のほほん映画観賞備忘録・2007年9月〜12月

SF・アクション映画が大好きなマクノスケ&マクタロウの映画鑑賞備忘録です。
ふたりで「のほほ〜ん」と感想を語っています。


■2007年 9月〜12月  基本的にネタばれしておりますので御注意を!
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  【2007】/1月〜4月5月〜8月/9月〜12月

  【 9月】デス・プルーフ in グラインドハウス / スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ / さらば、ベルリン /
           ファンタスティック・フォー 銀河の危機 /
  【10月】パンズ・ラビリンス /キングダム/見えざる敵 /グッド・シェパード /
  【11月】仮面ライダー THE NEXT /ALWAYS 続・三丁目の夕日 / バイオハザード III/ ボーン・アルティメイタム/
           フライボーイズ/やじきた道中 てれすこ/アレックス・ライダー/
  【12月】 アイ・アム・レジェンド / 光の六つのしるし /

■2007. 12月
  アイ・アム・レジェンド / 光の六つのしるし /

光の六つのしるし 2007.12.22.(Sat.)
■時を飛びこえ、世界を守るしるしをさがせ!

監督: デヴィッド・L・カニンガム
製作: マーク・E・プラット
製作総指揮: ロン・シュミット
原作: スーザン・クーパー 『闇の戦い1 光の六つのしるし』
脚本: ジョン・ホッジ
撮影: ジョエル・ランサム
音楽: クリストフ・ベック
出演: アレクサンダー・ルドウィグ ウィル・スタントン
クリストファー・エクルストン ライダー
イアン・マクシェーン メリーマン・ライオン
フランセス・コンロイ ミス・グレイソン
アメリア・ワーナー マギー・バーネス
グレゴリー・スミス マックス・スタントン
ジョナサン・ジャクソン
ウェンディ・クルーソン
上映時間 99分 製作国 アメリカ 公開情報 劇場公開(FOX)
「光の六つのしるし」公式サイト

【マクタロウ】
マクノスケが出演者の一人、クリストファー・エクルストンのファンだったものだから観た作品。そうでなければ絶対にセレクトしないだろう。よって、期待というものは何もなく鑑賞となった。
冬休みに入る学校の騒然とした雰囲気から、主人公と家族の紹介を描くオープニングは、なかなか手際も良く思わぬ拾いものでは、と期待がたかまる。
作品の内容は、実は「選ばれし者」だった少年が、とまどいながらも戦士としての自覚を得て悪と戦う・・・というよくあるパターン。
しかし、登場人物の魅力、イギリスの田舎というロケーションの美しさで飽きずに観ることが出来る。
突っ込みどころはあるし、前半を丁寧に描いていた割に後半は一気に展開してしまうところなどは気になったが、最近観たこの手のファンタジー作品では及第点をつけられる。まさに、思わぬ拾い物だった。
どうしても某魔法少年大作と比べてしまうのだが、こちらの方がはるかに魅力的であり、シリーズ化も期待してしまう。
ちなみにエクルストン氏、実に楽しげに悪役を演じておりました。

【マクノスケ】
今週は火曜日の「ヒーローズ」に始まり、本日の映画「光の六つのしるし」とエクルストンファンにとっては最高の1週間となりました。上映館数がわずかなこの映画ですが、たまたまこの日にウチの近所のショッピングモールにシネコンがグランドオープンする事になり、その中の1館に選ばれたのではないかと思われます。

これも私のエクルストンへの愛を神様がお知りになり、クリスマスプレゼントしてくれたのかーっと喜んでおりますが(…って神様信じてないくせにこういう時だけげんきんな私)、ま、とにかく、これは力入れて見ようじゃないか…って事で、9時25分の上映に間に合うよう8時45分に映画館前に到着!9時の開館を待って1番で入場したもののお客さんは、数組!!大丈夫なのか!シネサントムーン!!でも劇場内は明るく清潔で好印象。これでスタッフの人がもっと慣れてくれば更に素敵な映画館になるんじゃないかと思います。

上映はスクリーン4で106席。席の数の割にはスクリーンはまずまずの大きさでした。 しかし、驚いた事に観客が私とマクタロウの2人!!!貸し切りですよ!!! ま、人気がない映画だって事はわかってはいたんですが、それでも2人って言うのはあまりにも淋し過ぎます。(涙)

で、映画の方はと言うと思ったより面白かった! イギリスの町並みや生活習慣など画面に反映されていて、そこに「シーカー=六つのしるしをみつけられる者」として生まれて来た主人公が自分の運命を受け入れ成長していく姿が良く描かれていました。前半ちょっともたつきますが、私としては「エラゴン」や「ハリー・ポッター」よりも燃えちゃったかなァ。エクルストンはと言うと、ちょい出なのかと思っていたら大間違い!(笑)

全編が殆ど、主人公の少年とエクルストン演じる黒騎士の一騎打ちという図式なので、エクルストン、出まくりです!時に医者(!)に変装して少年宅にやって来て、少年から「光のしるし」を奪おうとしたりするのですが、ここのエクルストンがまさに「ドクター・フー」の時のユーモラスなエクルストンなんですよねえ。途中、教会で医者に変装した姿で賛美歌(諸人こぞりてだったかな?)をみんなで歌うシーンもあり、一瞬だけですがエクルストンの歌声も聞けて嬉しかった。最後の対決も全身を使ったパフォーマンスで「ダークなエクルストン」を堪能。本当にエクルストンファンにとっては至高のひと時で御座いました。パンフによるとエクルストンの次回作は「New Orleans, Mon Amou」でジキル博士の役を演じるそう!!どんな役なのかこれまた楽しみです。



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アイ・アム・レジェンド 2007.12.16.(Sun.)
■地球最後の男に希望はあるのか。

[監]フランシス・ローレンス
[出]ウィル・スミス アリス・ブラガ サリー・リチャードソン=ホイットフィールド ウィロー・スミス チャーリー・タハン
[制作データ] 2007米/ワーナー [上映時間] 100分
「アイ・アム・レジェンド」公式サイト

【マクタロウ】
人類が主人公一人を残して消滅してしまう原因は何なのか、なぜ彼は生き残ったのかというところに興味を持っていたのだが、原因はウイルスであり彼が生き残ったのは免疫のおかげだったと分かった時点で、やや脱力。
予告で「ゾンビもの」のようだということを感じていた訳だが、話の展開は「バイオハザード」そのままで新鮮味は無かった(実は原作が古典的なSFであり、「ゾンビ」も「バイオハザード」もそこから生まれたものだと言うことは知らなかった)。
ゾンビ(吸血鬼らしいが)の親玉に知性があることを主人公は分かっているはずなのに、無視してしまう展開は疑問だ。私はてっきり怪物は「新人類」だったという展開を期待していたのだが、最後は血清の完成と主人公の自己犠牲、残っていた人間達(地球最後の男じゃなかったのかよ)はめでたし、めでたし。ひねりも何もない。予告編以上のものは何もない。
見所は主人公の相棒である犬の演技と、廃墟と化したマンハッタンのビジュアル、序盤で暗闇のビルに侵入する場面の緊張感ぐらいか。

【マクノスケ】
人類が絶滅してしまった近未来を舞台に、世界でただひとり生き残った主人公のサバイバルを描くアクション映画かと思いきや、予告でもちらっと写ったように、これがゾンビ映画だったりするんですよねえ。

主人公ネビル(ウィル・スミス)がゾンビ集団と闘いながらも、ゾンビを人間に戻す血清を作るため孤軍奮闘するのですが、途中ゾンビのリーダーが登場し、ネビルが掛けた罠と同じような罠を逆に仕掛けたりするところから・・・もしや、彼が、このあとの展開のキーになっているのかとワクワクしていたら、さにあらず・・・。

血清は完成するものの、途中、突如登場した親子を救うため、彼は手榴弾で襲ってくるゾンビたちを吹き飛ばし自らも英雄として死んでしまうんです。結果、血清は親子により生き残りがいる村へ届けられ彼は伝説になるのですが、ちょっと待って!それじゃあ「ヒー・イズ・レジェンド」じゃない?

