のほほん映画観賞備忘録・2007年5月〜8月

SF・アクション映画が大好きなマクノスケ&マクタロウの映画鑑賞備忘録です。
ふたりで「のほほ〜ん」と感想を語っています。


■2007年 5月〜8月  基本的にネタばれしておりますので御注意を!
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  【2007】/1月〜4月/5月〜8月/9月〜12月

  【5月】入院のため映画は見ませんでした。
  【6月】 GOAL!2 / プレステージ / 300 / ザ・シューター 極大射程 /
           パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド / ゾディアック / アポカリプト /
  【7月】 ダイ・ハード4.0 / しゃべれども しゃべれども / ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 / 河童のクゥと夏休み /
           レミーのおいしいレストラン /
  【8月】 トランスフォーマー / 怪談 / ルネッサンス / ファウンテン永遠につづく愛 /

■2007. 8月
  トランスフォーマー / 怪談 / ルネッサンス / ファウンテン永遠につづく愛 /

ファウンテン永遠につづく愛 2007.08.25.(Sat.)
■何度生まれ変わっても 僕は君を失う運命なのか。

監督: ダーレン・アロノフスキー
製作: エリック・ワトソン アーノン・ミルチャン イアイン・スミス
製作総指揮: ニック・ウェクスラー
原案: ダーレン・アロノフスキー アリ・ハンデル
脚本: ダーレン・アロノフスキー
撮影: マシュー・リバティーク
プロダクションデザイン: ジェームズ・チンランド
衣装デザイン: レネー・エイプリル
編集: ジェイ・ラビノウィッツ
音楽: クリント・マンセル
出演: ヒュー・ジャックマン / レイチェル・ワイズ / エレン・バースティン
上映時間 97分 製作国 アメリカ
公開情報 劇場公開(FOX) 初公開年月 2007/07/14
「ファウンテン 永遠につづく愛」公式サイト

【マクタロウ】
不治の病に冒された妻。彼女をむしばんでいく「死」を払いのけたい。
主人公トミー(ヒュー・ジャックマン)は、自身が医者であるが故に、そのことに挑戦し続ける。
実は、彼は死の恐怖におびえ、彼女の運命を受け入れたくないだけ。彼女と過ごす時間も削り研究に没頭するのも、「死」の恐怖から逃れたいだけ。そのことが妻を悲しませているとも知らずに。

主人公の妻イジーが書いた中世スペインを舞台とした小説部分と、1本の木と僧のような姿の主人公を包み込んだ透明な球体が宇宙空間を飛行するイメージが交互に現れ、混乱する観客もいるだろう。
それぞれのパートが時系列をバラバラにして(更に繰り返し)挿入されるという演出をとっているが、通して観れば本作は、トミーが「死」を受け入れるまでを描いた作品とわかる。
作品紹介などでは小説部分を「過去」、宇宙空間の部分を「未来」などと記述されているようだが、小説部分はあくまで小説の映像化であり、宇宙空間はトミーの心理描写であり「未来」を描いた物ではないと思う。
更に副題にある「永遠につづく愛」というのも作品の本質をねじ曲げているように感じる。
どちらかと言えば「永遠につづく命」であり、その「命」も不老不死のそれではなく、生物の連鎖、死んだ者が土に返り、そこを苗床として草木が生え・・・という概念。
主人公がいかにしてその概念に到達するか、が本作のストーリーであり、「生と死」こそがテーマであろう。

ラストではトミーがイジーの墓石のそばに木の実を植える。彼が彼女の死を受け入れた証拠である。
おそらく、彼はイジーの書いた小説の最終章を書き上げることだろう。
そのことで彼女の存在は生き続けるのだから。


【マクノスケ】
静岡シネギャラリーで「ファウンテン 永遠につづく愛」見てきました。こちらミニシアター系の映画館で、この日の上映は2回。1回目を見たのですが20人くらいでしたかねえ。 私はヒュー・ジャックマン見たさに見に行ったわけですけど…。

レイチェル・ワイズ演じるイジーが書き綴った物語「ファウンテン」に登場する中世マヤを舞台にしたスペインの騎士パート、新薬の研究をしている現代のトミーパート、そして彼の生死感を具象化した生命の木パートと、どれもヒュー様熱演で頑張っておりました。
「π」「レクイエム・フォー・ドリーム」(どちらも未見)の鬼才ダーレン・アロノフスキー監督、結構、アップ好きとみえてヒュー様好きには堪らなかったと思います。特にイジーを失い薬指にペンで指輪の代わりの入れ墨をしながら、大泣きするヒュー様の演技は「素」ではないかと思うほどリアル!改めてヒュー様の演技の巧さに脱帽した次第です。

ヒュー様演じるトミーは妻が重い病に犯され死んでいくという現実を受け入れられず、彼女の遺言にもなる小説の最終章も書き上げられず、精神世界への逃避を求めます。そこには永遠の命を約束する「生命の木」が空高くそびえ宇宙を彷徨っているのですが、映画は、このパートと彼女が書いた小説「ファウンテン」(根源)の物語がクロスし、スペインの騎士でもあり、イジーの夫でもあり、この生命の木を守る守護者でもある彼が、妻の死を受け入れ、ひとつの結論に到達するところでおしまいになります。
「永遠の命とは、肉体は滅ぶけれど、その肉体が土に帰り、やがて花を咲かせ、その種を鳥が運び、やがて新しい生命が生まれ、受け継がれていく」と言うこと。彼女のために必要だったことは、延命治療の研究ではなく、側にいてやることだったと気づくトミーの思いと映画のラスト、彼女の墓にそっと埋めてやる木の実がこの映画の全てを象徴していてましたね。

ところでこの感想をアップしようとキャッチコピーを調べたら「何度生まれ変わっても僕は君を失う運命なのか。」となっていて、やっぱりそういう売りなんだなあ…と改めて思った次第です。
パンフレットを買ってないのでわからないのですが、監督も「生まれ変わり」の話だって言っているのでしょうか?






