2008年5月〜8月

SF・アクション映画が大好きなマクノスケ&マクタロウの映画鑑賞備忘録です。
ふたりで「のほほ〜ん」と感想を語っています。


■2008年 5月〜8月  基本的にネタばれしておりますので御注意を!
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  【2008】/1月〜4月/5月〜8月/9月〜12月

  【5月】  相棒 劇場版 絶体絶命!42.195km東京ビッグシティマラソン / アフタースクール /
            ラスベガスをぶっつぶせ /
  【6月】  ノーカントリー / インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国 /
  【7月】  クライマーズ・ハイ / カメレオン /ハプニング /
  【8月】 スカイ・クロラ /崖の上のポニョ /ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝 /ダークナイト /
           スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ /20世紀少年 /

■2008. 8月
  スカイ・クロラ /崖の上のポニョ /ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝 /ダークナイト /
  スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ /20世紀少年 /

20世紀少年 2008.8.30(Sat.)
■世界が終わろうとしています。 ぼくらの“ともだち”によって──。

[監]堤幸彦
[原][脚]浦沢直樹
[脚]福田靖ほか
[歌]T.REX
[出]唐沢寿明 豊川悦司 常盤貴子 香川照之 石塚英彦 宇梶剛士 宮迫博之 生瀬勝久 小日向文世 佐々木蔵之介
[制作データ] 2008東宝 [上映時間] 142分
「20世紀少年」公式サイト

【マクタロウ】
堤監督の作風は好きじゃない。浦沢先生の漫画はあまり乗れない。
とは言っても、最近の堤作品は観ていないし、浦沢作品も「モンスター」と「プルートゥ」の1巻だけしか読んでいないから、どちらかと言えば食わず嫌いなのかも知れぬ。
というわけで原作未読で鑑賞。なんたって三部作なのだからとりあえず第一部は観ておかないと。
全体的に堤カラーは抑えめでホっとする(それでも、3回ほど出てくる「テレビを観ている一般人」の描写は鬱陶しさを感じた)。その代わり、ただ原作のストーリーを追っかけているような作りになっていて、心に響くような作品ではなかった。さらに、少年時代のことを何一つ思い出せないケンヂ君にはイライラする。
最も、三本出来上がった後では多少評価も変わるかも知れない。
ロボットのシーンでは久しぶりにミニチュアワークを観ることが出来て嬉しい。
劇場入り口に原作の画と映画の登場人物を並べた立て看があったが、改めて見ると良く似た雰囲気の役者を揃えたものだと感心(一部、違うだろというキャラクターもいるが)。

【マクノスケ】
「YAWARA!」「MONSTER」などで知られる人気漫画家、浦沢直樹の人気漫画を豪華キャストで映画化。

その中でも佐々木蔵之介と生瀬勝久が特に気になる私。これは見に行かねばーと行ったんですが、なんとな〜く、ストーリーのダイジェスト版を見せられちゃったような・・・。ぐっと来るようなシーンやセリフについぞ巡り会えず2時間20分が過ぎてしまい残念な気分。

子ども時代に書いた「予言」が、どんどん現実になっていく不気味さや主人公の焦りみたいなものが、もっと出てると良かったかなあ。それに最後の方はケンヂばかりが目立ってヒーローみたいな描かれ方をしていますが(原作がそうだとしても)、もうちょっと他のメンバーが活躍しても、いいんじゃないかと思ったんですが、敢えてそう描かないのは「2」の続きの関係なのかなあ?

しかも、お目当ての蔵之介はあまりセリフがなかった上・・・生瀬さんは、ほとんど出てないし!!!自分の好み的にも期待はずれだったわけなんですが、生瀬さんの子ども時代を演じた子役の子が、 生瀬さんの演技も真似ていたところは、ときめいちゃいましたよ。 ところで津田寛治(諸星)や石橋蓮司 (万丈目)とかウルトラシリーズからのネーミングや「鉄人28号」へのオマージュと思われる敷島教授などのネーミングは浦沢直樹の趣味なのかなあと思いましたが、竜雷太演じる「チョーさん」のパロディは映画オリジナルなんでしょうか?

・・・って、観る前から、原作を読もうかどうしようか散々迷っていたんです。 でもねえ。以前にも「MONSTER」をオークションで一気買いして、いまひとつだったので、 踏ん切れなかったんですが、やっぱり買って読んでみようかなあ。 「MONSTER」よりも面白いといいんだけどなあ。



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スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ 2008.8.24(Sun.)
■エピソードUVをつなぐ伝説が今、ここに明かされる!

[監]デイブ・フィローニ
[案][総][製]ジョージ・ルーカス
[脚]ヘンリー・ギルロイほか
[制作データ] 2008米/ワーナー [上映時間] 93分
「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」公式サイト

【マクタロウ】
どうせ観に行っても文句しか出てこないだろうと、まったく予定に入れてなかったのだが、なにかと付き合いがよろしいマクノスケに連れられて鑑賞となった。
「スター・ウォーズ」に(と言うよりジョージ・ルーカスに)すっかり失望している私としては、アニメだろうが何だろうが勝手にやってくれってなもんで、全く期待していない状態。
それが幸いしたのか、はたまたアニメということでワン・クッションあるせいか、エピソード2&3ほど腹も立たず、それなりに楽しむことさえ出来た。
絵柄は良くないし、動きも昨今のゲーム並み。それでもそれなりに楽しめたということは、どれだけ自分が「スター・ウォーズ」を見放したか、ということの証明のようなものなのかも知れない。

【マクノスケ】
スター・ウォーズとしては初の長編フルCGアニメでエピソード2と3の間のクローン戦争の時代が描かれています。

分離主義勢力のリーダーであるドゥークー伯爵が送り出す刺客やバトル・ドロイドと、クローン・トルーパーの先頭に立って闘うオビ=ワンとアナキン。ヨーダからアナキンの弟子となるよう派遣されたジェダイのパダワン・アソーカ・タノは今風の跳ねっ返り娘!