…って、どうやら原作は映画とは違う展開をしているようなんです。 ちょいとWikipediaなんぞ調べてみましたら・・・ そもそも原作はゾンビではなくて、ウィルスで吸血鬼化してしまった人類と唯一感染しなかった主人公ネビルの闘いを描いた物語で、その両者の間に感染はしたものの夜しか活動出来なくなってしまった「新人類」という人々が登場していて、彼らもまた吸血鬼を倒していたという設定。

そうとも知らずに彼らを吸血鬼の仲間だと思い殺しまくっていたネビル。 新人類にとっては、自分たちが眠っている昼に現れ、杭を打ち込んで仲間を殺して行くネビルが、彼らにとっての怪物だったわけで、最後に彼らに捕まり処刑されそうになったネビルのセリフが「俺は今では伝説(の怪物)だ!」だったんですね。自らが彼らにとって裏表の存在である事に気づく・・・というオチ。

この善悪逆転の構図は、70年代アニメおばさんとしては「海のトリトン」「ザンボット3」!あぁ!富野さん!!・・・って事になるんですが、出来れば、これ、原作に忠実に映画にして欲しかったですよねえ。まあ、マクタロウには、「今のハリウッド映画」でそんな展開はありえないだろう!って言われちゃいましたけどね。(笑)



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■2007. 11月
  仮面ライダー THE NEXT /ALWAYS 続・三丁目の夕日 / バイオハザード III/ ボーン・アルティメイタム/
  フライボーイズ/やじきた道中 てれすこ/アレックス・ライダー/

アレックス・ライダー 2007.11.24.(Sat.)
■揺るがす! 英国諜報員(スパイ)の歴史!!

監督:ジェフリー・サックス
脚本:アンソニー・ホロヴィッツ
アクション監督:ドニー・イェン
出演:アレックス・ペティファー ユアン・マクレガー、 ミッキー・ローク、
ビル・ナイ、 ミッシー・パイル、 アンディ・サーキス、 アリシア・シルヴァーストーン、 ダミアン・ルイス、 ソフィー・オコネドー
制作データ:2006 イギリス/アメリカ/ドイツ
上映時間: 1時間33分
「アレックス・ライダー」公式サイト

【マクタロウ】
随分前に、ユアン・マクレガーが出演している少年スパイアクション映画があるとマクノスケから聞いていて、「ふ〜ん」程度に記憶していた。
ようやく日本での公開が決まり、出演者をみてびっくり。ユアン・マクレガーはわかっていたが、ミッキー・ローク(絶対に悪役だろうと思っていたら案の定)、ビル・ナイ、ミッシー・パイル、アンディ・サーキス、ロビー・コルトレーンと変に豪華なのだ。しかもアクション監督にドニー・イェンときた。これは観るしかない。
物語は諜報員だった叔父(ユアン・マクレガー)の死をきっかけに、少年諜報員となるアレックスの活躍を描く冒険アクション。子供向けと感じる部分もあるが、思いの外しっかりとしていて充分楽しめた。
舞台がイギリス、ロケも多く本家007よりも「イギリス映画」らしさが出ていて楽しい(アレックスが訓練を受けるシーンでの軍装も、当たり前だが、いかにもイギリス軍なのがうれしい)。
ギャグのセンスもちょっとブラックな笑いもあり、これまたイギリス風。
アクション演出は今風(アップが多く短いカット割り)だが、脇役からスパイ道具まで、振ったネタをキッチリ回収する姿勢は好感を持てる。
だが、本作におけるミッシー・パイルの怪演。これこそが作品の魅力だと言っても過言ではないだろう。
その怪しい顔つき、クンフーアクションまでこなし、クラゲの餌食となる最期まで見事なコメディエンヌぶり。彼女が画面に映っているだけで笑いがこみ上げてくるほどだった。

原作もあるようだし、叔父殺しの男との因縁が残っている。是非シリーズ化して欲しい作品だ。

【マクノスケ】
監督はジェフリー・サックスという人で95年の「ドクター・フー」などを演出しているテレビ畑の人だったようです。 物語は、アンソニー・ホロヴィッツによる世界的ベストセラー小説“女王陛下の少年スパイ!アレックス”シリーズを映画化した冒険スパイ・アクションで、MI6にスカウトされた少年スパイ、アレックス・ライダー(14歳!)の活躍を描いている少年版007なんですが、主演の新鋭アレックス・ペティファーくんは、まずまずの印象。

脇のユアン・マクレガー(MI6のスパイでアレックスの叔父さん)、
ミッキー・ローク(今回の悪役:英国のIT企業王ダリアス・セイル)、
ビル・ナイ(MI6の局長)、
アリシア・シルヴァーストーン(ライダー家のお手伝いジャック)、
アンディ・サーキス(セイルの手下)、
ロビー・コルトレーン(首相)
もなかなか豪勢なんですが、
やっぱりひとり凄かったのが・・・ ミッシー・パイル!!

「ギャラクシークエスト」(99年)で、「名探偵モンク」のトニー・シャルーブ演じる技術主任チェンといい仲になる・・・サーミアン星人のラリアリを演じた時から注目してた女優さんで、実は私と誕生日の月日が同じ!!お気に入りにプロフィールを登録するくらい注目していてですね。 「ビッグ・フィッシュ」や「チャーリーとチョコレート工場」に出た時もそのバカ面白いキャラに大ウケしていたんですが、今回は更にグレードアップ!!役どころは、ミッキー・ローク演じるセイルの秘書役で、とにかく表情が面白くて登場するたびに笑えます!!

中盤は彼女が引っ張っていると言っても過言ではないのですが、途中、彼女とアリシア・シルヴァーストーン演じるお手伝いのジャックの格闘シーン(サーミアンVSバットガール!)がありましてですね。このアクションシーンの監督を私がエクルストンと共に恋い焦がれるドニーさん(ドニー・イェン)がやっていて大感激!!!まさかミッシー・パイルとドニーさんのコラボが見られる日がやって来ようとは・・・夢にも思っていませんでした!!他にも最初の方の車の解体工場でのアレックスのロープを使ったアクションシーンが、ドニーさんアクション炸裂でファン冥利に尽きましたねえ。 「2」も出来そうな展開なので、出来ればメインキャラは同じキキャストで作って欲しいなァ。 お手伝いのジャックが日本食を作るシーンは必ず入れて欲しい!!

あ、あと1つ気になったんですが、アンディ・サーキス演じるミスター・グリンがナイフ投げをする時の服装が「ブラックジャック」そっくりだったんですが、あの衣装って手塚先生が「ナイフ投げ」をする人の衣装をBJに着せたとか?・・・ってそんな事ないですよねえ。(笑)



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やじきた道中 てれすこ 2007.11.24.(Sat.)
■花のお江戸は毎日が愉快で大騒ぎ!