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ルネッサンス 2007.08.17.(Fri.)
■一つの誘拐事件が、人類の未来を変える。
それは、触れてはいけない聖域だった。


[監・デザイン原案]クリスチャン・ヴォルクマン
[脚] アレクサンドル・ド・ラ・パトリエール、 マチュー・デラポルト
[音]ニコラス・ドッド
[キャラクターデザイン]ジュリアン・ルノー
[声の出演]ダニエル・クレイグ 、 キャサリン・マコーマック 、 ジョナサン・プライス 、 イアン・ホルム 、 ロモーラ・ガライ
[制作データ] 2007ハピネット=トルネード・フィルム
[上映時間] 106分(フランス/イギリス/ルクセンブルグ合作)
「ルネッサンス」公式サイト

【マクタロウ】
フランス、イギリス、ルクセンブルグの合作アニメ。アニメと言っても最近の主流となりつつある(?)役者の動きをキャプチャーした3DCG作品だ。ただ、その画面はハイコントラストの白黒。そこがまず鮮烈である。うまくCGっぽさを消していて、まさにコミックスの画面がそのまま動いている感覚だ。
場面によっては実写作品を観ているようでもあり、不思議な気分も味わい面白かった。

話の内容はSFとしては良くある「不老不死」をめぐるものだが、ハードボイルドな雰囲気とツボを押さえた音楽で飽きずに観られた。
ラスト、被害者であるはずの女性が実は加害者であり、主人公が彼女を射殺するという展開は、最近のハリウッドでは出来ない芸当だと思う。

【マクノスケ】
本日が最終日…と言うことで、多少お疲れモード&ホントはリウマチのリハビリの日だったんですが、静岡まで「ルネッサンス」という映画を見に行ってきました。

この映画、ライブ・アクションを3Dアニメ化し、それをハイコントラスト・モノクロ映像に変換した「デジタル・モーション・グラフィック」なる手法が取られている新感覚のアニメ。…と言うか実際見てみると、一見メリハリの利いた白黒の実写だけど、よく見るとアニメだ…的な画面になっておりました。

ストーリーは近未来SFハードボイルド。 「ブレード・ランナー」なんかのパターンで多少手垢がついた感じですが、映像はそれこそよく頑張ったってな感じで、80年代のSF好きでアニメ好きな人は一見の価値あり。主人公カラスの声をダニエル・グレイグ。ムラー博士の声をイアン・ホルムが担当しています。音楽も堂々とした風格で作品を盛り上げていて良かったです。 作曲はニコラス・ドッド。これが映画音楽初担当だそうで、これまでは「スターゲート」や「007」シリーズの編曲と指揮を手掛けていたとか…。これからの活躍が楽しみです。





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怪談 2007.08.11.(Sat.)
■ずっと、ずっと、ずっと、あなただけ。

[監]中田秀夫
[原]三遊亭円朝
[プ]一瀬隆重
[脚]奥寺佐渡子
[撮]林淳一郎
[音]川井憲次
[出]尾上菊之助 黒木瞳 井上真央 麻生久美子 木村多江 瀬戸朝香
[制作データ] 2007松竹=ザナドゥー [上映時間] 119分・PG-12
「怪談」公式サイト

【マクタロウ】
「リング」で心底震え上がらせてくれた中田監督。
新作が古典的怪談「真景累ケ淵」を映画化と聞いて「モダンホラー作家が描く古典」と言う面でも楽しみにしていた。
とはいっても、毎度不勉強な私は原作の落語を聞いたこともなく、映画化された作品も観たような、観ていないような・・・。
そんな状態ですから、単純に本作の感想を。
まずは、江戸の情緒といいますか、雰囲気が良いです。
羽生の里も累ケ淵もセットとロケがうまく繋がっているように思う。
多くの日本映画は、ライティングの悪さからくると思われるセットの安っぽさ、わざとらしさが目に付くのだが、本作ではそれが感じられなかった。
役者は皆良い雰囲気を出していて(黒木瞳は可愛らしすぎるけど)、物語にすんなりと入り込める。
当然、恐怖場面も随所にある(雨宿りする橋の下のシーンは怖かった)。
だが、どちらかと言えば、親の因果が子に報い・・・という展開を「恨み」一辺倒ではなく「愛」と「悲しみ」の物語に持って行っていくのが更に中田監督らしいところか。
「リング」の時は、「怖さ」という部分ではずば抜けていたけれども、全体としては荒っぽさが目立っていたが、時代物を真正面からじっくり描ける手腕をみせてくれたのは嬉しい。

【マクノスケ】
「リング」の中田秀夫監督の新作「怪談」を見に行って来ました。「リング」を見て、ラストの貞子さんの目が頭から離れず1週間寝られなかったという過去を持つ私。今でも私の「怖い映画ベスト1」です。

今回も三遊亭圓朝の名作怪談落語「真景累ケ淵」を元に男と女の情念を描くその名も「怪談」と言うことで、どれほど怖い映画なのかと思っていましたが、なんだか悲しかったですね。女の嫉妬や男のエゴというよりは、そもそもはお互いの親の因縁がふたりの運命を狂わせたというところが、物語を美しく切ないものにしていたと思います。

主演のふたりもそんな「愛」の物語にぴったりで素敵でした。特に尾上菊之助の匂い立つような色気は素晴らしかったですね。黒木瞳も年増の役なのに尾上菊之助と結ばれても全然違和感ないくらい若くて可愛かったです。実は私…同い年なんですけどね。(^^;)音楽は押井さんやドニーさんの映画でもお馴染み、中田作品のほとんどを手がける川井憲次さん!いつもの「燃えサウンド」炸裂で今回も絶好調でした!





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トランスフォーマー 2007.08.04.(Sat.)
■未知なる侵略は トランスフォーム<変身>から始まる!

[監][総]マイケル・ベイ
[総]スティーブン・スピルバーグほか
[出]シア・ラブーフ ミーガン・フォックス ジョン・ボイト
[制作データ] 2007米/UIP [上映時間] 144分
「トランスフォーマー」公式サイト

【マクタロウ】
予告の映像が「怪獣映画好き」「巨大○○、都市破壊映画好き」としては気になる出来だったので、マイケル・ベイ監督作品だということを肝に銘じつつも期待をしていたのだが・・・所詮、マイケル・ベイはマイケル・ベイでしかなかった。
テンポが良いように見える(つもりの)カットの短さ、アクションシーンでも普通の会話のシーンでも被写体によりすぎで、居心地の悪い画面構成は健在だったのだ。
更に戦闘シーンの(迫力を出したつもりの)「手ブレ」演出が加わり、鑑賞後は目の疲労が激しかった。
映像的な凄さはハッタリではなく「ここまで出来るのか」という興奮をおぼえるものの、上記のような演出故、「もっとじっくり観せてくれ」というフラストレーションばかりが溜まる。
ストーリーの構成も、無駄な場面、ご都合主義的展開、不必要な登場人物が多い。もっと主人公サムとロボット達の友情に絞り込んだ方が良かったのではないだろうか。
せっかくの良い素材を下手な料理で台無しにされたような気分で、ただのつまらない映画を観たときよりも気分がスッキリとしない1日だった。

ミリタリー・ファンとしては、オープニングの「オスプレイ」、「A−10」「AC−130ガンシップ」の地上攻撃などが見所。
実際、このあたりのシーン(前半30分くらい)までは面白かったのだよ。

【マクノスケ】
ベイ監督とはウマが合わない私ですが、なぜか欠かすことなく見てたりします。「パールハーバー」の頃からすると短いカット割り、寄りすぎのカメラアングルも「アイランド」「トランスフォーマー」と見てきて、だいぶ慣れて来たかも…というのが第一印象でした。

