2008年9月〜12月
SF・アクション映画が大好きなマクノスケ&マクタロウの映画鑑賞備忘録です。 ふたりで「のほほ〜ん」と感想を語っています。
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■2008. 12月 |
ウォーリー / 空へ 救いの翼 RESCUE WINGS / ワールド・オブ・ライズ / 252 生存者あり /
■史上最大の巨大台風日本直撃!
監督:水田伸生
原作:小森陽一
脚本:小森陽一、斉藤ひろし、水田伸生
エグゼクティブ・プロデューサー:奥田誠二
プロデューサー:佐藤貴博、下田淳行
撮影:林淳一郎、さのてつろう
音楽:岩代太郎
美術:清水剛
VFXスーパーバイザー:小田一生
出演:伊藤英明、内野聖陽、山田孝之、香椎由宇、木村祐一、
MINJI、山本太郎、桜井幸子、大森絢音、松田悟志、杉本哲太、 西村雅彦、温水洋一、阿部サダヲ
製作国:2008年日本映画
配給:ワーナー・ブラザース映画
「252 生存者あり」公式サイト
【マクタロウ】
私は不特定多数の方が見てくれている(と思っている)この場で、
「作品の良くないところばかりを書く」ということはしたくないと思っているし、してこなかったつもりです。
しかし、この作品はまったく「なっていない」。脚本、演出全てがダメだと言っても良いでしょう。
観客を「泣かせる」ためだけに作られた設定(観客は製作者からバカにされているのだよ。こうすれば泣くよねって)、最初から助かることが予想されているとはいえ、ご都合主義で集められたような被災者達、災害規模が甚大なのにそれを感じさせない世界観・・・。上げていけばきりがない。
この作品で描かれているハイパーレスキューの姿に、消防庁はOKを出してしまっても良いのか? 少なくとも私はあのようなレスキュー隊員では、人命救助など出来ないと思うのだが。
洪水でパニックになる地下鉄駅の描写だけはエキストラが多くて「がんばっているなあ」と思ったけど、それも作品の出来とは別次元でのお話。
【マクノスケ】
「252」の映画公開連動企画の単発スペシャル「252 生存者あり episode.ZERO」を公開前に観た時に、 なんとなくヤバいような気はしていたんですが、なんだか映画の方がまずかったような・・・。
愚痴を言い出せば切りがないので辞めますが、せめて期待していたウッチー(内野聖陽)の出番が もう少し多ければ多少は良かったのになあ。
あんなに活躍しないレスキューって言うのもねえ。
出すからには、もう少し威厳のある出来るレスキューでいて欲しかったなあ。
どうも感動の場面の押し売りみたいな映画で・・・ホントにトホホでした。
まあ、その日お口直しに観た「続・三丁目の夕日」が良かったから
モヤモヤも解消されて この日はゆっくり休めましたが・・・。そうじゃないだろうってお話。(笑)
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■どっちの嘘が、世界を救うのか。
原題:Body of Lies
監督・製作:リドリー・スコット
脚本:ウィリアム・モナハン
原作:デビッド・イグネイシアス
製作:ドナルド・デ・ライン
製作総指揮:マイケル・コスティガン、チャールズ・J・D・シュリッセル
撮影:アレクサンダー・ウィット
美術:アーサー・マックス
音楽:マーク・シュトレイテンフェルド
出演:レオナルド・ディカプリオ、ラッセル・クロウ、マーク・ストロング、
ゴルシフテ・ファラハニ、オスカー・アイザック、 サイモン・マクバーニー、アロン・アブトゥブール、アリ・スリマン
製作国:2008年アメリカ映画
上映時間:2時間9分
配給:ワーナー・ブラザース映画
「ワールド・オブ・ライズ」公式サイト
【マクタロウ】
中東で活動するCIAの工作員ロジャー・フェリス(レオナルド・ディカプリオ)と、アメリカから彼に指示を出す上司エド・ホフマン(ラッセル・クロウ)。現場で実際に命を張る者と、安全な場所から指示だけを送る男の対比が良い。
特に、家事をしながら、子供の世話をしながら、という日常の中でフェリスに対して指示を出すホフマンの姿は印象的だ。
そんなホフマンのキャラクター描写は、アメリカを体現している。中東諸国、アラブ人を見下し、現場の状況はお構いなしに自分たちの要求を頭ごなしに押しつけてくるといった具合だ。
そんなホフマンとフェリスは上手くいくはずもなく、ラストではCIAを辞めるフェリス。「中東が好きなんだ」というフェリスの言葉に「そんなやつはいない」と言ってのけるホフマン。このホフマンの言葉こそアメリカの本音なのではないかと感じた(フェリスの台詞からは「アラビアのロレンス」を思い出した)。
