2008年1月〜4月

SF・アクション映画が大好きなマクノスケ&マクタロウの映画鑑賞備忘録です。
ふたりで「のほほ〜ん」と感想を語っています。


■2008年 1月〜4月  基本的にネタばれしておりますので御注意を!
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  【2008】/1月〜4月/5月〜8月9月〜12月

  【1月】  ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記 / 魍魎の匣 /
           スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 /
  【2月】 アメリカン・ギャングスター / エリザベス:ゴールデン・エイジ /
  【3月】 ライラの冒険 黄金の羅針盤 / バンテージ・ポイント / 魔法にかけられて/ ヒトラーの贋札/ ジャンパー/
  【4月】 クローバーフィールド HAKAISHA / モンゴル / ブラックサイト / フィクサー /

■2008. 4月
  クローバーフィールド HAKAISHA / モンゴル / ブラックサイト / フィクサー /

フィクサー 2008.4.19(Sat.)
■【フィクサー】……弁護士事務所に所属する“もみ消しのプロ”。
男は、完璧に罪を消せるはずだった……。


[監][脚]トニー・ギルロイ
[総][出]ジョージ・クルーニー
[総]スティーブン・ソダーバーグ
[製][出]シドニー・ポラック
[出]トム・ウィルキンソン ティルダ・スウィントン
[制作データ] 2007米/ムービーアイ [上映時間] 120分
「フィクサー」公式サイト

【マクタロウ】
弁護士マイケル・クレイトン。ポーカー賭博におぼれ、酒場の経営に失敗し借金に追われている。
彼には「もみ消し屋」という裏の顔があり、弁護士仲間が起こした不祥事の解決を依頼されたことから、次第に事件に飲み込まれていく。
登場人物のキャラクターがリアルで、物語に重みと深さを出している。
特に巨大企業Uノース社の法律顧問カレン・クラウダーを演じるティルダ・スウィントンが良い。
普通のキャリアウーマンが、会社と自らの保身のために殺人の指示まで下してしまう様が、実にリアルに描写されていた。
四面楚歌に陥った弁護士のくたびれた風情や、息子との関係などを見事に演じているジョージ・クルーニーも良い。上っ面だけの正義感ではなく、追い込まれた者の反撃ともいえるラストの展開は共感と安堵をもたらす。タクシーに乗り込み行くあてもない彼の表情は複雑だが、次第に浮かんでくる確かな達成感を思わせる表情が素晴らしい。

【マクノスケ】
昨年、この映画の原題をネットで見てジョージ・クルーニーが「マイケル・クライトン」の自伝映画に出るんだとばかり思っていたおバカな私。今年に入り「フィクサーってジョージ・クルーニーの新作面白そうだね」とマクタロウに言ったら「それ。マイケル・クレイトンのことだよ」と言われて思わず口があんぐりしてしまったりしていたわけですが(笑)、いや〜ドラマが濃かった。弁護士と言うよりほとんど事件のもみ消しやになっちゃってるジョージ・クルーニー。

ギャンブルに離婚。弁護士に戻りたいけど事務所の圧力で戻れずしかも従兄弟の借金8万ドルの肩代わりもしなくてはいけない。 とことん追いつめられた矢先、同僚の弁護士が裁判の途中で起こした奇行の尻ぬぐいをさせられたりしているうちに、巨大企業の陰謀に巻き込まれていくわけですが、そんな主人公の唯一の支えが息子の存在。
惨めな自分や叔父さんとはお前は違うんだと息子に言い聞かせるシーン。ぐっと来ました。

冒頭の予感めいたシーン(馬に気づき車を停めて近寄って行くシーン)の意味がわからず「偶然神秘的な物に引き寄せられるように彼は車を出て爆破から逃れたのか」などと妄想しておりましたが、パンフを読んだところ、息子が彼に熱く語るファンタージー小説の挿絵に「3頭の馬」の挿絵があったそうで・・・。全然気がつきませんでした。つまり「挿絵と同じ3頭の馬の姿を目にし、車を降りたお陰で車の爆破から逃れられた」って事なんですよね。

映画の中で何と言っていたのかは忘れたけど、この息子が読んでいた「王国と征服」のストーリーがまさに彼の立場とシンクロし、行動を起こしていく(不正を行っていた企業の法律顧問のティルダ・スウィントンに真実を突きつけるラスト)って展開だったのか!!!あぁ、パンフ買って良かったとしみじみ思いました。
まあ、ここの部分がわからなくてもジョージ・クルーニーのくたびれた演技とティルダ・スウィントンの細かい演技(ベットの上でパンスト伸ばしたり)対決は見物でした。マクタロウも書いていますが、ラストのタクシーの長回しのジョージ・クルーニーの表情が素晴らしいのひと言!!見て良かったと思える作品です。



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ブラックサイト 2008.4.13(Sun.)
■FBIサイバー捜査官を追い詰める、66億人の好奇心。

[監]グレゴリー・ホブリット
[脚]ロバート・フィボレントほか
[出]ダイアン・レイン ビリー・バーク コリン・ハンクス ジョゼフ・クロス メリー・ベス・ハート
[制作データ] 2007米/ソニー [上映時間] 100分・R-15
「ブラックサイト」公式サイト