アナキンを「スカぴょん」(英語では何て言ってるのかしら?)と呼び、師匠を師匠とも思っていない態度に、多少苛立ちながらも、(年のせい?)観る前のイマイチ感を吹き飛ばすメインキャラの描写に、その割に好印象でした。 しかし100分弱の尺がこれまた長く感じてしまうので、実際面白いのかと言えば、そうでもないのかもしれませんが、これまでの映画には描かれていないアナキンの優しさや葛藤、オビ=ワンのアナキンへの信頼などがしっかりと描かれている点が嬉しかったですね。

敵キャラ・アサージ・ヴェントレスは、アニメ「クローン大戦」に出ていた元ジェダイの女戦士で、ダース・シディアスの弟子であるドゥークー伯爵の手先。てっきりドゥークーの弟子だと思い込んでいたんですが、パンフレットによると、シスは3人以上の存在を許さないと言う掟があるそうで、ヴェントレスはドゥークーに、剣さばきなどの教えは受けたものの、シスとしての教えは受けられず、あくまでも彼お抱えの暗殺者という設定になっているようです。 ・・・って、映画だけじゃ、全然わからなくなって来てるSW!!! やっぱり私のSWは旧3部作で終わってるかなあ。



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ダークナイト 2008.8.23(Sat.)
■わたしがお前を殺すか

[監][脚]クリストファー・ノーラン
[出]クリスチャン・ベール ヒース・レジャー マイケル・ケイン アーロン・エッカート マギー・ギレンホール ゲーリー・オールドマン モーガン・フリーマン
[制作データ] 2008米/ワーナー [上映時間] 152分
「ダークナイト」公式サイト

【マクタロウ】
「バットマン」というキャラクターを使って、ハードな犯罪映画をやりたいとう製作者の意図は分かるし、「バットマン」の世界観がそれを成立させるだけの深さを持っているということもよく分かる。
「正義とは」というテーマに合わせ、ジョーカーのストーリーにトゥ・フェイスをからめたところもうまいと思う。

しかし、冒頭から死者多数、ヒロインは(もういらないや、とばかりに)爆死。と、陰々滅々とした展開。
高揚感などあったものではない。
おまけにストーリーは悪役寄りで、主人公が狂言回しにしか見えない。 アメリカでは大ヒットだから続きもあるのだろうが、もう少しバットマンの胸のすくような活躍を観たいものだ。

【マクノスケ】
前作「バットマンビギンズ」に続き「メメント」「プレステージ」のクリストファー・ノーランが監督、主演その他メインの脇役も同じキャストでキャラクターに深みが増すかと思いきや、今回のメインは悪役であるジョーカー。そしてゴッサムシティの新たなる救世主・地方検事のハービー・デント。対するは警察のゴードン警部補!

・・・と、主役であるバットマン&ブルース・ウェインはその割に目立ってないんですよねえ。 まあ、前回も「バットマン」というよりは「ブルース・ウェインと犯罪」みたいな映画になっていましたが、前回はそれが新鮮に感じていたりしたんです。それに贔屓のリーアム・ニーソンも出ていたので割と得点高かったんですけど・・・今回はバットマンというキャラを現実世界へ持ち込むあまりに、より現実的な扱いになっていて、ヒーロー物としての華が薄かったのが寂しい点でもありました。

でも香港で空を舞う姿であるとか、次々と新しい武器を繰り出して闘うところは、この手の作品で燃える私としては、それなりに燃えちゃったかなあ。亡くなったヒース・レジャーの切れた演技も魅せられる物があり(SWCJでマークが見せてくれたジョーカーの声色を思い出して似てるかなあと思ったり・・・)ハービー・デント演じるアーロン・エッカードも味があって良かった。

映画の中で繰り返し使われる「光の騎士」という言葉がラストシーンと対になっていたとは!! やられたーーーって感じでしたかねえ。 しかしブルースが、レイチェルの想いを知る時はないとは言え、もしそれを知ってしまったら、彼の孤独を癒すものはもう何もないのではないかと思うと辛いかなあ。 と言うか、私がアルフレッドでも手紙を燃やしたとは思いますが、それが心の支えになっているブルースって!!!うぅーー。辛すぎるっ!!!



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ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝 2008.8.17(Sun.)
■神秘の宝をめぐり、死者の軍団との壮大な戦いが幕を開ける!

[監]ロブ・コーエン
[製]スティーブン・ソマーズ
[出]ブレンダン・フレイザー マリア・ベロ ジョン・ハナ ルーク・フォード ジェット・リー ミシェル・ヨー
[制作データ] 2008米/東宝東和 [上映時間] 112分
「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝」公式サイト

【マクタロウ】
あまり好きなシリーズでもないのですが、何となく「夏休みも終わりだし、脳天気な作品を」と鑑賞。
予想通り、終わってみればほとんど残らない作品。
インディでもそうだが、主人公の息子が出てくると、そちらのお話も作るためにどうしても散漫になる。しかも、前作同様ドラマがあるのは主人公側よりも悪役側。
そのおかげでミシェル・ヨーの活躍が目立つし、彼女も素敵に演じていた(素顔での出演が少ないジェット・リーはかわいそうだが)。
アクションは派手だし、あまりよろしくないクリーチャー(イエティ)などは監督が変われど大差なしだが、アクション演出が見やすくなったのはありがたい。
本家(?)インディでは観られなくなった銃撃戦も楽しめた。
かなりヒットもしているし、4作目もあるかもしれない
(最後、お兄さんが南米に、というところだったから次はゾンビ?)。
それにしても「ハムナプトラ」というタイトル、もう全然関係のないお話になっていますけど・・・。