役者も両者の対比を強調するように、ディカプリオは髭を生やし精悍な面持ち、ラッセル・クロウはでっぷりと太った役作り。特にデニーロばりのラッセル・クロウのアプローチは毎回驚かされる。
リドリー・スコット監督の映像は本作でもパワフルで、戦闘シーンの迫力は圧倒的。
テーマ、映像、役者と、どれをとっても平均点以上の作品だった。
【マクノスケ】
テロ組織のリーダーを捕まえるために活動するCIA工作員フェリス(ディカプリオ)。大怪我を負いながらも、無茶な指令をアメリカ本土から次々と送る「現場を知らない上司」ホフマン(クロウ)との仲が次第に開いて行き・・・。結果、フェリスは独自の作戦を実行。それがとんでもない事になるとは知らずに・・・。
レオナルド・ディカプリオ、ラッセル・クロウという2大スターの豪華初共演作。これはラッセル・クロウの一人勝ちかと思いながら見に行ったのですが、この作品のデカプー!とっても良かった。自分的には「ブラッド・ダイアモンド」の時よりもデカプーの表情など好みです。監督がリドリー・スコットという事もあり、地味すぎず、しかし戦闘シーンはド派手という点も得点高い!
デカプーは、冷酷に人を殺していくのとは逆に本当は気持ちの優しい男ところが、見ていて感情移入しやすくすんなり見られました。また、クロウの一見、人の良さそうな家庭人のように装っているデスクワークの上司って言うのが、実に憎らしげでテログループと果たしてどちらがより「悪」なのか考えさせられるところがミソでした!
演じるクロウもいつも以上に「化けてる」と言った感じで相変わらず達者だなあと感心しました。
しかし結局はヨルダン情報局のハニ・サラームの一人勝ちだったってのも皮肉で良かったかなあ。(笑)
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■命を救い、生きて戻れ。
[監][脚]手塚昌明
[脚]内藤忠司 水上清資 大森一樹
[歌]柴咲コウ
[出]高山侑子 渡辺大 井坂俊哉 金子賢 鈴木聖奈 瀬戸早妃 木村佳乃 三浦友和 浅田美代子
[制作データ] 2008角川映画
[上映時間] 108分
「空へ 救いの翼 RESCUE WINGS」公式サイト
【マクタロウ】
これだけキッチリと自衛官を主役に描いた映画は無かったのではないか?
物語は青春映画の定石ともいえる内容で、主人公川島 3尉(高山侑子)の挫折と苦悩、
それを乗り越えるまでが描かれる。
若い役者の演技はあまり上手いとは言えないが、川島の友人、勝沼碧 整備小隊・空士長(鈴木聖奈)が、実は主人公よりも美味しい役。 終盤の涙を拭きながら整備に従事するカットは良かった。
ドラマ的にはちょっと主役を食ってしまった感がある。
手塚監督が実物にこだわったという映像は、冒頭(V−107Aが山間の校庭に着陸するシーン)
から迫力があり、それだけでも観て良かったと思える。
とにかく随所に航空救難団パイロット、救難員の見事な技術を観ることが出来るのだ。
(防波堤の上に着陸するシーンは本当にうなった)
日頃あまり紹介されることもない航空救難団の仕事を、
こうした形で観ることが出来るというのは価値のあることだと思う。
もう少しドラマの整理が出来て、役者の演技が良ければ文句なしの娯楽作品になっていただろう。
(とはいえ、なんだか憎めない作品なので本年度ベストテンには入れても良いかと思う今日この頃)
【マクノスケ】
アニメ『よみがえる空 -RESCUE WINGS-』とコミックス『レスキューウイングス』を原作に、
航空自衛隊の航空救難隊員として女性初の救難ヘリパイロットとなった
川島遥風 (はるか)3尉の成長と活躍を描く青春ドラマ。
航空自衛隊と海上自衛隊の全面協力・・・と言うことで、模型おたくのマクタロウいつになく力が入っている様子。
また主人公を演じる新人高山侑子の殉職した父親が航空自衛官の救難隊員だったことも
話題のひとつになっておりまして話題性充分。
レスキューチームを演じる役者さんたちに、演技的にいまひとつなところもありましたが、
そこは角川映画!往年の「べたな青春映画」的なノリと開き直って楽しんで来ちゃいました。
ヘリの活躍するシーンはもちろん燃えたわけですが、私的に注目だったのは
脇役・勝沼碧整備小隊・空士長!!めがねっこの整備士だけでも萌え!なわけですが、
これがまたF-15パイロットの横須賀剛1尉とバイクで海岸線を走ったり、最後には・・・・!!!