巨大ロボットアニメ好きとしては、燃える部分もあって、ハリウッドの映像技術に感心もしたり、途中、ジョン・タートゥーロの怪演ぶりが嬉しかったり、期待の主役シャイア・ラブーフくんも新鮮で萌え萌えだったりしたのですが、もうちょっと味方ロボットと主人公サムの友情に焦点を当てても良かったんじゃないかなあと思います。

最後どうなるのかと思ったら、サムの持っていたキューブから「ビビビ」っと光線が出て悪ロボを壊しちゃったのには、そんな設定いつ出来たんじゃー?と首を傾げるばかりでしたが、そもそもキューブって、すんごいエネルギーが詰まってるなにかって事くらいしかわからないところが難点だったかも。最後もあのキューブがなくなってしまったので、味方ロボ軍団が帰れなくなってしまった事実が判明して「えぇー!!そういう事?」と思ってしまった私。エンドロールでは、あんなに大騒ぎになったのにも関わらず、あの事件がなかった事になっていましたが、パート2は、一体どういう設定で始まるのか気になります。あ、でもパート2、見ないかもしれないけど…。(笑)





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■2007. 7月
  ダイ・ハード4.0 / しゃべれども しゃべれども / ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 / 河童のクゥと夏休み /
  レミーのおいしいレストラン /

レミーのおいしいレストラン 2007.07.28.(Sat.)
■料理が苦手な見習いシェフ リングイニと、
パリ一番のシェフになりたいネズミのレミー──
その出会いは“おいしい”奇跡の始まり…。


[監][案][脚]ブラッド・バード
[総]ジョン・ラセターほか
[声]パットン・オズワルト ルー・ロマーノ イアン・ホルム ジャニーン・ガロファロー
[制作データ] 2007米/ブエナ ビスタ [上映時間] 117分
「レミーのおいしいレストラン」公式サイト

【マクタロウ】
ピクサー作品のキャラクターデザインは人なつっこい。一目見た瞬間から彼らに好感を持ってしまうのだ。
だから作品に素直に入り込み、楽しめる。
とはいえ、お話やギャグは好みが分かれるところで、私は「モンスターズ・インク」「ファインディング・ニモ」「Mr.インクレデブル」には乗り切れなかったクチで、前作「カーズ」も「面白かったが、ちょっと長い」という感想だった。
さて本作は、類い希なる味覚を持ったネズミのレミーが、シェフとして成功するまでと言う奇想天外なお話。
この、厨房でもっとも嫌われるネズミがシェフに・・・という「相反する物の組み合わせ」が面白い。
そこに、リングイニという人間との友情、レストラン乗っ取り、レミーの家族愛などを織り交ぜて1級のエンターテイメントに作り上げているところは流石だ。お話の展開は王道だが、押さえるところをキッチリ押さえたお話は、観ていて心地がよいものなのだ。今回は、画もお話もギャグもバッチリはまりました。

劇場用3Dアニメの先駆者でありトップランナーのピクサー、技術面でも更に進化しているようだ。
レミー達が田舎の家から脱出するシーンの、雨の降る野原の空気感やパリの夜景などは実写顔負けだ。それでいて登場人物の動きを含めたデフォルメは、まさに漫画映画。このバランス感覚こそがピクサーの素晴らしさだ。
ラスト、画面がフェードアウトしていく中、レストランの看板名「RATATOUILLE」(料理の名前であり、ネズミのRATとも引っかけた原題は秀逸)の文字が最後まで残りその後に「fin」。クレジットの背景は2D風アニメで、なんともオシャレな終わり方でした。

【マクノスケ】
愛すべき「アイアン・ジャイアント」のブラッド・バード監督作品。 前回の「Mr.インクレディブル」にイマイチ、ノレなかっただけに、今回はどうかなーと思っていたら、もうお洒落だし、面白いし、技術的にもパーフェクトだし、演出は凝っているし、他の追随を許さないって感じでしたねえ。レミーが尊敬する今は亡き名シェフ、グストーの、言わば座右の銘「誰でも名シェフ」が、そんな意味だったとは、最後の方までわからず…。(笑)

レミーが人の言葉を理解し、料理を作ると言う設定こそが、単なる「ファンタジー」と言うことではなくて、固定観念に縛られる事なく、自由な心を持つべきだという、この作品のメッセージだと確信しました。
マクタロウとも話しましたが、もうピクサーは「実写」でも「アニメ」でもない新しいジャンルの「域」に到達していますね。予告で見たディズニー製」の新作がかなり「ヤバそう」に見えたのは私だけ?

ねたばれ:つけたし
ピクサーの長編作品も今作で8作目となりましたが、「トイ・ストーリー」「バグズ・ライフ」「カーズ」とダメ主人公の奮闘振りを描くパターンが大好きな私。本作もレミーとリングイニが頑張ってくれました。もっともレミーは才能はあるものの「ネズミ」というのが問題なんでして、これを物語の冒頭から「誰でも名シェフ」、「ねずみでも才能があればお料理出来るんだよー」と振っているところが、現実とファンタジーの融合とでも言いましょうか…上手いなあと思いましたね。リングイニの意識がなくてレミーが操っているシーン、サングラスを掛け、ダラ〜〜ンとしているのですが、何故か人をなめているように見えちゃうところに大爆笑!ラスト、レミーが経営することになったレストラン「RATATOUILLE」!あったら是非行って食べてみたい!DVDになったらエンドロールの2Dアニメもじっくり見直して見たいです!





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河童のクゥと夏休み 2007.07.28.(Sat.)
■人間の友達ができちまった。

[監][脚]原恵一
[原]木暮正夫
[音]若草恵
[歌]大山百合香
[美]中村隆
[声]冨澤風斗 横川貴大 植松夏希 田中直樹 西田尚美 なぎら健壱 ゴリ
[制作データ] 2007松竹 [上映時間] 138分
「河童のクゥと夏休み」公式サイト

【マクタロウ】
夜の田んぼ。蛍が飛び交うあぜ道に腰掛けた親子の河童。
彼らは、住み家である沼の埋め立てを中止してもらうために陳情に来ていた。
ほろ酔い加減で通りかかる役人と、庄屋と思われる男。彼らは突然現れた河童への恐怖と猜疑心にかられ、ついに役人は刀を抜き、父親河童を斬殺してしまう。
ファミリー向けアニメのつもりで観ていたら冒頭から緊張感が走る展開で驚く(物語の発端が江戸時代というのも意外だった)。
この出だしは、原監督の「この作品はここまでやる!!」という決意表明なのだ。ただの「少年少女向け感動アニメ」ではないぞと、こちらも気合いが入る。
物語の展開、状況設定は(夏休み、少年、淡い恋、出会いと別れ)という「王道」ともいえるものだが、根底には「いじめ」や「自然破壊」といったテーマが見えてくる。
だが、作品が重苦しくなることはない。そこには登場人物のキャラクターの良さがあり、彼らが織りなす微笑ましいエピソードの数々が散りばめられているからだ。
けなげで礼儀正しいクゥ、ちょっとお調子者だが芯のある少年、康一。彼らを見守る父母、飼い犬の「オッサン」、いじめにあっている同級生、菊池。主要登場人物すべてに作り手の愛情を感じる。
「河童」と暮らすことになった上原家の、非日常的な日常も丁寧に描かれていて説得力があり、好感をおぼえる。

