでは、私も心の中でローハンの騎士たちといっしょに「死だ〜っ!」と絶叫!(笑) 「これで父祖に恥じることなく死ねる」というセリフには泣かされましたねえ。
灰色港のシーンも想像していた通りで驚かされました。 傷ついたフロドがエルフたちといっしょに西の国へ旅立ってしまうラストがまた切ない。 でも物語はサムによって彼の子供達に語り継がれて行くんですよね。 このへんが「二つの塔」のラストのサムとフロドの会話とシンクロして更に泣けてしまいました。 (要するに中盤以降、ずっと泣いてたんですね…。私…。)
しかし、原作の必要不可欠な部分を上手くまとめ、キャラクターを最大限生かし切った見事な脚本とすばらしいロケーション、 壮大なハワード・ショアの音楽といつまでも心に残るエンディング曲「Into The West」、そして適格な演出、監督の才能に脱帽です! 3時間23分は決して長くありませんでした。
あぁ、これで終わってしまったんだという喪失感もありますが、 それ以上にこの映画を全部見る事が出来たと言う幸せを実感しています。ほんとうにありがとう!ピーター・ジャクソン監督。

「王の帰還」ねたバレ掲示板を設置しました。感想をぜひ書いて下さいね!→「ロード・オブ・ザ・リング」ねたバレ掲示板


【マクタロウ】
堂々たる三部作、ファンタジー巨編のラストを飾るにふさわしい、素晴らしい出来映 えです。
ピーター・ジャクソン監督の演出は見事に私のツボを突いてきました。特に前二作と 対をなすセリフ(セオデン王の最期、「おまえの顔がわかる、エオウィン」は「二つ の塔」でサルマンの術から解かれた時と同じセリフ)や行動(「旅の仲間」のラス ト、船の上から伸ばされたフロドの手をサムが掴む。今回は崖の上から伸ばしたサム の手をフロドが掴むのだ)では、ファンは「グッ」とくるだろう。
また、グワイヒアの登場をいきなり見せず、ガンダルフの所に「蛾」が現れることに より観客に「グワイヒア!!」と知らせるあたりも見事な演出!!
凡庸な監督なら、さもないシーンにしてしまいそうな狼煙のリレーもジャクソン監督 は、本作中屈指とも言えそうな感動的なシーンに作り上げている。
ロケーションの美しさ、カメラが山頂の狼煙台を回り込むと、彼方の山頂に炎が上が るその演出、そして音楽の素晴らしさ!!ハワード・ショワのスコアはクラシック音 楽のような格調高さで各場面を盛り上げます。
ローハンの騎士団のかっこよさも健在。いや、更に過酷な戦いへと赴くその姿は、前 作以上。ゴンドールの命運も最早これまでと思ったその時、響き渡る角笛の音。朝日 を背に現れる騎馬隊の勇姿と心意気に目頭が熱くなります。

この三部作はストーリー、キャラクター、演出、音楽、特殊効果と、全てがとても高 い点で調和した、希にみる傑作と言えましょう。
スクリーンに「The End」の文字が映し出されたとき、立ち上がって拍手を送 りたくなりました。
さすがに実際にはできませんでしたが、今後「王の帰還」を観る度に、この三部作を 映画館で観ることができた幸せと、スタッフ、キャスト、作品に関わった全ての方々 への感謝をこめて、心の中でお礼と拍手を送り続けたいと思います。



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タイムライン2004.2.1.(SUN.) 