予想外の展開に思わず笑みがこぼれちゃったりしました。
出番は少なかったですけど、気になる俳優の春田純一さん(早稲田繁夫3佐)や
宮川一朗太くん(海上自衛隊護衛艦・副長)、
それから中村雅俊さん(海上自衛隊護衛艦・飯島艦長)のお顔も見る事が出来て良かったです。
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■彼の名はウォーリー。地球型ゴミ処理ロボット。
700年もの間、人間のゴミを片付け続けた。
どんなときも、たったひとりで。
この冬、ついに(奇跡の出会い)が訪れる。
原題:Wall-E
監督:アンドリュー・スタントン
脚本:アンドリュー・スタントン、ジム・リードン
製作総指揮:ジョン・ラセター
製作:ジム・モリス、リンゼイ・コリンズ
撮影:ジェレミー・ラスキー、ダニエル・フェインバーグ
音楽:トーマス・ニューマン
美術:ラルフ・エッグルストン
原案:アンドリュー・スタントン、ピート・ドクター
サウンド・デザイン:ベン・バート
主題歌:ピーター・ガブリエル
声の出演:ベン・バート、エリッサ・ナイト、ジェフ・ガーリン、
フレッド・ウィラード、マッキントーク、ジョン・ラッツェンバーガー、
キャシー・ナジミー、シガニー・ウィーバー
製作国:2008年アメリカ映画
上映時間:1時間43分
配給:ディズニー
「ウォーリー」公式サイト
【マクタロウ】
やっと公開されたピクサー最新作。
予告から「私の好きなパターンかも」と楽しみにしていたウォーリー君。
期待通り、いや期待以上のかわいらしさでたまりませんでした。
片言の言葉しか話せないけなげなロボット。
これは「アイアン・ジャイアント」に通じる、私の好きなキャラクターなのだ。
イヴァ(イヴ)が大好き、イヴァを助け出したい、イヴァと手をつなぎたい・・・
それだけがウォーリーの行動原理。その一途さがたまらなく愛しい。
ピクサーのキャラクターはいつも、たいへん魅力的なのだが、本作における、
メインのキャラクターから(ほとんど)言葉を奪っての感情表現は実に見事。
これまでにも短編などでサイレント作品を手がけてきた成果が、遺憾無く発揮されている。
ウォーリーを初めとするロボット達の一つ一つの仕草、動きや彼らの感情が
丁寧に描かれているので台詞はなくとも彼らが感じていること、 思っていることはしっかりと観客に伝わってくるのだ。
一つ一つ、ここが良かった、あそこが泣けたと解説することは、ばかばかしい。 とにかく未見の方はぜひ映画館で観て欲しい。
【マクノスケ】
今年の大本命(「ヘルボーイ」が来年になってしまったので)と意気込んで行った想いに
見事に応える素晴らしい出来に感激ーー!!