康一には、やがていくつかの別れが訪れるのだが、後の展開を想像すれば「永遠の別れ」はなく、いつかまた・・・、と思えるのもラストも良い。

キャラクターデザインは主流とは言えない地味なものだが、作品の内容にははまっていた。
クレジットには多くのスタジオ名が記されているが(海外のスタジオも多いようだが)、それ故か、作画が安定しておらず、場面ごとに出来不出来があるのは残念だった。

【マクノスケ】
「クゥ」はテレビのCMで見て、絵が好みでなかったり、話もよくあるタイプの話で、見る気はなかったんです。 でも、私が「おたく道の師」と仰ぐ漫画家のしらい先生が、ブログで「是非見て!」と書いていて、もしかしたら…と見に行ったら、いやーやられましたーァ!!!もう大泣きです!!「クレヨンしんちゃん」の原恵一監督。やりますねえ。今まで観た事がなかったんですが、きっと、巷では噂になっている「しんちゃん映画」も面白いんだろうなあーと思ってみたり…。

とにかくクゥを拾った浩一一家4人のキャラが抜群に良かったですね。それに飼い犬「おっさん」!単なる犬かと思ってましたけど、「おっさん」と「クゥ」の関わりがこの映画に更に深みを与えていて、単なる「ジュブナイルもの」に終わっていないところが、素晴らしかった。もし現実に河童がウチへやって来たら…という設定も見事に料理しているし、少年の成長と淡い恋の行方、いじめ問題、環境問題も盛り込み、それでも、雄弁すぎる事なく、ゆったりとした時間の流れを感じさせる素敵な映画でした。あまりにも「クゥ」が可愛らしくてぬいぐるみ…買っちゃいました!!(笑)

ねたばれ:つけたし
この作品、「空高く昇る龍」「異世界へ来てしまった名前を忘れた河童」「緑深い自然描写」など宮崎作品と共通する「キーワード」がいくつか登場します。宮崎作品がどちらかというとファンタジー寄りなのに対し、原監督はこれらキーワードを使って、現実の中でのファンタジーの導入を試み、それが開花していたように思います。東京タワーで龍が空高く舞うシーンはCGも意欲的に取り入れ効果を出し、ラスト、クゥがコンビニから宅急便で宅配されるシーンに至っては、あまりにリアルな描写に舌を巻きました。最後…沖縄に辿り着き、川面にたたずむクゥのセリフ「この土地の神様、俺が生きていけるだけの魚を、この川で捕ることをお許し下せぇ」に大泣きしてしまった私です。クゥちゃん、健気すぎるー!





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ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 2007.07.16.(Mon.)
■ハリーの本当の秘密、解禁。

[監]デビッド・イェーツ
[原]J・K・ローリング
[出]ダニエル・ラドクリフ エマ・ワトソン ルパート・グリント レイフ・ファインズ
[制作データ] 2007米/ワーナー [上映時間] 138分
「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」公式サイト

【マクタロウ】
1作目を観て自分の中では「終了」してしまっているシリーズなのだが、まあ、お付き合いでズルズルと・・・。

私は原作を読んでいないので、あくまでも映画版ハリー・ポッターの感想なのだが、シリーズどの作品もストーリーを進めるのに精一杯で、登場人物の心情などを描けていないように感じる。
特に主人公ハリーの魅力が、未だに私には伝わってこない。
本作では彼とチョウのファースト・キスまであるのだが、そこに至るまでの「ドキドキ」とか「そわそわ」が無いのだ。せっかく青春物の要素があるのに、それを生かし切れていないのは、もったいない。
そのチョウは、ハリー達「ダンブルドア軍団」の裏切り者となり、仲間から無視される。この裏切りは後に「自白剤」によるものだとわかるが、チョウに対する仲間達のフォローが描かれていないのは気になる。これで主人公の彼女というのは、扱いがひどすぎないか?
結局、あまり面白い作品とは言えないし、心に残るような場面もなかった。ただ、新たな登場人物ルーナが不思議チャンキャラでかわいかったかな。

【マクノスケ】
この作品、それ程入れ込んでないわたくし…。
でもここまで来たら最後まで…とマクタロウを説得して見に行きました。

映画は「4」まで、原作は「3」まで読んでいるんですが、本はまあまあ面白いものの、映画になるとどうしても「イマイチ感」が漂うのは、キャラクターを描くと言うより原作のエピソードをこなす方が優先されているせいなのかなあ?今回も半分以上は魔法省からやって来たアンブリッジ先生のいじめとそれに対抗するハリーたちの戦いを描く学園もの(←ちょっと大げさ?(笑))で、見どころは最後の15分。

でも、「おじさん好き」「イギリス人俳優好き」な私としては、ブラック(ゲイリー・オールドマン)、ルーピン先生(デヴィッド・シューリス)、スネイプ先生(アラン・リックマン)に燃え燃えで、特にブラックの巧みな杖使いにもうメロメロ〜〜〜。もうちょっと闘う時間が欲しかったーっ!!あそこだけ繰り返し何回も見ていたい…そんな衝動に駆られました。

だけどなあ。最後の因縁のふたりの戦いをみるにつけ、頭の中を「スターウォーズ」がよぎるのは私だけ?「1」を見た時からそんな事を言っている私ですけど、これってローリング女史が「スターウォーズ」世代で、影響受けていると見るべきなのか…どうなんでしょう? ダンブルドア校長の戦いシーンは「スターウォーズ・エピソード2」のヨーダとドゥークー伯爵の対決シーンよりカッコ良かったです。それにしてもアンブリッジ先生を演じたイメルダ・スタウントン!私と4つ違いです…。4年後、私もあんな風に…????





