のほほん映画観賞備忘録・2005年9月〜12月

SF・アクション映画が大好きなマクノスケ&マクタロウの映画鑑賞備忘録です。
ふたりで「のほほ〜ん」と感想を語っています。


■2005年 9月〜12月  基本的にネタばれしておりますので御注意を!
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  【2005】/1月〜4月5月〜8月/9月〜12月

  【09月】サマータイムマシン・ブルース / チャーリーとチョコレート工場 / 銀河ヒッチハイク・ガイド/
            ファンタスティック・フォー(超能力ユニット) / ルパン /
  【10月】シン・シティ / セブンソード / ティム・バートンのコープスブライド /
  【11月】ブラザーズ・グリム / ALWAYS 三丁目の夕日 / 奇談 / ハリー・ポッターと炎のゴブレット /
  【12月】ザスーラ / エンパイア・オブ・ザ・ウルフ / キング・コング / チキン・リトル / ロード・オブ・ウォー /
■2005. 12月
 ザスーラ / エンパイア・オブ・ザ・ウルフ / キング・コング / チキン・リトル / ロード・オブ・ウォー /

ロード・オブ・ウォー・史上最強の武器商人と呼ばれた男 2005.12.25.(Sun.) 
■あなたは世界の裏側を目撃することになる

[監][製][脚]アンドリュー・ニコル
[撮]アミール・モクリ
[出]ニコラス・ケイジ イーサン・ホーク ジャレッド・レト ブリジット・モイナハン イアン・ホルム
[制作データ] 2005米/ギャガ [上映時間] 122分・R-15
■「ロード・オブ・ウォー」公式サイト

【マクノスケ】
面白かったです!ロシア移民で不正に武器輸出を繰り返すケイジくんの武器商人としての生き様…と言うより日常をさりげなーく時にはユーモラスに描いて行くのですが、テーマはかなりハード!でもこういった問題点をさらっと描いていく手腕はさすが「ガタカ」のアンドリュー・ニコル監督ですね。(「ターミナル」や「トゥルーマン・ショー」の脚本も書いています。)
ロシアなどから不正に手に入れた銃器をアフリカやアラブの政府関係筋に売りさばいたお金で、家庭や親兄弟の愛を得ていく主人公ユーリ。自分が売った銃で何人人が死のうが全然お構いなし。自分は銃を売っているだけで直接人は殺していないと言う理屈です。見る側としては、すごく腹が立つタイプなんですけど、それをむしろ愛すべきキャラとして演じているケイジくんも、はっきり言って魅力的です。見ているこちらとしては、そういう人の末路が一番の楽しみだったりするわけなんですが、こ、このラストは…!!!

うーむー。深い! あーぁ、でも何もしていない私も同罪なのか…とも思ってしましました。ケイジくんの弟を演じているジャレッド・レトとインターポールの刑事を演じるイーサン・ホーク、大物の武器商人を演じるイアン・ホルム…共演陣も光っていました。ケイジくんの奥さん役のブリジット・モイナハン…「トータル・フィアーズ」や「リクルート」「アイ,ロボット」でも見ているはずなのに顔を覚えられないんですよねー。うーむー。どうしたもんかなあ。向こうのポスター(画像)はケイジくんの顔が弾で描いかれていて強烈な印象!その点日本のポスターはあまりにも直球勝負過ぎ?まあ、それはそれで私は好きなんですけれど。

【マクタロウ】
いきなり映し出される無数の薬莢。導入から「はっ」とさせられる。
そしてオープニングでは、1発の銃弾が製造され、箱詰め、輸出、装填、人の眉間を打ち抜くまでを描き、武器が人を殺すための工業製品であることを再確認させられた。
ニコラス・ケイジ扮する武器商人ユーリーにとって、武器はまさに商品でしかなく、それがどのように使われようと関係がないと言う。たとえその銃で多くの子供が命を落とそうとも。
しかし自分の子供がもっているオモチャの拳銃はゴミ箱に・・・。
自分にとって都合が悪いことは目をつぶり、利益を優先し、ヤバいことはもみ消す。
作品の最後に出るテロップで、最大の武器商人が米・英・露・仏・中であり、それは国連常任理事国であることが示される。
そう、この作品は1人の武器商人を描いた映画ではなく、武器輸出国の実態を1人の人間に置き換えて描いた作品だったのだ。
片方の手で食料などの援助を与え、もう片方では武器を売りさばく。巨大な軍需産業をかかえた大国の矛盾を見事に、痛烈に描いた佳作であった。
作品の内容故、アメリカ資本は受けられなかったらしいが、自国を批判しつつ、エンターテイメントとして作品を成立できることに、改めてアメリカの映画文化の成熟度を感じた。



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チキン・リトル 2005.12.23.(Fri.) 
■「お願い、ボクに一度だけチャンスを下さい」

[監]マーク・ディンダル
[製]ランディ・フルマー
[音]ジョン・デブニー
[声]山本圭子 中村雅俊 小島幸子 朝倉栄介 深見梨加
 野沢那智 大塚芳忠 石塚運昇 稲葉実
[制作データ] 2005米/ブエナ・ビスタ [上映時間] 81分
■「チキン・リトル」公式サイト

【マクノスケ】
ディズニーが従来の手書きアニメから3D−CGに移行した初の長編で、監督が大好きな「ラマになった王様」のマーク・ディンダル監督と言うことで期待と不安が半々だったんですが、うーん。思ったよりイマイチだったかなあ。

お話はそう悪くもないし、むしろ父親の視点から見た息子への接し方が描かれている辺り新しさを感じたんですが、ワクワク感やユーモアに切れがないんですよねえ。主人公のチキン・リトルにしても、もっとダメダメくんなのかと思っていたら、単にツイていないだけで、かなりのアイディアマンだし、頭も切れるし、結構積極的だし、友達にも恵まれているし…あれ?ダメなのってお父さんの方だったのー?…ってとこでしょうか。
「スター・ウォーズ」や「キング・コング」へのオマージュや作中に流れていた歌なんかは結構良かったんですが、うーん。なんだかなあ。「ピクサー」の最近の作品もそうなんですが、小ネタは面白いんだけど、肝心の本編にどうもときめかなくてですねー。困った状態が続いています。手書きじゃなくなっちゃったのも淋しいんですが、お話の方も「トレジャー・プラネット」までの「ダメダメな主人公が持ち前の頑張りで苦難を乗り越える」的な路線が好きだったんですけどねー。
それから今回、時間の関係で日本語版を見たんですが、もしかしたら英語の方がテンポが良く見えたりしないのかなあとも思ってしまいました。テンポとは関係ないんですが、チキン・リトルの山本圭子さんの声も悪くはないんですが、英語版の声って、30歳くらいの俳優さんがやってるんですよねー。出来れば、同じようなイメージの声で聞いてみたかったですね。

【マクタロウ】
何をやってもダメダメな主人公(と友人達)が、大事件(エイリアン騒ぎ)の解決に立ち向かい、町中の尊敬を受けるという、まあ、よくある話である。
ところが、主人公であるチキン・リトルがいかにダメダメなのかを彼の登校シーンで描いている(はずだ)が、彼は不運に見舞われるものの、器用で機転が利き、考え方も前向きで、私にはとてもダメな子には見えなかった。
たった一度、町中を大騒ぎさせただけ(確かにそれは大変なことだけど)で、回りからバカにされたり、父親に失望されたりという部分に説得力が感じられなかったのは、私だけか?
つまり、ダメダメな主人公がある事件をきっかけに成長し、回りの者達も彼を見直しメデタシメデタシ・・・というストーリーが成り立っていないのである。
こうなってしまうと、後半の活躍など当たり前のことに思えるので、カタルシスも何もない盛り上がりのない作品になってしまっている。



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キング・コング 2005.12.17.(Sat.) 
■「ロード・オブ・ザ・リング」3部作の監督が贈る
アドベンチャー超大作!