それは14世紀からのSOS。歴史の中に消えた教授を救い出せ!!
原作・マイケル・クライトン
監督・製作・リチャード・ドナー「リーサル・ウェポン」
脚本・ジェフ・マグワイア「ザ・シークレット・サービス」
音楽・ブライアン・タイラー「ハンテッド」
出演/ポール・ウォーカー フランシス・オコナー ジェラルド・バトラー ビリー・コノリー
2003米/ギャガ=ヒューマックス/116分
■「タイムライン」公式サイト

【マクノスケ】
1357年、百年戦争(1339〜1453)真只中のフランスにハイテク企業ITCの時空間転送装置で 行ったまま戻れなくなってしまった考古学者の父を探しに出掛けた息子クリスたち発掘チームだったが、 戦争に巻き込まれ現代に帰って来れなくなってしまう…。

考古学者が発掘資金を出して貰ってる傲慢なハイテク会社の陰謀に巻き込まれてしまう…って言う図式が 「ジュラシックパーク」と同じなんですが、(考古学者はお金に弱い?)全体的にはまあまあの仕上がりで思っていたよりもおもしろく見ました。
後半のフランス軍の石投げ機のシーンはなかなかの迫力でわくわくしてしまいました。
ところでパンフレットを読んだところ、この作品「タイムスリップ」ものだと思っていたら然にあらず…。
もともとは物質をFAXのように転送する目的で開発した物質移動装置がどういうわけか1357年のフランスへ繋がってしまったということで、 時間を遡っているのではなく別世界のフランスへ行ってしまったいうことらしいんですね。
だから彼らが中世で何人人を殺そうとお構いなし、それが「この世界」に影響を与えることは一切ないという理屈なんだそうですが、 あれ?そもそも話のきっかけである「眼鏡のレンズ」って「この世界」の遺跡から発掘されたんじゃなかったっけ?
それだったらちゃんと「影響与えている」んじゃあ…。(笑)
それからいつものように憎々しい悪役を今回もみごとに演じ切ったデビット・シューリス! (「ハリポタ3」に出るとか?)なんでもクレア姫を演じたアンナ・フリエルと交際中とか!
くわ〜っ!やるなあ。シューリス!憎いぜ!!頑張ってくれ〜っ!!

【マクタロウ】
中世甲冑好きとしては、まずまず楽しめました。攻城シーンに登場する投石機なんて かなり迫力モン。
前半の発掘シーンで前振りをしておいて、後半中世に移って「あ、これがそうなの か」てな展開は定石ながら、まずまず面白かったです。
しかしツッコミ所も満載で、フランス軍勝利のきっかけになる姫を助けた、登場人物 のセリフ「歴史を変えてしまったかもしれない」ってアンタ、その前に兵隊を殺して るじゃないの。(歴史の)大筋があっていれば名も無き兵士の死はどうでもいいのか !?
主人公達が中世に行くきっかけとなった博士からのメッセージとメガネ。主人公が中 世でそれを見つけて、持っていこうとするとヒロイン(?)曰く「それをもどして。 そうしないと(私たちが)助けに来ない」。わかるようでわからない、「時間もの」 によくある今ひとつ納得できない理屈。と思っていたらパンフレットを読んだかみさ んが言ってましたが、「時間旅行はしてない。パラレルワールドに行ってた」らし い。
それじゃあ「メガネとメッセージ」はどっから来たんじゃい!!(笑)



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WATARIDORI 2004.1.31.(SAT.) 

それは、“必ず戻ってくる”という約束の物語。
総監督・ジャック・ペラン「ミクロコスモス」
「ニュー・シネマ・パラダイス」サルヴァトーレ(トト)出演!
脚本・ステファン・デュラン
音楽・ブリュノ・クーレ「ヴィドック」「クリムゾン・リバー」 2001年フランス/日本へラルド映画/99分
■「WATARIDORI」公式サイト

【マクノスケ】
小田原のヴァージン(2月の末からはいよいよTOHOシネマズに改名!)で「セレクト2003」として、 もう1度観たい映画をセレクト、プレミアスクリーンで「WATARIDORI」が上映されるというので見に行って来ました。

プレミアスクリーンは確かに座席はゆったりとしていてペアの座席の間にはミニテーブルもありくつろげるのですが、 予想外にスクリーンが小さくて少しがっかりでした。
映画の方も思った以上に筋がなかったかなあ。(笑)
豊かな自然をバックに繰り返される様々な渡り鳥の飛翔シーンについ…うとうと…いや、ほんと心も身体もリラックス。
タンチョウヅルが雪に足を取られて転ぶシーンやペンギンも渡り鳥だったって言うのは目からウロコでしたネ!
しかしホントこれだけの種類の鳥の映像をここまで美しく撮ったスタッフのみなさまお疲れさまでした!