【マクノスケ】
実はソマーズ監督とは相性が悪く、「ハムナプトラ」の1作目も2作目も「ヴァンヘルシング」も駄目だった私。

でも今回は監督も違うし(「トリプルX」のロブ・コーエン)、主役のブレンダンが好きなのと今回からヒロインを個人的に注目しているマリア・ベロ(「ヒストリー・オブ・バイオレンス」の奥さん役でブレイク!)が演じるというので、そこの部分だけでも楽しもうと行ったんですが、武侠映画とインディシリーズ全4作を足したような展開にそれなりに満足して帰って来ました。

メインキャラがモンスターに変身したり、ラストの煙の中に浮かぶ恋人たちの顔なんかが「ヴァンヘルシング」を思わせてソマーズチックだなあ〜なんて思いましたけど、インディ4にはなかった銃撃シーンや顔がドロドロと溶けるシーンは、待ってましたーっとばかりに興奮! でも息子の方も描かなくちゃならない事でリック(ブレンダン)の出番が思ったより少なくて残念! どちらかと言うとジェットー・リーとミッシェル・ヨーのお話の方が印象に残る展開で、リックの影が薄かったかなあ。マリア・ベロはアクションシーンも決まっていてなかなか素敵でした。 ミン将軍のゾンビ姿にも惚れたぁーー!!(本物も格好良かったですが・・・) ・・・って、次は南米が舞台なんですか?ジョナサン兄さん!!!



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崖の上のポニョ 2008.8.03(Sun.)
■生まれてきてよかった。

[監][原][脚]宮崎駿
[プ]鈴木敏夫
[音]久石譲
[歌]藤岡藤巻と大橋のぞみ
[声]山口智子 長嶋一茂 天海祐希 所ジョージ 奈良柚莉愛 土井洋輝 矢野顕子 吉行和子 奈良岡朋子
[制作データ] 2008東宝 [上映時間] 101分
「崖の上のポニョ」公式サイト

【マクタロウ】
やられた。宮崎駿は健在だったのだ。
前作「ハウルの動く城」とはうって変わったように画面の端々に宮崎さんの「執着心」が見て取れる。
少年の動き、嵐の迫力、リサカーの疾走、フジモトの可笑しく楽しい行動、港町のディテール、どれをとっても宮崎監督が「どうです?良いでしょう?」と言っているようだ。
大きくなったおもちゃのポンポン船(まるで「どうぶつ宝島」のパイオニア号)に乗って水没した町の上を行くなんて(「パンダコパンダ/雨ふりサーカス」のようだ)ワクワクする。しかも、水の中はカンブリア紀の様相。
川の中をでっかい古代魚が泳いでいるという夢を何度も見ている私としては、たまらなく嬉しい。

わがままだけど分別のあるポニョ、礼儀正しくしっかり者の少年宗介、優しいお母さん(海上を行く旦那の船と交わす信号のやりとりは可笑しくも微笑ましい)、かわいいおばあちゃん達、そして謎のお父さんフジモトなどなど、どのキャラクターの魅力的だ。

本作は子供向けのファンタジーということになるのだが、海にはゴミがごろごろしているところなど、綺麗なだけのファンタジーに終わっていないのは、さすが宮崎監督。
ただし、老人達、宗介とポニョが出会う赤ん坊を抱いた婦人のエピソードなど、私達のような年齢の観客には理解できるが、本来の対象年齢である子供達にはどう映るのだろうか。宮崎監督も年を取り「これも言いたい、あれも言いたい」と盛り込みすぎたように思う。
「パンダコパンダ」のような作品を期待していたわけではないが、今、単純な娯楽作品を生み出すには難しい状況にあるのだと感じた。

【マクノスケ】
公開から2週間でしたが、さすがジブリ作品!親子連れでいっぱい。

もっと子どもがわいわい騒ぐのかな〜と思いながら見ていましたが、やはり小さい子には長すぎるのかも。宮崎さんは子どものために作ったってテレビで言ってましたけど、なんだか今までの宮崎アニメが大好きな大人が「よかった!宮崎さんはまだ健在だ!」と100%天然宮崎水をゴクゴクと飲み干して「ご馳走さまー」って言えるような・・・そんな素敵な作品に仕上がっていました。

今回の魅力を上げていくと・・・ いつもの事ながら、キャラクターの仕草が細かい! (宗介が階段を降りていく時に途中から1歩ずつ下ったり、 リサが怒って冷蔵庫から出したビールが泡吹いちゃったり・・・) 設定が緻密である!(フジモトの部屋や宗介が住んでいる町並み) バカらしいギャグが嬉しい!(発光信号のシーンは大爆笑) それにロマンがある!(宗介の船と古代魚に胸がわくわく!)

で、最終的にポニョの祐介を思う気持ちがポニョを人間になりたい思わせ、 そこから世界の終わりが近づいて来ちゃっうって言う力業の展開には驚きました! 「ゲド戦記」かと思いましたよ。(冗談!) でもラスト、「ひまわり」のおばあちゃん達の足も治り、ポニョの思いも遂げられてめでたしめでたし。 フワフワした涼しげな絵本のようなタッチに純粋な少年と無垢なポニョの姿の心地良さ! あぁ、宮崎さん、帰って来てくれて本当にありがとうと心の底から思いました。 それにしてもリサカー・・・の演出凄かった!ほとんど宮崎さんの趣味?(笑)



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スカイ・クロラ The Sky Crawlers 2008.8.02(Sat.)
■もう1度、生まれてきたいと思う?