[監][製][脚]ピーター・ジャクソン
[脚]フラン・ウォルシュほか
[出]ナオミ・ワッツ エイドリアン・ブロディ ジャック・ブラック
 アンディ・サーキス
[制作データ] 2005米/UIP [上映時間] 188分
■「キング・コング」公式サイト

【マクノスケ】
1時間40分のオリジナル版の倍近い3時間8分をどう描くのか…かなり気になっていたのですが、あっと言う間でした。見ている途中で「1分を2分で描けば、おのずと倍の長さが必要になるわけかー。」…なんて思った程、前半、キャラクターの説明に時間を掛けたのを除き、オリジナルに忠実なストーリー展開。

それなのに、自分のやりたい事は全てやり、人の思いつかないシチュエーションを挿入し、(時間が長くなるのなら)切れるようなシーンも平気で入れる…などなど、ピーター・ジャクソン監督の思いきりのいい映画作りが、後半のジャック(エイドリアン・ブロディ)の男気と重なって、すごく嬉しかったです! 映像の点でも「指輪」を思わせる演出(スローモーションのシーンなど)がみられ、ピーター・ジャクソンらしさを再確認出来た事が、なんだかひさしぶりに会った友達と会話が弾んだ時のような気持ちになってしまってワクワクしてしまいました。

すねたり、怒ったり、やるせなかったりするコングの表情も良いのですが、アンことナオミ・ワッツの上目遣いの表情がとても魅力的で、この人はこんな綺麗な人だったのかーと感心。彼女の設定もちゃんとストーリーに反映されているところが上手いなあと思ったし、文化系と思いきやその彼女を助けるエイドリアン・ブロディが彼女の為にみせる、底なしの行動力にヤラレました!!!また、ストーリーを知っていたが故に、途中2〜3泣けるシーンもあり、これはある意味、ストーリーを知っている人の為の監督のサービスなのか?とも思ってしまいました。(いや、考えすぎですね…。)

音楽のジェームズ・ニュートン・ハワードも、凄く良かったと言うわけでもないけれど、あの「ないと言われている個性」(=静かに流れるピアノ曲)で泣かせてくれます。アクションシーンなどは、もうちょっと鳴らして欲しかったという気持ちもありますけれど、出過ぎず、抑え過ぎず作品にマッチしていて健闘したのではないかと思いました。

【マクタロウ】
上映時間が3時間8分(1933年版のほぼ倍)ということで、オリジナルでは描かれない「コングを輸送するシーンなどが挿入されるのでは」と勝手に想像していたのだが、観終わってビックリ。
増やされたシークエンスは(ほとんど)無い!!
その代わりに登場人物をじっくりと描き、作品に深みを与えキャラクターに対する感情移入がしやすくなっている。
それでいてテンポが悪くなっていないのは素晴らしい。実際3時間があっという間に過ぎてしまった。
キャスティングも見事で、特にアンを演じたナオミ・ワッツは魅力的。
レストランでジャック・ブラック扮する映画監督と会話するシーン。アップになったナオミ・ワッツの目の綺麗なこと。まさに吸い込まれそうであった。これではコングもイチコロであろう。
唯一オリジナルと変更されたキャラクターがジャックだが、こちらもエイドリアン・ブロディの巧さが光った。
ニューヨークの劇場で彼がコングに見つかるシーン(コングの怒りが分かる)や、その後のチェイスは興奮。

随所に「これは」という画があり、ピーター・ジャクソン監督の画創りのうまさが感じられる。また、オリジナル版に対する愛情がバランス良く現れているのも良い(このあたりは、思い入れのあまり、独りよがりな作品になりはしないかと心配していた)。
スカルアイランドで恐竜に襲われているアンを救いにやってくるコングの姿などは、あまりにかっこよくジワリときた。

パンフレットによると監督は第1次大戦に関する物が大好きで、ソッピース・キャメルも所有しているとか!! ぜひ次回作は第1次大戦の空戦物を撮って頂きたい!!



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エンパイア・オブ・ザ・ウルフ 2005.12.10.(Sat.) 
■二人が出逢う時、フランス最怖の“タブー”が破られる

[監][脚]クリス・ナオン
[原][脚]ジャン=クリストフ・グランジェ
[製]パトリス・ルドゥー
[出]ジャン・レノ アーリー・ジョバー ジョスラン・ギブラン
ローラ・モランテ
[制作データ] 2005仏/ギャガ [上映時間] 128分
■「エンパイア・オブ・ザ・ウルフ」公式サイト

【マクノスケ】
この映画「クリムゾン・リバー」の原作者ジャン=クリストフ・グランジェが自ら脚色、ジャン・レノ出演で送るミステリーアクション。記憶喪失の高級官僚の妻の話とトルコ人街で起こった連続女性猟期殺人を追う刑事の話が次第に交差して行き、意外な展開をみせる辺り「クリムゾン・リバー」と同じだったんじゃあ…とも思えるのですが、映像的には、切れもあり、テンポも良く、主人公の若手刑事などキャラクターの心理もそれなりに描かれているところは、むしろ「クリムゾン・リバー」より面白かったんじゃないかと思います。その点では「キス・オブ・ザ・ドラゴン」(←未見)のクリス・ナオン監督はかなり健闘していたのではないでしょうか?

映画はふたつの物語を描いて行くわけですが、どちらかと言うと記憶喪失の女性アンナのエピソードの、先が読めない展開にハラハラドキドキ。次第に解明されていく過去にはビックリ仰天!なんとなくですが、トルコ人街というエキゾチックな背景とコケティッシュな黒髪の女性、シンセを使った音楽が、押井作品とダブって、これまたひとりで盛り上がってしまいました。(押井作品がフランスで人気があるのが判ったような…。)
残念だったのは、ジャン・レノの設定がいまひとつ掴みづらかった事。見ている者を惑わせようという作り手の気持ちは大いに判るのですが、こちらとしては勝手に想像するしかない部分が多く、もう少し種明かし的な説明があっても良かったのではないかと思いました。

【マクタロウ】
凱旋門やエッフェル塔など「いかにもパリ」のロケーションが良い感じです。そして、そんな観光名所的なパリとは対照的なトルコ人街の描写や、さらにその地下に広がる街など実に良い雰囲気を持っていました。
正義感たっぷりの若い刑事と、なんだか怪しい不良中年刑事(元刑事か?)のコンビも緊張感があり面白い。
記憶に障害があり苦悩する女性の謎と、トルコ人女性を狙った猟奇殺人事件が徐々に接点を結んでいくストーリー展開も、先が読めず飽きなかった。
しかし、ジャン・レノ演じる人物がよく分からない。
いや、観ている間は「おお、そうだったのか」と思っているのだが、後で良く考えてみるとつじつまが合わない。
作者が、ストーリーの面白さを優先させてキャラクターをないがしろ(説明不足)にしているように感じる。
同じ原作者の映画「クリムゾン・リバー」やその続編(こちらはキャラクターだけ使ったオリジナル)でもそうだったが、最近のフレンチ・サスペンスは詰めの甘さが目立つ。
このあたりをキッチリ押さえてくれれば文句はなかったのだが、見所が多かっただけにちょっと残念な作品になってしまった。



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ザスーラ 2005.12.10.(Sat.) 
■地球に帰りたければ、クリアしろ。

[監]ジョン・ファブロー
[原]クリス・バン・オールズバーグ
[出]ジョシュ・ハッチャーソン ジョナ・ボボ ティム・ロビンス
[制作データ] 2005米/ソニー [上映時間] 101分
■「ザスーラ」公式サイト

【マクノスケ】
「ジュマンジ」「ポーラエクスプレス」の作者クリス・バン・オールスバーグの絵本の映画化。「ジュマンジ」の続編で、今度は宇宙が舞台。またまたゲームをオールクリアするまで地球に帰れない不幸な一家が登場! …なーんてブログの「期待の新作映画」のコーナーで紹介してしまったんですが、一家というより兄弟の映画でした〜。兄弟のお姉ちゃん役で「パニックルーム」でジョディ・フォスターの娘役を演じていたクリステン・スチュアートも頑張っています。

しかし思った以上にパパ役のティム・ロビンスの出番が少なくて「おや〜」ってな感じなんですが、私としては「宇宙が舞台」で「宇宙船に乗った」「怪しげなエイリアン」(←今回もスタン・ウィンストンの腕が冴えています!)がうじゃうじゃ出てくるだけでもうお腹いっぱい!その上「宇宙飛行士」役のダックス・シェパードがモロ好みで、思わずクラクラ来ちゃいました。(笑)
おまけにお兄ちゃんのウォルターが流れ星に願いを掛けるところでは大泣き!そう来るとは思わなかったって感じでして、あぁ、ここがこの映画の肝なんだなあ…と確信しました。全体的には、ハリウッドの直球勝負のその割には盛り上がらない映画という印象ですが、上記理由で「見て良かった」映画の1本に挙げたいと思います。あとは「オープニング」の映像がなかなかお洒落でしたねー。ジョン・デブニーの「カットスロート・アイランド」を彷彿とさせるテーマ曲も久々に燃えました!