いや、ホントに面白かった。
そしてウォーリーの健気さ、その仕草の可愛らしさにマクタロウともうメロメロ。
観賞後、3種類出ているフィギュアを見ながら、真ん中の大きさのヤツ(6800円だったかな?)が
ニニさんサイズかなーなんどと話したりしたんですが、予算がないので、
イヴのミニタオルとクリスマスカードだけ買って帰って来ました。
いや〜それにしてもウォーリー。可愛かったなあ。
やることなすことギャグテイストで(笑)、それにあのコレクター気質。なんかすごく共感しちゃう。
あそこまで人間臭く描ける作り手のキャラクターの作り込みに本当に感心しました。
あ、あとSWファンとしては、ベン・バートさんの声にときめきましたよん。(うふ!)
で、ですね。帰って来てからNHKBSで「お宝テレビ」を見たんですけどね。
「鉄腕アトム」と「未来少年コナン」の特集で・・・
「コナン」のコーナーには大塚(康夫)さん=「ルパン」や「コナン」で
キャラデザをやっている方・・・がゲストで出ていたんですよー!!
いやー茶屋主人(大塚さんのサイトでの呼び名)、ジムシーのモデルだったんですね。
で「コナン」のストーリーを最終回まで紹介していったんですけど・・・
「のこされ島」にやって来たラナを追ってインダストリアまで行き、
最後は人々と「のこされ島」に帰ってくると言うストーリー!!!!!!
なんか・・・「ウォーリー」・・・????
もしかしてPIXARのスタッフ、下敷きにしてたりなんかしちゃってる??
いや、それはそれで楽しくていいなーと思ってウハウハしてたりなんかするんですけどねえ。
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■2008. 11月 |
レッドクリフ Part I / 彼が二度愛したS / 落下の王国 /X-ファイル:真実を求めて /
■それは、人間が触れてはいけない「力」
原題:The X-Files: I Want to Believe
監督:クリス・カーター
脚本・製作:クリス・カーター、フランク・スポットニッツ
製作総指揮:ブレント・オコナー
撮影:ビル・ロー
美術:マーク・フリーボーン
音楽:マーク・スノウ
出演:デビッド・ドゥカブニー、ジリアン・アンダーソン、アマンダ・ピート、
ビリー・コノリー、アルビン・“イグジビット”・ジョイナー、
ザンサ・ラドリー、カラム・キース・レニー、アダム・ゴドリー、 ニッキー・エイコックス
製作国:2008年アメリカ映画
上映時間:1時間44分
配給:20世紀フォックス映画
「X-ファイル:真実を求めて」公式サイト
【マクタロウ】
テレビシリーズも中途半端にしか観ていない自分は、その後のモロダー&スカリーがどのような関係になっていたのかさっぱり分からず、とまどうことばかり。
まあ、そんなことは覚悟の上、今回のお話が面白ければそれで良い、と思っていたのだが。
しかし、やっぱり「Xファイル」。雰囲気だけで画面を作り、ストーリーを展開させるところは相変わらず。
結局、分かったようでいて、よく分からない事件でした。
せめてテーマ曲ぐらいはフルコーラス聞かせて欲しかった。
【マクノスケ】
興味本位と言うか・・・
モロダーとスカリーが見たい・・というだけで見た「X-ファイル」。実は9シリーズあるうちの3シリーズ(それも飛び飛び)しか見ていないので、モロダーとスカリーの関係がどうなっていたのかもわからず見たのもあり、人間関係に完全に置いてきぼりを食ってしまったんですが、どうやらモロダー君とスカリーは、ベッドをひとつにする関係になっていたと見え、ラブシーンも登場。
行方不明になったFBI捜査官を探すという目的で復帰したモロダー君に絡む「事件のビジョンを見る事が出来る」という過去に性的犯罪を犯した神父が、事件のキーパーソンになって行くのですが、この能力もどことなく曖昧。で、他にこれと言って宇宙人も超常現象も出てこないおよそ「X-ファイル」らしからぬ展開。