[監]押井守
[原]森博嗣
[製]奥田誠治 石川光久
[脚]伊藤ちひろ
[音]川井憲次
[声]菊地凛子 加瀬亮 栗山千明 谷原章介
[制作データ] 2008ワーナー [上映時間] 121分
「スカイ・クロラ」公式サイト

【マクタロウ】
結論から言えば、いつもの「押井守らしさ」はあったが、物足りなさが残る作品だった。
基本的な設定は事前に知っていたから何とかなったが、いきなりこの作品を見せられたら、果たして理解でしただろうか。
キルドレと呼ばれる少年達、作品世界における戦争の実態等、小出しに説明はされていくものの、このままでは不親切に感じる。

本作で押井監督が描きたかったのは「少年による父殺し」「子供が大人になる」ということだろう。
キルドレはクローンであるが故、曖昧な記憶と共に、戦闘をし、死んでいくという人生を繰り返す。
その繰り返しから脱する方法、それが大人になるということ。
女である草薙は、子供を産むことによって大人になろうとしたのだろう。
主人公、函南はティーチャーと呼ばれる「大人の男」を倒し、それまでとは違う自分になろうとする。彼は果たせなかったが、いつか彼の何代目かのクローンが「父殺し」を果たすときが来るのかも知れない。その時キルドレは新たな一歩を踏み出すことになるのだろう。
空戦シーンは意外と少なく、爽快感も燃えるような映像も少ない。これが作品全体を「今ひとつ」と感じさせる要因になっている。
人物描写は相変わらず淡々とした長回しの多い演出。それはそれで「押井らしさ」なので良いのだが、尺自体は長すぎると感じた。
草薙役の菊池は下手にしか聞こえず、辛い。他の俳優(函南役の加瀬は微妙だが)は気にならず、草薙の声さえもっと上手い人がやっていればと思うことしきり。
最後にもう一つ。
平和を維持するために、企業が思春期から成長しない少年達(キルドレ)を使い「代理戦争」をしているという世界だが、人間が戦争を始めるのは「闘争心」からではなく「欲望」からなのではないか。誰かがどこかで戦争をしているからといって、他に戦争が起こらないわけはない。
だとすれば、この作品の一つの主張である「戦争」に対する考え方は破綻している。

【マクノスケ】
「スカイ・クロラ」は「攻殻機動隊 」や「パトレーバー」などで知られる押井守監督の最新作。子どもの姿のまま成長を止めた「キルドレ」という若者たちがショーとしての戦争で闘う世界が舞台。

CGI による戦闘機の戦闘シーンがどんな感じになっているのか楽しみに行ったのですが、押井さん、その割に空中戦にはさほど思い入れがないような・・・。なんとなくゲームっぽいのは、ゲーマーな押井さんゆえにわざと狙ったのかとも思いましたが、そのへんは如何なものでしょうか?

でも、人間ドラマの方に目を移してみると、これまたいつもの押井節健在!!セリフのないやたら長いカット続出!!たぶん設定もなにもわからない状態で見に行った人は、ちんぷんかんぷんな上、タラタラと続く抑揚のないセリフの連続に置いてきぼりだったに違いないのですが、これぞ押井映画!「オレの映画のわかるヤツだけついて来い!」みたいな作りに今回も惚れました。(笑)

でもねえ。やっぱり押井さんの良いところは、これだけドライに描きながらも、根っこの部分は熱いってところなんですよね。キャラクターたちの心の叫びを忘れてないし、愛し合い、求め合う事が人間の根本にあるって事も判ってる。それ故に彼ら「キルドレ」の本当の運命(これは映画のオチとも言える部分ですが)が、如何に残酷で、それを生み出している大人の醜悪な毒の部分との対比が際だっていたとも思うのですが、それにしても「マトリックス」じゃありませんが、いつか彼らの中に「ネオ」のような存在が生まれ「ファーザー」(「キルドレが倒すことが出来ない大人のパイロット)を倒す日がやって来るのかなあ・・・などと考えてしまった私は、やっぱり「おたく」なのかしらねえ。



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■2008. 7月
  クライマーズ・ハイ / カメレオン /ハプニング /

ハプニング 2008.7.27(Sat.)
■人類は滅びたいのか。

[監][製][脚]M・ナイト・シャマラン
[出]マーク・ウォールバーグ ズーイー・デシャネル ジョン・レグイザモ スペンサー・ブレスリン ベティ・バックリー
[制作データ] 2008米/FOX [上映時間] 91分・PG-12
「ハプニング」公式サイト

【マクタロウ】
前作「レディ・イン・ザ・ウォーター」が非常にガッカリな出来だっただけに、心配していたシャマラン監督の最新作。
不可解な事件を通して主人公(とその家族)が再生するというパターンはいつも通り。サスペンス演出はやはり上手いと感じた(特に建設現場での描写はゾッとした)。
前半は「何」が襲ってきているのか解らない恐怖、中盤以降は、「植物が何らかの毒素を出しているらしい」ということを観客に示し、サスペンスを盛り上げる展開。物語の世界では、植物が怪しいということは単なる憶測でしかないが、映画的にはこれで正解。何から逃げたらいいのか解らない主人公達に、恐怖の対象を示すことで、観客もハラハラできるのだ。
だが、作品として面白かったかというと、まあ、普通の出来(グロテスクな描写が多いのは意外だったが)。
シャマラン監督はこの路線で行けばいいのではないかと感じさせる1本だった。

【マクノスケ】
「シックス・センス」や「アンブレイカブル」ファンの私は前回の「レディ・イン・ザ・ウォーター」がイマイチだったので今回もちょっと心配していたのですが、予想通り・・・何もなかったというのが第一印象。

でもその後、マクタロウといろいろ話しているうちに、この映画の作りについて「ねた」を楽しむ映画ではなく、「ハプニング」そのまっただ中にあった夫婦の絆を描く映画だと言うことに気づきました。そう・・・「シックス・センス」から続くシャマラン監督のテーマそのものをストレートに描いた佳作だったんですねえ。