【マクタロウ】
最近ネットを使って買い物や、人と知り合うことが多い。これはとても便利でありがたいことなのだが、本作はその裏側にある危険や恐怖を描いた作品。
私も「2ちゃんねる」を見る。そこには有益な情報とともに、匿名故の誹謗中傷の書き込み、事故や病気などで亡くなった人の画像などもある。このような情報の氾濫に追いつかない規制や道徳観をテーマとして「今」を切り取っているところが見事だ。
サイト上で行われるリアルタイムの殺人。アクセス数に応じて死の時間が早まる恐怖。事件に関係のない人々が興味本位でアクセスするだけで、その人物の死を早めていく。匿名の人達による殺人への加担。しかも彼らはテレビ番組を観ている時と同じように罪の意識は感じないだろう。匿名掲示板に「死ね」と書き込むことは簡単だが、その言葉の重さには気づかない。
実際に目の前で人が死にそうになっていれば放ってはおけないはずだし、簡単に「死ね」などと言う言葉を誰かに言えるはずない(と思いたいところだが、最近は「2ちゃんねる」の言葉遣いで普通の掲示板に書き込んだり、そのまま話したりする人がいるのも事実)。
劇映画であるため、犯人の動機が「復讐」であることが判明するが、実はそのことで緊迫感や恐怖が薄くなってしまう。
一番怖いのは「復讐」などという理解できる動機ではなく「ただ面白いから」といった、一般人ならば理解できない動機なのだ。

【マクノスケ】
ダイアン・レイン扮するFBI捜査官はネット犯罪専門の捜査官。ネット上で殺人を公開しているサイトを発見し、犯人を捜そうとするが、なかなか巧妙な手口の犯人には辿り着けず、やがては身内や部下にも犯人の手が・・・。

とにかくネットをするには充分気をつけなくてはいけない・・・と思わずにはいられなくなる映画。どういうスパイウェアを使ったのかわからないけれど、自分のパソコンのデスクトップの画像とか相手に見られまくりって言うのが本当に怖い。

その上、まさかと思っていた部下のコリン・ハンクス(「キングコング」にも出ていたトム・ハンクスの息子)が犯人に捕まってしまって殺される有様は思わず目を覆いたくなるほど悲惨な描かれ方でした。犯人が自動で他国にサーバー先を変えて行くので、ダイアン・レイン扮するネット取り締まり捜査官のジェニファーも、犯人の特定が出来ず、コリン・ハンクスの死んでいく様をネット中継されてしまうのが残酷な上に恐ろしかった!!

途中、犯人が登場し、彼の残忍なネット処刑が、自分の父親の自殺が報道でおもしろ可笑しく扱われた事に対する復讐とわかり、それまでの得体の知れない恐怖に理由づけがされた事で、怖さが軽減。以降は犯人とダイアン・レインの手に汗握る攻防がラストまで緊張感がとぎれる事無く持続して終了。ダイアン・レインのような年(43歳!)の女性が主人公というのも画期的だったし、何パターンもの処刑シーンを延々見させられるという点で、かなりのサスペンス色の強いドキドキさせられる映画でした。ちなみに原題は「UNTRACEABLE」で「追跡できず」と言う意味だそうです。

ところでダイアン・レインの年を調べているうちに、彼女の現在の旦那様が、ジョシュ・ブローリンだと知りました。まだ見ていませんが「ノーカントリー」のあの髭の主役、「アメリカン・ギャングスター」ではニューヨークの汚職刑事トルーポ刑事を演じていたあの方!!(「プラネット・テラー」にも出てるのね。)しかも「グーニーズ」では主人公ショーン・アスティンのお兄ちゃん役だった!!!衝撃!!(笑)



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モンゴル 2008.4.12(Sat.)
■闘って、生きた。 守るべきは、この愛しきもの

[監][製][脚]セルゲイ・ボドロフ
[製]セルゲイ・セリリアノフ アントン・メルニク
[撮]ロジェ・ストファーズ
[出]浅野忠信 スン・ホンレイ クーラン・チュラン
[制作データ] 2006独.ロシア.カザフスタン.モンゴル/ティ・ジョイ=東映
[上映時間] 120分
「モンゴル」公式サイト

【マクタロウ】
広大な平原、遙かにそびえる山々。まずはロケーションが素晴らしさに心が惹かれる。
そして、その雄大な自然を背景にしたテムジン(チンギス・ハーン)の物語は「愛」と「信義」がテーマだと感じた。中でも、妻との愛と信頼は絶大なものがあり驚かされる。
テムジンは、友情や忠節、愛といった「人間」として大切な物を重んじ、既存のモンゴル人とは違う価値観で国を統一しようと乗り出していく。彼の器の大きさこそが人々を引きつけそれを可能とするのだろう。
幼い頃に盟友となり、後に宿敵となるジャムカとの違いは「考え方」ではなく「器の大きさ」であり、ジャムカもそれは分かっているはずだ。だからこそテムジンを配下にしたいと思い、それが叶わぬ時は敵対するのだろう。
終盤、捕らわれたジャムカを解放する場面の台詞、ジャムカの「敵を解放するのか」という言葉に、テムジンが「盟友の解放だ」とつぶやく。二人の「大きさ」の違いがはっきりとする印象的な台詞だった。

映像的には冒頭に書いたロケーションの素晴らしさ、合戦シーンの迫力など、燃えるモノもあり堪能できた。
浅野忠信は、静かな中にも激しさを持ち、懐の深さを感じさせるテムジンを好演している。一方の宿敵ジャムカはスン・ホンレイが「セブンソード」の時と全くと言っていいほど同じ演技で、嬉しい反面、複雑でもあった。

エンディングのホーミーを織り交ぜた「モンゴル・ロック」とでも言うような曲が面白かった(作品にあっているとは言い切れないけど)。

【マクノスケ】
ロシアのセルゲイ・ボドロフ監督がメガホンを取ったチンギス・ハーンの半生を描くアクションドラマ。アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた作品です。