印象としては、モロダー君とスカリーというキャラを使った臓器移植に絡む猟奇殺人事件もの・・・と言った感じ。
感想を書くために調べてみたら、監督のクリス・カーターが「今回の映画では最初から宇宙人の物語を排除して企画した」と言っているらしい・・・うーむー。まあねえ。昨今、ヒーロー物もシリアス路線になって来ているので「X−ファイル」も大人の展開を狙って作ってみたら、ファンには、あまりウケが良くなかったってところでしょうか?(向こうでの成績があまり良くないみたい。)
「何かを信じて生きる」「あきらめない」というテーマは、ぐっと来る物もありましたが、物語的にも説明不足の点もあり(ロシアの医師団って何だったのか?)、エンドクレジットのあとのおまけシーンは、どう取ったら良いのかわからず・・・。「ふたりはしあわせ。みんなさよならー」って意味?(笑)
ジリアン・アンダーソン(スカリー)も、実生活では3人目の子供を妊娠し、現在40歳。
前作「Xファイル ザ・ムービー」が98年だから、10年の歳月って確実にお肌に来るのねーと俗っぽく思ってしまった私。確実に私も老化してるって事ですが・・・。(^^;)
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■君にささげる、世界にたったひとつの作り話。
原題:The Fall
監督:ターセム
脚本:ダン・ギルロイ、ニコ・ソウルタナキス、ターセム
製作総指揮:アジット・シン、トミー・タートル
製作:ターセム、ニコ・ソウルタナキス、ライオネル・コップ
撮影:コリン・ワトキンソン
音楽:クリシュナ・レビ
美術:ゲド・クラーク
衣装:石岡瑛子
出演:リー・ぺイス、カティンカ・アンタルー、
ジャスティン・ワデル、ダニエル・カルタジローン、
エミール・ホスティナ、ロビン・スミス、
ジートゥー・バーマ、 レオ・ビル、ジュリアン・ブリーチ、マーカス・ウェズリー
製作国:2006年アメリカ映画
上映時間:1時間58分
配給:ムービーアイ
「落下の王国」公式サイト
【マクタロウ】
スローモーションの白黒映像。「落下の王国」はオープニングからその映像の美しさを主張している。
ロイ(リー・ベイス)が語る夢物語の描写は、そのロケーションの素晴らしさと石岡瑛子が手がけた衣装の美しさで息をのむほどだ。
だが、その内容はただの映像叙事詩にとどまることはない。入れ子細工の構成は、現実のエピソードと同様におとぎ話の結末まで目が離せず面白い。
ロイがアレクサンドリア(カティンカ・ウンタルー)に聞かせるおとぎ話の本当の目的、彼が負っていた心の傷が明らかになるにつれてアン・ハッピーエンドに向かっていくストーリー。
失恋の痛手から自ら人生の幕を下ろそうとしていたロイのストーリーが徐々に自らの心の吐露となっていく終盤、アレクサンドリアの純真さ、彼女の切なる願いに心を打たれるロイ。
彼のストーリーと彼女のストーリーが交わり、ロイはアレクサンドリアを受け入れた事により生きる希望を見いだす。エピローグのスタントシーンを集めた映像に、幾多のスタントマンに対する敬意が感じられ、映画に対する賛歌という一面も感じられた。
役者は私に知らない方達ばかりだったが、アレクサンドリア役のカティンカ・ウンタルーの自然さには舌を巻いた。
子供と動物には勝てないとは言うが、あれほど演技に見えない、素の少女はちょっといないだろう。
【マクノスケ】
「落下の王国」は「ザ・セル」(私は未見)の鬼才・ターセム監督が、世界24ヵ国以上でロケを敢行して撮り上げた絢爛豪華な愛と感動の映像叙事詩。事故で下半身不随となり、自暴自棄になったスタントマンと骨折で入院中の一人の少女の心の交流を軸に、スタントマンが少女に思いつくままに語るおとぎ話をエキゾティックかつイマジネーション溢れる映像美で描き出した2006年の作品。
(allcinema.netの作品解説より)