【マクタロウ】
鳥が飛翔する姿を間近でとらえた映像。これが特撮でもCGでもないってところが凄 い。
この映像を撮影するには、鳥達が人間と撮影用の飛行機(エンジン付ハンググライ ダーか?)に馴れる必要があったので、かなりの数の鳥を雛の段階から育てたと聞 く。制作者の苦労は計り知れないが、その努力は報われているだろう。
キッと前を向きひたむきに飛ぶ鳥達の、けなげとも思える姿をカメラのレンズにぶつ かりそうな距離でとらえた映像には感動するほかない。「ホンモノ」の凄さである。
この作品は純然たる「ドキュメンタリー作品」ではなく、「鳥達の姿に肉薄した映像 集」と言った方が良いと思うが、 折れた翼をひきずりながら蟹共から逃げまどい、やがて食われてしまう鳥(ゾンビ映 画のような怖さがあった)や、ハンターに打ち落とされる鳥達の映像もあり、きれい 事だけで済ましていない制作者の視点には共感した。
とは言え、明確なストーリーがある作品ではない。2、3回睡魔に襲われたことは正 直に告白しておきます。

P.S
翌日、鴨南うどんを食したあたりが、我凡人の証なり。



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ラストサムライ2004.1.25.(SUN.) 

誇りを捨てず、戦い、愛し、最後まで「サムライ」であることに殉じた“ほんものの男たち”… この冬日本のサムライスピリットが世界を圧巻する!
監督・エドワード・ズウィック「レジェンドオブホール」「グローリー」
脚本・ジョン・ローガン「スタトレ・ネメシス」「グラディエーター」
出演/トム・クルーズ 渡辺謙 真田広之 小雪 ティモシー・スポール 
■「ラストサムライ」公式サイト

【マクノスケ】
公開7週目にもかかわらずかなり人数の多さにこの映画の人気が伺えると思うのですが、 う〜ん。私としては割と普通でしたかねえ。
仕方がないというか…わかってはいるんですが、 どうも時代考証が気になったのとトムくんや勝元の立場に矛盾するところがあって、 乗り切れない部分もあったのですが、大まかなプロットはまあまあ良かったんじゃないかと思いました。
なんだかんだ言っても泣くことは泣いちゃったんですけれど、 私が泣けたシーンはどれも別れのシーンで特に「武士道」に感動して泣いたわけではありませんでした。
それからトムくんのナルシストぶりがまた良かった!(すべてのシーンがカッコ良く撮れてた!)
渡辺謙も熱演でよかったと思いますが(ゴールデングローブ賞残念でした…。) 真田広行の役が武士らしくて好きでした。
東映の大部屋俳優の福本さんもトムくんを見張る武士の役で出てましたね。
時代劇ですごい形相で切られる福本さん、ここでは押さえた演技が光っていました。
あ、あと大村をやった原田真人監督(沼津市出身!)思った以上の出番と演技に感心しちゃいました。
小雪の子供役の子は「鉄人28号」の正太郎くんをやるそうですね。ちょっと期待しちゃう!

【マクタロウ】
1人のアメリカ人兵士が(アメリカ人が蔑視する)異文化の中に入り込み、その文化 に畏敬の念を抱き、やがて彼らのために戦うという図式は、 そのまま「ダンス・ウィズ・ウルブス」です ね。
私はこの作品を「インディアンを日本人に置き換えた、西部劇の亜流」と観ました。
侍、武士道については、かなりリサーチしたであろうことは感じられます。しかし、 その描き方は彼ら(ハリウッド)の理想とする「侍」や「武士道」じゃないかと思い ました(やっぱりニンジャを出しちゃったりね)。
設定もかなり無茶してるし、私は今ひとつ乗れないまま終わってしまいました。これ は時代劇と言うより、一種のファンタジーと考えれば良いんですけど、なまじ「日 本」を舞台にしているので、それも難しかったですね。

俳優は渡辺謙が話題になってますが、私としては真田広之の方に感情移入出来まし た。役としては小さいかもしれませんが、ピリッときいた良い役だったと思います。



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リクルート 2004.1.17.(SAT.) 