幼いテムジンが、9歳の時に花嫁を捜しに遠征した帰り、父を敵部族に毒殺され、さらには同族にも裏切られ奴隷となってしまいます。以降、ずっと命を狙われ、捕まったり、脱出したりの連続の中、9歳の時の約束を果たすべく、妻を迎えに行き、盟友も得、人間的に成長していく姿を美しい自然を舞台に見事なアクションと共に描き切っていて、かなりのテンションで見る事が出来ました。

テムジンの人間の大きさが父の教えから来ていることは明かで、モンゴル人の行き方にはまらない彼の人としての度量が、のちに彼をチンギス・ハーンにならしめたという理由ずけも明確。妻との間柄も既成の夫婦の枠を超え、お互いに欲しながらも、相手の立場を思いやり考えるところは、とても真似が出来ないですが、凄いなーとただただ感心するばかり。

テムジンと盟友になるジャムカ役を私が好きなドニー(イェン)さんが主演している「セブンソード」で悪役フォンフォリェンチョンを演じていたスン・ホンレイが演じているんですが、これが「セブンソード」の役そのまんまで、ちょっとビックリしました。「セブンソード」の時は天を見上げる仕草など役作りなのかと思いましたが、あれはホンレイさんのいつもの演技だったんですねー!!「2」が出来るかもとの話も聞きましたが、今度はジャムカと決着がつくのかな?



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クローバーフィールド HAKAISHA 2008.4.06(Sun.)
■その時、何が起きたのか?

[監]マット・リーブス
[製]J・J・エイブラムス
[出]マイク・ボーゲル ブレイク・ライブリー リジー・キャプラン
[制作データ] 2008米/パラマウント
[上映時間] 85分・PG-12
「クローバーフィールド HAKAISHA」公式サイト

【マクタロウ】
「偶然その場に居合わせた人物が記録したビデオ映像」という設定で臨場感を盛り上げる怪獣映画。
「ブレアウィッチ・プロジェクト」の怪獣版というと分かりやすいかもしれない。
話題は「映像だけ」となる本作だが、登場人物の恋愛模様を盛り込み、何とか「作品」として成り立たせているところは見事だ。ビデオの上書きという手法を使い、所々に主人公と恋人との幸せな様子が入り、ラストは「二人の幸せそうな笑顔」で終わるところなどはうまいと思う。
製作者が公言しているように「ゴジラ」に対する思い入れは大きいようで(真っ暗らな画面に響く足音のオープニング!!)通常兵器が通用しないという部分など「USA版ゴジラ」より怪獣映画として成り立っている点も良い(小型のヤツが出てくるのは、時間と危機感を持続させるために仕方がないとはいえ、ちょっと残念なところだが)。
しかし、問題の怪獣はデザインに魅力が無く「見えそうで見えない」時の方がワクワクした(見えなければ怒るし、見えたらデザインが気に入らないと怒るワガママです)。
まあ、イベント作品として楽しむことが出来れば良いのでは(酔わなければね)。

【マクノスケ】
思ったほど酔いもなく(笑)、楽しみにいていた「HAKAISYA」の造形が、思ったより斬新でなかったのと「HAKAISYA」の暴れるシーンをもっと見たかったのとで、多少欲求不満の感はありますが、実験的な手法を堂々とやってのけるハリウッドの懐の深さには恐れ入ったという感じです。

ビデオに録画されていた幸せな1日とクロスするように写つる怪獣との遭遇の描写はなかなか上手い事を考えたもんだと感心しました。やはり手持ちカメラのブレブレ感が臨場感を高めていますよね。

怪獣から逃げる話かとも思っていましたが、彼女を救出する為に怪獣のいる地点まで戻るというのが更に斬新でした。戻らなければいけない理由も冒頭のパーティーシーンできちんと語られていてなかなか構成も上手い!

一番ハラハラしたのは、ビルからビルへ飛び移るシーン。私だったら絶対ビデオ撮影なんてやってないよ!・・・と心の中で突っ込みながら、見てましたが(笑)、まあ、彼は食べられる瞬間まで撮ってましたからねえ。
ビデオ撮影に命を掛けていたんでしょう!でも、中盤の街中のシーンは911を意識しまくった画面作りでしたよね。アメリカ映画もついにこういう映像を怪獣映画にも持ち込んだかと思うと、時間の経過を感じずにはいられませんでした。



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■2008. 3月
  ライラの冒険 黄金の羅針盤 / バンテージ・ポイント / 魔法にかけられて/ ヒトラーの贋札/ ジャンパー/

ジャンパー 2008.3.30(Sun.)
■行き先、無制限

[監]ダグ・リーマン
[製][脚]サイモン・キンバーグ
[出]ヘイデン・クリステンセン サミュエル・L・ジャクソン ジェイミー・ベル ダイアン・レイン
[制作データ] 2007米/FOX
[上映時間] 88分 「ジャンパー」公式サイト

【マクタロウ】
あまり面白くはないだろうと思いつつも、とりあえず鑑賞。
期待していなかったので落胆もないが、思っていた程度の出来というのも寂しいものだ。
主人公を演じているヘイデン・クリステンセンが、かわいげもなければ色気も無いので、感情移入も出来ず(そもそもテレポート能力を使ってやりたい放題の野郎にツケが回るのは当然だ)。
悪役である、神にしか許されない力を持つ者達を「狩る」団体の方にもう少し焦点を当てていれば、もう少し面白くなりそうにも思うが、はっきりとしたことは分からずじまいで終了。
見所はと言うと、たいして意味があるとも思えない東京でのエピソードなどを含め、あちこちでロケした映像か。

【マクノスケ】
マクタロウとサントムーンで「ジャンパー」を見てきました。すでに見に行く機会が2回もあったのですが、なんだかんだと見に行ってなかったりしているわけで、要するに「そんなに期待していない」状態で見た訳なんですけれど、なにもかもが途中で終わっているのは最初から続編ありと言うことなんでしょうか?