その上この男が失恋していて自殺願望があり、少女におとぎ話を話すのを餌に、自殺するための薬を盗ませるって展開なんですが、それがどう消化されて行くのかという過程も見応えのひとつでした。少女アレクサンドリアを演じるカティンカ・ウンタルーの笑顔や泣き顔があまりにも素なのにはビックリ。後でパンフを読んだところ、病院でのシーンは即興だったそうで、それを1本の映画としてまとめ上げる監督の手腕にも驚きました。
おとぎ話に登場する世界各地をロケして回ったと言うロケーションも素晴らしく、少女との会話でどんどんと変わっていくおとぎ話の展開も面白かったです。少女の無垢な想いが傷ついたスタントマンの男を再生させると言う現実部分と男と少女が進めるおとぎ話の配分も申し分なく、今年見た映画の中では上位に入れたい作品となりました。
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■会員制秘密クラブのルール
I 名前や職業を聞いてはいけない
II 待ち合わせはホテル
II 待ち合わせはホテル
III 手荒なことは禁止
IV 合い言葉「Are You Free Tonight?」
選ばれたエグゼクティブだけが集う秘密クラブ。
導くのはエリート弁護士、ハマったのは孤独な男。
待っていたのは運命の女と、罠──。
[監]マーセル・ランゲネッガー
[製][出]ヒュー・ジャックマン
[出]ユアン・マクレガー ミシェル・ウィリアムズ シャーロット・ランプリング マギーQ
[制作データ] 2007米/ショウゲート
[上映時間] 108分・PG-12
「彼が二度愛したS」公式サイト
【マクタロウ】
サスペンス映画なのに、ご都合主義が過ぎると目も当てられない作品になってしまうという見本。
もし、主人公ジョナサン(ユアン・マクレガー)がデートクラブにはまらなかったら?
彼がSのことを好きにならなかったら?
どうして犯人ジェイミー(ヒュー・ジャックマン)は、目的をジョナサンに話した後、携帯電話を回収しなかったのか(偉そうなことを言っている割に間抜けな犯人)?
犯人を射殺したSは、このまま逃げのびていくのか?
ジョナサンも犯罪者として指名手配されるのでは(裏金の件は分からないが、少なくともジェイミー殺害の容疑者だろう)?
とりあえず思いついた疑問を書いてみた。特にラストは、一見「犯人も死んだし、彼女も帰ってきてよかったね」と言いたげだが、上記の疑問が残るため実は何一つ解決していないというひどさ。
主役の二人に加え、シャーロット・ランプリングがワンエピソードだけの出演をしているところなど配役だけは贅沢なのだが、お話が出来ていないのではどうにもならない。
【マクノスケ】
売りは官能サスペンス!
原題は「偽装」という意味。
売春クラブにのめり込んじゃった純朴な会計士ユアンがそのひとりに恋をしてしまうわけなんですが、まあ予告からもわかる通り、これがヒュー様の罠だったわけですな。偶然を装い知り合って、クラブに誘い込んで騙くらかして、会計士のユアンを利用して金を巻き上げるっちゅー展開で・・・。
ヒロインのミッシェル・ウィリアムズ(故ヒース・レッッジャーとの間に一子あり)やヒュー様、ユアンの演技合戦は、まずまずなところがあり、ユアンのセクシーシーン(ブリーフ1枚!)やヒュー様の歌なども楽しめて、それなりにお得感はあるんですが、結末がなあ〜。
売春クラブを登場させた意味や携帯を奪い返さない等、数々の謎は話を面白くするためとしても、ラスト、ヒロインがヒュー様を撃ち殺しちゃうって言うのどうなんでしょうねえ。それじゃあ元も子もないというか・・・心情として彼女を人殺しにしちゃいかんだろう!!・・・って思っちゃったんですよ。
それからもう1点。ヒュー様は悪(ワル)だから偽名パスポートはどこかで手に入れる事も出来たとは思うんですが、ユアンがどこからあのパスポートを手に入れたのか疑問かなあ。
・・・って、ラスト。唐突に広場に現れるヒロインも???? ヒュー様の死体から足がついてユアンに捜査の手が伸びると思うのですが、あの二人はずっと逃亡生活なのか???わからーーん!!