【マクタロウ】
「ジュマンジ」の続編(?)ってことで、あまり興味もなかったんですよ。
だけど予告を観たら「宇宙空間&宇宙船を映画館で観たいぞ!!」という気になり鑑賞決定。
内容は、喧嘩ばかりしていた兄弟が過酷なゲームを通して、お互いを認め合っていくというもの。
そこに絡むお姉さんと、途中で助けた宇宙飛行士(実は・・・という所はちょっと感動・・・と笑い)が良い味出してました。
本来の目的であった宇宙空間も堪能。宇宙船はレトロな感じで楽しい上に、トカゲ宇宙人まで出てきて満足。
ちょいとテンポが悪く感じたが、ファミリー・ムービーとしては上出来ではないですかね。
それにしてもティム・ロビンスの、あまりの「ゲスト出演」っぷりには驚いた。



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■2005. 11月
 ブラザーズ・グリム / ALWAYS 三丁目の夕日 / 奇談 / ハリー・ポッターと炎のゴブレット /

ハリー・ポッターと炎のゴブレット 2005.11.27.(Sun.) 
■“ついに決戦の時だ、ハリー”

[監]マイク・ニューウェル
[原]J・K・ローリング
[出]ダニエル・ラドクリフ エマ・ワトソン ルパート・グリント
 ロビー・コルトレーン レイフ・ファインズ
[制作データ] 2005米/ワーナー [上映時間] 157分
■「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」公式サイト

【マクノスケ】
ついにハリー・ポッターも第4弾までやって来ました。私が行った小田原の映画館の入りはそこそこ。パート1や2の時の大行列!がうそのようでしたが、もしかしたら見たい人は先行で見ちゃったのかしら?

で、結論としては「2」も「3」もいらなかったのかも〜という感じでしたね。いや私としては「2」の謎解きがメインのストーリーが一番好きで、映像は「3」がベストだったわけですが、こうして本筋の話(あの方の話)が登場してみたら、もしかしてこの映画は原作が完結したあとに3部作くらいに脚色して映画化した方が面白かったかも〜とか思ってみたわけです。

う〜ん。何というか…どうもこのシリーズ、なんとなく原作のストーリーを単にタラタラ映画化しているようで肝がないって言うのか、キャラに感情移入しづらいって言うのか…もしかしたらもっと凝縮したものを見せられた方が映画的に良かったんじゃないかと…。きっと原作ファンの方は今回のファンタジックな映像とラストのダークな演出にたまらーんと思っている方も多いとは思うのですが、まあ原作ファンでもない映画自体にも特に思い入れのない私の戯言だと思ってお許し下さい。

あとは役者では、レイフ・ファインズ!グッドでした!(去年の「スパイダー」と言い普通の彼をこのところ見ていないような…。)展開は…またこういう事かーっ!いい加減、魔法学校は学習しろよーって感じなんですが、それもまたこのシリーズのパターンと言うことで許しちゃおうかな。(ちなみに原作は「3」までしか読んでいないです。) 音楽が今回からジョン先生からパトリック・ドイルに変わったのでエンドクレジットの触りの部分しかいつもの曲が聴けなくて少々ガッカリ…。作品内でかかる音楽は申し分なかったのですが、やっぱりあの曲がもっとかかって欲しかったですね。

【マクタロウ】
このシリーズ全作に言えることだが、とにかく尺が長い!!
今回も、制作者はファンの抗議が怖くて切れないのではないかと思ってしまうくらい(いや、多分これでもかなりのエピソードを端折ってあるのだと思うけど)、ダラダラと話を展開させている。原作を読んだこともない私などは、途中で飽きてしまった。
これを言ってはお終いだが、どうも私はこの作品の世界観が好きになれないのだな。呪文を唱えれば何でも出来てしまうような「魔法の世界」では、なんでもあり。しかも回を追う毎に新しい魔法が出てきて、これじゃご都合主義だよ。
せめて過去の作品で出した呪文を今回も応用するとか、もっと「魔法を覚えるのは大変なんだよ」という描写を入れるなどしないと、危機感も生まれないのでは。
登場人物がストーリーを進めるための存在でしかなく、あまり魅力がないのは今回も同じ。特に主役であるダニエル・ラドクリフの表情の乏しさはいただけない。

それでも本作では(やっと!!)ハリーの初恋やロンとの喧嘩、ロンとハーマイオニーのラブコメなど(多少は)キャラクターの面白さが出ていたところは良いかな。



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奇談 2005.11.20.(Sun.) 
■奇蹟が始まる。

[監][脚]小松隆志
[原]諸星大二郎
[プ]一瀬隆重
[撮]水口智之
[音]川井憲次
[出]藤澤恵麻 阿部寛 ちすん 柳ユーレイ 神戸浩
 菅原大吉 土屋嘉男 堀内正美
[制作データ] 2005ザナドゥー [上映時間] 84分
■「奇談」公式サイト

【マクノスケ】
昨日のブログに書いた諸星大二郎の漫画「妖怪ハンター・生命の木」の映画化「奇談」を小田原まで見に行って来ました。 巷で全然話題になっていないし、監督も全然知らない人だったので(あとで調べたら小松隆志監督は、私は未見ですが、テレビ「ドラゴン桜」などの演出をやっている方でした。)OVAレベルくらいにしか思っていなかったのですが、これがなかなか拾いモノでした。

東北の隠れキリシタンの村を舞台に失った幼い頃の記憶を確かめるためやって来た女子大学院生の佐伯里美(NHKの朝ドラ「天花」のヒロインを演じた藤澤恵麻)と、異端の考古学者・稗田礼二郎(阿部寛)が村に秘められた衝撃の真実に遭遇する伝奇ミステリー。
映像も物語の展開も丁寧で判りやすく、それでいて、田舎の寂れた感じとその時代(1972年)の香りと作品の持つ妖しさがほど良く再現されていました。もしかしたら「姑獲鳥の夏」より雰囲気は出ていたかもしれません。

この「奇談」。原作「生命の木」に当たるエピソードの部分は、かなり原作に忠実に描かれていて(特に最後に善次が現れて「いんへるの」の人々と天に召されるシーンはビジュアル的にも頑張っている!)好感が持てます。それに加え、原作にはない「はなれ」の人々が「世界開始の科の御伝え」を唱える8ミリ映像のシーン。人形を使って語られる隠れキリシタンのシーンも独特の陰鬱な感じが伝わってきてこの手の映画の醍醐味を感じました。

ただ主人公の女史大学院生を登場させるためか(原作では少年が主人公)原作にはない「神隠し」の話を盛り込んでいるのですが、これが本筋の「もうひとつのキリスト伝説」に絡み切れなかったのが残念でした。静恵は何で戻ってきたのか?なぜ新吉くんだけ「ぱらいそ」に行ってしまったのか?そもそもなんで少年たちが神隠しにあって来たのか…ラストに答えが用意されていれば最高だったんですが…。

ところで昨日のブログの画像の「妖怪ハンター天の巻」の表紙のイラスト。パンフレットによれば上記画像(↑)にインスピレーションを受けて諸星大二郎が描いたものなのだそう。本人曰く「気がついたら目元が阿部寛さん似になってしまった」とか。 やっぱりそうだったのかー。
それと諸星大二郎先生によると稗田礼二郎のモデルは「ラヴクラフトの肖像画のイメージ」なんだそうで、なるほどーと思ってしまった「ヘルボーイ」ファンの私でございました。