主人公デヴィッドがジャンプ(瞬間移動)する事で、謎の組織から命を狙われたり、同じジャンパーの仲間と出逢ったりするわけですが、こいつがジャンプ出来るのをいいことに銀行に潜入して大金をせしめ、そのお金で贅沢三昧。世界中を面白可笑しく旅して回った挙げ句、片思いだった彼女とも結ばれローマで出入禁止のコロシアムにも出入りしてやりたい放題。

…って、今の若い子の願望を全部やっちゃいました的な展開に、私も年だなーと思ったわけです。途中同じジャンパー仲間の男と知り合い、ジャンプして銀座〜渋谷を高級車を盗み爆走!これだけ「やんちゃ」してるんだから、やっぱり報いは受けるのではと思いきや、彼らを狙うのは彼らの犯罪を問うわけではなく、彼らの存在を抹殺しようとしている謎の組織!

この組織自体もはっきりどういう組織かも説明されず、お互いに生死を掛けて闘うっていう図式だけの展開にここまで内容がなくていいのかーと思ってしまいましたよ。最後にデヴィッドと彼の母親(ダイアン・レイン!)の関係がすこしだけ解明されて終わるのですが、恋人と逃亡と言うラストは「ボーンシリーズ」の「1」と同じ?監督が同じなだけにまさか「2」で彼女が殺されちゃうってことはないですよねえ。(笑)



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ヒトラーの贋札 2008.03.20.(Thu.)
■完璧な贋札。 それは俺たちの命を救うのか。 それとも奪うのか──

[監督]ステファン・ルツォヴィツキー
[原作]アドルフ・ブルガー
[音楽]マリウス・ルーランド
[脚本]ステファン・ルツォヴィツキー
[出演]カール・マルコビクス アウグスト・ディール デービト・シュトリーゾフ
[制作データ] 2006独.オーストリア/クロックワークス
[上映時間] 96分 「ヒトラーの贋札」公式サイト

【マクタロウ】
贋札作りの天才サリー。第二次大戦中のドイツにおいて、ユダヤ人であるというだけで待ちかまえている過酷な運命。しかし彼の贋札作りの才能は自身を「生かす」有力な武器となった。

ドイツ軍による贋札作戦のために集められたサリーをはじめとするユダヤ人技術者達。彼らの希望は「生きのびる」こと。それがドイツ軍に協力することになると分かっていても。
同じ収容所の壁一枚向こうでは、毎日同胞が殺されている。それでも自分たちの「仕事」をしなければならない。協力を拒めば、自分が壁の向こうに送られるのだから(それどころか、その場で射殺されるだろう)。そんなジレンマを抱えつつも、贋ポンドがスイスの銀行で本物だと鑑定されたことを聞かされる場面では、「これで生きのびることが出来る」という喜びとともに、技術者としての達成感と喜びも感じていたのではないだろうか。
この作品の面白さは、そんな葛藤や矛盾を見事に描き出した点にある。
主人公のサリーは、ドイツ兵相手に世渡り上手なところを見せつつ、仲間に対しては面倒見も良く、情にも厚い。サボタージュを訴えるブルガーとの対立はスリリングであり、本作の見所である。
終戦となり、壁を壊して入ってきた武装した収容者達。やせこけた彼らの目には血色の良いサリー達がドイツ人にしか見えず、腕に記された収容者番号によってユダヤ人だと証明する皮肉。
収容者達にブルガーのサボタージュを力説する主任の姿は、後ろめたさを何とか取り繕うとしているのが見て取れ、悲しみを感じる。

「ヒトラー 最後の12日間」といい、戦争(ホロコーストの悲劇)をこのような側面から描くことが出来るドイツ映画の懐の深さは素晴らしい。

【マクノスケ】
ユダヤ人でありながらナチスの偽に贋札作りに従事させられた主人公とその作戦に携わった人々の姿をつづった戦争ドラマです。

主人公のサリーは、元々が贋作師で決してきれいな生き方をしてきたわけではありませんが、そんな汚い世界で生きてきた彼を戦争と言うもっと厳しい過酷な運命が待ち受けていました。

本来ならガス室送りだった彼が同じ技術職である仲間と共に生かされ、贋札を作るのと引き替えに優遇されるのですが、周りでは多くのユダヤ人が銃殺されるという現実があり、仲間のひとりであるブルガー(この映画の原作者)が、正義を貫くため贋札作りを遅らせようと画策。 これが返って親衛隊の指揮官を怒らせて、期限を切って何人かを銃殺すると脅かされる事態となり、これは一体どうなることか・・・と非常にドキドキしました。 ユダヤである彼らが敵のナチスのために働くという矛盾とそうせざるを得ない現実が、淡々と描かれていたと思います。 シャワー室のくだりと最後のスパイでないという証をみせるシーン、切なかった!