妊娠を望む妻や親友の子供を預かって困難な状況をくぐり抜ける主人公など、デルトロ監督の「ミミック」を思い出したりしましたが、主人公と妻がだんだんとお互いの気持ちをたぐり寄せるように進んでいく展開は、さすがシャマラン監督。人間描写が上手いなあと感心。そこに今回は容赦しない残酷な衝撃シーンを次から次へと挿入することによって緊張感を持続させるという手法は、やはり計算していたのかなあと思ってもみたり・・・。

しかし家族の絆を取り戻した彼らの先に待っている未来が怖い!!! 今回は問題定義もしていたり新しいシャマラン監督の一面も見えたような気がしました。 こういうドラマを大切にしたサスペンスを描ける人が他にあまり見られないので、シャマラン監督にはこれからも頑張ってほしいと思います。



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カメレオン 2008.7.12(Sat.)
■変幻自在

[監]阪本順治
[企]黒澤満
[脚]丸山昇一
[出]藤原竜也 水川あさみ 塩谷瞬 豊原功補 萩原聖人 平泉成 犬塚弘 谷啓 加藤治子 岸部一徳
[制作データ] 2008東映 [上映時間] 97分
「カメレオン」公式サイト

【マクタロウ】
懐かしい雰囲気を漂わせた坂本順治監督の最新作。
なぜ「懐かしいのか」といえば、もともと松田優作のためにかかれた脚本と言うこともあるだろうが、その設定からストーリー、アクションまで坂本監督が70年代(東映)テイストでまとめ上げているからだ。
これを「古くさい」と感じるか「懐かしい」と感じるかで評価が変わるのではないか。
主演の藤原竜也は「顔つきが綺麗すぎてハードボイルド作品にそぐわないのでは」という危惧もしたが、友達や一座のメンバーを想う場面が多いので、意外にもはまっていた。
アクションシーンは、引きの画、ワンショットという場面が多く、役者の苦労が報われる(藤原竜也の運動神経はかなり良さそうだ)。最近のハリウッド・アクションに決定的に足りない部分をしっかりと見せてもらい、満足。

【マクノスケ】
故松田優作のために書かれた脚本を、藤原竜也主演で映画化したハードアクション。監督は「どついたるねん」「亡国のイージス」の坂本順治監督。

結婚詐欺を仲間と繰り返し小銭を稼ぐ主人公伍郎。仕事帰りにたまたまある国会議員に絡む人質事件を目撃してしまった事により命を狙われる。なんとか仲間を逃そうと必死になる伍郎。しかし、政府の裏組織「RCA」に命を狙われ、仲間は次々と殺されていく・・・

意外だったのが、これが復讐がメインではなかったという事です。孤児で身を持ち崩しやくざやアメリカで闇の仕事を繰り返し、25歳で人生を使い切ってしまった男が、帰国して、表向きは役者一座をやっている老人3人組(大塚弘、谷啓、加藤治子)と共にするささやかな生活。鬱を病んだ青年を支え、たまたま知り合った女性と恋に落ちるも、事件に巻き込まれその幸せも長続きしない・・・そんなこんなで結局は最期は彼の中のバイオレンスが目覚めるのだけれど、それまでの彼の安息の日々を描くことによって、彼の中の人間性がよりよく表現できていたと思います。

たぶんこれが松田優作主演だったら、もっとコアな復讐劇になっていたと思うんです。 でもそんな凶暴な力を身につけてしまった彼の優しい部分を出したかったと思われる藤原くんの抜擢はどんぴしゃだったのではないでしょうか?ヒロインに水川あさみ!「風林火山」の時も魅力的に演じてましたけどこの役も浮世離れしていて合っていました。豊原功補さんもいつもと同じような役でしたが、憎たらしいところ良かったです。柄本佑(虎王丸ー!)もおいしい役で出ていて嬉しかったかな。



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クライマーズ・ハイ 2008.7.06(Sun.)
■命を追った、あの夏。

[監][脚]原田眞人
[原]横山秀夫
[脚]加藤正人 成島出
[出]堤真一 堺雅人 尾野真千子 高嶋政宏 山崎努 遠藤憲一 マギー 田口トモロヲ 野波麻帆 西田尚美
[制作データ] 2008東映=ギャガ [上映時間] 145分
「クライマーズ・ハイ」公式サイト

【マクタロウ】
日航機墜落という大事故を背景に、報道に奮闘する地方新聞編集部を舞台にした作品。
大惨事の報道に直面し、それまでの価値観や人生までも狂わされていく人々を描き出す原田監督の演出が良い。社会派作品なれど、エンターテインメントとしても成り立たせているのだ。
主人公の家庭事情、人生をこの大惨事に絡め、ラストの安堵感にまで持って行くところなど(原作は未読だが)脚本も良くできている。
詰まるところ、人間が描かれているからこそ物語に入り込むことが出来、緊張し、涙できる。いかに登場人物をきちんと描くことが大切なのかということを改めて感じた作品だ。
また、架空の新聞社という設定を生かし、販売部、編集部との確執という内部事情や、報道に対する姿勢なども描き出し、「新聞社内幕物」としても楽しめる。

【マクノスケ】
出身が同じという事で楽しみにしていた原田監督の新作「クライマーズ・ハイ」をシネサントムーンで見てきました。1985年御巣鷹山日航機墜落事故を取材した地方新聞の記者達の顛末を描く群像ドラマ。原作は「半落ち」の横山秀夫。原作を読んでいないので映画の事しかわかりませんが、映画では当時と現代を代わる代わる見せ、主人公悠木の葛藤をより良く見せているのに好感が持てました。

自分の境遇もあって、新聞社という場からずっと出られなかった悠木が、あの日いっしょに登山をするはずだった安西(高島兄)の息子(小澤征悦)と登山し、ここから出て前へ進めと言われるラスト。そしてニュージーランドに住む自分の息子に会いに行くシーンで終わる・・・と言うのが、父と息子の本当の意味でのスタートだったんだと思うとじんわり涙が出てきました。父と子ものに弱い人はぐっと来ますよー!