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しゃべれども しゃべれども 2007.07.07.(Sat.)
■みんな、
何とかしたいと思ってる
このままじゃ、だめだから


[監]平山秀幸
[原作]佐藤多佳子
[脚]奥寺佐渡子
[音]安川午朗
[出]国分太一、香里奈、森永悠希、松重豊、八千草薫、伊東四朗
[制作データ] 2007/アスミック・エース [上映時間] 109分
「しゃべれども しゃべれども」公式サイト

【マクタロウ】
しみじみと味わい深く、笑いもちりばめられた楽しい映画でした。

ふとしたことから「話し方教室」を始めてしまう主人公の落語家、三つ葉(国分太一)。
集まった生徒は十河(香里奈)、村林(森永悠希)、湯河原(松重豊)の三人。
講師といっても三つ葉とて、ぱっとしない二つ目の噺家。そんな彼が生徒三人と関わることにより、大切な物に気づいていく。
三つ葉は、落語は好きだが、果たして人間が好きであったのだろうか?
彼の噺が客に受けないのは、ストーリーを語ることしかしていなかったからだろう。そんな彼が、訳ありの三人と関わり、ふりまわされ、好意を持っていくことにより、人間を好きになり、人間を語ることの大事さ、面白さ、素晴らしさに気がついたのではないだろうか。終盤、彼が言う「落語が好きになった」という言葉は、そういうことだろう。
生徒三人も、それぞれに自分らしさ、自分の居場所を見つけていく。
きっかけは「うまく話したい」という希望だったが、実は「話すこと」が重要なのではなく、コミュニケーションこそが必要だったのだ。

国分は、まともに演技しているのを観るのは初めてだったが、落語家としての成長をうまく演じていた。
彼に限らず、登場人物のキャラクターが立っているのが良い。特に脇をかためる伊東四朗(見事な落語家ぶり)、八千草薫(かわいいおばあさん)は見事。

結局、落語でも映画でも「人間が描かれていないと面白くない」ということだな。

【マクノスケ】
ひょんなことから「話し方教室」を始める事になった二つ目の落語家・今昔亭三つ葉役を「TOKIO」の国分太一くんが演じているのですが、穏やかでほのぼのした国分くんのキャラを生かした役なのかと思いきや、これが結構感情の起伏が激しい役で意外性があって良かったです。

私のお目当ては画像一番左の松重豊さん!!コワ面であがり症というプロ野球解説者の湯河原太一役をコミカルに時に哀愁を帯びてじっくりと演じてくれました。ねた的には一番おいしい役だったかもしれません。また、美人だけど無愛想な十河五月役の香里奈、関西弁でいじめられっこの少年、村林優役の森永悠希くんも大健闘。国分くんの祖母役の八千草薫、落語の師匠の伊東四朗の肩の力を抜いた演技にも魅せられました。 展開も面白かったですが、セリフが生き生きとしていて人物描写がとても素晴らしい作品でした。やはり映画の善し悪しはいかに面白くキャラを描けるかどうかが肝心と思わせる1本。





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ダイ・ハード4.0 2007.07.01.(Sat.)
■あの男、再起動。

[監]レン・ワイズマン
[総]アーノルド・リフキンほか
[音]マルコ・ベルトラミ
[出]ブルース・ウィリス ジャスティン・ロング ティモシー・オリファント マギーQ [制作データ] 2007米/FOX [上映時間] 129分
「ダイ・ハード4.0」公式サイト

【マクタロウ】
あまりに馬鹿馬鹿しい予告編ゆえに観るつもりはなかったのだが(そもそも「3」は観ていないし)、マクノスケの「観たい」という気持ちと、たまにはお袋を映画に連れて行くかという気分から鑑賞となった。
シリーズ1作目を観たときは、見事な脚本と「ここまでやるのか」というアクション場面にうならされたものだ。まさに、それ以降のアクション映画の方向性を変えた作品といえるだろう。
だがそれは、アクション大作といえば「派手な場面の連続で大味」という図式を(本来ならば、最も大事にすべき脚本の見事さを無視して)作ってしまったように思う。
結局「元祖」のシリーズ4作目である本作も、大味のアクション映画であった。
相棒となるハッカー青年とのコンビは面白いが、「死なない男」ジョン・マクレーンは、今回も次から次に危機を乗り越え、ついには最新鋭戦闘機と戦う場面に至って、もはや「やり過ぎ」という言葉しか出てこない。
それでも「こんな場面は、こんな映画でしか拝めないし、大画面と音響を楽しもう」と頭を切り換えれば「それもまた楽し」と言ったところだろう。

【マクノスケ】
小田原のTOHOシネマズで見てきました。マクタロウは予告を見て、行きたくないモードに入っていたのですが、なんとか説き伏せ、マクタロウ母と3人でTHXのド迫力サウンドを堪能。でも、やっぱり疲れましたァ…。きっと若い頃に見れば息つく暇もないアクションが凄かった…ということになるんでしょうが、こう切れ間がない押せ押せの展開は、年寄りにはちょっと堪えます。

まあでもねえ。ブルース・ウィリスも好きだし、共演者もなかなか良くてですね。役者を見るという点ではなかなかでした。特にマット役のジャスティン・ロングくん。「ギャラクシー・クエスト」のSFおたく役や「ハービー/機械じかけのキューピッド」の自動車整備士など、いつも野暮ったい役どころがナイスだったのですが、今回は更に活躍度アップ!おたく監督として有名なケヴィン・スミスも「まんま」の役で出ているところも興味深いっ!20世紀フォックスだからか(?)「スターウォーズ」の小ネタ入れまくりなのもファンには嬉しかったっす! テロのお姉さんマイちゃんは「 M:i:III 」のトム君のメンバーのあの女スパイさんでしたね。

ところで私的にほかに燃えたのが音楽! 「3」までは故・マイケル・ケイメンだったのですが、今回「ヘルボーイ」のマルコ・ベルトラミが担当。いや〜〜これには燃えましたね。もうベルトラミ節全開! 「ブレイド2」とか「ターミネーター3」とかなんかシリーズ物の尻ぬぐいをしてるみたいな部分もありますけど、例によってそのワンパターンなところが堪らなく好きなんですよねえ。あとは…ケイト・ベッキンセイルの旦那レン・ワイズマン監督の腕の方は、普通でしたかねえ。それと、あとからマクタロウに聞いて知りましたが「ジョンソン」ねたがわかりませんでした。すっかり「1」のギャグを忘れちゃってる自分が情けないです。





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■2007. 6月
  GOAL!2 / プレステージ / 300 / ザ・シューター 極大射程 / パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド /
   ゾディアック / アポカリプト /

アポカリプト 2007.06.23.(Sat.)
■マヤ文明、崩壊前夜。
我々は驚異の世界の目撃者となる!