[監]平山秀幸
[脚]安倍照雄
[音]安川午朗
[出]中村勘三郎 柄本明 小泉今日子 ラサール石井 笑福亭松之助 淡路恵子 間寛平 松重豊 山本浩司 藤山直美 國村隼 笹野高史
[制作データ] 2007松竹 [上映時間] 108分
「やじきた道中 てれすこ」公式サイト

【マクタロウ】
お馴染み、弥次さんと喜多さんの映画化だが、ストーリーは落語ネタを散りばめたオリジナル。オープニングタイトルのアニメーションから楽しいロードムービーでした。
とにかく中村勘三郎扮する弥次さんと、柄本明扮する喜多さんの掛け合いが絶妙。二人の間合いが良いものだから自然と笑みがこぼれてくる。特に勘三郎の台詞回しは立て板に水のごとくで、聞いていて心地よかった。
二人に絡む小泉今日子は落ち目の花魁をうまく演じていたが、年を取ってもかわいいキョンキョンの声では啖呵に迫力が無いのは残念。
もう一つ残念なのはタイトルにある「てれすこ」が本編とうまく絡んでいない点だ。せっかくモンスター映画かと思わせるオープニングまであるのだから、もう少しストーリーに絡んで欲しいところだった。


【マクノスケ】
落語のねたを盛り込み、弥次さん中村勘三郎、喜多さん柄本明で描く珍道中。監督は「しゃべれどもしゃべれども」の 平山秀幸監督。ヒロインの花魁・お喜乃の小泉今日子の出番が思った以上に多く、この3人がメインといった感じでした。

お人好しの弥次さんを演じる中村勘三郎の演技が自然で上手い!!特に最後の泣かせ処はとにかく魅せます!!一方、登場シーンからずっと笑わせてくれるのが喜多さんの柄本明。役者として忠臣蔵を演じている喜多さんに役者生命を絶たなければいけない危機が訪れるのですが、そのくだりがまた可笑しい!喧嘩をしながらも、お互いの機微を知り尽くした者同士の関係が実に巧に描かれていて、大いに楽しめた1本でした。

私的には好きな俳優さんの松重豊さんと國村隼さんが出ていて嬉しかったです。國村さんは小田原の賭場の代貸で出番もちょっとなんですが、松重さんは足抜けしたお喜乃を追う地廻りの太十という役。相変わらずその強面を生かした役どころなんですが、今回はギャグ色が濃く、とても楽しそうに演じていて、だいぶ笑わせて戴きました。 オープニングのアニメも「ファンタジア2000」を彷彿とさせて、洒落ていて楽しめました!!





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フライボーイズ 2007.11.18.(Sun.)
■俺は飛ぶ。信じるものの為に──。

監督: トニー・ビル
製作: ディーン・デヴリン
マーク・フライドマン
製作総指揮: フィリップ・M・ゴールドファーブ、 デヴィッド・ブラウン、
ダンカン・リード ジェームズ・クレイトン
原案: ブレイク・T・エヴァンス
脚本: フィル・シアーズ、 ブレイク・T・エヴァンス、
デヴィッド・S・ウォード
衣装デザイン: ニック・イード
音楽: トレヴァー・ラビン
出演: ジェームズ・フランコ、ジャン・レノ、マーティン・ヘンダーソン、
ジェニファー・デッカー、タイラー・ラビーン、フィリップ・ウィンチェスター
アブダル・サリス、デヴィッド・エリソン、ダニエル・リグビー、
バリー・マッギー、オーグスタン・ルグラン、レックス・シュラプネル
制作データ: 2007フランス/アメリカ(プレシディオ)
上映時間: 138分
「フライボーイズ」公式サイト

【マクタロウ】
昨年、制作を知ったときから待ちこがれていた作品。
いきなりDVD発売になるのではないかと覚悟していただけに、劇場公開は嬉しい。

内容はと言うと、一言で言ってしまえば「久しぶりに観る戦争アクション」だった(この手のジャンルは死滅したものと思っていたが、舞台を第1次大戦にしたことで生々しさが無くなるのでは、と製作者側が判断したのか?)。
ただし、単純な航空アクション映画として楽しめるかというとそうでもない。表面はシリアス路線を装っているものの、やっていることはアクション映画という、なんともちぐはぐな作品に感じられるのだ。
フランス人のヒロインが安易に英語を話さないところ(基本的にフランス、ドイツともにちゃんと自国語)などは好感を持てるのだが、仲間の死やショック症状での戦線離脱などの描写は、昨今の戦争物のような深刻さはあまり感じられない(登場人物のキャラクターが掘り下げられていないためだろう)。
その上、主人公が、墜落した戦友を救うため戦闘中の地上に着陸したり、また、ヒロインを助けるために適地に飛んだり、やっていることは冒険活劇も良いところ。
冒頭に「史実に基づく」などという一文を掲げた以上、もう少し「地に足が着いた」(航空機映画でこの言い回しは変だが)作品であって欲しかった。

ここから先は、好き者の戯れ言です。
空戦シーンはほとんどがデジタル合成かCGによるもの。これは無茶な空戦(脚柱で敵機の上翼を蹴散らす!!など)をやらせるためには仕方がないが(いや、本来そんなことはして欲しくないのだよ)、せっかく飛行可能なレプリカを用意したのなら、最後の一騎打ちぐらいはそれを多用してくれたらなあ、などと思ってしまう。
実機という意味で一番活躍していたのは、練習機から、ヒロイン救出までCG無しで出演したソッピース1−1/2ストラッターでした。
ドイツ機は全てフォッカーDr.I、しかも赤い機体ばかりで、その中でも悪役は黒いDr.Iというのは、素人にも分かりやすくするためだとは分かっていても面白味に欠ける。
まあ、航空アクション映画としたらこんな所だということも承知しているし、そもそも第1次大戦を舞台にした航空機映画自体、映画館で観るのは「スカイ・エース」以来。ハリウッド的ご都合主義満載で突っ込みどころは多いが、迫力ある音響と大画面ならではの映像は、映画館で観ることが出来て良かった。

【マクノスケ】
第一次世界大戦時、義勇兵としてフランス空軍に加勢した“ラファイエット戦闘機隊”の実話を基に、アメリカ人初の戦闘機パイロットとして活躍した勇敢な若者たちの愛と正義の物語を、複葉機による迫力の空中戦満載で描いた航空機アクション大作。(allcinema ONLINEより)

マクタロウが昨年からずっと公開を楽しみにしていた第一次世界大戦の複葉機映画!
ここ10年でマクタロウにつき合って戦争映画も見るようになって来て、少しはこの手の映画は判るようになったものの、なんせ殆どの複葉機がCGとマクタロウから聞いていたので、いったいどこまでがリアルな飛び方で、どこまでがCGでしか出来ない動きなのかさっぱりわからなかったりしたのですが、なんだか無茶な飛び方してるなーと思って、映画が終わったあとにマクタロウに聞いたら、案の定「やりすぎ」らしい。(笑)

マクタロウも上で書いていますが、複葉機の足で敵機の上に接触して粉砕するなど、本当にそんな事が出来たのか?と思うような演出が目立ちました。これが「戦争アクション」と名打っているならいいんですが、物語の最初に「史実に基づく」と出るもんですから、どれも本物なのか〜と思ってしまうんですよねえ。

話も、なにやら、今までの戦争映画の美味しいところを集めて全部見せました的なところもあって、ジェームズ・フランコ演じる主人公が美味しすぎるーって感じでした。まあ、戦争映画の免疫がなく(マクタロウに毒されず・・・笑)、ただのスターウォーズ好きだけの以前の私だったら、単純に、痛快アクション映画として楽しめたのかもしれません。
でも、なんだかんだ言って、やっぱり私は空中戦が好きなんだなーと再確認出来たし、フランコ始め役者も良い雰囲気を出していました。史実に基づいているのだから仕方ないとは言え、最後にフランコくんがヒロインと寂しい別れ方をしてしまうのは残念でしたが、こういった作品を映画館で観る事が出来て良かったと思います。





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ボーン・アルティメイタム 2007.11.11.(Sun.)
■マット・デイモン=ジェイソン・ボーン

[監]ポール・グリーングラス
[原]ロバート・ラドラム(角川文庫刊)
[音]ジョン・パウエル
[出]マット・デイモン ジュリア・スタイルズ デビッド・ストラザーン ジョアン・アレン
[制作データ] 2007米/東宝東和 [上映時間] 115分
「ボーン・アルティメイタム」公式サイト