【マクタロウ】
ある日ネットを彷徨っていると、諸星大二郎の「生命の木」を映画化した「奇談」という作品が公開されると知った。
諸星大二郎はコミックス(昔の短編集)を数冊持っているだけだったが、好きな作家だ。件の作品は読んだ記憶が無いが、キリスト教(隠れキリシタン)が絡む話と知り俄然興味が出てきた。
しかし、公式サイトで画像を見ると、なんともチープな感じがしたし、あまりにも話題になっていないこともあって「こりゃダメダメだろうなあ」と思いつつ鑑賞に出かけた。

オープニングが終わり映し出されたヒロインのアパート、特に洗面所の映像で「これは良い感じだな」と思い、 設定が1970年代というところで「これは本気だな」とわかった。
1970年代なんて言う近過去は、中途半端な思い入れでは映像化したくないものだと思う。
物語の舞台となる東北の村など(途中の鉄道も含め)ロケーションの素晴らしさもあり、「日本的」な不気味さがうまく出ている。
そこに「はなれ」で撮影されたフィルムの不気味さ(「リング」のビデオのようで怖い)が加わり、さらに作品の雰囲気を盛り上げる。
「いんへるの」や「ぱらいそ」へ行く映像など(後日読んだ)原作の感じを良く再現していた。

このように作品の雰囲気、映像はとても良くできていたのだが、脚本がいかん。
短編である原作をそのまま映像化したのでは90分もたないのはわかるが、そこに加えた「神隠し」のネタが消化されていない。
本筋の「隠れキリシタン」と「神隠し」がうまくリンクしていないのである。
ここをうまく落とすことが出来たら、素晴らしい作品になっていたのではないかと思うと残念である。

それでも昨今の「脅かしホラー」とは違い、知的好奇心を煽る作品として貴重な1本だろう。



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ALWAYS 三丁目の夕日 2005.11.05.(Sat.) 
■携帯もパソコンもTVもなかったのに、どうしてあんなに楽しかったんだろう。

[監][脚]山崎貴
[原]西岸良平
[美]上條安里
[出]吉岡秀隆 堤真一 小雪 堀北真希 三浦友和 
もたいまさこ 薬師丸ひろ子 須賀健太 小清水一揮
[制作データ] 2005 東宝 [上映時間] 133分
■「ALWAYS 三丁目の夕日」公式サイト

【マクノスケ】
「ジュブナイル」「リターナー」とSF色の強かった山崎監督が「三丁目の夕日」を映画化すると驚いていたのが昨年の12月。確かに今回は、一部(笑)そのようなシーンもありますが、前編ノスタルジックな人情もので、これがかなりイケていて「第二の山田洋次監督ついに現る?」とも思ってしまった程でした。

舞台が昭和30年代ということもあり、山崎監督のVFXの才能は、この時代を違和感なく映画の背景として再現することに成功した事で新たな方向を見いだしたような気がします。それよりも、むしろこの映画のすばらしいところは、群像劇であるそれぞれのキャラクターのエピソードを、感動の押し売りではなく、自然に見せている点です。

ともすれば、臭くなりがちなお話を、嫌みなく、これほど心地よく見せる手腕は、山崎監督の才能なのでしょうか。「リターナー」の時にも、鈴木杏ちゃんがスパゲティを食べるシーンで思わず、ぐっと来てしまったのですが、今回は、あのシーンの連発で、いやはや、何回ボロっと来てしまった事か。中でも小雪と三浦友和のエピソードは、それぞれ深く印象に残りました。
キャラクターは、なんと言っても鈴木オートと六ちゃんでしょう!堤真一がどう見ても京極堂(姑獲鳥の夏)のまんまなんですけど(笑)それでも許せちゃう。ガラス戸のシーンから六ちゃんに謝るシーンまでは可笑しくて大笑いでした。 ラスト、未来に希望を描く一平くん(鈴木オートの息子)のセリフにジ〜〜〜〜ンと来て「なるほど〜ALWAYS 三丁目の夕日ね〜。」と涙のだめ押し。山崎監督、やってくれるなあ!

【マクタロウ】
やっぱり山崎貴監督とは相性が良いらしい。
デビュー作「ジュブナイル」から「リターナー」と時間物SFで来たので、「3作目が正念場かな」などと思っていた。
新作が「三丁目の夕日」と聞いた時は、正直「なんで?」と感じたが、考えてみれば「ジュブナイル」でも「リターナー」でも、素晴らしかったのは登場人物の感情を瑞々しく描いていた部分だ。
どちらかと言えばVFXやアクションばかりが話題になっていたが、「少年の淡い恋」「時間を超えてやってきた少女との交流」などの暖かい人物描写こそ山崎監督の持ち味だったのだ。
そこから考えれば「三丁目の夕日」の監督に山崎氏が選ばれたのは必然かもしれぬ。もちろん昭和33年を再現するVFXだって、その道出身の山崎監督ならば適任だろう。

物語は商店街に巻き起こる細かなエピソードを積み重ねることによって語られていく。
その一つ一つのエピソードがそれぞれに重なり合い、物語を増幅させている点が良い。
特に(脇役であるが)宅間医師の話は、最初こそ「狸にばかされたか?」という笑い話的なオチかと思わせておいて、実は・・・という切ないエピソードとなるのだが、この話があるから終盤、クリスマスのエピソードでの宅間医師が活きてくる。
役者では堤真一(鈴木オート、最高!!)、吉岡秀隆(のされっぷりが素晴らしい)はじめ堀北真希、薬師丸ひろ子、小雪(指輪のシーンは泣けた!!)、主役クラスから脇役まで皆のびのびとしていて気持ちよい。

キャッチコピーで煽っているほど「あのころは良かったね」という切り口の作品ではなく(作っている人達が「あのころ」の人ではないのだから、当然か)人と人とのふれあい、人情などを笑いと涙で綴った佳作だと思う。
ますます山崎監督の今後が楽しみになった。



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ブラザーズ・グリム 2005.11.03.(Thu.) 
■呪われた森に消えた12人の少女
500年の眠りから覚める鏡の女王
伝説の兄弟が今すべての謎に立ち向かう


[監]テリー・ギリアム
[脚]アーレン・クルーガー
[出]マット・デイモン ヒース・レジャー モニカ・ベルッチ ジョナサン・プライス
[制作データ] 2005 米/東芝エンタテインメント
[上映時間] 117分
■「ブラザーズ・グリム」公式サイト

【マクノスケ】
「バロン」や「12モンキーズ」のテリー・ギリアム監督が描く直球勝負のファンタジー(?)ということで、どうなのかなあと思って見に行ったんですが、可もなく不可もなし…というところでした。

ヒース・レジャーは「パトリオット」や「サハラに舞う羽」に比べると、二の線よりこういう役の方が合っているのではないかと思いました。マット・デイモンとの役者対決も楽しみだったんですが、役がおいしいだけに今回はヒース・レジャーの方が目立っちゃってますねー。

またテリー・ギリアム監督作品としては、味気なかったと言うか…、いつものブラックユーモアもいまひとつキレが悪く、主役のふたりがあまり目立っていないのも気になりました。代わりに目立っていたのが、フランスのデラトンベ将軍(ジョナサン・プライス!)と拷問係(?)のカヴァルディ!特にカヴァルディは、役も風変わりで面白いし、しかも演じているのが、あのピーター・ストーメアさんですよー。今年は「コンスタンティン」の悪魔役と言い頑張ってますよねー。

…って、エンドクレジットであーそうだったのかーと気がついたんですが…。あのメイクじゃ、ちょっとわからないですよね。 いやいや、でも、カヴァルディがテリー・ギリアムっぽいと言えば、ギリアムっぽかったかな。あと、グリム兄弟の仲間のふたり。水車小屋の分け前のギャグ…この映画で一番ウケたところかも!