信じるな。自分の《五感》でさえも。
監督・ロジャー・ドナルドソン
脚本・ロジャー・タウンほか
出演/アル・パチーノ コリン・ファレル ブリジット・モイナハン       
■「リクルート」公式サイト

【マクノスケ】
タイトル通り、CIAの(「Central Intelligence Agency」アメリカ中央情報局。 1947年に設立された大統領直属の政府機関。反米的団体や他国の政府の監視とその情報の収集が主要任務。 (新辞林 三省堂)) 人材募集で集まった新人たちの養成の裏に潜む罠を描いたアル・パチーノ、コリン・ファレル共演のCIAスパイ養成サスペンス!

とにかくスパイ訓練の内容が半端じゃないんですよねえ。
あんなひどい目にあっていたら絶対人間不信になっちゃうし途中でリタイアしちゃうと思うんだけど、 失踪した父の消息を知りたい主人公の心理を巧みに操る養成員アル・パチーノという設定が上手い!
最後には「やられた〜!」というオチもあって渋いながらもなかなかおもしろく見て来ました。
主演のコリン・ファレルはハリウッドの問題児なんて言われてますが、 映画の中では人の良さそうな温和な人物に見えちゃうから不思議。 どことなく表情がブラピに似ているところもあって私は勝手に「黒のブラピ!」と呼んでいます。(笑)

【マクタロウ】
もし、ある日CIAからスカウトが来たらどうしよ?
この作品の主人公(コリン・ファレル)は父の死の真相を知りたいという思いから、 CIAエージェント(アル・パチーノ)からの誘いを受けますが(最後の最後までこ のネタは引っ張ります)、まあ私のような者の所に来る訳はないので、そんなこと考 えてもしょうがないのですな。

話の運び方はなかなかうまく、後半の「訓練なのか実際の任務なのか」という展開 は、「長すぎる」と思われそうな前半の新人訓練シーンがあればこそ。最後の一か八 かの「ハッタリ」は面白かったです。
しかし、全体としては並の出来。役者が魅力的なだけに、ちょっと残念でした。



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ミスティック・リバー 2004.1.10.(SAT.) 

もうひとつの「スタンドバイミー」を見るためにあなたは大人になった。
監督・クリント・イーストウッド
脚本・ブライアン・ヘルゲランド
出演/ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビン・ベーコン       
■「ミスティック・リバー」公式サイト

【マクノスケ】
3人の少年たちが体験した忌わしい誘拐事件から25年後… 「娘を殺された被害者」「刑事」「容疑者」という形で再会した彼らを 待っていたいたのは意外な結末だった。 事件の真相と3人の人生をイーストウッドが丹念に綴った2時間18分!!

新年からぐっと来るような手応えを感じて帰って来ました。 今のハリウッドにあってこのような作品を撮ろうとする監督にエールを送りたい気分です。 じっくりしっかり人間の心情を描いて行く部分と謎解きの部分がみごとにマッチしていて、 あっと言う間の2時間18分でした。むしろもう少し長くティム・ロビンスの心情を描いてくれてもよかったくらい…。
共演のショーン・ペン、ケビン・ベーコン、ティム・ロビンスの3人の演技も素晴らしいのひと言に尽きるのですが、 特にショーン・ペンがどのシーンを取っても上手いんですよねえ。この役はショーン・ペン以外考えられないです。
女優陣のマーシャ・ゲイ・ハーデンとローラ・リニーも好対照でいいんだけど、 アウトアサイダー的な存在のローレンス・フィッシュバーン(マクタロウと同い年!)のあのふてぶてしい演技も捨てがたい! (…って最初、ローレンス・フィッシュバーンに似てる人が出てるなあ〜なんて思いながら見ていた私っていったい…。)
更にエンドロールで音楽をイーストウッド自身がやっているのを見てビックリ! 本当に才能がある人なんだなあと舌を巻いてしまいました!