【マクタロウ】
シリーズ1作目は劇場で鑑賞、大して面白くもなかったので、2作目はスルー、先日のテレビ放映で鑑賞。
2作目は1より良かったなどという人もいたので、監督が替わってマシになったのかと期待していたら、相変わらず短いカットとアップばかりのアクションシーンにうんざり。テレビの画面で疲れるのだから映画館のスクリーンではもっと疲れるだろう。
3も同じ監督だから、似たような物だろうと分かっていたが、ここまできたら結末を確認しようと劇場に足を運んだ。
予想通り、へたくそなアクション演出は健在。

せっかく派手なカースタントをやっていても、観客に全体の状況をわからせるような引きの画が無いために、何が起きているのか分からないのだ。
ドタバタと凄いことをやっているようだけど、まるでハラハラしない。
まあ、ボーン君が不死身すぎるのも問題ありだが、それ以上に演出と編集はひどいものだ。
ストーリーはそこそこ面白いし、マット・デーモンは良くやっている。
それだけに、アクション演出がもっとまともだったらと残念に思う。

【マクノスケ】
「ボーンシリーズ」も入院して「2」は見ていないんですが、こちらも、このところデイモンくんに、なんとなく惹かれるのもあって、テレビ放映で「2」を予習しての鑑賞で御座います。 実は本日、2本目の鑑賞。先に「バイオハザードV」を見ているんですが「ボーン」を見ながら、これは時代と場所が違うだけで同じ映画なんじゃないかと思ったりしたんですよね。どちらも自分のルーツに巡り会い、本当の敵と対峙して戦うわけですから・・・。

しかし、設定がリアルな割に、あまりにも不死身なボーンくんに、ちょっと引いたりなんかして・・・。(笑)特殊工作員として鍛えられているとは言え、あれだけやられまくりなのに殆どダメージを受けないと、「バイオ」のアリスと決闘しても勝てるんじゃないのかと思ってみたり・・・。(笑) カメラのズームインや手持ちカメラで撮ったようなブレ多用にも疲れました。 けど、そこはデイモンくんの人柄か(笑)・・・あんなシリアスな役を演じていても、そこはかとなく人を和ませるものがあり、まずまずの印象で劇場を後にしました。

で、おぉ!と思ったのはボーンの音楽! 「ボーン」の音楽は金曜に「ボーン・スプレマシー」をテレビで見て「スチーム・ボーイ」に似てるねーなんてマクタロウと言っていたんです。エンドロールで、かなり乗れて、猛烈にCDが欲しくなったんですが、ウチへ帰って来て「スチーム・ボーイ」のサントラ(2曲目の「The Chase」を聴いて満足しました。同じです。殆ど・・・。音楽は「ボーン」はジョン・パウエルで「スチーム・ボーイ」はスティーブ・ジャブロンスキーですが、どちらも「リモート・コントロール」(ハンス・ジマー率いる作曲家グループ。旧名メディアベンチャーズ)の人なので、やっぱりー(笑)って感じです。 でも「ボーン」の音楽・・・良かったなァ。





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バイオハザード III 2007.11.11.(Sun.)
■アリス、砂漠に死す

[監]ラッセル・マルケイ
[製][脚]ポール・W・S・アンダーソン
[出]ミラ・ジョボビッチ マイク・エップス オデット・フェール アリ・ラーター スペンサー・ロック
[制作データ] 2007米/ソニー [上映時間] 94分・PG-12
「バイオハザード III」公式サイト

【マクタロウ】
シリーズ1作目はテレビでつまみ食い程度の鑑賞、2作目は公開前日のテレビ放映での鑑賞と、このシリーズに思い入れがあるわけではないが、素顔のミラ・ジョヴォヴィッチの気さくさと「ハイランダー」以来ちょっと気になるラッセル・マルケイが監督をしていることが興味を引き、3作目にして初めて劇場での鑑賞となった。
私としては元になったゲームを知っているわけでもなく、とにかくミラ・ジョヴォヴィッチのアクションを楽しめれば良いかと。
まあそういう映画でしょう。
で、その部分はおおいに楽しませていただいた。「マッドマックス2」的世界観も面白かったし、登場人物もそれなりに感情移入できた。
所々にラッセル・マルケイらしい映像もあったし、90分飽きることなく観たので良し。

【マクノスケ】
「バイオハザード」は「1」も「2」も未見。でも、このところのジョヴォヴィッチに、なんとなく惹かれるのもあって、テレビ放映で予習しての今回の「V」鑑賞となった訳で御座います。
今回は、アクションも編集でスピードを変に変えたりせず、動きにも重みと切れがあって好感が持てたし、お話の方も西部劇的なノリがあって面白かったです。 特にカルロスとの別れのシーンは、なんだかとっても燃えました。
カルロスの死に際の煙草を吸うところなんか「こういうの久しぶりに見たよー」と惚れ惚れ!!

しかし、まさかアイザックス博士があんなモンスターになるとは夢にも思いませんでしたねえ。
あぁ、そうか!結局は生み出したものと生み出されたものの宿命の対決になるのねーと感慨深く見ました。
もうこれは勝ち目がない・・・ってところで、アリスのクローンが大活躍。
最後は、アリスとアリスのクローン達が東京にあると思われるアンブレラ社に対決を挑むんだろうなあって形で終わるのですが、研究室にあったアリスのクローンのもの凄い数には、もし「W」があったら、ミラは何役やるんだろう??と、大量のミラが暴れる姿を想像してしまったりして。でも案外、冒頭の字幕で「東京で闘い、一人残ったアリスはアラスカを目指すのだった・・・」なんてので始まりだったりしてね。(笑)

「HEROERS」のニキがクレア役で出ていて「おぉ!」と思っちゃいました。





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ALWAYS 続・三丁目の夕日 2007.11.10.(Sat.)
■昭和34年、日本の空は広かった。

[監][脚]山崎貴
[原]西岸良平
[脚]古沢良太
[歌]BUMP OF CHICKEN [出]吉岡秀隆 堤真一 小雪 堀北真希 もたいまさこ 三浦友和 薬師丸ひろ子 須賀健太 小清水一揮 小日向文世
[制作データ] 2007東宝 [上映時間] 146分
「ALWAYS 続・三丁目の夕日」公式サイト

【マクタロウ】
グリコのおまけのような作品でした。
つまりキャラメル(三丁目の夕日)を美味しくいただいた後に、おまけ(続・三丁目の夕日)を開けて、喜び倍増という感じです。
前作だけでも充分だったけど、やっぱり気になるあの人達の「その後」(主に茶川家だけど)。その、気になる部分を中心に描かれる三丁目のその後は、これまた笑いと優しさに彩られていました。
ストーリーの中心は、茶川の小説が芥川賞を受賞できるかというエピソードに、淳之介、ヒロミとの関係を絡めた展開だが、これが(結末が)わかっていても素直にじんわりくる。
鈴木オートは、おなじみの「怒髪天を衝く」姿から、茶川を気遣う男気(「あんたは読んだのか?」の場面は泣けたよ)もあり、今回も一番のキャラクターだ。彼に限らず、全てのキャラクターに愛情が注がれているのは前作同様(小さなところでは氷屋さんがアイスキャンディー売りに転身していたところにホッとした)。
一平君の初恋や六ちゃんの幼なじみなど、新しい登場人物がエピソードを広げる役割を果たしているのも良い。
映像は前作以上の緻密さで、「寅さん」のオープニング的なまさかの「ゴジラ」!!(これを2時間観てもいいぞ)から、羽田空港、日本橋など、どこまでが実写なのかという出来。
スタジオのライティングもより自然になり、オープンで撮ったような仕上がりが良かった。
前作と比べると全体的に散漫な感じを受けるものの、丁寧に作られた映像と、笑いと優しさにあふれたストーリーは充実した2時間を与えてくれた。山崎監督、ほんとうにありがとうございました。