[監][製][脚]メル・ギブソン
[製][脚]ファラド・サフィニア
[撮]ディーン・セムラー
[出]ルディ・ヤングブラッド ダリア・ヘルナンデス ジョナサン・ブリューワー
[制作データ] 2006米/東宝東和 [上映時間] 138分・R-15
「アポカリプト」公式サイト

【マクタロウ】
全編マヤ語というメル・ギブソンの意欲作。マヤのピラミッド、生け贄の儀式などスペクタクル作品のツボを押さえつつ、ストーリーやテーマは至ってシンプルな「アメリカ映画」であった。

オープニングのバク狩りから、村での微笑ましい(と言ってはかわいそうだが)エピソードにより、主要な登場人物のキャラクターを手際よく見せる。
メル・ギブソンの監督作品は「顔のない天使」以来だが、作りに余裕が感じられるのは、さすがオスカー監督。

テーマやストーリーが単純な分、映像で勝負ということなのか、パワフルで「はっ」とするシーンは多い。 特に、滝の上に追いつめられた主人公ジャガー・パウの後ろ姿から河面、滝の下まで回り込むショットは素晴らしい。 また、父を殺した宿敵との対決でもカット割りのうまさと、効果的なスローモーションの使い方により、復讐の一撃が際だつ演出となっていた。

マヤの都市における描写に、自然破壊や貧富の問題を観ることが出来るかもしれないが、作品のテーマは家族愛だろう。 そのシンプルなテーマ、シンプルなストーリーを、凝りに凝った映像と美術、全編マヤ語というハンデで語ってみせるメル・ギブソン監督。その心意気に感心した。

【マクノスケ】
清水で見てきました。実はメル・ギブソン監督作品は初めて。
「顔のない天使」も「パッション」も「ブレイブハート」も未見です。

「顔のない天使」からコンビを組んでいる(「パッション」は違いますが)音楽のジェームズ・ホーナーが好き(…と言ってもここ5年はサントラ買ってないけど)で、気になっていたくらいだったのですが、劇場で予告を見たら、内容はバリバリのハリウッドのアクション映画じゃありませんか!ドキュメンタリータッチの映画じゃちょっとしんどいなあと思っていた気鬱が一瞬で消え去りました。

俳優さんは全く知らない人ばかりだったにも関わらず、とにかくその表情が素晴らしい!!大自然とその中に生きる人々。そこに忍び寄って来る文明というものが果たして人にどんな運命をもたらすのか・・・映画としての娯楽性も追求しつつ問題定義も組み込んだしっかりとした作品作りに好感を持ちました。退廃的なマヤの都市、主人公ジャガー・パウのテリトリーのジャングルなど風景も見どころ満載。罠や剣、親子の確執など、複線もきちんと落ちていて、大変に練られた脚本にも感心。音楽もホーナー先生。いつもの・・・だったんですが、(鐘と尺八は健在?)抑え気味で良かったかなァ。





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ゾディアック 2007.06.16.(Sat.)
■この暗号を解いてはいけない

[監]デビッド・フィンチャー
[原]ロバート・グレイスミス
[出]ジェイク・ギレンホール ロバート・ダウニー・ジュニア マーク・ラファロ アンソニー・エドワーズ
[制作データ] 2007米/ワーナー [上映時間] 157分・PG-12
「ゾディアック」公式サイト

【マクタロウ】
「パニック・ルーム」でがっかりさせられたデヴィッド・フィンチャー監督だったが、本作ではかつての「キレ」を取り戻し、全編にわたる緊張感が素晴らしい。
構成、映像、編集と、すべてにおいて計算し尽くされた感じで、隙がないのだ。
殺人場面の緊張感、恐ろしさは特筆物だろう。私も映画の殺人場面は慣れっこだと思っていたが、本作では正直、ゾっとした。

実際の事件について情報を持っているわけではなかったので、犯人(容疑者)探しの展開は興味深く観られた。
特に後半、ロバート・グレイスミス(ジェイク・ギレンホール)が、事件にのめり込んでいくにしたがって、彼と一緒にグイグイと作品に引き込まれていく(「ダーティー・ハリー」の犯人が「ゾディアック」を基にしているというのは知っていたが、公開当時、まだ事件の捜査中だったというのは驚く)。
やがて浮かび上がる、最も怪しい人物。本当に彼が「ゾディアック」だったのか?
作品鑑賞後も「ゾディアック」の影がまとわりついたような感覚で、劇場を後にした。

鑑賞後に入った人気の少ないトイレですれちがう人に対して、ちょっとした警戒感を抱いてしまった。こんな感覚になった作品もめずらしい。それだけ作品世界に引きずり込まれていたと言うことだろう。

【マクノスケ】
本作は「セブン」「ファイト・クラブ」のデヴィッド・フィンチャー監督が全米を震撼させた実在の未解決事件に挑むクライム・サスペンス。楽しみにしておりましたー!!「パニック・ルーム」でちょっと味噌が付いちゃったんですが、これは良い!! いい映画見ました!

フィンチャー監督はILMに就職後「スター・ウォーズ/ジェダイの復讐」や「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」などのマット・ペインティングを手掛けた人。だからではないにしても、冒頭からの景色の切り取り方から観客のつかみはOK!サンフランシスコの町並みを正面から見据えたカットなんて素晴らしいのひと事。

それに殺人の描写がドバーっと血を見せると言うわけでもなく、凄く日常的な状況で淡々と写して行くところが、尚更怖い!!湖のシーンは身の毛がよだちました。 ジェイク・ギレンホール演じるロバート・グレイスミスが事件に執着し、家族をも顧みなくなっていく様は「未知との遭遇」のリチャード・ドレイファスのよう。事件に首を突っ込みすぎた挙げ句に訪れる恐怖の体験!!!それでも真相を知りたいという欲求にも共感するものありで、映像、恐怖、感情、全てに刺激的な1本でした。それにしてもフィンチャー監督って凄すぎる!





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パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド 2007.06.16.(Sat.)


[監]ゴア・バービンスキー
[製]ジェリー・ブラッカイマー
[出]ジョニー・デップ オーランド・ブルーム キーラ・ナイトレイ ジェフリー・ラッシュ チョウ・ユンファ
[制作データ] 2007米/ブエナ ビスタ [上映時間] 169分
「パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド」公式サイト

【マクタロウ】
第一声は「長い!!」
これ、3作続けて言っているはずだ。
たいして語るべき内容もない作品なのに、お話の部分では主人公があっちに付いたりこっちに付いたりダラダラとしているし、アクション場面も「さあどうだ、ほら、どうだ」と続けざまに打ち出してくるだけで、興奮とはほど遠い。バタバタと登場人物が動き回っていないと、観客が飽きてしまうと言う強迫観念にかられて製作しているようだ。まるで、泳ぐのを止めたら死んでしまう魚のように。
そのくせ、ハッタリをかましておきながら結末がしょぼい。海賊どもが恐れたカリプソの力って、あの渦巻きだけかよ。東インド会社の大艦隊と海賊軍団、いよいよ決戦かと思ったらブラック・パールとフライング・ダッチマンの一騎打ちというのもがっかり。そのほか突っ込みだすとキリがない。
音楽は(おなじみのテーマが好きなので)良い。ここ数年で、テーマ音楽が印象に残る作品は本作と「ロード・オブ・ザ・リング」ぐらいか。