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■帝国が、襲ってくる。
信じる心、残っているか。
原題:赤壁
監督:ジョン・ウー
脚本:ジョン・ウー、カン・チャン、コー・ジェン、ジン・ハーユ
製作総指揮:ハン・サンピン、松浦勝人、ウー・ケボ、 千葉龍平、チン・ウェン・ハン、キム・ウデク、ユ・ジョンフン、ジョン・ウー
製作:テレンス・チャン、ジョン・ウー
撮影:リュイ・ユエ、チェン・リー
音楽:岩代太郎
アクション撮影:コリー・ユン
出演:トニー・レオン、金城武、チャン・フォンイー、
チャン・チェン、ビッキー・チャオ、フー・ジュン、中村獅童、
リン・チーリン、ユウ・ヨン、ホウ・ヨン、トン・ダーウェイ、
ソン・ジア、バーサンジャブ、ザン・ジンシェン、チャン・サン
製作国:2008年アメリカ・中国・日本・台湾・韓国合作映画
上映時間:2時間25分
配給:東宝東和、エイベックス・エンタテインメント
「レッドクリフ Part I」公式サイト
【マクタロウ】
吉川英治の「三国志」を読んだのは、もう20年以上前のことだろうか。今では詳細どころか、ストーリーの展開も忘れてしまっている。
それでも「赤壁の戦い」という言葉や主要登場人物の名前などは覚えているもので、特に趙雲が劉備の子供を助け出し、馬で駆けるシーンは最高にかっこよかった。
そのエピソードが物語のどのあたりにあったのかはすっかり忘れていたのだけど、なんと映画の冒頭で展開されるではないか。もう、これだけでお腹いっぱい。いきなりのクライマックスです。
もちろん、その後も「男達の熱い戦い」満載で、久しぶりに男の友情、信義といったものを見せていただきました。
紅一点で周瑜の妻、小喬がいるけど、どちらかというと孫権の妹で男勝りな尚香がコミカルな部分を担当していて魅力的だ。
関羽、張飛など、お馴染みのキャラクターは小説からイメージしていたままだが、孔明の金城武はちょっと人の良さが出過ぎていて、軍師としての重みが足りない。金城武は好きな方だけどね(金城武と中村獅童というキャスティングはエイベックスの圧力?)。
「三国志」の映像化を長年希望していたジョン・ウー監督、やや力みすぎと感じる部分はあるものの、彼ならではの映像で展開される「赤壁の戦い」。もちろん後編も期待しております。
【マクノスケ】
ジャンルは好きな物の、「三国志」を全く知らない状態でどこまで楽しめるのか不安だったのですが、とりあえずNHKの「その時歴史は動いた」を見て大まかに予習。その後、2年ぶりにまとめ読みしたわぐちかいじの漫画「太陽の黙示録」が「三国志」をモチーフに描かれていて、主要人物のキャラクター名が「三国志」から取られている事(柳舷一郎=劉備、宗方操=曹操、孫市権作=孫権など他にも多数)を知ったことが今回「レッドクリフ」を見るのに大いに役に立ちました。
たぶん「三国志」を読んだことがない方でも「太陽の黙示録」を読んでいる方だったら、人間関係といい、キャラクターの生い立ちといい、似通っている部分が多いのでわかりやすいのではないかと思います。
…という訳で「三国志」を知らない私でも冒頭の日本独自(?)の解説と執拗に出てくる人物名の説明字幕+「太陽の黙示録」で得た知識でキャラクター名も普通に理解することが出来て、145分の長丁場を、ノリノリのカンフー風のアクションとスローモーション炸裂というジョン・ウー演出に酔いしれる事が出来ました。ただ予想していなかったのが周瑜が主役だったってこと!
私は勝手なイメージで劉備、孔明辺りが主役だと思っていたんですよ。
途中、戦闘の指揮を取っている周瑜が忽然と姿を消した辺りで、
「あ!トニー・レオンと言えば「HERO」でのアクションがあった!!」と理解する始末。
その後の見事なカンフー的なアクションの数々はこの作品の一番の見せ場になってましたし、それまでの「笛」や「琴」「筆」「馬」(萌萌!!)など次々と積み重ねられていたエピソードも彼が主役だからなんだーと言うことにようやく気づくという有様。(情けないそ!私!!)