【マクノスケ】
予告を見た時から淳之介の演技に涙していた私。
当然ながら、冒頭から大泣きです。
今回は茶川一家がメインですが、相変わらず鈴木オートが絶好調でいい感じです。鈴木オートの過去にふれるシーンは予告でも紹介されていて知っていましたが、奥さんのトモエの過去も明らかに・・・。今回登場した六ちゃんの幼なじみの男の子が重要なキーマンにもなっていて、人物の配置の巧さにも感心。山崎監督、やるなーと言う感じです。

それにしても、冒頭のサービスシーンには驚きました。 特撮畑の山崎監督なだけに、やってくれたなーとうれし涙! まさか「ゴジラ」を登場させるなんて夢にも思っていませんでした。 「続・三丁目の夕日」公開日の11月3日が、「ゴジラ」の誕生日だったんです。 もしかしてそれも計算に入れて、この日を公開日にしたんでしょうかねえ。それとも偶然かなあ? オリジナルがCGで艶めかしく動くって言うのが新鮮でしたねえ〜。 あぁ、そうそう。見ている時は全然気が付きませんでしたが、貫地谷しほりちゃんも出ていました。 手塚理美はわかったんですけど、化粧が濃くて全然わからなかった!! ピエール瀧さんもちゃんと続投で安心しました。 (前回、冷蔵庫が普及して氷屋さんが廃業になっちゃったのかと心配していたのです。)

今回は、茶川さんの芥川賞への挑戦やヒロミとの関係など、オチが読めそうなお話でしたが、それが如何に成されるかがとても気になっていました。でも、それを観客がもっとも納得する形で見せてくれた山崎監督に、大満足しています。特撮も前作よりずっとパワーアップしていて感激しました。 物語の盛り上がりという点では1作目の方があったような気がしますが、今回は、そんなキャラたちをより重厚に描いたファンへのサービス編として楽しめたと思います。 「ジュブナイル」から応援している山崎監督が、こんな素敵な映画を再び撮ってくれて嬉しい1日でした。あーでも次回は久々にSF物、撮って欲しいですね。





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仮面ライダー THE NEXT 2007.11.03.(Sat.)
■すべてを超える。

[監]田崎竜太
[原]石ノ森章太郎
[脚]井上敏樹
[歌]ISSA
[出]黄川田将也 高野八誠 加藤和樹 石田未来 森絵梨佳 嶋田久作 斎藤洋介 田口トモロヲ
[制作データ] 2007東映ビデオ [上映時間] 103分・PG-12
「仮面ライダー THE NEXT」公式サイト

【マクタロウ】
前作、「仮面ライダー THE FIRST」は映画館で観られず、友人にDVDを借りて鑑賞した。
脚本のまずさ、アクションのキレの悪さが目立ち、お世辞にも「良かった」とは言えない出来は残念だったのだが、原作とテレビシリーズの中間を映像化した点に意義があったと思う。
さて、本作「仮面ライダー THE NEXT」。
V3登場ということで、どのようなストーリーにするのかと思っていたらいきなり「リング」のようなホラー・テイストで来た。
国民的アイドル歌手Chiharuの歌に込められた怨念と、Chiharuの身を心配する親友の琴美、琴美の担任教師である本郷猛がショッカーの陰謀にかかわっていく。
そこにChiharuが風見志朗の妹という設定がうまくかみ合い、物語をひっぱる。
アメコミヒーローのように大風呂敷を広げた「世界を救う」という闘いではなく、あくまでも個人的な闘い、「誰かを(あの人を)助けたい」という気持ちが「仮面ライダー」ならでは、なのだ。
基本的には本郷が主役のストーリーなのだが、一文字隼人、風見志朗、琴美、それぞれキャラクターの良さが出ている。
中でも、死にそうで死なない一文字が美味しい役どころ。今回一番格好良かったのは彼だろう。
「あなた(本郷)のように(生きていきます)」と決意した風見志朗は次作(勝手にあると決めつける)で、どのような活躍を見せるのか楽しみだ。

アクションは、前作とはうってかわって「カッコイイ」カットが満載。
ショッカー・ライダー登場シーン、バイクでのチェイスなど、文句なく燃えるのだ。アクション監督は前作と同じ横山誠なのだが、監督、編集の違いが出たと言うことなのか(予算の違いは大きいと思う)。
3作目も、ぜひこのレベルで制作して欲しい!!

ところで、エンドクレジットの後におまけシーンが付いているが、あからさまなパチンコメーカのタイアップと、本編を台無しにしてしまう内容で興ざめも良いところ(ISSAの歌も良いとは言えないがね)。

【マクノスケ】
「仮面ライダー」シリーズ第2弾! その名も「仮面ライダー THE NEXT」。 第2弾ですが、第1弾で2号も出てきているので、2弾と言えど、今回はV3が登場。本郷と一文字相手に派手なアクションを繰り広げます。

物語の導入は、このV3こと風見志郎の妹でアイドル歌手CHIHARUのビデオクリップを見たファンが次々と怪死。彼女の親友である琴美と琴美の高校の担任になっている本郷猛が事件を追及しているうちに、ショッカーのハサミジャガー(田口トモロヲさん熱演!!!)による「日本全土ナノロボット改造計画」を知り、行方知れずだった一文字と再開した本郷がショッカーの「ニセライダー」などを相手に闘って行きます。

今回は、風見志郎の妹、アイドルのCHIHARUにまつわる謎の部分が、ホラーとして描かれていて、これが全般を引っ張っていくので、ちょっと血なまぐさいシーンあり、PG−12の指定になっています。監督は「仮面ライダー・ブラック」で助監督、「オーレンジャー」などの戦隊モノの監督などを経て「ガメラ・小さいな勇者たち:」などを撮った田崎さんという方ですが、「仮面ライダー」の旨みを充分引き出した上手い作りになっておりました。ちょっとホラーシーンは「リング」の影響を受けすぎたような感じもしましたが・・・。

で、私は、やっぱり「一文字隼人」にぞっこん!!なのであります。(笑) 苦しみと死の狭間で、死ぬに死ねない究極のお金持ち(?)!! キザでクールで、酒と女好き!!(笑) だけど、中身はからっぽじゃないのさ〜♪ ・・・みたいな役どころなんですが(わかりにくくてごめんなさい。)、 演じている高野八誠が、これまたキザな感じが良く出ていて燃えました〜。





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■2007. 10月
  パンズ・ラビリンス /キングダム/見えざる敵 /グッド・シェパード /

グッド・シェパード 2007.10.20.(Sat.)
■いくつ愛を失くせば、この国を守れるのか。

[監][製][出]ロバート・デ・ニーロ
[出]マット・デイモン アンジェリーナ・ジョリー アレック・ボールドウィン タミー・ブランチャード ケア・デュリア
[制作データ] 2006米/東宝東和 [上映時間] 167分
「グッド・シェパード」公式サイト