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魔法にかけられて 2008.03.15.(Sat.)
■それは、ディズニー史上最も“アリエナイ”魔法

[監]ケビン・リマ
[脚]ビル・ケリー
[音]アラン・メンケン
[出]エイミー・アダムス パトリック・デンプシー ジェームズ・マースデン スーザン・サランドン
[制作データ] 2007米/ディズニー スタジオ [上映時間] 107分
「魔法にかけられて」公式サイト

【マクタロウ】
ディズニーが自社アニメをパロディにして描く王道的ラブコメ。
アニメ(おとぎ話)の世界から現実のニューヨークへと落とされた主人公ジゼルが、「怒り」という感情を知り現実を受け容れて行く過程と、離婚調停の弁護士ロバートがジゼルと知り合ったことにより夢や希望を取り戻していく過程が、おもしろおかしく描かれ、見終わった後は気分爽快。
随所に散りばめられたアニメ世界の「お約束」を笑いに変えているところは老舗の余裕と言えるだろう。ちょっとした毒気が含まれているところも良い。
マニアなれば「あのシーンの元ネタは○○」などと、濃い楽しみ方が出来るだろうが、私のように特別ディズニー作品に思い入れが無くても十分に楽しめる。
ラブコメというジャンルの使命が「観客を良い気持ちにして帰す」ということだとすれば(私はそう思っている)、本作は立派に使命を果たしていると言える。

【マクノスケ】
エドワード王子役のジェームズ・マースデン。「X−MEN」や「スーパーマン・リターンズ」で婚約者や妻に捨てられる(!)役を演じていて気になってました。予告を見て今回も振られ役かぁーと見に行く前から心配していたんですが、最後、良き伴侶得てアニメの世界で結ばれて安心しました。王子様は、おとぎの国の脳天気キャラだったわけなんですが、彼もまた現実の世界へやって来て、ちょっとだけ自己に目覚めて、タイプの女性と巡り会ったと見てよいのかなと思った次第です。対するナンシーも弁護士の彼との結婚は決まっていたけど、彼女の中で真に求めていた男性は、王子様タイプの男性だったんでしょうね。おとぎの国へ行って、めくるめく夢の世界で一生ハッピーに暮らすふたりに祝福の言葉を捧げたいと思います。

それにしても冒頭からのパロディの凄さにスタッフの意気込みを感じましたねー。
映画が始まる前にサウンドロゴが流れますが、普通はシンデレラ城からカメラが引いておしまいになるところを、そこからカメラがズームアップしておとぎの国に入って行く行くような展開。これは盲点でした。まさかここからやってくれるとは思わなかったです。続く映画の導入部も「白雪姫」などの冒頭と同じようにどこかの部屋に置かれた本から入る辺りがうれしいじゃありませんか!
アニメの世界観は「白雪姫」や「眠れる森の美女」のパロディですね。ジゼルが結婚式に駆けつけるところで、動物たちがジゼルの服のリボンを結んでいく辺り「シンデレラ」で嬉しかったー!!予告にもありましたが、ニューーヨークに着いてからは「おこりんぼ」さんにあったり(「白雪姫」)、お店の看板をお城と勘違いしたり(「眠れる森の美女」のお城のようなデザイン!)、突如歌い出したりと「おとぎモード」炸裂で大爆笑。

デートシーンでボート漕いだり(「リトルマーメイド」)、思いっきり出前に走ってくる「サウンド・オブ・ミュージック」のパロディが入ったりとミュージカル映画のオマージュも忘れないところが、またまたお茶目。 パロディシーンはあげていたらキリがないのでやめておきますが、映画の肝は、やはりジゼルが現実の世界に目覚めるところでしょうか。どういう切り口で彼女が変わっていくのか興味があったのですが、それが「怒り」だったのが、目から鱗・・・という感じでした。「喜び」「悲しみ」に「怒り」の感情が加わる事で、より人間らしくなるとは、本当によく考えたものです。単なるパロディにならず、きちんと自社作品を見つめ直すという事もしっかりなされている素敵な映画でした。



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バンテージ・ポイント 2008.03.08.(Sat.)
■目を凝らせ――。

[監]ピート・トラビス
[出]デニス・クエイド マシュー・フォックス フォレスト・ウィテカー ウィリアム・ハート シガーニー・ウィーバー エドゥアルド・ノリエガ
[制作データ] 2008米/ソニー [上映時間] 90分
「バンテージ・ポイント」公式サイト

【マクタロウ】
大統領暗殺の現場に居合わせた数人の証言から、事件の真相が分かってくるが、それぞれの話が食い違い・・・という「羅生門」のような作品を勝手に想像して劇場に足を運んだ。
が、実はこの作品、事件現場に居合わせた人達が「何を見たのか、何をしていたのか」ということをその人物からの視点で反復して描き、徐々に事件の真相を明かしていくという手法をとった、ちょっと毛色の変わったサスペンスでした。
その登場人物はデニス・クエイド扮するシークレット・サービスのバーンズはじめ、6人くらい。その人数分だけ大統領暗殺のシークエンスが繰り返されるわけだが、続きを見せて欲しい場面で巻き戻され、また初めからとなるので、ややうんざりとした気分になった。
また、こうした手法の弊害として、終盤のアクションと事件解決までが早く、物足りなさも感じる(登場人物が一つの場所に向かっていく収束感はあるが)。
ただ、「うまいな」と感じたのは、最初に描かれるのがニュースのスタッフルームからの映像という点だ。これは第三者である観客に、事件を(比較的)客観的に見せることにより臨場感が増し、事件に対する興味をいだかせることが出来るからだ。
ただし、このような手法が有効なのは今回限りということになるのではないだろうか。