【マクタロウ】
少年時代に体験した忌まわしい事件から開放されることがなかった3人の男達。
その内の1人(ショ−ン・ペン)の娘が殺されたことから再び3人の交流が始まり、 悲劇で幕を閉じる。
監督クリント・イーストウッド(今回は監督に専念)はこの重いストーリーを、犯人 探しの推理ドラマとともに、実に見事に描ききっている。
出演者の演技も素晴らしく、主要な3人、ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビ ン・ベーコン(今回は良い刑事さんだ)はもちろん女優陣、特にマーシャ・ゲイ・ ハーデンは見事でした。
ラストの彼女、とまどい、悲しさ、恐れが混ざったその表情は深く心に残ります。

それにしてもクリント・イーストウッドって人はすごい人ですね。俳優としてはもち ろん、監督としてもこれだけの作品を作れる。あ、上で監督に専念って書きました が、本作では音楽も手がけています。恐るべし、イーストウッド!!



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ミシェル・ヴァイヨン 2004.1.1.(THU.) 

輝け、愛と激突の頂点で
原作・ジャン・グラトン(コミック)
監督・ルイ・パスカル・クヴレア
製作・脚本・リュック・ベッソン
出演/サガモール・ステヴナン ディアーヌ・クルージェ       
■「ミシェル・ヴァイヨン」公式サイト

【マクノスケ】
事前情報としてはリュック・ベッソン脚本のレース映画とだけで、あとは何も知らずに観たのですが、 マジな映画と思いきや、なにやら途中から悪役の人物描写が漫画チックな展開に…。 あとで知ったんですが、これってフランスのコミック(漫画)の映画化だったんですってね。 知ってれば、もっとノレたんじゃないかと思うと残念なことをしました。
観てる時は、まあまあな感じだったんですが、時間がたつにつれて、意外とおもしろかったんじゃないの〜という気にもなって来ました。 もしかしたらお正月映画の「大穴」だったのかもしれません。
主人公を演じたサガモール・ステブナン(大の日本贔屓で胸に「忍」の入れ墨をしている!)もモロ私のタイプだし(笑)、 敵味方のレーシングチームのそれぞれのキャラもそこそこ立っていておもしろかったです。
その昔のアニメ「グランプリの鷹」や「マシンハヤブサ」を実写化したらあんな感じなんだろうなあ。 こんなのを映画化しちゃうリュック・ベッソンって、やっぱりフランスのおたくなのかなあ…なんて思いつつ、レースシーンの爽快感に酔って来ました。 パート2が出来たら、絶対観に行っちゃうよ!(^▽^)=b

【マクタロウ】
とにかく映画館の大画面と音響で、レース映画を観たかったのよ。
もうそれだけで観に行ったようなモンです(画的にはCMやTVでの紹介を観た時、 ハリウッド的な「CGバリバリ画面」になっていなかったのもこの作品を観ようと 思った理由ではありますがね)。
さて、私の欲求は満足させられたのかと申しますと、手放しで「良かった」とは言え ないんですよ。
ライバルチーム「リーダー」の妨害工作はエスカレートしすぎで、いくらコミックス の映画化とは言え、
ちょっと興ざめギリギリ。ここが一番不満な点。
「レース映画を観たい」と言うのは「レースカーが写っていれば良い」ってわけでは ないですからね。お話も楽しめるものでないと、辛いです。
映像は美しくて、さすがはフランス映画。特に前半のラリーシーンは素晴らしかった です。続編を作るなら、ぜひラリーを舞台にして欲しいなあ。
と、ここまで書いてきたのは鑑賞直後の素直な感想。ところが時間がたってくると、 興ざめギリギリのお話も「あれはあれで面白い」と思えるようになってきまして、こ りゃDVD買いだなあ。



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これ以前の作品は2003年上半期、下半期をご覧下さい。

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