【マクタロウ】
一人の男を通して、CIAの誕生とスパイの駆け引きをじっくりと描いた、ロバート・デ・ニーロ監督作品。
デ・ニーロはすでに2〜3本撮っているかと思ったら、本作が2本目だそう。2本目でこれほどの規模の作品をものにできるのは、たいしたものだ。
物語は、ピッグス湾事件での失態に直面した主人公エドワード(マット・デイモン)が情報の流出元の捜査を進める縦軸と、彼の過去を振り返りながら、CIA誕生の歴史を語る横軸とが見事に交差していて見応えがある。
どっしりと腰の据わった映像、一人の人物とその家族の物語をアメリカの(闇の)近代史にからめる手法は「ゴッド・ファーザー」を思わせる。
望んでいたわけではない結婚、ふとしたきっかけから入り込んでしまった諜報員の道。もちろん彼に適正があったから進めた道でもあるだろうが、夢見ていた人生とは大きく違っていたはずだ。
自分を偽ることでしか生きていけなくなってしまったエドワードの孤独と悲劇は、息子がCIAに入ったことにより、よりいっそう増すことになる。
作品でははっきりと描かれないが、スパイの疑いがある女性を息子の嫁にはできまい。私としては、花嫁の死は彼が手を回したと観る。
家族にさえ仕事のことは言えず、絶えず周りの人間を疑い続けて生きる「グレー」な世界の中で、KGBのユリシーズと対面しているときは「白黒」はっきりした世界であり、実は一番理解し合える関係だったのではないかと思う。

【マクノスケ】
第二次大戦間近のアメリカ。CIAの前身OSSの一員となりイギリスでスパイ活動を学び、アメリカへ帰った主人公エドワードは、渡英中に生まれた息子と対面。やがて設立されたCIAでの仕事は家族との溝を更に深めていく・・・。

ロバート・デ・ニーロの監督2作目にあたる本作は、ひとりの男の人生をまっすぐみつめた佳作でした。
CIAの成り立ちやFBIやKGBとのつながりも興味深くみました。
映画には元CIA出身のアドバイザーがついているので、ある程度は事実なわけですよね。

途中、ワンシーンだけ登場するジョー・ペシのセリフに唸りました。
(セリフは「館主日誌(B-Theater Log)」さんのブログを参考にさせて戴きました。)

「なぁ、アイルランド人には土地がある。イタリア人には家族と伝統がある。
黒人にさえ、彼らの音楽ってもんがある。 あんたたちには、何があるんだ?」
それに対しデーモンくんの答えはこうです。
「我々にはアメリカ合衆国がある。 君たちは、訪問客にすぎない。」


こう言い切るデーモンくんですが・・・
デーモンくんが、果たして本当に「愛国心」のみでこの仕事をしていたのか甚だ疑問です。
彼は父の自殺を隠蔽した時から「流される」人生を選択してしまったのではないか・・・ つまり、人生を半分、捨ててしまっようなた人間でしか、あの過酷で残忍な仕事は出来なかったのではないかとも思ったのですが、そんな枯れ果てた演技が似合ってしまうデーモンくん、ちょっと好きになって来ました。(笑)





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キングダム/見えざる敵 2007.10.13.(Sat.)
■<9.11>──あの日以降、今も続く見えない敵との終わらない戦い

最も危険な領域に
FBIスペシャリストが潜入する


[監]ピーター・バーグ
[製]マイケル・マンほか
[音]ダニー・エルフマン
[出]ジェイミー・フォックス クリス・クーパー ジェニファー・ガーナー ジェーソン・ベイトマン
[制作データ] 2007米/UIP [上映時間] 110分・PG-12
「キングダム/見えざる敵」公式サイト

【マクタロウ】
アメリカのエンタテイメントも、9.11以降の「テロとの戦い」を取り上げることが多くなってきた。
本作もその1本だが、予告を観て感じたのは「アメリカの正当性を訴えるアクション映画」になっているのではないかというところ。はたしてどのような主張を展開させるのかと興味を持って鑑賞した。
内容は、サウジアラビアでおきた自爆テロの捜査に向かうFBIの4人と、現地の警察、軍との軋轢、和解を描いたアクション映画といった趣だった。
テロに対する憎しみは強く感じるものの、それに対して報復という手段しか見いだせないアメリカの態度を批判する部分が、ジェイミー・フォックス扮する主人公と殺害されたテロリストの娘が語る最後の台詞「皆殺しにしてやる」という部分に出ている。しかし、それは取って付けたような感じをうけた。結局作者がやりたかったのはハードなアクション映画ということなのか。
アクションの迫力や銃撃戦の緊張感などは良いが、80%以上(もっとか)が手持ちカメラによる映像というのはひじょうに疲れた。更にカットも短く落ち着く暇がない。役者の表情などを、もっとじっくり写していかないと作品に奥行きも生まれてこないのではないだろうか。

【マクノスケ】
「キングダム/見えざる敵」を見て来ました。 サウジで起きた自爆テロで親友を失ったFBIの捜査官フルーリーが仲間の3人の捜査官と共に現地に乗り込み、サウジの捜査当局の協力を得て、テロ首謀者を追い詰めていくサスペンス・アクション。

ジェイミー・フォックス、クリス・クーパー、ジェニファー・ガーナーと、好みの俳優さんが出ていたのと、自分の好きなジャンルという事もあって、まずまずの手応えでしたが、ラストの部分が、アラブ側の立場でも描いています的な感じに写ってしまったのが、ちょっと残念でした。
たぶん、脚本としては、ジェイミー・フォックスを冒頭から良き父、指導力のある優秀な指揮官と描いて行って、ラストにあのセリフを言わせて、見ているこちらに「えぇ!そうだったのか!」と思わる趣向を狙ったのでしょうが、私としては、根が単純なので、最初から彼が「皆殺し」を目的にアラブ入りしていると言うのを観客に見せておいて、現地の人間と友情が芽生えたり、あの惨状を目の当たりにして、最終的に憎しみの連鎖があってはならない事に気づく・・・という作りの方が、楽しめたかな。
それとは別にヘリのシーンや道路での爆撃シーン、アジトでの銃撃シーンには、驚嘆してしまったんですけどね。ただ、終始画面が揺れ放しなのが辛かった。アクションシーン以外はあんなカメラワークはいらなかったんじゃないですかね。

ちなみに監督は、俳優のピーター・バーグと言う人。 今「allcimema」で調べたら「ベリー・バッド・ウェディング」(1998)の監督、脚本もやっていました。未見ですが、先日「さらば、ベルリン」の記事にも書いた脇役俳優リーランド・オーサーが出演している映画で、この作品で奥さんのジーン・トリプルホーンと共演して結婚したという経緯があるんですね。いつかこちらも見てみたいと思います。





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パンズ・ラビリンス 2007.10.06.(Sat.)
■だから少女は幻想の国で、 永遠の幸せを探した。

[監][プ][脚]ギレルモ・デル・トロ
[プ]アルフォンソ・キュアロンほか
[出]セルジ・ロペス マリベル・ベルドゥ イバナ・バケロ ダグ・ジョーンズ
[制作データ] 2006スペイン.メキシコ/CKエンタテインメント [上映時間] 119分・PG-12
「パンズ・ラビリンス」公式サイト

【マクタロウ】
スペイン内乱を背景としたダーク・ファンタジー。
1944年、少女オフェリアは母の再婚に伴い、軍人である義父がゲリラ掃討作戦を展開する山で暮らし始める。
そこは死と隣り合わせの世界。義父はゲリラに対して情けもかけず殺戮を繰り返す。
オフェリアにとって過酷すぎる世界。彼女にとっての安らぎは、母と母のおなかの中に宿る赤ん坊。そして、自分が地底王国の姫であり、いつかはそこへ帰れると信じること。
しかし、地底王国に帰るには3つの試練を克服しなければならない。ここでもオフェリアは過酷な世界と相対することとなるが、彼女は勇気を持ち機転を利かせて2つの試練を乗り越える。
そして3つ目。オフェリアは弟を守り、自ら血を流す。そこで得た物は自分を犠牲にしても、誰かを助けたいと思う気持ち。その気持ち、汚れのない心こそが地底王国への鍵だったのだ。

ギレルモ・デル・トロ監督は以前に「デビルズ・バックボーン」という、同じくスペイン内乱を時代背景とした同種の作品を撮っている。本作と「デビルズ・バックボーン」は姉妹編、いや兄妹編といえるだろう。
だが、決定的に違うのはラスト。「デビルズ・バックボーン」では、少年達は過酷な現実の中で生きていく力を得て、孤児院を後にする。
しかし本作は少女の魂の救済の物語。
オフェリアの魂はこちらの世界で生きて行くには純粋すぎた。それ故、こちらの世界では死が訪れ、魂は地底世界において再生されるのだ。

パンをはじめとする怪物のビジュアルの素晴らしさはもちろん、歯車、昆虫などデル・トロ監督おなじみの記号が散りばめられていて、ファンとしては嬉しくなる。撮影、美術、メイクアップでのオスカー受賞は納得の出来。
脚本の良さもさることながら、役者もそれぞれ存在感がある。さすがは「ヘルボーイ」「ブレイド2」などのプログラムピクチャーでさえその個性を発揮するデル・トロ監督だ。
次回作「ヘルボーイ2」、それに続くラヴクラフト原作「狂気の山脈にて」がますます楽しみだ!!