【マクタロウ】
テリー・ギリアム監督の作品は実に久し振り。
(「ラスベガスをやっつけろ」は観ていないので「12モンキーズ」以来か!!)
とは言え、予告の映像(とウリ)が、あまりにも「普通のアドベンチャー映画」になっていたので、
たいして期待もせずに出かけた。

率直に言いますと、予想通り。
何と言うか、これまでのギリアム監督作品と比べて「仰々しさ」「ねちっこさ」「ブラックさ」が足りないように感じた。
たしかに「それっぽい」シーンやカット(拷問機の「猫」のシーンなど)はあるのだが、おざなりな感じでかえって全体から浮いてしまっている。
ストーリーは、あのグリム兄弟が各地を回り、インチキ妖怪退治で金を稼いるというのは面白い。そこに「兄弟の反目と和解」などを盛り込んでいるのだが、これがあまり伝わってこない。と言うより、心にグッとくるほど描き込まれていない。
オープニングの「魔法の豆」と妹のエピソードをもっと活かせば良かったのでは、と思うのは素人考えか。
ロケーションとセットの使い分けや、村のオープンセットなどは大掛かりでギリアム風味ではある。しかし前述したように、その風味はかなり薄味。
勝手な憶測を書かせてもらえば、前作(のはずだった)「ラ・マンチャ」の失敗が響いているのではないだろうか。
今回は借金を返すための「雇われ監督」だったのでは・・・?

ちょっと調べてみたら、次回作「タイドランド」 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047914827/250-8494314-9483435 って、
思いっきりギリアム印な内容ではありませんか!!早くも期待しています。



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■2005. 10月
 シン・シティ / セブンソード / ティム・バートンのコープスブライド /

ティム・バートンのコープスブライド 2005.10.23.(Sun.) 
■ホネまで愛してくれますか?
[監][製]ティム・バートン
[監]マイク・ジョンソン
[音]ダニー・エルフマン
[声]ジョニー・デップ ヘレナ・ボナム・カーター エミリー・ワトソン
[制作データ] 2005米/ワーナー [上映時間] 77分
■「ティム・バートンのコープスブライド」公式サイト

【マクノスケ】
今年は映画的に、なんてハッピーな年なんでしょうか!ティム・バートンの映画が2本も見られるなんて本当に最高に豪勢な年です。
しかしティム・バートン監督。「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」や「ジャイアント・ピーチ」は監督までしていませんでしたからね。それが今回、監督もやるって事で期待していたんですが、冒頭からカメラワーク凝りまくりで「やられたなー」という感じ。
おなじみのキャラクターデザインに、現世=グレートーン、あの世=カラーと、これまたニクイ配色!それぞれのキャラがブラックユーモアたっぷりで、大いに笑わせて貰いました。特に犬のスクラップスの登場シーンは皮肉が効いていて面白かったですねー。
おやじキャラではあの世の長老のグートネクトさんが良い味出してました。声の出演はティム・バートンファミリー(?)、「バットマン」シリーズで執事のアルフレッド役を演じているマイケル・ガフさん!でもたしかマイケル・ガフさんって「バットマン・ビギンズ」の前に亡くなったって聞いたような気がしてたんですけど勘違いだったんですねー。(←おい。おい。勝手に殺すな!)
他にも神父役のクリストファー・リーさまの美声に酔いしれ、意外に可愛いコープス・ブライド役のヘレナ・ボナム・カーター(ティム・バートン妻!)に好感触!
そして、最後…

思わずボロっと涙がこぼれて しまった!!

いや〜やられましたよ〜。やっぱティム・バートンは良いですわー!
もちろん音楽のダニー・エルフマンもね!

【マクタロウ】
ミニチュア好き、ストップモーションアニメ好きの私は、とても楽しかった。
加えてティム・バートンがデザインしたキャラクター達の魅力、お馴染みダニー・エルフマンの音楽で楽しさ倍増。
ストーリーは死体の花嫁(コープスブライド)エミリーとビクター、ビクトリアの3角関係(?)を、どう決着を付けるのか楽しみにしていたのだが、これはまあ、こうなるしかないというオチ。それでもエミリーの健気さにちょいと感動させられちゃいました。
いつものティム・バートン作品らしく、本作も小ネタ満載。笑わせて、笑わせて、最後にホロリとさせられるところも、いかにもティム・バートンと言ったところか。
ストーリーがどうだとか言うより、キャラクターの愛らしさ(?)を楽しむ作品でしょうな。



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セブンソード 2005.10.09.(Sun.) 
■最強の英雄(ヒーロー)伝説、七人分の衝撃。
[監][製][脚]ツイ・ハーク
[音]川井憲次
[出]レオン・ライ ドニー・イエン チャーリー・ヤン
 スン・ホンレイ ルー・イー キム・ソヨン ラウ・カーリョン
[制作データ] 2005香/ワーナー [上映時間] 153分
■「セブンソード」公式サイト

【マクノスケ】
これはですねー。あきらかに宣伝に失敗しております。 監督だってジャンルだって全然違うのに「HERO」「LOVERS」に続く第3弾なんて言っちゃう映画会社がバカ!どうせなら

武侠映画の決定版!

とでも宣伝すれば良かったのになあ。
ちなみに、武侠とは…武勇と男気のこと。男気とは…弱い者が苦しんでいるのを見のがせない気性。男らしい気質。義侠心のことを言います。

前半、人物紹介と設定が駆け足で出てくるので、名前は覚えられないわ、人間関係がよくわからないわで、どうしようかと思ったのですが(もしかしたら公式サイト等で予習しておいた方が良かったのかもしれない…)、もう段々と、あ、頭巾かぶった人!だとか、顔が松本伊代みたいに痩せぎすの人!だとか、自分の中で判るように整理しながら見て行けたので、後半のドラマ部分とアクションをたっぷり堪能する事が出来ました。ドラマも奴隷として連れてこられた女性を愛する主人公チュウ・チャオナン(楚昭南)や頑固な馬「福来」のシーンなど思った以上に充実。
今回の最大の悪役、乾いた笑いが印象深いフォンフォリェンチョン(風火連城)が悪役ながら「一番価値があるのは人間の命だ」と言いながらも、目的の為なら情け容赦なく人を殺していく姿が印象的に残りました。
で、私的にツボだったのは、

ドニー・イェンと川井憲次!!

ドニー・イェンは「HERO」でジェット・リーと最初に闘ったあの馬面の人なんですが、その後「ブレイド2」でカッコイイとこ見ちゃいまして、すっかり気になる俳優さんになっちゃったんです。しかも今回は主役だし、なにしろ最後のバトルが凄まじくて、もうメロメロ〜♪リュイジュ(緑珠)とのラブシーンには、ちょっと嫉妬がっ!!
あ〜ドニーさま、私をどこかへ連れてってー感じ。(笑)
一方、音楽の川井憲次!!あたしは「アヴァロン」しかサントラ持ってませんけど、もう、最初っから「アヴァロン」でんがなー。引き出しが少ないっちゅーか、ひょっとして1つなんじゃないかと思ってしまったくらいなんですが、たとえ曲は同じでも、こんなに燃える曲なら何度でも描いて〜と思ってしまったくらい。でも贅沢を言わして貰うと、部分的に作品にそぐわないちょっとところもあったのが、ちょっと残念だったかなー。

【マクタロウ】
とにかくカッコイイんだよね。「HERO」が美しさを追求した優雅なアクションだったのに対し、こちらは直球勝負のハードな殺陣。冒頭から飛ばしまくります!!
監督はツイ・ハークだもの、当たり前と言えばその通りなんだけど、アクションの切れ、見栄の張り方等、「どう見せれば決まるか」ということを知り尽くした香港映画からの「血」があるのね。
それに加えて衣装と武器デザインがもろに私好み!!日本のアニメやファンタジー系のゲームをよく研究しているのだろうなあ。
特に悪役共の鎧や化粧の怪しさ(妖しさ)はタマランです。中でも、冒頭から目立ちまくっていた紅一点の悪役オネーサン。中盤で殺しちゃうのはもったいなかったな。
お話は「七人の侍」をベースにしたような展開。それだもんで7人の内、だれか犠牲者が出るのではと思っていたのだが、それは無し。原作はまだまだ続くそうなので「ああ、なるほどね・・・」と思った次第。
アクション重視のストーリーながらも三角関係や、無敵と思える剣士の苦悩などが盛り込まれていたのは意外。
高麗人と中国人という、言葉が分からないながらも同じ人を愛している感情は分かり合うって件は良いね。
とは言え、さすがに7人を描ききることはできず、2人ほど影が薄かったのは仕方ないか。
音楽は日本人の川井憲次が担当していて、燃えるサウンドで場面を盛り上げる。「アヴァロン」に似ていようが、「カッコ良ければいいじゃん」てなもんである。
カット割りが短くて、ちょっとついて行けない部分もあるが、久し振りにアクションの格好良さを堪能した。



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シン・シティ 2005.10.02.(Sun.) 
■この街では、愛さえも闘い
[監][製][脚][撮][音][編]ロバート・ロドリゲス
[監][原][製][脚]フランク・ミラー
[出]ブルース・ウィリス ジェシカ・アルバ ミッキー・ローク 
クライブ・オーウェン
[制作データ] 2005米/ギャガ [上映時間] 124分・R-15
■「シン・シティ」公式サイト

【マクノスケ】
3月から心待ちにしていた「シン・シティ」をやっと見てきました!