85年の新聞社の描写は、ドキュメンタリータッチで臨場感ある画面作り。 そこには上司部下の上下関係の軋轢やら、記事をトップに持って行くまでの駆け引き、編集と販売部の任侠映画のような抗争、惨劇を目の当たりにして精神的に追いつめられていく記者の姿などが丁寧に語られ、主人公悠木の記者魂と合わせて終始圧倒されっぱなし。
墜落原因判明記事を他社よりも先にと記者の佐山(堺雅人)や玉置(尾野真千子)を貼らせているシーンでは手に汗握りました。結局「チェック、ダブルチェック」精神が災いして、すっぱ抜き記事は流れてしまい辞任届を出す悠木でしたが、記者佐山(堺雅人)から犠牲者の遺書の存在を話され、自分の新聞記者としての役割を新たにするシーンでは胸が熱くなりました。 でんでんや蛍雪次郎、遠藤憲一、マギーも良い味出してました。 今年は邦画が面白いなーと思っています。



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■2008. 6月
  ノーカントリー / インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国 /

インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国 2008.6.08(Sun.)
■全世界待望──新たなる秘宝を求め、史上空前の冒険が始まる!

[監]スティーブン・スピルバーグ
[製]ジョージ・ルーカス
[出]ハリソン・フォード シャイア・ラブーフ ケイト・ブランシェット カレン・アレン
[制作データ] 2008米/パラマウント [上映時間] 122分
「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」公式サイト

【マクタロウ】
これまでの作品と同等ならば「良し」としようと思っていたのだよ。そして、ふたを開けてみれば、まあ、これまでと「ほぼ同等」という作品にはなっていた。これで「良し」としましょう。
だけど、どうもインディ・ジョーンズと円盤(宇宙人?)というのは据わりが悪い。もっと神秘的な何か(宇宙人だって神秘的だと言われればそれまでだが)、そう、太古の謎の力というような物をネタにして欲しかったというのが正直なところ。
さらに、後発の「ハムナプトラ」や「ナショナル・トレジャー」を思わせる場面や設定などもあり、本家としての輝きも薄れ気味。かろうじてハリソン・フォード、カレン・アレンの出演とジョン・ウィリアムズの音楽だけが「これこそが本家だ」という証かな。
ソ連のスパイを演じるケイト・ブランシェットは(エスパーらしき設定は生かされていないが)楽しそうで良かったが、息子役のラブーフ君はあまり魅力的でもなく、なぜスピルバーグが重宝がっているのか分からない。
原爆シーンは、(ハリウッド娯楽作品ではいつものことだが)配慮に欠ける描写でしらける。本筋とは関係のない場面なので、バッサリと切ってしまえばスッキリするのに。

【マクノスケ】
今回のポイントは、インディを演じるハリソン・フォードがどこまでやっているのかと言うのと、今回のネタの確認だったわけですが、 ハリソンは、思ったよりずっと行けていて好印象。キャメロンがシュワちゃんのベストアングルを知っているように、スピルバーグはハリソンのチャームポイントをしっかり押さえて撮ってるんだなーとひたすら感心しました。 ねたの方はですね。最初の舞台が「ロズウェル」と聞いて、クリスタルスカルの正体が宇宙人ってことないよねーと思いつつ、見ていったんですが、宇宙人とは公言していないものの(異次元人?)、どこか別の所から来た謎の生命体だったようで、これまでの路線と違った方向に行っちゃったのが、ちょっと残念でしたかねえ。

お話の方もそれなりの面白さはあったものの新鮮さという点では、もう少し弾けたモノが欲しかったような気もしますが、とにかく往年のキャラであるインディとマリオンの元気いっぱいの活躍が見られたのは嬉しかった。 最初のロズウェルの倉庫へ入る時に「アーク」のテーマが流れた時には、この倉庫にあの「アーク」が眠っていたのかーと興奮。その後アークがちらっと写った時にもテーマが流れたのも良かったです!
その他にもマットとバイクを乗り回す大学内でマーカスの象があったりして(首が!)笑えました。
またインディが父ちゃんとマーカスの写真を懐かしげに眺めるシーンで「聖杯」のテーマがかかって、ここではしんみり。「聖杯」の曲は、インディシリーズの中でもベスト5に入れても良い曲だと思っているジョン先生ファンの私。

最期の方では「嫌な予感がする」とインディの口から出て「出ましたー!SWのパロディ」とニンマリ。
マリオンとも結婚式を挙げ、息子も出来て万々歳・・・いよいよ息子の時代か?と思わせておいて・・・
まだまだやるぞーと思わせるイカした最期・・・こういうスピルバーグの演出、べただけど憎めないと思います。

それにしても、唯一、頂けなかったのは、原爆のシーンですかねえ。「トゥルー・ライズ」といい「トータル・フィアーズ」といいあまりに原爆を安易に扱いすぎ!時代背景を描きたかったのはわかりますが、どうしても必要なシーンでもなし・・・もうちょっと配慮が欲しかったです。あ、あとひとつだけ。マットがジャングルでリーゼントの猿と遭遇するシーン。私的には「はぁ?」となるシーンでした。なんかここまで来ると笑うに笑えないって言うか・・・。いや、スピルバーグいや、ルーカスだからこういうのもありですかね。(苦笑)



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ノーカントリー 2008.6.08(Sun.)
■世の中は計算違いで回る