【マクノスケ】
去年からずっと待ち焦がれていた映画「パンズ・ラビリンス」の公開の日がやって来ました!!悲しいかな全国公開されませんでしたが、それでもなんとか見に行ける横浜ららぽーとでの上映でしたので、今回も東名高速で2時間掛けて行って参りました。

いやーでも頑張って行った甲斐がありましたーー!! もう今までのデル・トロ作品の要素を全部出し切った出来の良さに惚れ惚れ。モンスターは出るにしても、雨の中の傘の一軍や虫は予想していなかっただけに、ファンとしては嬉しいところを付かれて狂喜乱舞って感じです。(笑)

舞台は内乱が続く1944年のスペイン。 母の再婚相手であるレジスタンス掃討を指揮する残忍な大尉の仕打ちに耐えながら毎日を送るおとぎ話好きな少女オフェリア。運命に導かれ、迷宮の中でパン(牧神)と出会い、3つの試練を与えられる…というのが物語の導入部なんですが、最後まで見ると、映画の最初のシーンがとても重要なシーンだと言う事に気づきます。 確かに全体を通して、これは壮大なファンタジーという事になると思いますが、ファンタジー色よりもむしろ、スペイン内乱を描いた戦争映画としての色合いが濃く、彼女の義父である大尉とその周りのキャラクターの描写が実に見事でした。

虫とモンスターが嫌いな人にはお勧め出来ませんが、この手の映画好きの人には是非見て頂きたい映画です!!!特に物語中盤に登場するモンスターのシーン、映像も展開も強烈で夢に出て来そうです!!あぁ、もう1回見たいけど、遠くて行けない!!DVDよ!早く出て頂戴!!!





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■2007. 9月
  デス・プルーフ in グラインドハウス / スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ / さらば、ベルリン /
  ファンタスティック・フォー 銀河の危機 /

ファンタスティック・フォー 銀河の危機 2007.09.24.(Mon.)
■この秋すべてが変わる。

[監]ティム・ストーリー
[総]スタン・リーほか
[脚]ドン・ペインほか
[出]ヨアン・グリフィズ ジェシカ・アルバ クリス・エバンス マイケル・チクリス
[制作データ] 2007米/FOX [上映時間] 92分
「ファンタスティック・フォー 銀河の危機」公式サイト

【マクタロウ】
シリーズ物は第2弾ともなると前回で登場人物の紹介がすんでいる分、ノリが良くなる。
本作も例外ではなく、新たなる敵シルバーサーファーとの闘いが、時には笑いを交えつつテンポ良く展開される。
前作はシングにばかり焦点が当たっていた主役4人のキャラクターも、まんべんなく描かれているところは良い(最終的には美味しいところをシルバーサーファーに持って行かれるが)。
難しいことは考えずに、2時間の娯楽に浸れるという点ではアメコミ映画及第点のできだろう。
P.S.
眼鏡をかけたジェシカ・アルバ、かわいかったなあ〜。

【マクノスケ】
見てきましたーー!! 良かった!!1作目よりずっと燃えました。 ジェシカちゃんの鼻血も! リードののびのびコテコテギャグも! ジョニーとベンの嫌みトークも全開! ファンタスティックカーも思った以上に格好良かった。 1/6で出たら(出るはずないけど)コスプレニニさんを乗せて遊んでみたい! シルバーサーファーもCGキャラのみの登場だけかと思っていましたが、違うバリエーションでも登場。スーツアクターのダグ・ジョーンズのプロポーションも堪能出来ます!(ダグ・ジョーンズは「パンズ・ラビリンス」でパン役で出演していますー!)

冒頭のタイトルの出方もスーパーマンのようで素敵でした!原作者のスタン・リー先生の登場シーンはマクタロウ(旦那)と私しか笑わないのが、ちょっと寂しかったですが、面白かったのでOK!ちゃんとセリフもあり嬉しかったです。

それよりなにより冒頭で劇場内にどよめきが! 見たのが駿河湾の目の前にある清水のシネコンだったので。 ラストの舞台も日本人冥利に尽きる場所で(…ってどこだ?)、嬉しかったですねー。 「1」はキャラ紹介で未消化に終わっちゃてるところもあったのですが、今回は4人のチームワークもよく描かれ、リーダーであるリードのおいしいシーンもあります! スー(ジェシカ・アルバ)でなくても感じちゃうかも!!(笑) エンドロールも重要なシーンがあるのでお見逃しなく。 それにしても「3」がますます楽しみになって来ました。(あるのか?) ジェシカちゃんの鼻血と裸シーンはもちろん続投ですよね!!





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さらば、ベルリン 2007.09.22.(Sat.)
■別れるには、早すぎる。抱きしめるには、遅すぎる。

[監]スティーブン・ソダーバーグ
[原]ジョゼフ・キャノン
[出]ジョージ・クルーニー ケイト・ブランシェット トビー・マグワイア ボー・ブリッジス
[制作データ] 2006米/ワーナー [上映時間] 108分
「さらば、ベルリン」公式サイト

【マクタロウ】
終戦直後のベルリンを写した実写映像をバックにしたオープニングを観て、ソダーバーグ監督がこの作品を白黒で撮った理由は「実写映像を無理なく挿入できること」だと思ったのだが、さにあらず。
瓦礫の残る町中を走るジープを車内からとらえたシーン。ジョージ・クルーニーとトビー・マグワイアの会話が続くのだが、流れる背景の合成があまりに白々しい。
そこで合点がいく。ソダーバーグ監督は50年代に製作されたサスペンス映画をやりたかったのかと。
ハードボイルドと言うには、主役のジョージ・クルーニーが殴られるばかりで弱いのだが、それでも「そんな雰囲気」を狙っているのはよくわかる(ラストシーンで「カサブランカ」を思い出さない人はいないのでは?)。
ケイト・ブランシェットの「秘密」が作品を引っ張り、作品のテーマともなるのだが、その、肝心な部分のインパクトが小さく感じてしまった(実はとても厳しい現実だというのはわかる)のは、監督の演出があっさりしているせいか?
スタイルにこだわりすぎて、本質が薄くなってしまった残念な作品だった。

【マクノスケ】
好みの脇役俳優リーランド・オーサーが出演すると知り、早くから上映を楽しみにしていたのですが、残念ながら、全国公開されなかったので、仕方なく東名高速を使って「ららぽーと横浜」のTOHOシネマズまで見に行ってきました。

スティーブン・ソダーバーグ(監督)+ジョージ・クルーニー(主演)コンビが第2次世界大戦後のベルリンを舞台に描くミステリー。作風はモノクロのノワール映画風。トーマス・ニューマンの音楽も40年代の雰囲気でシンフォニックに映画を盛り上げています。