【マクノスケ】
この作品、最初から入れ込んでいないので、細かいストーリーは忘れがちです。デイヴィ・ジョーンズの船の呪いだとか東インド会社のベケット卿とジョーンズの関係だとかエリザベスに求婚したノリントンが「2」でどうなっていたのかとか…全然憶えてない私ってば、力入ってないないなあー。

要するにもう年なんですよねえ。(涙) キャラと映像で押しまくる映画にカタルシスを見いだせない…。やっぱり映画には情緒だとか…余韻が欲しい。そこから何かを感じさせてくれる間合いがないとお年寄りにはちょっとキツい映画です。

それでもですね。1作目からウィルを応援している私としては、これはウィルの行く末を見届けるしかないと言う勝手な親心で見に行ったわけですが、もう、展開上、あのように描くしかないんですね。見どころは船上でのバトル求婚シーン!マジでやってるんでしょうが、なんか笑えるのは私だけ?まあ、ミュージカルを見ているようで、バルボッサのあたふた振りと相まって面白かったですけれど…。それともっとも革新的な映像だったのが、ノリントンが爆風の中、手前にスローで歩いてくるシーン。画面中に木くずが舞い上がり、階段が上の方から銃撃され、めちゃめちゃに壊れていくのにノリントンさんには、塵一つ当たらず滑るように階段を下りていくという演出!!これは斬新な演出でしたね。ある意味「マトリックス」を超えていました。このシーンにあっているかどうかは別としてですけどね…。

ウィル応援隊としては、エンドロール手前と後では、手前の方がロマンチックで良かったかなあ。エリザベスのデッドマンズチェスの置き方がぞんざいなのがちょっと気になったけど、それも彼女のキャラって事でOKかな。(笑)あとはゲストのキース・リチャーズ(ジャック父)のギター演奏(ファンサービス♪)とキャプテン・サオ・フェン役のチョウ・ユンファの出番がまあまああって良かった。ビル・ターナー(靴ひものビル)が顔からヒトデを取ってるシーンがあったのも芸が細かいなあとは思ったんですけどね。(笑)





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ザ・シューター 極大射程 2007.06.10.(Sun.)
■合衆国VS孤高の狙撃手

[監]アントワーン・フークア
[原]スティーブン・ハンター
[出]マーク・ウォールバーグ マイケル・ペーニャ ダニー・グローバー ケイト・マーラ
[制作データ] 2007米/UIP [上映時間] 125分
「ザ・シューター 極大射程」公式サイト

【マクタロウ】
オープニングのヘリコプターショットから続く展開で、久しぶりに気合いの入ったアクションを観ることが出来、つかみはOK。
話の内容、展開は目新しくないものの、アクション場面の切り取り方、繋ぎなどのつぼを押さえた演出、主演のマーク・ウォールバーグ、相棒になるマイケル・ペーニャなどキャラクターの良さで面白く観ることが出来た。
近頃はやりの荒唐無稽アクション(予告でやっていた「ダイハード4.0」の馬鹿馬鹿しさよ)とは一線を画す本作。
大統領暗殺未遂からの展開は、やろうと思えばもっと派手に出来るカーアクションもぐっと押さえて、主人公のサバイバル能力を見せる方に重きを置く。そういう「らしさ」を入れない作品のなんと多いことか。
このような本物のアクション映画が本流になる日はもうないと思っているが、年に1〜2本で良いからまともなアクション映画を製作して欲しいと願わずにいられない。

【マクノスケ】
2000年度「このミステリーがすごい!」海外部門で第1位となったベストセラー小説の映画化。

マーク・ウォールバーグが、天才狙撃手に扮し、狙撃とはなんたるかをかなり熱く語るマニアックな部分とハリウッドならではのドカンバカンの応酬にアクション映画好きにはもう堪らん…って展開になっていました。こう、何って言うんでしょうか?やっぱり自分の趣味の領域はここら辺りなのかなあ〜ってつくづく思いました。共演もダニー・グローバーってのが、派手過ぎず地味過ぎず、いい人なのか悪い人なのか…観客に期待させながら見せて行くところが憎いですね!それにネッド・ビーティ(「スーパーマン」(79年版)のルーサーの手下役)も久々に拝見しましたが、これまたこの手のノリの映画には必要不可欠な役でなかなか良かったデス。

音楽はマーキ・マンチナ(マンシーナとも)。 すごくご無沙汰でしたが、(この4年間どうしてたんだろう?)「スピード」とか「ツイスター」で聴かせてくれたあのノリと映像との相乗効果で燃えまくってしまいました。あぁ、ウォールバーグの三角お目々も素敵だったし、この2日通して見た中では、一番燃えたかもぉー!!やっぱりアクション映画はいいなあ!ウォールバーグが引き続きやってくれるなら「パート2」期待しますよ!!





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300 2007.06.09.(Sat.)
■300人VS1000000人、真っ向勝負!

[監][脚]ザック・スナイダー
[原][総]フランク・ミラー
[原]リン・バーリー
[出]ジェラルド・バトラー レナ・ヘディー デビッド・ウェナム ドミニク・ウェスト
[制作データ] 2007米/ワーナー [上映時間] 117分・R-15
「300」公式サイト

【マクタロウ】
予告をネットで観てから期待していたのだよ。
力一杯の映像!!力一杯の演技!!この作品は100パーセント外連味で創られているのだ!!これは「観て感じろ!!」といった作品なのだ。
「シン・シティ」にはいまひとつノリきれなかったが、本作はジャンルも好きだし、話は燃えるし興奮しまくり。
原作は未見だが、随所に原作の一コマと思える構図があり、正にコミックスの映像化といった趣が良い。
ひたすら男の肉弾戦となってしまうかと思いきや、援軍の出兵を議会に訴える后と、卑劣な裏切り者のエピソードなども織り込まれバランスをとっている。
レオニダス(ジェラルド・バトラー)をはじめとするスパルタの戦士の心意気に熱くなり、映像に酔いしれ、ラストのディリオス(デヴィッド・ウェンハム)の演説から突撃の流れに涙したのだった。

【マクノスケ】
期待通りの「マッチョ」「血しぶき」「派手な演出」を思いっきり堪能して来ました。残酷な描写もエロスも全てがコミックのように描かれ、ひとつのスタイルとなり、終盤のスペクタクルへ繋がっていく見事さ!