でもねえ。トニーたんがどんなに素敵でも、やっぱり趙雲が格好良すぎ!赤ちゃんを救い白馬で颯爽と駆け抜ける・・・なんて素敵過ぎるぞー!それから私的に大爆笑だったのが「八卦の陣」の時の張飛!!!もう体当たりで敵をぶっ飛ばすところが「太陽の黙示録」の張を彷彿とさせて、あまりにまんまなのが可笑しくて・・・笑いを堪えるのが必死でした。いや〜これは PartUが楽しみです!
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■2008. 10月 |
アクロス・ザ・ユニバース /
■All You Need Is Love 愛こそすべて
原題:Across the Universe
監督:ジュリー・テイモア
脚本:ジュリー・テイモア、ディック・クレメント
製作:マシュー・グロス、ジェニファー・トッド、スザンヌ・トッド
撮影:ブリュノ・デルボネル
音楽:エリオット・ゴールデンサル
美術:マーク・フリードバーグ
出演:エバン・レイチェル・ウッド、ジム・スタージェス、 ジョー・アンダーソン、デイナ・ヒュークス、 マーティン・ルーサー・マッコイ、T・V・カーピオ、ボノ、サルマ・ハエック
製作国:2007年アメリカ映画
上映時間:2時間11分
配給:東北新社
「アクロス・ザ・ユニバース」公式サイト
【マクタロウ】
ビートルズのナンバーで綴られる青春物語。
リバプールの造船所で働く主人公ジュード(ジム・スタージェス)が、父を捜しにアメリカへ渡る。
時は激動の60年代。父が働く大学で知り合ったマックス(ジョー・アンダーソン)や彼の妹ルーシー(エヴァン・レイチェル・ウッド)らと付き合う内に、時代の波に飲み込まれていくジュード。
しかし、彼はイギリス人故に徴兵されることもない。その一歩引いた視点から見るアメリカ60年代史というスタンスが面白い。この間合いがあるから物語が深刻になりすぎず、爽やかなラブストーリーとして成り立っているのではないだろうか。歌詞と映像のマッチングは絶妙で、改めてビートルズ作品の良さを認識した。
しかし、鑑賞中は頭の片隅に「ピンク・フロイド/ザ・ウォール」がちらちらとしていた。
あえて比較するわけではないが、所々それを思わせる部分があったのだ(徴兵検査のシーン、主人公の彼女が平和運動家に肩入れしていく展開など)。
ただ、あちらはロジャー・ウォーターズが作り上げた作品の映像化だったのに対し、本作はビートルズのナンバーを借りたミュージカルだという違いと、物語がハッピーエンドをむかえるという部分はやはり、時代のせいだろう。このことは両グループの音楽性の違い以上に、映画的には重要なことなのだと思う。
最後に。やはりビートルズマニアだったら、私の倍以上楽しめたのだろうなあ。
【マクノスケ】
いつだったか「ボノ」を調べている時にこの映画の予告に辿り着いて面白そうだなあと思っていたのでした。
今回、ご近所のシネコンで上映されると言うので喜んで見に行ってきました。
ビートルズが活動していた時代、私は2歳から10歳。 10歳の頃アニメにハマった私には、当然何の接点もなく
指して関心もなく時代は流れていったのですが、さすがに彼らの曲は今やスタンダードとなって、そんな私でも
有名処は知っている状態でした。
この映画は「ビートルズ」の歌をミュージカルにし、60年代のベトナム戦争を背景に生きる若者たちの苦悩と青春を
描いているのですが、その状況やキャラの心境に、あの歌、この歌・・・よくそのフレーズを持ってきた!!…というくらい
ハマった選曲で感心することしきり。
それに加えて監督が舞台「ライオンキング」の演出で名を馳せたジュリー・テイモア故、映像が斬新!!
状況を説明するだけでなく、ミュージカルならではのイメージ映像の美しさには目を見張る物がありました。
ラスト、反戦運動が原因で、一端別れた主人公とヒロインが、再会し唄い合うシーンは、わかっちゃいますが泣けましたねえ。
All You Need Is Love! 愛こそすべて・・・この映画も素晴らしいけれど、やっぱりビートルズって凄いなあとつくづく思っちゃいました。
それにしてもマクタロウも↑で書いている通り、ビートルズ好きだったら、もっと楽しめたんだろうなあ。
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