取材のためにドイツ降伏直後のベルリンを訪れた米従軍記者のジェイク(ジョージ・クルーニー)は、かつての恋人レーナ(ケイト・ブランシェット)と再会。そのやさき、彼の案内人を務めていたタリー伍長(トビー・マグワイア)が、ソ連占領区で何者かに射殺される事件が起きる。(Walkerplus - 映画 - ロードショー作品より)

中盤までは、レーナと彼女の死んだ夫の生死が、物語全体の謎を引っ張り、サスペンスを盛り上げいてるものの、ラストのオチは、思っていた程衝撃的でもなく、むしろサスペンスと言うよりも主人公ジェイクの同情で終わってしまうところが、ちょっと物足りかったようにも思います。もちろん最後のレーナの告白は、ジェイクへの愛ゆえだとはわかっているし、彼女の罪の重さもこの映画のテーマではあるとは思うのですが、その割に胸に響かなかったのが残念です。

で、お目当てのリーランド・オーサー!! 有名なところでは「パールハーバー」や「エイリアン4」「プライベート・ライアン」なんかに、ちょこっと出ているんですが、今回はジョージ・クルーニーの友達、法務総監バーニー役。結構出番があって嬉しかったですーーー!ちなみに奥さんは「ザ・ファーム/法律事務所」でトムくんの奥さん役を演じたジーン・トリプルホーン。個性的な顔立ちのご夫婦ですね〜。





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スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ 2007.09.15.(Sat.)
■生き残れるのは、一人だけ。

[監][脚]三池崇史
[歌]北島三郎
[出]伊藤英明 佐藤浩市 伊勢谷友介 安藤政信 石橋貴明 木村佳乃 香川照之 クエンティン・タランティーノ 桃井かおり 堺雅人 小栗旬
[制作データ] 2007ソニー [上映時間] 121分・PG-12
「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」公式サイト

【マクタロウ】
黒澤明の名作「用心棒」をウエスタン調にしたら・・・それは「荒野の用心棒」だろ!!という声が聞こえそうだが、それは違う。
本作こそがウエスタン調「用心棒」。この「調」というところが重要なのだ。「○○っぽい」けれど、そのものではないチープさ。しかも全編英語(一部日本語もありだが)という遊び心。どこまでもニセモノらしさを貫いた姿勢こそが本作のキモだ。
あとは展開される物語に身をゆだね、笑い、興奮し、時には涙までもして楽しめばよい。
冒頭のシークエンス、バックのかきわり富士山から、村(根畑=ネバダ)のオープンセットの素晴らしさ、アクション場面の迫力、一つの村でいがみ合う二つの勢力を「源氏」と「平家」に設定して、赤と白の色彩で彩るビジュアル、ラストを飾る北島三郎が歌う「ジャンゴ」と、どれをとっても1級品。そうなのだ。遊びは本気でやらないと面白くないのだ。
だから役者も大まじめ。
主役の伊藤英明はやや線の細さを感じさせるが、見事なガンさばきで魅了する。両陣営のボス、佐藤浩市の「三の線」での熱演と、伊勢谷友介の怪演が素晴らしい。
女性陣ではヒロイン木村佳乃よりも、桃井かおりの格好良さにほれぼれした。

観る人を選ぶ作品であり、昨今の「お涙ちょうだい作品」やテレビシリーズの劇場版(と言いつつ、あまりにもテレビと変わらぬ画面)の作品群に比べたら興行的には厳しい状況になりそうな気はするが、私は「ああ、日本映画はまだまだ元気だ!!」という実感を得た作品だった。

【マクノスケ】
三池崇史監督による全編英語の和製ウエスタン活劇「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」!私は重松豊さんと安藤政信目当て(ちょっと好きという程度ですけど)に行ったんですが、ふたりとも思っていた以上に出番があって嬉しかったです。

それを言うとピリンゴ役のクエンティン・タランティーノも結構出番があって良かった。彼の趣味が明らかになるシーンは、おたく爆笑のシーンなのですが、劇場で笑っているのが私とマクタロウのふたりだけだったのは、あの劇場にいたおたくがふたりだけだった事を証明しているのでしょう。(笑)

ともかくハチャメチャな設定。マカロニウェスタンと「用心棒」が好きで、あざとい演出が好みのおふざけ大好き者には堪らないこの映画。おちゃらけていると言えば言えるし、そこが最大の魅力と言えば魅力。でも、愛(ラブ)と涙の要素も忘れていないところがミソ! ラストの桃井かおりと重松さんのシーンでは泣き、主人公「ガンマン」の去り際の美学にうっとり。 そしてサブちゃんこと北島三郎の主題歌『ジャンゴ〜さすらい〜』に聞き惚れながら帰ってきました。 佐藤浩市のおバカ演技と桃井かおりの格好良さ、香川照之のゴラムさん的演技も堪能。友人のにいなさんが大ファンの堺雅人さんも面白い役でしたねー!こういった日本映画がどんどん作られるといいんですが無理かなあ〜。





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デス・プルーフ in グラインドハウス 2007.09.01.(Sat.)
■ドレスコードはスリルとスピード

[監][製][脚][撮][出]クエンティン・タランティーノ
[出]カート・ラッセル ゾーイ・ベル ロザリオ・ドーソン バネッサ・フェルリト ジョーダン・ラッド
[制作データ] 2007米/ブロードメディア・スタジオ [上映時間] 113分・R-15
「デス・プルーフ in グラインドハウス」公式サイト

【マクタロウ】
クエンティン・タランティーノ監督の趣味全開ムービー。
70年代B級映画テイストで彩られた本作は、わざと画面にノイズを入れたり、(編集の)繋ぎをぎこちなくさせたりという凝りよう。
監督独自の持ち味も相変わらずで、特に前半、無駄話の長いこと。私はちょっとつらかったのだが、好きな人には楽しいのだろうか。
最初のカーアクションは、最新の技術を使ったエグさ満点のショッキング映像。このあたりからちょっと雰囲気が変わる。
後半、本題であるスタントマン・マイクVSスタントウーマンになると、前半で入れていたノイズなどは無くなり、いたって普通の(相変わらず無駄話は長いが)映像になる。1本の作品で2本立てのような効果を狙ったのかもしれないが、中途半端に感じた。

【マクノスケ】
小田原のTOHOシネマズで見てきました。残念な事にプレミアスクリーン。ヘルニアじゃないんだからもっと大きな画面で見たかったんですけどね。(←このギャグがわかる人は「鷹の爪」の団員のはず!)

B級映画ばかりを2本立て、3本立てで上映するアメリカでかつて流行った映画館“グラインドハウス”を現代に甦らせるべく、クエンティン・タランティーノ監督と盟友ロバート・ロドリゲス監督がホラー映画を競作した2本立てムービー「グラインドハウス」のうちのタランティーノ版で、独立した1本の作品として再編集されたディレクターズ・カット完全版。(allcinemaONLINE参照)

彼の映画の特徴である登場人物の「本編とはあまり関係のない世間話」シーンもなんとかクリアし(これが今回結構長かった!)、やっとお目当てのバイオレンスシーンが来た時は「やっと来たかー」って感じでしたねえ。 いかれたスタントマンと怒れるスタントウーマンの対決と言う設定はなかなか面白かったと思うのですが、タランティーノならもっと壮絶にやるかと思ってました。前半の振りの割には、おとなしめだったのがいささか残念でした。 でもカート・ラッセルの情けない演技も楽しめたし、「ダイハード4」でブルース・ウィルスの娘役を演じていたメアリー・エリザベス・ウィンステッドのチアガール姿も可愛かったし、なんと言ってもゾーイ・ベル(「キル・ビル」でユマ・サーマンのスタントやっていた人)の本物のスタントが堪能出来たのが一番の収穫でした。





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