愛と欲望が渦巻く街「シン・シティ」。権力者の息子の魔の手から少女を救う刑事ハーティガン(ブルース・ウィリス)。愛する高級娼婦を殺された前科者マーヴ(ミッキー・ローク)。悪徳警官(ベニチオ・デルトロ)の死体を始末しようとするドワイト(クライブ・オーウェン)。映画は、この3人の物語が「パルプ・フィクション」のように交差しながら、それぞれの壮絶な運命を描いていくのですが、

はっきり言ってしんどかったぁ〜。

いや、風邪をひいちゃって体調が悪かったのもあるんですが、これだけ凄まじいと、かなり体調がよくないとダメかも。まあ、私の場合年っていうのもあると思うんですけどね…。(^_^;)
とにかく、モノクロでコミックタッチの映像処理をしちゃっているから、残酷なシーンも撮り放題。これが、たぶんコミックだとささっと読めちゃうんでしょうけど、それを忠実に映像化すると、こんなにも残酷だということに気付いて、改めて映像の力を再確認しちゃった次第。
でも映像的には好きなシーンもあり、音楽もパンチが効いていて、疲れたけど観た甲斐は充分にありました。(テーマ曲が「仁義なき戦い」にちょこっと似ているような…?タランティーノとか絡んでいるから?それとも私の思い過ごし?共同で音楽を担当したジョン・デブニーとグレアム・レヴェルはどの辺りをやっていたんだろう?気になるー。) しかし、今回も監督、製作、脚本、撮影、音楽、編集の全てにタッチしちゃっているロドリゲス監督ってスゴイ人なんだなあとつくづく感心。
豪華スター共演としては、ジェシカ・アルバが「ファンタスティック・フォー」の時より、かなり可愛いなあと思ったのと、デルトロの化け振りが、私的には、なんか中途半端で気持ち悪かったかなあ。お前はデルトロなのかそうじゃないのかはっきりしろーって感じで。(笑)(ミッキー・ロークは、言われなきゃわからない位化けているからOKなんですけど…)
しかし一番怖かったのはケビン役のイライジャ・ウッド!彼の最後を思い出しただけで、オェーっとなりそう。でもこういう役が似合っちゃっているところがまた凄いですよねー。アニメやコミックオタクっていう話を聞いたことがありますが、こういう役がやれてかなり嬉しかったりするのかなー。そう言えば、彼つながりで、ロアーク枢機卿のルドガー・ハウアーも名演技してましたねー。ロアーク・ジュニアのニック・スタールは「ターミネーター3」のジョン・コナー役よりも熱演だったかもっ!(…って、最後の方は本人の面影無しだけど…。)

【マクタロウ】
いや〜、まいりました。ここまでエグいとは思ってもみなかった。
特にミッキー・ロークとイライジャ・ウッドの件は生理的な嫌悪を感じた。
作品の構成は「パルプ・フィクション」風。3人の主人公、3つのエピソード(ブルース・ウィリスのエピソードは冒頭と最後に別れているが、そこの1シーンで各エピソードの主人公達がそろう)、プロローグとエピローグを殺し屋ジョシュ・ハートネットが締めるというもの。
3つのパートで描かれるのは、男が女を守るために戦う姿であり、裏社会を知り尽くした男達の純情といった趣で、それ自体は好きなパターン。
中でもブルース・ウィリスのエピソードは良かった。女(の子)のために戦うオヤジはカッコイイね。ジェシカ・アルバも「ファンタスティック・フォー」の時より、数倍も可愛く見えた。

「スタイリッシュな映像」などと言われているが、「スカイキャプテン」「CASSHERN」などを観ていると、特に斬新さは感じられない。それよりも、白黒(パートカラー)に「しなければならなかったのでは?」とかんぐってしまうくらい、残酷な描写の連続。R−15指定は当然でしょうね。



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■2005. 9月
 サマータイムマシン・ブルース / チャーリーとチョコレート工場 / 銀河ヒッチハイク・ガイド /
ファンタスティック・フォー(超能力ユニット) / ルパン /

ルパン 2005.9.25.(Sun.) 
■華麗に、大胆に、ミステリアス。
100年の時を越えて、怪盗紳士ルパン誕生の秘密が今、明らかに−

[監][脚]ジャン=ポール・サロメ
[原]モーリス・ルブラン
[出]ロマン・デュリス クリスティン・スコット=トーマス パスカル・グレゴリー エバ・グリーン
[制作データ] 2004仏/ヘラルド [上映時間] 132分
■「ルパン」公式サイト

【マクノスケ】
「ルーブルの怪人」の新鋭ジャン・ポール・サロメ監督が、怪盗ルパン生誕100周年にあたり「カリオストロ伯爵夫人」をベースに、「813」や「奇厳城」などを盛り込み映画化した意欲作。

映画の中に登場する国宝級のカルティエの宝石など見どころも多々あるのですが、痛快アクション娯楽を期待していたら、これがさにあらず…ルパンを軸に彼の父とカリオストロ伯爵夫人との三つ巴の人間模様を描く、どちらかというとメロドラマの要素が強い作品でした。原作を読んだことがないので何とも言えませんが、たぶんこんなメロドラマ色が強い作品ではないと思うのですが、どうなんでしょうか。

アクションシーンも編集の段階で寄りや引きの速度をいじってある…いわゆる今、流りの映像になっていて、古い人間のあたしには、ちょっとイマイチ…。 もっとクラシカルな落ち着いた演出で、ルパンの颯爽とした活躍が見たかったなあ。メロドラマとしても、結局ルパンがなぜ怪盗になったのか(父の影響というだけでは弱いように思うのですが…)ルパンが求めているものが何だったのかが、ちょっと不明瞭。父ちゃんやカリオストロ伯爵夫人なんかは、地位やお金、美貌、悪そのものに魅了されているって十分に伝わってくるんですけど、肝心のアルセーヌがふたりの間を翻弄されるだけっていうのもなあ。主役としての花がなかったように思います。

で、おやっと思ったのは、ルパンを演じているロマン・デュリスが、なんとな〜く「ルパン三世」っぽい猿顔だったということと、あるシーンがまるごと「ルパン三世・カリオストロの城」と同じで、逆に「あぁ。カリ城って結構原作に忠実なところもあったのねー」と感心してしまったのですが、原作を未読なだけに、逆にこの映画が「カリ城」を真似たってこともありうるのかしら?(←フランスでは宮崎さんはメビウスと対談したりしてかなり人気が高いだけに、ちょいとこんなふうに妄想してしまいましたが、たぶんそんなことはないでしょうね。)

【マクタロウ】
フランス製アクション映画は久し振りなので、楽しみにしていたのですよ。しかも「怪盗ルパン」でしょ。あのルパ〜ン三世のおじいちゃんじゃありませんか(笑)。
痛快アクションを期待していたのだけど、ちょっと趣が違っていましたね。意外や「父と子」のお話。
もちろんアクションシーンもふんだんに盛り込まれているけど、どうも乗り切れないまま終わってしまった。
まず、ストーリー。何本かの原作を合わせてあるようだけど、詰め込みすぎで整理できていないように感じる。
ルパンがカリオストロ伯爵婦人やボーマニャンに翻弄されすぎて、主人公として目立たなくなってしまっているのも問題だ。
また、父と子のテーマを持ってきているのに、ルパンの心情、泥棒だった父によるトラウマなどが描けていない為、主人公としての影はさらに薄くなっている。
ロケの美しさやセットの雰囲気など、良い部分もあるのだけど、ちょっと残念な出来の作品となってしまった。



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ファンタスティック・フォー(超能力ユニット) 2005.9.17.(Sat.) 
■最強の4人!最凶の1人!