[監]ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
[原]コーマック・マッカーシー『血と暴力の国』(扶桑社刊)
[製]ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン/スコット・ルーディン
[出]トミー・リー・ジョーンズ ハビエル・バルデム ジョシュ・ブローリン ウディ・ハレルソン ケリー・マクドナルド
[制作データ] 2007/パラマウント=ショウゲート
[上映時間] 122分(R-15)
「ノーカントリー」公式サイト

【マクタロウ】
コーエン兄弟の作品は数本しか観ていないが、その特徴、雰囲気などはだいたい把握しているつもりだ。
まずは映像の美しさ、画面構成の素晴らしさ。そして、どんなに凄惨な内容だろうとも淡々と展開していくストーリー。この点は本作も外さない。
ふとしたことから「組織」の金を手に入れてしまった男と、それを「回収」しようとする男。そして事件を追う保安官。この三人の物語が上記のように淡々と語られていくのだが、淡々と描かれるが故に緊張感が高まる演出は見事だ。
それにしても特筆すべきはハビエル・バルデム扮する殺し屋シガーだろう。目的のためならば何のためらいもなく人を殺す殺人鬼は、レクター博士以来のインパクトがある。

本作を鑑賞した日に秋葉原での惨劇があった。全く理不尽な犯行。
ラストで保安官を引退するエド(トミー・リー・ジョーンズ)の心情が分かる気がする。

【マクノスケ】
「ノーカントリー」はアカデミー作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞を受賞したコーエン兄弟のバイオレンス映画。

おかっぱ頭の殺しやシガーには、人の感情という物はみじんもなく、自分のルールで人を淡々と殺していく姿には言葉もないと言った感じでした。依頼された殺しだけでなく、標的となった人物を殺す上で彼の癇に障った人もどんどん殺していく(これが彼の流儀)ところが、他の作品とは一線を画す「新しいタイプ」の殺し屋だったと思います。

そんな殺しが横行するアメリカを「もはや老人が住む世界はない」(原題NO COUNTRY FOR OLD MEN)というタイトル通り、トミー・リー扮する老保安官が自分の無力を嘆くのですが、それが見ている私達の姿でもあり、こんな恐ろしい現実の中で生きている自分を再認識させられるという点でも手応え有りという感じでした。何も出来ない老人に感情もなく人を殺しまくる殺し屋に金を持ち逃げした悪党じゃ、ただただ空しいだけだったと思うのですが、麻薬取引の現金を持ち逃げしおかっぱ頭に命を狙われる役を演じたジョシュ・ブローリンが、実はそう悪くもない人だったところが私的には救われました。ウディ・ハレルソンが物語にアクセントを与える感じで良い味出ていました。



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■2008. 5月
  相棒 劇場版 絶体絶命!42.195km東京ビッグシティマラソン / アフタースクール / ラスベガスをぶっつぶせ /

ラスベガスをぶっつぶせ 2008.5.31(Sat.)
■その戦略は、天才だけに許される。
圧倒的な数学力でMITの学生が人生を切り開く──実話の映画化。


[監]ロバート・ルケティック
[原]ベン・メズリック
[製][出]ケビン・スペイシー
[出]ジム・スタージェス ケイト・ボスワース 
ローレンス・フィッシュバーン
[制作データ] 2008米/ソニー [上映時間] 122分
「ラスベガスをぶっつぶせ」公式サイト

【マクタロウ】
数学の理論を利用してカジノで大もうけ、そんな実話を元にした作品。
ところが、「カジノで大もうけ」というより、青春物として作られていたところが嬉しい誤算。どうも私は大学生の青春物に弱い。
オープニングの空撮から気分が良くなる(流れていた歌は分からないが、映像にマッチしていた)。主人公を取り巻く環境、オタクな友人達などを手際よく紹介していき、物語はカジノへと。テンポも良く、大学があるボストンの色彩を押さえた映像と、原色にきらめくラスベガスの映像の対比は、現実と虚構の世界をうまく表している。
主人公が調子に乗ってヘマをやらかし、友人達からも疎まれ一気にどん底へ。自分を見つめ直し友人とも和解、そして復讐をとげる展開はセオリー通りだが、単純に気持ちがよい。
ケビン・スペイシー、ローレンス・フィッシュバーンというベテランを脇にどっしりと配し、若手俳優達がのびのびと演技をしているように感じた。製作者のキャラクター作りが上手くいった形だろう。
難しい数学の理論とブラックジャックのルールはよく分からないが、純粋に青年のサクセス・ストーリーとして楽しめる作りはさすがハリウッドというところだろう

【マクノスケ】
シネサントムーンへ「ラスベガスをぶっつぶせ」を見に行ってきました。ミーハーな私はケビン・スペーシー目当てです。(^^;)そのケビン・スペーシー。この日本のチラシには、バッチリ写ってますが、向こうのポスターには全く写っておりません。何故なのかと言うと、この映画、中央の青年が主人公の青春映画。ケビン・スペーシーは完全な脇役です。(でも、インパクトはあるー!)

大学の授業料が払えず困っていたところへ、ケビン・スペーシー扮する教授が、青年の天才的な計算の能力と物覚えの良さをかってカジノでブラックジャックで一攫千金を狙うというゲームに勧誘。青年は最初は学費のためにとゲーム没頭するのですが、それはいつしかゲームを超えてギャンブル目的に・・・。

そこから運命は狂い初めて物語は二転三転・・・。 ケビン・スペーシー!!!やっぱりくせ者だわーーーーーっ!
(そういう所が好き!!)
しかもカジノのいかさまを監視して制裁を加える(?)強面のローレンス・フィッシュバーンも良い味出してる!!!(ちなみにマクタロウと同い年!)物語もテンポ良く青春ものとして申し分のない展開。ラストのオチも効いてるーー!! 帰宅後ネットで主人公の彼女が「スーパーマン・リターンズ」でロイス・レインを演じていたケイト・ボスワースと知りビックリ。全然イメージが違っていて解らなかったー。 原題は「21」。ブラックジャックの合計点数が21なのと主人公の年齢を引っ掛けたおしゃれな「タイトル」でした。