凄いなあ。圧倒されっぱなっしの2時間でした。どちらかと言うと主役のレオニダスのジェラルド・バトラーがタイプなんですが、やっぱり「指輪ファン」はディリオス役のデヴィッド・ウェンハムに目が行っちゃうんですよねえ。(…って、言うか、画面に映るとつい「おぉ!ファラミアさま!」とか思って応援してしまうヤバイ私が…!) 思っていた以上に出番があってとっても嬉しかったですよ。





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プレステージ 2007.06.09.(Sat.)
■運命さえトリック

[監][脚]クリストファー・ノーラン
[原]クリストファー・プリースト
[出]ヒュー・ジャックマン クリスチャン・ベール スカーレット・ヨハンソン マイケル・ケイン
[制作データ] 2006米/ギャガ [上映時間] 130分
「プレステージ」公式サイト

【マクタロウ】
監督の忠告を無視して、ネタバレしていますのでご注意下さい。

物語の中でやって良いことと悪いことがあります。たとえSFやファンタジーだからといって何をやっても良いことにはならないと私は考えます。
いや、SFやファンタジーだからこそ、その世界観をぶち壊すことをやってはいけないのです。
「スーパーマン」「ハリー・ポッター」でやってしまった時間の逆転は、まさに「やってはいけないこと」なのです。
そして本作のマジックのネタは、私の中では「やってはいけない」ネタでした。
マジックにおける瞬間移動のネタが「瞬間移動装置(コピー装置でしたが)でした」というのは、作者の怠慢、逃げとしか思えないのです。
せっかくキャストも、画面の雰囲気も良いのに(クリスファー・ノーラン監督はロケの画が素晴らしい)あの装置が本物の立体コピー機だと分かったときに気分は萎えました。
二人の奇術師が復讐とライバル心を競い合い、そして「トリックの真相は何か」というサスペンスだと思っていたのに、SFだったのかと・・・。
終盤でボーデン(クリスチャン・ベール)の方は双子ではないかなということが分かってきましたが、そんなことはどうでも良くなってしまいました。

【マクノスケ】
ヒュー様とクリスチャン・ベールの息をのむ奇術師対決を楽しみに行ったら、だまされたーーーーっ!
う〜〜〜ん。 マジシャン対決だとばかり思っていたら、「瞬間移動トリック」が「コピー人間装置」で、マジックではなく本当は 同じ人間がふたりいたんですーというオチ…いいんですかぁーーー!!あたしとしては正当な立場で対決して欲しかった。

…と言うか、見終わったあと、あのオチばかりが頭に浮かんで、肝心の主人公ふたりの確執やダメダメ人生振りが霞んでしまいました。(涙)驚愕のラスト?…確かに驚愕ですが、これがありなら何でもありでしょう。監督が観客を騙す事を目論んで作った映画なら確かに完璧に騙されたと言えるでしょうが、そりゃないぜーと思わず突っ込みたくなるような映画でした。 まあ、ふたりの演技や風景、衣装、競演のマイケル・ケインさん、ゴラムのアンディ・サーキス、発明家のデヴィッド・ボウイ 、どれも良かったんですけれどねえ。(涙)

<その後の感想>

ねたばれ掲示板でいろいろ語るうちに、この映画の別の面も見えてきました。
そのネタは、やはりどうかとも思うのですが、作品の作りとして、映画の中に登場する「鳥かご」が最後のアンジャーの「水槽」の暗示になっていたと言う点。籠に入っていた鳥が、つぶされたと思わせて、最後は観客の前に現れる=牢に入ったボーデンが死刑になったと思わせて、最後娘の前に登場する。
これこそ映画の「プレッジ」「ターン」「プレステージ」だったわけで、もしかしたらアンジャーはボーデンの鳥かごの鳥のような存在だったのかもしれません。それ故にあんな掟破りな事をしたアンジャーの最後が余計哀れに思えてきました。ボーデンに共感出来る作りになっていたら、アンジャーに勝ったボーデンにカタルシスを感じて、もっとすっきりとしたラストが迎えられたかも。いや、でも、ふたりとも人間として腐っていたかなあ。やっぱり…。





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GOAL!2 2007.06.02.(Sat.)
■夢を駆け抜けろ

[監]ジャウム・コレット=セラ
[出]クノ・ベッカー スティーブン・ディレイン アンナ・フリエル
 ルトガー・ハウアー デビッド・ベッカム ロナウド
[制作データ] 2007英.スペイン.独/東芝エンタテインメント
[上映時間] 114分
「GOAL!2」公式サイト

【マクタロウ】
ワールドカップ協賛企画だった「GOAL!」の第二弾。
なんだかワールドカップは遙か昔の出来事のようになってしまっている上に、公開が遅れたものだから更に目立たない印象。
とはいえ、1作目は面白かったし、サッカー(フットボール)観戦好きとしては観なくてはね。
主人公サンティアゴの成長と出世を描く3部作なのだが、今作はレアル・マドリード移籍後、家族を捨てた母との再会、婚約者ロズとのすれ違い、チームでのレギュラー枠獲得ならず、更にケガまで・・・といった苦悩だらけ。
そのために試合のシーンが少ないのが残念。
それでも話が良ければ納得するが、どうも1作目と同じことをやっているようにしか見えない。
ガバンもサンティも成長してないねえ(ガバンは懲りないキャラだからいいけど)。
「はたして3部作にする必要があったのか?」とさえ思えてくる。
最期の欧州カップ決勝戦は興奮したが、やっぱり「もっと試合のシーンを入れてくれ!!」の一言に尽きる。
次回、期待しているぞ。

【マクノスケ】
沼津のシネマサンシャインで鑑賞。1作目で結構燃えまして、主役のサンちゃん(役名サンティアゴ・ムネス)のファンになりまして「2」を心待ちにしていたんです。当初は昨年封切られるはずが、公開が延期されワールドカップから1年後の今年に封切られたのが、ちょっとタイミングを逸したかなと言う感じ。だって、これよくよくかんがえていみると時代的に「ジダンの頭突き」以前の物語なんですよ。

それでもサッカー(フットボールと言うべきか)映画として面白ければそれでも良いと思っていたのですが、前半はサンちゃんと婚約者ロズの恋愛模様を描くラブストーリー。そこへサンちゃんの良きライバル、ガバンが絡み、レアルに移籍して金と名誉、そしてスペイン美女に溺れて行く姿がプラスされ、なんとなくスポーツ映画というよりは、サンちゃんの転落人生ドラマだった「パート2」。もうちょっとサッカーをやっているシーンを見たかったって言うのが本音です。

レアルの監督を演じているルトガー・ハウアーも「選手交代」のシーンばかりでもう少し活躍させて欲しかったかなあ。それを言うと思いの外ベッカムの出番が多くて、これはベッカムファンは絶対見るべき映画だと思いましたよ。普段中継では見られない角度からのプレイや控え室の着替えのシーンなど、結構貴重だったのでは…。しかしもっとも目立っていたのは実はサンちゃんのライバル、ガバンだったりするところが、「1」から見ているファンには嬉しかったりもしたんですが、やっぱり「3」では、サンちゃんに頑張って貰ってワールドカップ2006で活躍して欲しいですね。



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