[監]ティム・ストーリー
[原][総]スタン・リー
[出]ヨアン・グリフィズ ジェシカ・アルバ クリス・エバンス マイケル・チクリス
[制作データ] 2005米/FOX [上映時間] 107分
■「ファンタスティック・フォー(超能力ユニット)」公式サイト

【マクノスケ】
アメコミの帝王スタン・リー先生の「スパイダーマン」「ハルク」「Xメン」「デアデビル」に続く映画化最新作「ファンタスティック・フォー」!
見て参りましたーっ!(今回も鼻息荒いぞーっ!)
で、まあ、お話の大まかな展開は想像していた通りだったんですが、うーん。もしかしてこの映画って「ガンロック」あ、いや、シング…というかベンが主人公?いや、今、映画化すると、やっぱりテーマ的に、こういう方向性で描かれるのは凄く良くわかるし、途中2回ほど落涙してしまうシーンもあったので、これはこれで良いとは思うんですねー。
で、もってカッコイイ部門はヒューマン・トーチが、若者ウケするエキストリーム・スポーツ・シーンを織り交ぜながら、アクションシーンでも炎で空飛んじゃったりして、ひとりでおいしいところを独占。 一方、お色気&恋愛部門はスーことインビジブルウーマンが「脱ぎまくって(?)」サービスしてくれているんですが…、

ちょっと待ったぁーーーーーーーーっ!!
主役はミスター・ファンテスティックじゃなかったのかーっ?


…って、これがですねー。ゴム人間なだけに、活躍すればするほど笑っちゃうんですよねー。アニメで放送されていた時は、もっと格好良かったような記憶があるんですけど、やっぱり実写でビヨ〜〜〜〜ンっていう描写は、どう描いてもカッコ良く見えないのが、ちょっぴり悲しかったかなあ。ピクサーの「ミスターインクレディブル」の公開で、本家が手を抜けないとばかりに特撮シーンが増えたとの話ですが、それが返って良くなかったんじゃあ…。演じているヨアン・グリフィズが、なんだかとっても可哀想に思えるシーンもあったりして、ちょっと複雑な気もしました。でもまあ、なんだかんだ言っても全体的には楽しめて良かったんですけどね。(笑)

【マクタロウ】
私なんかの世代ですと「ゴームズ」の方が、なじみがあるんですけど、さすがにそんな邦題は付けられませんでしたね。
作品は、アニメ(やコミック)を観ていた人達の疑問に答えるかのような作り。
「手が伸びちゃったり、火だるまになったり、体が消えた時に服はどうなってるの?」とか、「ベン(原作では「THE THING」、ついガンロックって呼んじゃう)だけあの姿ってのはか わいそう」とか、そういう「真面目に考えるとちょっと気になる」部分を丁寧に描いていることは好感が持てたのだけど、それがこの作品の良くない点にもなっているように思う。
主人公達の心情を描くことに時間を掛けすぎたために、悪役の魅力を引き出せずに終わっていたり(本来、一番盛り上がるべきラストの対決がショボすぎる)、ベンの悲哀を描くあまり、主人公(「ミスター・ファンタスティック」、ゴームズさん)が目立たない、など(主人公の能力が見た目にもカッコ悪いってのはどうかなあ)。
今回は(「2」もあるとすれば)「誕生編」と位置づけているのでしょうが、もう少しバランス良く描けていればなあ。



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銀河ヒッチハイク・ガイド 2005.9.11.(Sun.) 
■DON'T PANIC

[監]ガース・ジェニングス
[原]ダグラス・アダムス
[音]ジョビィ・タルボット
[出]マーティン・フリーマン  サム・ロックウェル  モス・デフ  ズーイー・デシャネル  ビル・ナイ  ジョン・マルコヴィッチ  ワーウィック・デイヴィス  [声]アラン・リックマン
[制作データ] 2005米・イギリス /ブエナビスタ
[上映時間] 109分
■「銀河ヒッチハイク・ガイド」公式サイト

【マクノスケ】
イギリスBBCで放送され、のちにノヴェライゼーション化されて、世界で1500万部を売り上げたという伝説のカルトSF小説が映画化!

アメリカで公開された時から楽しみにしていたのに、一番近くても神奈川の海老名でしかやらない…という事実を知って「ガッビーーーーーン」としていたのですが、意地でも見るぞーとばかりに東名を使って海老名まで行って来ました!えぇ!行って来ましたともっ!(今回も鼻息荒いぞー!もちろん行く前に選挙にも行ったよん♪)

で、ちなみにこの映画、あまりにも小規模公開なので、一応ストーリーを説明致しますと…

銀河系を通るバイパスの建設に邪魔だから…とある日突然現れた銀河のハイウェイ建設を担当するヴォゴン人による船団によって、地球は一瞬にして消滅!偶然、銀河ヒッチハイクガイドの編集者にして、実はエイリアンだった友人に助けられたアーサーは、地球でただひとり生き残った男になってしまう。友人と共に宇宙を旅することになったアーサーは、やがて「生命と宇宙と万物の誕生の秘密」を知るまでに…。

な〜んて書くと、テーマ性のある壮大な宇宙物?と勘違いされそうですが、ひと言で言えば不条理ナンセンスもので、人をバカにしたような、いかにもイギリス的なギャグ満載。嘆きロボット・マーヴィンの声がアラン・リックマンってだけでもうっとり(素敵なだみ声に乾杯!)なのに、中に入っているのが、ワーウィック・デイビス(「ジェダイの帰還」のウィケットですな。)だったのが尚更嬉しく(もちろん顔はわからないけど…。)ヴォゴン人の特殊メイクも、いかにもジム・ヘンソンスタジオ製といった造りだったのが、80年代SF映画ファンのオタク心にえらく染みました。

途中、コテコテなギャグ(お役所ギャグは最高!)とマルコビッチさんの「出ましたー」的出演に、大ウケしながら(いや、もうちょっと出演シーンが長くても良かったんじゃあ…。)、人間の存在価値なんてつまらないもんさ…でも、宇宙の真理は「愛」が全てなんだよねーと勝手に盛り上がっちまいました。(^_^)v
パンフレットは¥1000と高かったけど、表紙&裏表紙が「銀河ヒッチハイクガイド」風になっていて、解説も参考になったのでよしとしましょう。あぁ、そう言えば、この映画を見て思い出したんですけど「宇宙船レッドドワーフ号」の映画化ってどうなっちゃったんでしょうか?気になるなあ。

【マクタロウ】
オープニングが、いきなり爽やかなイルカの映像。「?」と思っていると50年代のスタンダードナンバーのような主題歌。その内容が「地球が無くなると人間に忠告したんだけど、君たちはわからなかったんだね。たくさんの魚をありがとう。さようなら」と来ましたよ。

その昔は「スターログ」購読者だったもので、この作品のタイトルは知っていたけど、原作は未読。主人公がヒッチハイクをしつつ、銀河を渡り歩くような作品なのかと思っていたら、ちょっと違っていましたね。
銀河ハイウェイ建設のために破壊される地球から、運良く助かった主人公アーサーが、大馬鹿者の銀河大統領(サム・ロックウェルのノリについて行けるかどうかが、評価の分かれ目か?)に振り回されつつ、宇宙の神秘を探る(?)という、壮大だがセコいお話でした。

全体の雰囲気(と言うかノリ)はかつてNHKで放送していた「レッド・ドワーフ号」ですな。つまり「英国的伝統に則った不条理SF超大作」なのですよ。
美術や特撮はしっかりしていて、制作者の本気度が伝わってくる。特に主人公達を追いかけるヴォゴン人の造形(さすがジム・ヘンソン・スタジオ!!)など、実に良くできている(やっぱり基本は着ぐるみでしょう)。
とにかく、あまり深く考えずに「物語の展開と、次々に繰り出されるギャグを楽しむ」というのが本作の面白さでは無かろうか。



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チャーリーとチョコレート工場 2005.9.10.(Sat.) 
■この秋工場大公開

[監]ティム・バートン
[原]ロアルド・ダール
[音]ダニー・エルフマン
[出]ジョニー・デップ フレディ・ハイモア
[声]藤原啓治 池田恭祐 小幡真裕
[制作データ] 2005米/ワーナー
[上映時間] 115分
■「チャーリーとチョコレート工場」公式サイト

【マクノスケ】
ティム・バートンが帰ってきたーっ!!
「猿の惑星」でこんなのティム・バートンじゃないーと嘆き「ビッグフィッシュ」で大人になっちゃイヤーと淋しい想いをしていただけに、この弾け具合がたまらなく嬉しかったりしています!!