映像に迫力もあるし、近年これほど群衆(エキストラ)が多いアクション映画も珍しい(スペインが舞台だが、メキシコでの撮影が多そうだ)。
意欲作ではあるが、もう一歩という出来だろう。

【マクノスケ】
予告を見て「面白そう!」と見に行ったんですが、思っていた映画の構成と全然違うものになっていました。悪かったというのでなく面白い方法を思いついたものだと思ったのですが、マクタロウが↑で書いている通り、この方法は1回しか使えないところがミソ。予告を見た印象では、事件を報道したシガーニー・ウィーバーが、大統領のシークレット・サービスをやっているデニス・クエイドに協力して犯人をみつけるのかなーと想像していたんですが、シガーニー・ウィーバー、殆ど出ていませんでした。(^^;)

その代わり、主演のデニス・クエイドが54歳ながらも頑張る!頑張る!もしかしたら「ボーン・アイデンティティ」のボーンくんより動き回っていたかも!!あんな車がひっくり返っちゃっても服もヨレヨレにならないところが、やっぱりデニス・クエイド!(笑)いや、カッコいいから良いんです。(笑)

でも大統領暗殺のシーンを登場人物目線で6回も7回も見せられると、わかっちゃいますが、最後の方は「あ。また巻き戻ったよー」ってな気になってきます。(^^;)
作り手の方は「どうですか?こっちから見るとこうなんですよ・・・」ってところを見せたかったんでしょうが、その割りにはラストがちょっとあっけなかったし、やっぱり最後は「フォレスト・ウィテカーに家族愛を語らせる」辺りがハリウッドちゃーハリウッドでしたかねえ。
で、見終わってから髭のスペイン人エンリケが「デビルズ・バックボーン」のハチントである事が判明!!!全然気が付かなかったー!!ギレルモ・デル・トロ監督ファン失格だわ〜。



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ライラの冒険 黄金の羅針盤 2008.03.02.(Sun.)
■その針は教えてくれる。

[監][脚]クリス・ワイツ
[原]フィリップ・プルマン
[出]ニコール・キッドマン サム・エリオット エバ・グリーン ダコタ・ブルー・リチャーズ ダニエル・クレイグ
[制作データ] 2007米/ギャガ=松竹 [上映時間] 112分
「ライラの冒険 黄金の羅針盤」公式サイト

【マクタロウ】
ニューライン・シネマが「ロード・ザ・オブ・リングに続く三部作」として製作したものの、アメリカでの興行成績は振るわなかったようだ(ヨーロッパなどではヒットということらしい)。
冒頭で「私達の世界とは少し違う世界の物語」ということや、世界観の説明があるが、ここでつまずくと作品に乗りきれないことになる。
幸い、私はすんなりと受け入れることが出来、まずは2時間弱の作品世界に入ることが出来た。
しかし、112分という上映時間は原作上下2巻の映像化としては短く感じる。
原作は未読なので私の言葉に説得力はないが、展開が早すぎて全体的に詰め込みすぎだし、ここだという盛り上がりにも欠ける。脚色が良くないのだ。
もう少し時間を使って各キャラクターのエピソードを盛り込めたら良かったと思う(鎧を取られてやさぐれていたクマ、気球乗りサム・エリオットなど美味しいキャラが多いだけに残念だ)。
青白く光るエネルギー体を原動力とする、飛行船、馬車(?)などのデザインは面白いし、ビジュアル的には見所も多いだけに、残念。
「自分のそばに寄りそう動物の姿をした魂(ダイモン)」「子供のダイモンは形が定まっていない」などの設定、「中世キリスト教的世界観とそれを覆そうとする主人公達の活躍」と、考え出せば様々な暗喩が含まれていそうで興味深く面白いが、本作はその魅力の半分くらいしか語ることが出来ていないように感じる。これは原作を読んでみるか。
それにしても問題は「残り2本が製作されるのか」である。

【マクノスケ】
実は文庫も買い、上巻の半分くらいまで読んではいたんですが、途中でくじけたままになっておりました。まだクマも出てきてなかったので、どんな役割なんだろうかと思いながら見ましたが、これを見た限りでは、本筋にどうしても必要なキャラでもないような感じです。 でも2部、3部ではなにかしら意味を持つようになってくるんでしょうか。

それを言うと、世界観やキャラの紹介的な「1」はどうしても不利な印象です。パラレルワールドという設定がどういう意味を持ってくるのか「2」や「3」が楽しみなんですけど、アメリカではイマイチ成績がふるわなかったみたいなので続編がどうなるのか心配です。日本でヒットすれば、なんとかなるのかなァ。でも小田原は公開2日目なのに入りはいまひとつでした。 頑張れ!ライラーーーー!!



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■2008. 2月
  アメリカン・ギャングスター / エリザベス:ゴールデン・エイジ /

エリザベス:ゴールデン・エイジ 2008.02.17.(Sun.)
■敵は、外にも中にも−そして私の心にも。

[監]シェカール・カプール
[総][脚]マイケル・ハースト
[出]ケイト・ブランシェット ジェフリー・ラッシュ クライブ・オーウェン リス・エバンス
[制作データ] 2007英.仏/東宝東和 [上映時間] 114分
「エリザベス:ゴールデン・エイジ」公式サイト

【マクタロウ】
1作目の内容自体は覚えていないものの「私は(個人的な)愛を捨てて女王となる」というラストは記憶にある。 実は本作も、基本的には同じラストでした。
今回はスペインとの戦争が背景になるのだが、物語の焦点はエリザベスの内面の感情に当てられていることが「作と同じ」と感じさせてしまったのだろう。
そのこと自体は悪くないのだが、私としては「対スペインとの駆け引き」「陰謀と暗殺」といった部分をもっと観たかった。
2時間足らずの作品でこれだけの内容を描いたことは評価できるが、もっと時間を使っても、「コッテリ」した作品にして欲しかった。