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アフタースクール 2008.5.25(Sun.)
■甘く見てるとダマされちゃいますよ

[監][脚]内田けんじ
[製]酒匂暢彦ほか
[撮]柴崎幸三
[音]羽岡佳
[歌]monobright
[出]大泉洋 佐々木蔵之介 堺雅人 常盤貴子 田畑智子 北見敏之 山本圭 伊武雅刀
[制作データ] 2007クロックワークス [上映時間] 102分
「アフタースクール」公式サイト

【マクタロウ】
一転二転する展開で飽きさせないサスペンスコメディーの秀作でした。
大泉洋(神野)、佐々木蔵之介(北沢)、堺雅人(木村)の主役三人組が、それぞれの味を生かしたキャラクターを活き活きと演じているが良いね。
主役に限らず、脇を固める山本圭、伊武雅刀のベテラン陣、田畑智子なども良い雰囲気で、これはもうキャスティングの勝利だろう。

友人の失踪から始まる事件は、胡散臭い探偵、北沢が観客と同じ立場を取ることにより徐々に解明されていくのだが、この展開、脚本がうまくできていて、観ている方はすっかりだまされることになる。
このくらいのオリジナル脚本作品がもっと製作されるようになれば、日本映画もさらに活性化するのだろうなあ。

等身大のキャラクターが出来る精一杯の冒険。いつまでも放課後のような人生。それで何が悪い?
学校も人生も楽しんだ方が、何倍も心が豊かになる。そんな作品でしたね。

最後に、不満と言うほどのことではないが、神野達の企みが警察主導という点には、少〜しだけガッカリした。
もちろん、彼らが自分たちで「あの犯行(?)」を考えついたという事になると現実味が失せ、嘘くさい作品になってしまうことは分かっています。この作品の展開で正解なんです。
でも、どこかでもう少し突き抜けた展開を期待していたのだよね。

【マクノスケ】
失踪した同級生木村(堺雅人)を元同級生を名乗る探偵(佐々木蔵之介)と共に探す事になった中学校教師の神野(大泉洋)。物語が進むに連れ、木村の意外な過去が見え始めて行くのですが・・・。

これがまたキャッチコピーが示す通り「甘くみてるとダマされちゃいますよ」ってな展開を見せるところがこの作品の醍醐味。中盤以降、成る程そういう作りの映画だったのかーと、前半すっかり騙されちゃってる私がおりました。(笑)

青春友情物とばかり思っていたら、これって裏社会の犯罪映画?(伊武さん良い感じ!) いや、でも大泉さんと堺さんの部分は、ちゃんと青春映画していて、特に最期の方の蔵之介へ向けて言い放つ大泉さんのセリフが良かったなあ〜。ラストのシーンの持って行き方も上手い!!それを言うと最初からストーリーの構成が絶妙。



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相棒 劇場版 絶体絶命!42.195km東京ビッグシティマラソン 2008.5.10(Sat.)
■必ず、追いつめてみせます。

[監]和泉聖治
[脚]戸田山雅司
[音]池頼広
[出]水谷豊 寺脇康文 鈴木砂羽 高樹沙耶 岸部一徳 木村佳乃 西村雅彦 原田龍二 松下由樹 津川雅彦 西田敏行
[制作データ] 2008東映 [上映時間] 117分
「相棒 劇場版 絶体絶命!42.195km東京ビッグシティマラソン」公式サイト

【マクタロウ】
テレビシリーズは1本も観たことがない。予告編を観て興味が出てきて鑑賞。
まずは(最近の)日本のエンターテイメントとしては良い方なのではないか。推理、アクション、テーマと頑張っている。
東京マラソンを背景とした撮影はスケール感があり良い。てっきりこのマラソンがクライマックスなのだろうと思っていたら、実はその後こそが製作者の言いたい部分であり、本当のクライマックスだった。
政府や政治家に対する批判を娯楽映画に織り込む手法は、洋画だとよくあること。本作はそこが見せ場であり、テーマとなっているわけだ。
そのこと自体は意欲的であり感心させられたが、犯行の動機とその方法に開きがありすぎるものだから、いまひとつしっくりとしないのは残念だった。

【マクノスケ】
実はテレビシリーズもほとんど見たことがなく、設定など全く知らなかったのですが、映画館で何度か予告を見ているうちに、なにか心に響く物があって見に行っても良いかな〜くらいに思っていたんです。公開間近に水谷・寺脇コンビが宣伝の為にテレビにたびたび出演しているのにも影響されて、一気に「相棒」って面白いんじゃあ?モードに突入!(いつものミーハー癖がでただけですが・・・)

東京マラソンを舞台に連続殺人の謎を追う水谷・寺脇の特命係!テレビシリーズのドラマ化としてはかなり健闘しております。微妙〜〜〜に、映画前半のゲーム的要素が高い謎かけの部分と後半のこの映画のテーマである部分にずれがあり、違和感もないことはないんですが、その分を水谷さんの「右京」さんのキャラが上手く引っ張って行っています。欲を言えばもう少し寺脇さんの「亀山さん」の活躍を見たかったような気がしますが、テレビでの役回りもいつもこんな風なんでしょうか?

見る前は作品的にもっと軽いイメージでしたが、映画の導入とラストなど、かなりの社会派ドラマのノリがあって意外な感じがまた新鮮でした。この調子で映画もシリーズ化してくれると嬉しいです!西田敏行のマジ演技もかなり見応えがあり、今回テーマとなっている「この国の体質」に対する問題定義もいろいろ考えさせられるところもあり、刑事物(バディ映画)が好きな方にもお薦めです。右京さんと亀山さんはホームズとワトソンのような関係で見ていて微笑ましかったです。



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