本筋もなかなか泣けるい〜い話なんですが、本作でダイヤの如く光り輝く素晴らしい点は、何と言ってもティム・バートン監督のその溢れるセンスと才能で味付けされた部分。チャーリーの傾いた家や工場の中のポップでどこか可笑しい風景は細部に至るまでバートン風に味付けされていて、見ているだけでウキウキワクワク!その上、各エピソードに添えられた音楽の選択とそれに使われた映画、ミュージシャンのパロディセンスと言ったら、他の追随を許さないって感じですねー。いやいや、本当に楽しかった♪

それにジョニー・デップのウォンカさんはもちろん、脇に至るまでキャステイングが絶妙!ウォンカさんのお父様演じるリーさまにも泣かされましたが、私的には「ギャラクシークエスト」で女性サーミアン(エイリアン)を演じたミッシー・パイルがヴァイオレットのお母さん役で出ているのが嬉しかったですね。「ビッグフィッシュ」にも出ていたので、もしやバートン監督ファミリーになっちゃったのかな…とも思ってみたりして。

で、そのバートンファミリーで忘れちゃならないのが、ジョニー・デップと音楽のダニー・エルフマン!(ブリジット・フォンダの旦那さんですね。)「バットマン」はもちろん「マーズ・アタック」も好きなんですけど、今回は音楽が重要な要素を占めるだけに才能全開!特に「Wonka's Welcome Song」は、本編のシーンも傑作だっただけにかなり印象に残ります。歌はもちろん「ナイトメアー・メフォア・ザ・クリスマス」同様エルフマン自身が歌っていて、これまたファンには嬉しいプレゼントでございましたー!

【マクタロウ】
何度か予告を観ていて、今度のティム・バートンはやってくれそうだと期待していたが、オープニングから「来ました!!」と嬉しくなった。
ティム・バートン作品ではお馴染みのダニー・エルフマンの曲が、邪悪なカーニバルのようでワクワクする。
そして映像は、螺旋模様の工場の煙突、チョコレートの渦巻き、まさにティム・バートンの世界。
「猿の惑星」でガッカリし、「ビックフィッシュ」でとまどった私としては、このオープニングだけで「イケてるぞ」と確信した。
ジョニー・デップ扮するウィリー・ウォンカは、ちょっとヘンテコな出で立ちと妙なハイテンションで笑える(特に登場シーンは大笑い)し、工場に招待される子供達も、負けず劣らずの曲者ばかり。
しかし、本作の最大の魅力はウンパ・ルンパ(工場で働く小さな人達)によるミュージカルシーンであろう。
工場見学中の子供達が、途中で1人また1人と退場していくのだが、その時々に歌われるウンパ・ルンパの歌は、ロック(ツェッペリン+クイーン風だけど、一部映像はビートルズ。ちゃんとベーシストは左利き!!)であったり70年代ポップ調であったりと多彩だ。ダニー・エルフマンの功績大である。
テーマとして「父と息子」「家族」などを盛り込み、笑いつつホロリとさせられ、最後はハッピーになれる楽しい作品であった。



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サマータイムマシン・ブルース 2005.9.4.(Sun.) 
■タイムマシンムダ使い

[監]本広克行
[原][脚]上田誠
[撮]川越一成
[音]HALFBY
[出]瑛太 上野樹里 与座嘉秋 川岡大次郎 
ムロツヨシ 永野宗典 本多力 真木よう子 
佐々木蔵之介
[制作データ] 2005東芝エンタテインメント
[上映時間] 107分
■「サマータイムマシン・ブルース」公式サイト

【マクノスケ】
映画「ファンダンゴ」大好きなマクタロウが映画好きならではの野生の勘で「おもしろそう…」と言うので、くっついて行ったんですが、これが大当たり!!

最初の15分は「はずした?」感バリバリなんですが「とある田舎の大学のSF研究会5人組の前に、突如としてタイムマシンが登場した」…辺りから、にわかに盛り上がって来まして、昨日と今日を行きつ戻りつしている5人プラスワンの言動とそこかしこにちりばめられたオタク心を刺激する仕掛けに大ウケして帰って来ました!! メインキャラも絶好調なら、さりげなく挿入される主人公・甲本とヒロイン・柴田のほのかな恋愛のエピソードもグー! それがこの手の映画(タイムパラドックス物)の禁じ手、すなわち掟破りのオチで終わるところが、ある意味見る側の計算外を狙っているというか、やられたあという感じです。

とりあえずオタク心100%に響いたのは、まず部室ですねー。「ET」や「マタンゴ」「ガンダム」のポスターに交じってハヤカワ文庫の販促用もポスターなんかあったのがそれっぽいし、ラムちゃんの水着がハンガーに掛かっているって言うのもなあ。笑わせて貰いました。机の上の「シルバニアファミリー」は誰の趣味だったんでしょう?(笑) それから名画座のご主人の衣装ですかねー。(笑) この俳優さん、聞くところによれば「踊る大捜査線」にもスタートレックの衣装で何回か登場しているとか。(映画の1作目以外は未見)今回は髭までライカー副長その人で、セリフまで「タイムトラベルには理屈はいらん」みたいなこと言っていて、スタトレファン(ぬるいけど…)の私としては、キツいけどその嬉しいひと言に思わずニヤリとしてしまいました。ちなみに名画座の次回上映が「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ってところも笑えましたね。

と、「タイムマシン」に乗って「行きまーす」と言うセリフが入るのは想像通りで「来たかー」って感じですが、ガンダムのBGMまでかかっちゃうのには(しかも30秒くらい堂々と!)ビックリ!こりゃあ、かなり上級なオマージュと見た! 他にも「ギンギン」とか「ヴィダル・サスーン」とか美味しいネタ満載! で、あまりにも石松のギンギンネタが面白かったので、帰りに売店で「ギンギンクリップ」を買っちゃいました! お隣で買っていた人(若者2人組)も「これ2個買って揃えるべきだろう!」って言っていて大ウケ!
いやーどう転んでも2個は揃わないと思うヨー。石松くん!!

【マクタロウ】
もう爆笑の連続である。
とある大学の夏休み、SF研の部室に現れたタイムマシン。
愛すべきおバカな登場人物達が、せっかく手に入れたタイムマシンを使ってやっていることが、昨日と今日を行ったり来たり。しかもクーラーのリモコンを手に入れるためというのが、バカバカしくてたまらない。まさにキャッチコピーにある「タイムマシン ムダ使い」である。
「ファンダンゴ」や「シコふんじゃった」などの「おバカ大学生の大騒ぎ」が大好きな私には、この作品はまさにツボ。一つ一つネタを上げて「ここが面白かった」と言いたいところだが、それではほぼ全編にわたって解説しなければイケなくなる。
とにかく登場人物1人1人が個性的で、キャラが立っている。その上、各エピソードが面白いから飽きることがない。サラリと描かれる主人公の淡い恋も良い(「そうくるか?!」なオチ、これって「未来は変えられる」ってことなのか、「その未来も組み込まれている」ってことなのかを考えるのも楽しい)。
最初の15分はちょっと退屈だが、後のドタバタのネタ振りなので、これはしょうがないかな。でも2回目に観る時はこのシーンをよーく観てみたい。
こういった「小粒だが面白い」作品をもっと多くの劇場で公開して欲しいと思うのは、私だけではないはずだ。

自分の大学時代にこの作品のような事件があったわけではないが、彼らの行動には「あ〜、そうだよなあ、このノリ」という感じで親近感がわき、なにやら懐かしささえ感じてしまった(ってことは、やっぱり俺もおバカ大学生だったってことか)。
私がチャランポランに過ごした大学時代ってのは、「人生の夏休み」だったのではないかな、なんて思ったりして。
この作品に懐かしさを感じるのは、そんなところから来ているのかも。



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