【マクノスケ】
すっかり内容を忘れているとは言え1作目と同じような印象でした。
エリザベスの内面を「愛」というテーマを軸に美しい映像でとことん見せる2時間。

とにかく彼女の衣装(かつらも!)が凄かった。 劇中、本当のエリザベスの髪はショートなんですが、様々なかつらをつけて登場。 このポスターの髪型もかつらだったりしています。お話の方は、私としては後半のスペインとの闘いにもうちょっと重点を置いて欲しかったかなあ。 彼女が作戦を仕切るシーンとか勝利してイメージカットで終わるのではなく、民の前で、喜びの声をあげるシーンなどもあった方が燃えたかも!!

観賞後、CSで1作目の最後の方を見たんですが、エクルストン演じるノーフォーク公爵って、すごく重要な役でした!!こんな大事な役を忘れている私ってエクルストンファンを名乗る資格ないよー!!(涙)



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アメリカン・ギャングスター 2008.02.03.(Sun.)
■暗黒街のカリスマと、正義をつらぬく刑事
その道を進むのなら、俺を倒してから行け


[監][製]リドリー・スコット
[総][脚]スティーブン・ザイリアン
[製]ブライアン・グレイザー
[出]デンゼル・ワシントン ラッセル・クロウ キウェテル・イジョフォー キューバ・グッディング・ジュニア
[制作データ] 2007米/東宝東和 [上映時間] 157分・R-15
「アメリカン・ギャングスター」公式サイト

【マクタロウ】
冒頭からの人物紹介、設定の説明、徐々に主人公二人のキャラクターを描いてゆく手際が見事だ。
ギャング、フランク(デンゼル・ワシントン)と刑事リッチー(ラッセル・クロウ)、信じるもの、善と悪の違いこそあれど、型破りな手段によって実力を発揮していく様は合わせ鏡のよう。
かたや刑事として正義を貫くあまり、仲間から疎まれ、かたや麻薬の入手ルート、品質にこだわり他の組織から狙われる。
この二人がやがて接点を持ち、追う者と追われる者という立場になっていく。
よくある展開ならば、お互いに「脅し」や「警告」などをしつつ、話が進みそうなものだが、本作では逮捕の瞬間まで二人が顔を合わせることがない。実話がベースということもあるだろうが、面白い展開だ。
アクションも抑え気味で、クライマックスのアパート襲撃までは派手なシーンもほとんどないが、それだけにこのシーンの緊張感は素晴らしかった。
リドリー・スコットも今や巨匠になりつつあるのだなあ、と感慨深い作品の出来だった。

【マクノスケ】
一番以外だったのがラッセル・クロウ演じる刑事のリッチーがインテリだったって事!
でもラッセル・クロウがやるとインテリな暴れん坊デカもありに見えてくるのが不思議。
それだけ演技力があるって事なんでしょうねえ。
対するデンゼル・ワシントンも堂々とした風格。
この映画の展開上、悪役とは言え、彼には彼の悪の哲学があったという描かれ方をしているから、
デンゼル・ワシントンのような悪でも良い人に見えてしまうキャラが返って良かったかもしれません。

フランクの家族(奥さんや母親)は、フランクの行いが悪と知りつつ、豪華絢爛な生活に酔いしれます。
それが最後ツケとなって返ってくるところが切なかったですよね。
フランクとリッチーの人生を対比させ、綿密に描く手腕もさすがなら、ラストの銃撃シーンの見事な事と言ったら、
やっぱりリドリー・スコットってすごいなあと感心する力の入った1本でした。
あ、久しぶりに「悪」のキューバ・グッディング・ジュニアを見ました。(笑)



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■2008. 1月
  ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記 / 魍魎の匣 /スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 /

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 2008.01.19.(Sat.)
■いらっしゃいませ。そして、永遠にさようなら。

[監]ティム・バートン
[総]パトリック・マコーミック
[製][脚]ジョン・ローガン
[出]ジョニー・デップ ヘレナ・ボナム=カーター アラン・リックマン
[制作データ] 2007米/ワーナー [上映時間] 117分・R-15
「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」公式サイト

【マクタロウ】
「趣味全開!!ティム・バートンが送る血みどろ復讐ミュージカル」
一言で言えばこのような作品でした。
ミュージカル慣れ(?)していないせいか前半の展開はつらく、睡魔と戦う羽目に。
されど、序盤で復讐のチャンスを逃したばかりに「殺人鬼」へと壊れていってしまう展開と、「人を呪わば穴二つ」という悲しいラストはティム・バートン監督らしくて良い。
物語の集結はあのような展開しかないだろう。が、気になる娘と船乗り、少年のその後。
特にあの少年は、まともな道は歩いていけないだろうなあ。

【マクノスケ】
シネサントムーンで見て参りました。3時過ぎからの回で20人前後・・・。もっと入ってもいい作品かと思っていましたが残酷シーンもありR−15指定な上、見終わった前のカップルが気持ち悪かったを連発。確かに歌っているシーン以外はずっと血が流れているかも!!

でもこういう血だったら、大丈夫な私は、バートン監督好きと言う事もあり(その割りにはDVDを1枚も持っていないんですが、劇場公開された作品はほとんど見に行っています。)、デップの殺人鬼としての異様な演技、いつものいやらしさ爆発のアラン・リックマンの演技を楽しんできました。

でも一番印象的だったのは、ヘレナ・ボナム=カーターの怪演でしょうかねえ。この役のおばさんがやってる事も凄いんですが、それを怪しく演じる彼女は歌も上手ければ生き様も壮絶。なんだか女の嫌らしさ(というかそれが女の悲しさかなあ?)が全て集約されているような哀れさもあり、外見は人間だけど中身は怪物と行った部分を見事に演じきっているボナム=カーターが、怪物大好きなバートン監督の期待に充分応えているんじゃないかと思わせるところもあり、結婚はしていませんが、パートナーとしてのふたりの結びつきを強く感じてしまったりしたのでした。

ところで終盤に行くに連れ、オープニングのアニメ(CGなのかしら?)が、この作品のだいたいのストーリーを集約している事に気がつきました。このミュージカルを見たことがある人はきっとオープニングだけでニヤリとしたはずですね。相変わらずそういうところが上手い監督さんです!



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魍魎の匣 2008.01.14.(Mon.)
■ハコの中には何がある?

[監]原田眞人
[原作] 京極夏彦 『魍魎の匣』(講談社刊)
[出]堤真一、阿部寛、椎名桔平、宮迫博之、田中麗奈、黒木瞳
[制作データ] 2007/ショウゲート [上映時間] 133分
「魍魎の匣」公式サイト

【マクタロウ】
前作の実相寺監督より分かりやすい演出と猟奇的展開で、まずはエンターテイメント作品としてはよろしいかと。
主人公(?)の京極堂が物語中盤まで出てこないのは驚きだが、小説の「章」のようなサブタイトルを入れ、様々な登場人物といくつかの事件が徐々に一つになっていく展開は面白く観られた。
テンポのよい会話と各登場人物の面白さで引っ張っていく作品なのだが、ちょっと気を抜いていたせいか、人間関係には分かりづらい部分もあった。
残念なのは、クライマックスである「病院」のシーンにおいて失速してしまったことだ。あそここそテンポ良く見せてくれないと、危機的状況における緊迫感が損なわれるのだ。
多くのシーンを中国で撮影しているようだが、やはり日本には見えない。今の日本で1950年代の風景を探すのは大変だということは分かっているが、自分の頭の中で「これは日本だ、日本だ」と言い聞かせなければいけないのも辛いことだった。

【マクノスケ】
前作の「姑獲鳥の夏」にくらべると、それぞれのキャラが立っていておもしろかったし、宗教やフランケンシュタインねた、陰陽師ねたなど、それなりに上手く組み合わせて面白いノリには、なっておりました。

私の好みとしては頼子ちゃんの最後のシーンが、もの凄くグロて、おぞましくて、しっかりホラーとしての画が出来上がっていたのに感心!心の中で気持ち悪くなりながらも、「待ってましたー!」と声をあげておりました。

今回関口くんの役が永瀬くんから椎名桔平に変わったんですが、妙な明るげなノリが阿部ちゃんと共に、3人の結束としてよく描かれていて良かったです。あ、宮迫さんの存在を忘れていた!!彼も、思った以上に登場シーンが長くて、ずっと切ない役です。もう少し、最後に花を持たせてあげたかったかなあ。

しかし、最後の箱の中には生と乾燥したものとどちらが入っていたんでしょうか? テーマ曲が微妙に「ポアロさんのテーマ」に似ていたのは、探偵ものとしてのオマージュだったりするのかしら?それともパクリ?最後に今回の演技賞は田中麗奈にあげたいですね。明るくってお茶目な役を生き生きと演じていて好感が持てました!



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ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記 2008.01.13.(Sun.)
■すべての謎は「禁断の暗号」を解く鍵。

[監][製]ジョン・タートルトーブ
[製]ジェリー・ブラッカイマー
[出]ニコラス・ケイジ ヘレン・ミレン ダイアン・クルーガー 
ジョン・ボイト
[制作データ] 2007米/ディズニー スタジオ [上映時間] 124分
「ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記」公式サイト

【マクタロウ】
まあね、ファミリー・ムービーだと割り切って観れば(ディズニーだし)良いのかもしれないけどね、やっぱり中身が無さすぎるもんで映画館を出たら何も残らない作品でしたね。
次々に出てくる謎は天才主人公(ニコラス・ケイジ)がパッパと解いていく。

これ、前作の感想の出だし部分。いや〜、そのまま使えますね、今回も。
このシリーズは、謎が謎を呼び・・・などという展開を見せたいつもりなのだろうけど、主人公があっというまに謎を解き、一つとして間違えないというのは、つまらないにもほどがある。
唯一、面白みがあったのは老夫婦(ジョン・ボイドとヘレン・ミレン)のアクションぐらいか。

【マクノスケ】
前回はケイジくん扮するベン・ゲイツがあまりによい子ちゃんキャラでなんだかなーと書きましたが、今回はそれを承知で見たものの、前回を上回るケイジくんの手際の良さが災いして、ただただストーリーに流されていく自分がいるだけ。(笑) あまりにもケイジくんが、なにもかもに精通し過ぎているので、謎を解くよりも次に駒を進めて行くのを楽しむだけの映画なのが物足りなかったかなあ。って、この映画に多くを求めてはいけないのはわかりますが、それだったら、もう少し展開と趣向を変えるとか工夫して欲しかったですね。

まあ、ケイジくんと大統領の探検のシーンは良かったかな!演じるグリーンウッドさんも好きだし、演技も楽しそうだったし。ところで大統領のあの本の47ページは次回へ持ち越し?



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